更新日:2023年12月7日

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審議結果(県土整備局・令和4年度第1回委員会)

神奈川県の公共事業評価委員会

様式3

審議(会議)結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称

令和4年度第1回神奈川県県土整備局公共事業評価委員会

開催日時 令和4年8月18日(木曜日)13時30分から16時30分まで
開催場所

神奈川県庁新庁舎12階 県土整備局大会議室

(各委員はWeb会議にて参加)

出席者

家田 仁(委員長)

中村 英夫(副委員長)

稲垣 景子

真田 純子

高橋 陽子

田邉 勝巳

中村 幸人

次回開催予定日 令和4年8月29日(月曜日)
所属名、担当者名

県土整備局総務室 松園、吉岡
電話番号 045-210-6019

掲載形式 審議経過

議事概要とした理由

 
会議資料
審議経過


1 公共事業評価委員会の実施について
 事務局が今年度の進め方等を説明し、各委員の了承が得られた。

2 審議について
(委:委員発言内容、事:事務局、事業実施課発言内容)

[1番 県道22号横浜伊勢原 道路改良事業]
[2番 都市計画道路金子開成和田河原線 街路整備事業]
[3番 県道410号湘南台大神 道路改良事業]
[4番 都市計画道路穴部国府津線(Ⅵ期)街路整備事業]
<事業実施課から事業内容の説明>
 

委:まず共通する1番と2番について、全体の完成という最後のゴールだけではなく、その途中段階のゴールを明確にして、まずそこにターゲットを絞って取り組んでいく、という部分的な効果発現を目指していくという姿勢がそれぞれにあり、それは非常に素晴らしい取り組みだと思う。特に1番などは、きちんと地元に対しても、部分供用の予定などのスケジュールも明示しているので、非常に良い取り組みだと思う。
 1番2番3番にそれぞれ質問がある。先ず1番の横浜伊勢原線について、先行整備区間の現況と暫定整備後という断面図があった。暫定整備後に、片方は2車線だが、もう片側は1車線だけという方向別で車線数が変わっていたが、これは、幅員が十分取れていないので、暫定ということで整理をしているのか、あるいは全体がまだできていないので、幅はあるが、車線について交通処理として2車線から1車線にしたのか、その理由を教えてほしい。

 

事:ご指摘があった通り、交通処理上の問題である。上り車線については、東側が既にもう2車線で供用されており、この先行整備区間を2車線で供用しても通過交通が緩やかになる一方で、下り車線については、この先がまだ1車線なので、その2車線から1車線をどこで絞るかということになる。
 今はこの県道43号の東側で2車線から1車線に絞っているが、この先行整備区間で2車線から1車線に絞ると、この狭い延長の中で、交通の合流が生じてしまうため、下り車線については1車線で整備するということを考えている。

 

委:2点目の金子開成和田河原線について、鉄道のアンダーパスに向けて用地取得も75パーセント近くまで進んでいるということだが、区画整理事業の方で用地を空けていると思うが、ここの部分の用地は、用地取得率の中に入っているのか。それから区画整理事業の進み具合、特に当該道路部分の進み具合についても教えてほしい。

 

事:区画整理事業の用地は用地取得率の中に含まれている。また、区画整理事業については令和3年度で完了している。

 

委:3点目の湘南台大神について、13ページの進捗状況への意見だが、前回の平成29年の進捗率1パーセントから今回2.5パーセントになったということで、1.5パーセントしか伸びなかった。2番の「これまでの課題に対する取組状況」の中で、コロナに関連した用地説明のご苦労が書かれているが、これに加えて、その上の進捗状況が変化した理由の中で書いてあるような地元調整、例えば迂回路の話などに不測の時間を要したけれども、こういう工夫をしたから成就した、というようなことも書いたほうが良いと思う。その方が、あまり進んでないがどうしてなのか、という問いに対してしっかり資料での説明をしているという答えになるのかと思うので、ご検討いただければと思う。

 

事:今の件については、後日資料を修正させていただく。

 

