海外動向レポート(2020年8月(株)横浜銀行研修派遣職員)

掲載日:2020年8月7日

「タイ観光産業の動向について」

タイにおける観光産業の位置づけ

 タイは世界でも有数の観光大国として知られている。首都バンコクをはじめ、世界遺産の遺跡群、豊かな自然環境、ビーチリゾートなど魅力的な観光資源を有するタイは、1960年に観光庁を設立し、古くから国を挙げて観光産業に力を入れてきた。そんな努力もあってか、2018年の国際観光客数は世界で9番目の約3,827万人、国際観光収入は世界で4番目の約63,042百万米ドルを記録し、共に世界のトップ10入りを果たしている。2019年も順調に数字を伸ばし、国際観光客数は前年比4.24%増の約3,979万人、国際観光収入は前年比3.05%増の約64,965百万米ドルを記録した。2018年の観光収入は名目GDPの12.49%を占めており、10位以内の他国に比べても名目GDPに対する観光収入の割合が突出していることからも、観光産業がいかにタイにとって重要な産業となっているかがわかる。

graph1

【国際観光客数の推移 出所:UNWTO(国連世界観光機関)資料より作成】

graph2

【国際観光収入の推移 出所:UNWTO(国連世界観光機関)資料より作成】

 

日本との往来

 次の図は、2019年に日本へ入国した外国人とタイに入国した外国人のランキングである。

graph3

【訪日観光客数及び訪タイ観光客数 出所:JNTO(日本政府観光局)資料及びMOTS(タイ観光・スポーツ省)資料より作成】

 日本へ入国したタイ人は約130万人おり、国別6位。また、タイへ入国した日本人は約180万人おり、これも国別6位となっている。日本とタイは相互往来が非常に盛んであり、日本人にとってもタイ人にとってもお互いが人気の観光地の一つとなっていることがわかる。前年比の伸び率も増加しており、2020年はさらなる伸びが期待されているところであった。


コロナ禍における現状
 しかし、2020年に入り世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るい、各国が出入国を規制した結果、タイでは4月~6月の国際観光客がゼロ人となった。報道によれば、1月~5月の外国人旅行者は前年同期比約60%減となる約669万人。タイ政府観光庁は当初2020年の外国人旅行者の目標を約4,000万人としていたが、段階的に目標を引き下げ、対前年比約80%減の約822万人へと下方修正した。第1四半期の業種別のGDPでは、宿泊・飲食サービスが前年同期比24.1%の減となるなど、観光産業に大きな打撃を与えている。
 一方で明るい兆しも見えてきている。タイでは、5月下旬より国内の新規感染者は確認されておらず、感染者はすべて海外からの帰国者のみとなっており、現状国内での感染は抑え込んでいる状態といえる。7月からは外国人の入国規制を一部緩和するなど、段階的ではあるが、国際旅行客の取り込みに向けた動きを見せつつある。


企業の取り組み
 国際旅行の回復期を見据えた企業の取り組みとして、小田急電鉄バンコク駐在員事務所について紹介したい。同事務所は、2016年9月に開設。現地旅行代理店等との関係強化や情報収集、旅行博への出展等を通じて、タイを含めた周辺国から、箱根や江の島など沿線観光地への観光客誘致のプロモーション活動等を行っている。沿線自治体と連携したプロモーション活動も行っており、タイで開催された「タイ国際旅行フェア(TITF)」やベトナムで開催された「FEEL JAPAN」では、出展ブースにて神奈川県と連携したPRをこれまでに行っている。
 また同社は、タイ語のウェブサイトやフェイスブックページを開設。約12万の「いいね」がつくフェイスブックでは、コロナ禍においても沿線観光地の情報のほか、同社施設の安全衛生の取組みなどの紹介を続けている。

odakyu

【小田急電鉄タイ語フェイスブックhttps://www.facebook.com/Odakyu.thai

 同事務所の八山所長によれば、タイでの安全衛生への関心は高く、アフターコロナの旅行の前提となりつつある。こうした取り組みを現地言語で情報発信することに加え、今後の国際旅行の回復期を見据えて、沿線地域の多様な観光地と協働したキャンペーンなどによりインバウンド誘客を図り、沿線の観光業を盛り上げたいという。


今後の動向
 国際旅行が再開された時、日タイ両国の旅行者はこれまでどおり戻ってきてくれるのだろうか。宿泊予約サイト「ブッキングドットコム」の日本法人によれば、3~4月に利用者が「ウィッシュリスト」(サイト内に掲載されている宿泊施設の中で、利用者が「お気に入り登録・保存」をした施設の一覧のこと)に登録した施設約10万ヶ所を調べたところ、海外旅行ではソウルに続いてバンコク、ホノルル、台北、パリが順で続いたといい、コロナ禍においてもタイ・バンコクへの関心が高いことが窺える。また、薬局チェーン「ワトソンズ」のタイ法人が4月にタイ国内に住む女性4,000人に実施したアンケートによれば、新型コロナウイルス感染症が収束した後にしたいこととして、14%が「海外旅行」と回答。行きたい海外旅行先として日本が1位(53%)となり、2位の韓国(15%)、3位の英国(9%)を圧倒した。依然としてタイ国内における訪日旅行へのニーズは高いといえるだろう。
 相互往来の再開が実現すれば、県内産業にとっても活気を取り戻すチャンスとなりうる。引き続き情報収集を行い県内中小企業の皆様にとって有益な情報を提供していきたい

本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa