海外駐在員の活動レポート(2019年8月・東南アジア事務所)
ベトナムで食堂事業を展開する県内企業の取組み
2018年の日本からの対越投資の合計金額は86.0億ドルとなり、2年連続で最大の投資国となるなど、日系企業のベトナムへの投資が加速している。
進出企業間の競争も激しくなっており、各社は従業員の定着率を高める施策として様々な福利厚生やサービスを工夫している。その一環として、社員食堂のメニューや衛生管理を見直し、食堂の運営を日系企業に委託する企業も増えている。
今回は、このようなベトナム進出企業向けに食堂サービスを展開する県内企業の取組みを紹介したい。
横浜市に食品流通センター等を置き、ホテル・レストラン運営や給食・配食サービスを行っている株式会社グリーンハウス(http://www.greenhouse.co.jp)は、2017年にベトナム・ハノイへ単独出資で進出。同国では、主に日系企業の工場における社員食堂運営を手掛けている。
同社現地法人G.H.V Co., Ltd代表の宮田雄次郎氏は、「ベトナムの工場では企業が給食を全額負担するという慣行があることから、ほぼ全ての従業員が社員食堂を利用しており、食事に対する不満が労働意欲の低下に繋がりやすい」と指摘する。そのうえで、「食事の味や量が原因で転職・退職するワーカーも珍しくなく、ストライキに発展することもあるので、最近では食堂運営専門の担当者を設ける企業もあるほど。メニューや調理法を工夫するなど、配慮が欠かせない」と話す。
同社では、豊富なメニューや厨房の衛生管理など、日本で培ったサービスを提供しており、現在は同国内の8ヶ所で約6,000食/日(2019年5月末時点)を提供している。宮田氏は、「料理の適温提供(注)や、ベトナム人の好みを意識したメニューの作成、徹底した厨房の衛生管理が支持されていると感じている。現在はハノイ周辺の工場への提供が中心だが、いずれはホーチミンなど南部にも展開していきたい」と今後の展望を語っていた。
経済成長が著しく、国民の生活水準も着実に向上しているベトナム。品質の高い食事の提供など、新たなニーズが生まれており、こうしたニーズを抱えてビジネス展開を図る県内企業を現地で支援していきたい。
(注)適温提供:可能な限り温かい食事を提供する工夫のこと
(写真)厨房での調理風景(ガスコンロでクゥンラン(炒飯)を連続調理)
(写真)工場の食堂で提供される給食(麺/ブン)の例
(写真)工場の食堂で提供される給食(定食)の例