委:2番目の都市計画道路金子開成和田河原線について、鉄道と立体交差するということで、渋滞が解消されたり街が分断されなかったり交通事故リスクが減るなど、いろいろな良い点が書かれており、その点については十分に理解した。
 1点質問させていただくと、この場所は酒匂川に近く、おそらく浸水するエリアだろうと思うが、ここをアンダーパスにすることで、大雨の時には通ってはいけない、という運用をしなければいけなくなると思うが、そのあたりについてハード・ソフト両面から何か配慮する計画があるのか。
 これに関連して、県道410号の迂回路についても、桁下空間を活用するとのことで似たようなことがありうるかと思うが、このあたりについて検討されていることがあれば教えてほしい。

 

事:まず1点目の、金子開成和田河原線が地下道になるため浸水するのではないかというご質問について、酒匂川に確かに近接しているが、浸水想定エリアの中に入っているかどうかについては、後ほど答えさせていただく。
 ただ、ご案内のとおり地下道となるので、先生がおっしゃられるように地下に水がたまる可能性は十分にある。そのため、今の計画ではポンプ室等を設置するなどのハード的な対策をするとともに、最近よく見られる浸水深の目安、5センチメートルのところは黄色、10センチメートルのところは赤色といったように路面に着色するなどの対策や、手前のところで電光掲示板などで事前に地下道に入らないような対策をとっている例が数多くあるので、先進事例を見ながら整備までの間に工夫をし、安全対策をとっていきたいと考えている。

 また、同じように先ほどの410号についても、ポンプ室が必要なレベルの勾配になっているかどうかは改めて確認をし、配慮が必要であればハード・ソフトの両面から対策していく。

 

委:今のところだが、少なくともアンダーパスのところがハザードマップ上浸水するのかどうか、見たこともないというのでは行政にならないので、今すぐにチェックしてほしい。
 また、両側の歩道は、車道よりも高いところを通ると思うが、歩道は浸水しない程度に高くなっているのかどうか、車道で仮に車が立ち往生したとしても、横から歩道に逃げることができるようになっているのかについても教えてほしい。

 

委:私は市民代表のような立ち位置なので、映像があってすごくわかりやすかった。全体を通して3つ、最初の1件はお願いである。
 今回の資料の中でも、SDGsの開発目標が設定されているという背景も踏まえてのお願いだが、先ほどソフト・ハード面の連動という話が出ており、冒頭に家田委員長がお伝えいただいたような流域治水への対応という点にも付随することかと思う。
 我々は障害者支援を行っている会社ですが、今年5月に「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」という法律ができた。これは何かというと、その名のとおり多様な方々に情報を保証する、という観点からできた法律である。背景をたどると、平成23年の東日本大震災でなかなか情報が保証されなかった方たちが逃げ遅れたりして、死亡率が高かったということがある。ここでは障害者となっているが、ハードのみならず、市民に対するソフト面での情報の保証、そしてそれをしっかりと活用するという体制整備を、長期的な整備になるかとは思うが並行して取り組んでいただきたい。
 残る2点は質問となる。1つめは全体的な質問で、素人質問になってしまうかもしれないがご了承願いたい。
 長期的な整備となると、自然災害を含めて当初の予想から外れる展開が起こるようなことが事業の途中にあるかと思う。災害などもその一例だが、他に道路の整備においては、車がたくさん通れるようになり渋滞も緩和する、というようなところが主な予想になっていると思うが、車がガソリンからEVや水素等に変わっていく中で何か道路事業に影響するようなことがあるのかどうか、またそういった予想とは違ったことが起こった時にどのように対応していくのか、またはこれまでしてきたのかについて、事例を踏まえて教えてほしい。
 最後にこれも質問だが、3本目の事業について、こちらは道路を様々な背景から広げていくという事業で、これは必要なことだろうという前提ですが、道路を広げていき街の活性化などを考えたときに、近くに単線の相模線がある中で、将来的に相模線との関連はなにか想定されているのか、教えてほしい。

 

事:まずは予想外のことが起きたときについて、自動運転など、科学技術は発展しているので、まさにこの事業評価の時期などにそういう事象を踏まえて定期的に事業を見直してきている。今回の事業評価でも交通量の変化を確認するため、この機会に交通量推計を行い、交通量の確認を行っている。

 もう1点、湘南台大神と相模線との関連性だが、これは特に関係性はない。湘南台大神は藤沢市北部の大規模な工場地帯や湘南台駅周辺と西側の国道129号とを結ぶ幹線道路であり、相模線の複線化とは特にリンクせずに整備を進めている。
 少し位置関係が分かりづらいと思うので補足する。資料の事業地周辺図上、左側に上から下に走る線が圏央道であるが、この右側に黒白の線があり、これがJR相模線で、相模川に沿って圏央道と相模線が走っているという状況になっている。
 本日ご議論いただいているのは図面赤線の湘南台大神であるが、この先左側が寒川北インターチェンジにダイレクトにぶつかる、そのインターチェンジの真下に相模線が走っている。
 さらにこの路線は少し上に行くと、図面中楕円で囲っているが、神奈川県が寒川町倉見というところに東海道新幹線の新駅を誘致しようという活動をやっている。また、誘致するためにはまちづくりも必要だということで、平塚側と寒川側のピンク色の部分を二つ合わせたまちづくり、ツインシティというものを地元市町と一緒にやっている。
 その中で、二つの町をくっつけるには、やはり間に橋が必要だということで図中の緑色の点線、ここに相模線の上をオーバーして、圏央道の下をくぐるような橋をかけてツインシティのまちづくりを進めようとしている。
 現在ある相模線は単線で、こちらはこちらで神奈川県としてはぜひ複線化をしてほしいという要望をJRにしているが、道路計画・まちづくりとしては相模線に影響しないような形で計画を立てて進めている。

 

委:よくわかった。今回の質問のメインは一番最初のところである。先ほど委員の質問に対して先進事例を参考にするという回答があったが、先進的な法律が出てきているので、そのあたりを踏まえて、未来に生かしていただきたい。
委:一つ目は先ほどの委員と同じ内容だが、2番目の事業で、立体交差のところ、北側にある県道78号のところもアンダーパスになっており、インターネットで現地の写真で見ると「冠水注意」とアンダーパスのところに書いてあるので、2本ともアンダーパスが良いのか、という問題があるという気がした。両方が通れなくなったときに、交通が混乱しないのか、というような心配はある。
 もう一点は全般的な資料の作り方に関することだが、「こういう必要性があるから道路を作る」というようなことを書くのは事業評価において重要だとは思うが、読んでいると交通渋滞するから道路を拡幅する、近くに新しい住宅地ができたからそこをつなぐ、というように行き当たりばったりに見えるようなところがある。資料に「評価対象事業の位置づけ」ということでということで上位計画についても書いてあるが、この項目だけで完結していて、他の部分であまり説明されていないため、資料だけ読んでいるとどこまで作っていくのか、増えたら増えたでまた作っていくのか、みたいな感じがしてしまう。
 例えば資料の9ページでは、「通学状況」の項目で、児童の列が車道に、はみ出している写真があるが、それで拡幅する、というやり方もあるが、あるいは、通過交通は全部排除する、というやり方もある。段階構成を考えるという方法もある中で、ここが拡幅に値するのだ、という説明にはなっていないように思う。上位計画の欄に上位計画を書くだけではなく、きちんと上位計画を踏まえながら、全体ネットワークから考えてここを強化する必要がある、拡幅対象・新設対象になるのだ、というような説明をしたほうがいいと思う。

 

事:こちらの説明がよくなくて恐縮だが、今回の4路線はすべて都市計画決定されており、都市計画というものは将来的な土地利用の展望などを踏まえた形でここに道路が必要であるという決定をしている。

 

委:委員の一つ目の質問にあった、アンダーパスが二つ続いているというところは、片方がアンダーパスになっているから、もう片方はオーバーパスにする、ということはできないかと思うが、どうか。

 

事:今画面で図面を表示しているが、右上に青く大井松田インターチェンジを示しており、そこから接続する緑色の線が県道78号の足柄大橋で、先生がおっしゃっているように御殿場線をアンダーパスしている。そして今回の審議対象、先ほどご説明した下の赤い線のところも、御殿場線をアンダーパスしている。
 これは、御殿場線が盛土構造になっており、これをオーバーパスするのかアンダーパスするのかを、経済面や日照の問題、地下水の問題等を検討した中で、やはり御殿場線の盛土構造のさらに上を道路が越えるには、経済的にもかなりコストが高くなるため、ここの箇所については2か所ともアンダーパスという形式を選択している。

 

委:今のアンダーパスの話に関連して、先ほどの委員の質問に対してはもう回答できるか。

 

事:現在画面で示している図面の上から下に流れているのが酒匂川で、当該評価対象区間は左岸側に位置している。浸水想定としては、0から50センチメートルの間で浸水が想定されるということで、評価対象区間のすべてが浸水想定エリアに入るわけではないが、部分的には浸水想定エリアに入ることとなる。

 

委:アンダーパスのところは冠水するということか。

 

事:アンダーパスのところも50センチメートルのエリアに一部入っており、周辺からの集水域もあるため、そちらについては先ほど申し上げたようにハード・ソフトの両面から安全対策をしたいと思っている。

 

委:2点質問させていただく。1点目は、道路事業はあまりコロナの影響はないとは思うが、需要予測等で、コロナや最近の物価高、ガソリン高のようなものの影響はどのくらい反映されているのか。
 2点目は、3番目の県道410号のところだが、事業進捗が遅れているという話があったが、4番目の事業の資料と比べると、事業の進捗状況で部分的に情報がない部分がある。進捗率は確か事業費の消化率だったかと思うが、例えば用地取得率のようなものが全く書かれていない。プライバシーの問題等で書かないほうが事業の進捗に良いということであれば統一したほうが良いとは思うが、あまり用地取得が進んでいないのは何か地元の人とトラブルになっているのではないか、桁下の迂回路にしても、これは住民の方が住民に納得したうえでこういう整理をされたのか、というところが少し気になった。
 後は細かい話だが、便益のところも、ここは令和4年で計画交通量が増えていると思うが、資料では便益が変化した理由としてマニュアルの改訂のみが書いてある。4番目の事業の方は計画交通量がほとんど変わっていないため、便益が増えたのはマニュアルの改訂によるものだ、とわかるが、県道410号の方は変化した理由の書き方がちょっとどうなのだろう、と思った。

 

事:1点目の交通量の関係について回答する。物価高やコロナの影響というお話があったが、今回の交通量推計においては、5年に一度定期的に行っている道路交通センサスに基づいて将来交通量の推計を行っている。そのためお話にあるような直近の物価高等は考慮されていない推計となっている。

 

委:技術的にはたぶんそれで問題ないと思うが、現場レベルで考えても交通量は鉄道や公共交通と比べると自動車はそれほど落ち込んでいないので大きな影響はないだろうという理解をされているという認識でよろしいか。

 

事:おっしゃる通りである。

 

委:このあたりは難しい問題だと思う。リモートが進み、混雑緩和という意味ではいい方向に行く、東京一極集中が少しは緩和して地方に住んでくれるようになるかな、という面もある一方で、コロナが少し収まるとリモートはやめろ、と指導している会社が圧倒的に多い。だからこの1年の中で季節や月によって交通量が上がったり下がったりしている。
 道路にしろ鉄道にしろ、インフラの投資は、少なくとも10年くらいのオーダーである。そこからあと30年や50年使うので、そのころの交通量がどうなるかというのは、例えば直近のODサーベイを何かしたからどうなる、というようなものではなくて、あくまで目安程度にしか活用できない。したがって目安はこうだが、例えば交通量が2割減るようなことがあってもやはり必要な道路だ、あるいは思ったように交通量が減らず、ずっと多い状態が続いていくことを考えると早めにやっておいたほうが良い、というような、何かの幅をもって施行するというようなことなのだと思う。建前として国交省あたりから言われる話と、現場感覚とは違うと感じる。

 

委:私も動画は情報量が多いな、と感心した。県道410号の予定地について、耕作地を避けているのは分かるが、樹林地をなぞるようにいっている。それがちょっと私にとってはショックで、やはり物言わぬ樹林地が用地買収の場合には買いやすいところなのかな、という風に思ってしまった。だから樹林地の環境的な便益の価値というものをぜひ持ってあげてもらいたいな、という感想を持っている。
 1番目の県道22号について、これも動画を見ていると最初用田のあたりから出発して、両側に樹林があって、進んでいってずっと低地を行くとまた樹林が出てきている。3ページの図面で見るとちょうど沖積低地と丘陵とが交わるようなところに連続した樹林地が残されている。今回の計画はそこを分断して道路が通るようになっているが、そういった樹林地はタヌキなどの哺乳類がよく通る場所だと思う。そういう動物の往来に配慮したような計画になっているのかどうか伺いたい。
 もう一つ、2番目の事業なのですが、御殿場線と交わる狭いトンネルは私もよく利用していていつも苦労しており、ここが改修されるのは非常にありがたいが、この場所は大部分が酒匂川の沖積低地で、用水路が多いところである。これらの用水路は水量が多く、水生植物など、生物多様性の高いところもあり、そういった箇所に事業地がかかっているのかどうか、もしかかっているのであればどのような配慮がされているのかを伺いたい。

 

事:まず、県道22号について、資料の3ページ右側に航空写真がある。先生からご指摘のあった先行区間の西側には南北方向に樹林地がある。横浜伊勢原線は1日の交通量が1万8000台ほどあり、かなり大型車も多く往来している道路である。私も現地を確認したが、南北方向の樹林地が横浜伊勢原線を含んだ形には見受けられなかった。地元からも小動物等が横浜伊勢原線をまたいで移動しているというようなことを危惧する声はあまりないこともあり、騒音や振動といった環境面の調査はしているが、動物の往来などについては調査を行っていない。

 

委:2番目の方の酒匂川の沖積低地の用水についてはいかがか。

 

事:2番目の酒匂川のところについては、評価対象区間近傍の大きな用水路としては先生もご案内のとおり足柄紫水大橋の脇に酒匂堰があり、そこから国道255号にかけて酒匂用水という形で水が流れている。この辺りでは水生植物等をよく見かける状況ではあるが、評価対象区間の中にはあぜ道的な水路しかなく、何か特別な昆虫などが生息しているという情報は、地元からも特段確認されていない。もしそのような動植物があるようであれば、どのような配慮ができるのか、少しでも工夫できればという風に考えている。

 

委:酒匂堰はまったくかかっていないのか。

 

事:酒匂堰は入っていない。

 

委:私からも1点質問させていただく。今表示されている図面を見るとここに大井小学校があり、その周りは田んぼである。そして水が来るようなところだ、という話があったが、この地図を見ると一昨々年か、岡山県真備町の西日本豪雨で水浸しになったところがあったが、あそこにはローカル私鉄があり、すべて高架橋になっている。これは水が来るからわざわざ高架にしているということで御殿場線も同じように盛土になっている、しかも下に道路が通るくらい高い盛土になっているのは、おそらく前後の取り合いの関係もあるのだろうが、水につかるのを避けているのかもしれない、という風に思う。
 それで何が言いたいかというと、このような土地柄のところでは、道路のプロジェクトと言えど、水害上の問題についてどのような配慮をしている場所なのか、あるいはそれをした結果こういう風に大きな計画が進められている、というような説明はこれから求められると思う。次回からで結構だが、現地の実情を表現するときにはそういったことに配慮していただくとよいのではないかと思う。
 そこで1点質問だが、3番目のプロジェクト、県道410号が目久尻川に沿うような形になっており、お話を聞くと農地をなるべく分断しないような形にしているということで、これは一理ある考え方でその通りだとは思うが、今回の2年半のコロナの経験の中で全国的に最も注目されることになったインフラは公園緑地である。密になるところには行けないから家族で憩いの時間を過ごしたいというときに公園が大いに活躍したわけで、これは町中の公園も、少し離れたところにあるまとまった緑のある公園も同じだと思う。
 その中でこの目久尻川は、自然豊かな空間のように見えるので、この道路を目久尻川に接するようにするとしたら、川に接するような作りになる歩道はいい感じの散歩道になったりする可能性もあると思うが、そういう視点からの何か配慮や工夫をされているのか、そのあたりのお考えを教えてほしい。

 

事:資料11ページの平面図と側面図をご覧ください。側面図で薄い茶色の線で示しているのが現状地盤で、黒い実線で示しているのが道路の高さになる。縦断線形のコントロールポイントとしては目久尻川の橋梁と、相模川左岸用水路が連続的にあるので、全体的に地盤を盛土するような計画になっている。今委員から話のあった目久尻川との兼ね合いだが、こういった縦断上の制約から、そのようなことを考えるまでに至っていない。

 

委:橋梁のところではなく、もう少し西側の目久尻川と並行しているところの断面構成は目久尻川の堤防とどのような関係になっているか。堤防と擦り付けてここから先は河川だから関係ない、というようにやっているのかどうか。道路の歩道と河川の堤防を一体的にすればずいぶんいい空間になると思うので、そういう考えはあるのかどうか。

 

事:現状としてはそこまで思想が至っていないので、今後の参考とさせていただければと思う。


委:了解した。そういったこともよく考えてやってほしい。新しい道路なので、歩道もそれなりにいい空間を作るはずだが、そうすると川沿いの道というのは素晴らしい景観も楽しめるし、この区間は延長も長いので、やはり考えていただきたいと思う。幹線道路ではあるが高速道路などと比べればローカルな道なのだから、アメニティも相当意識して作っていってほしい。こういう川の並行しているところはいいチャンスだと思うので、ご検討いただきたい。

 

委:4番目の説明がなかった案件、穴部国府津線について、必要性等については良いと思うので、結論は変わらないと思うが、17ページには、スケジュールのバーチャートや、前回評価と今回評価の比較表が載っているが、このバーチャートを見ると、用地買収は前回よりも短縮されているが、工事着手が5年遅れている。これには何か事情があるのだろうと思うが、「事業の進捗状況」の比較表下に記載のある「前回の評価から変化した理由」には、その遅れる理由が書いていないので、ぜひ遅れた事情も書いたほうが良いと思う。
 それに関連して、「②これまでの課題に対する取組状況」を読むと、用地取得がなかなか進まないため、工事が遅れている、という事情があるのだろうと勝手に推測しているが、用地取得を頑張っている、と書かれている。「用地取得が進まなくて工事が遅れている」ということを②の中で言葉を濁すのではなく、しっかり書くということが必要だと思う。今の事業における進捗状況のボトルネックがどこにあり、どのように取り組んでいるのか、地元に対してもわかるような工夫があっても良いと思うので、ご検討いただきたい。
 それに関係して、先ほど区画整理の部分の面積は用地の進捗から除いているという話があったかと思うが、県の事業の予算管理としてはそういう整理でもよいかと思うが、全線の供用を待ち望んでいる地元からすると、75パーセントよりももっと実質的な空間確保が進んでいるわけで、そういう意味では何かそういう状況をカッコ書きで付記するとか、今の状況をありのままに伝えるという工夫があってもいいと思うので、ご検討いただきたい。

 

事:まず2番目の事業の進捗率に土地区画整理事業の率が入っていない、という話があったが、土地区画整理事業の部分の用地取得率も、資料記載の74.8パーセントの中に含まれている。少し表現が分かりにくいところがあるので、誰が見てもわかるように注釈を付記したいと思う。
 それから4番目の事業で、少し事業が遅れているという理由は、まさに先生がおっしゃられたように、用地取得が進んではいるが、なかなかまとまった用地が確保できないという事情がある。この辺りは先ほど委員からいただいたアドバイスを活かして、資料の中で注釈のような形で記載したいと思う。

 

委:2番目の事業の総合的な評価の中で、「この道路ができると観光客の増加が期待される」というような記載があるが、ローカルな道路が伸びた程度で観光客の増加が期待される、とまではとても言えないと思う。観光活動の利便性が向上する、というのは事実だが、人数が増えるとまで表現するか、というのは少し内部でご検討いただけたらと思う。

 

事:先生のおっしゃる通り増加というのは期待値であって、回遊性が増すとか、そういった表現にしたいと思う。

 

委:事後評価の時に増加していない、と言われてもいけないので、その辺はよろしくお願いする。それでは皆さん一通りご発言いただき、大体回答いただいたが、一括審議の事業も含め、継続ということでよろしいか。
(異議なし)
委:特に異議がなさそうなので、以上4件継続とさせていただく。また、意見は議事録の中にとどめ、今後の資料作成にも反映していただきたいと思う。

 

[5番 二級河川境川(津久井)河川改修事業]
[6番 二級河川酒匂川 河川改修事業]
[7番 二級河川引地川 河川改修事業]
[8番 一級河川永池川 河川改修事業]
[9番 酒匂川流域下水道事業]
<事業実施課から事業内容の説明>

 

委:それではこれから河川と下水道の案件について審議していただく。


委:5番の境川の遊水地だが、遊水地は平常時にはどのように利用されるのか。平常時は公園みたいにして使うようになったほうが良いと思ったのだが。
 もう一つ、資料の作り方だが、総合的な効果のところに「環境」が入っていない。もともと事業評価が始まった頃にはこの項目でもよかったのかもしれないが、今は環境というものは事業の目的に入れ込むものになっているので、配慮事項としてだけではなく、効果のところにも記載したほうが良いと思う。


委:河川法における目的の一つが環境である。それではまとめて回答願う。

 

事:遊水地の上部利用に関しては、現時点では公園のような広場としての活用はされていない。遊水地を整備するにあたり、地元の自治体も含めて上部利用について提案があるか、利用したいかを聞いたが、風間遊水地に関しては特段そういった話もなかったので、今は遊水地としての機能だけになっている。

 

委:要望がなければやらないということで本当にいいのか。

 

事:神奈川県内にはいろいろな遊水地があり、中には県立都市公園として利活用している施設もある。境川の下流側にある境川遊水地は県立公園として普段は利用している。この風間遊水地については比較的規模も小さいので、そのような形での利活用まではできていない。今後将来的に利活用に関するアイデアがあれば、取り組んでいきたいと考えている。
 また、総合的な効果に環境が入っていないというご指摘については、委員長がおっしゃる通り、河川法の目的には環境というものも入っている。この遊水地の護岸には植生護岸を採用するなど配慮はしているが、今後は更なる配慮や工夫について検討していきたいと思う。

 

委:2点あり、先ほどの道路事業では最初の500メートルを早期に進捗、整備するという話が出てきたと思うが、例えば6番の事業では供用率が98パーセントまで整備が進んでいるのであれば、災害に対する効果も発現されていると考えてよいのか。もしそうならば、既に整備効果が発現されているということも書いてもいいのではないかと思う。
 もう1点は、5番、6番の事業は一般重点ということで、例えば5番の事業では事業費が24パーセント増えたということだが、先ほどの道路事業ではなぜ増えたのか説明があったかと思うが、河川の資料ではそのあたりの記載がないので、その理由などについて教えてほしい。

 

事:1つ目のご質問に回答する。供用率が98パーセントということで、もう事業の終盤に差し掛かっている。護岸を整備するとともに河床の掘削も並行して行っており、残りの用地取得と護岸整備、盛土被覆さえできてしまえば完了となるので、効果としては発現されていると考えている。
 2つ目のご質問について、特に境川について、事業費は遊水地の遠方監視システムなどの付帯施設のところで、当初の見積もりから少し増額となったところがあった。また、事業期間については評価対象区間に取水堰があり、そこの管理者との調整が難航しており、事業期間が延びている。このあたりは確かに審議資料に記載できていないため、記載するような形で修正する。

 

委:これは当然きちんと記載しなければだめだと思う。少しくらい費用が増えても関係ないとか、多少の遅れはやむを得ないとか、そういう考え方はおかしいという意識を持ってほしいので、きっちりやっていただきたい。
 それから1点目については、98パーセント整備が進捗したら98パーセントは被害が低減されるとか、そのように誤解されてはいけない話であって、例えば堤防でいえば、1か所でも未整備箇所があると、そこから溢れてしまう、というようなことを考えると、この事業の場合は一番クリティカルな部分の整備は済んでいて効果を上げているとか、一番大事な部分の用地買収ができていないからなにも整備されていないのと一緒であるとか、そういう河川事業特有の事情を斟酌しながら回答いただいたほうが良いと思う。

 

委:2点ある。1つ目はソフト面に関するお願いだが、令和2年の事象を踏まえて情報伝達の強化を行うというご説明もあったが、今年5月に制定された「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」が非常にリンクするところだと思うので、活かしていただきたい。
 私は昨年度から委員となっているが、事業において理念の重要性というものを学ばせていただいた。特に神奈川県では「ともに生きる社会かながわ憲章」を作られており、障害のある方の情報受伝達がやりやすい内容であれば、障害のない方たちに対しても分かりやすい受伝達になるという想定される。国から知事あてに何かを開発するときには補助金も出す、ということを通知しているので、うまく活かしていくことが非常に重要だと思う。

 2つ目は、同じくソフト面の市民との協力という点について、昨年度も少し触れたと思うが、実際にハザードマップを発行するにあたり、例えば福祉や学校教育との連携が重要ではないかと思っている。
 具体的に言えば、福祉の地域包括ケアの領域というのは、コンパクトに動ける範囲として中学校区を中心に作られている。そのため、例えば中学生がハザードマップをしっかり理解していて、行動に移せると地域において様々な形でサポートにつながることが想定される。
 既に神奈川県内でも先行的にやっているという事例があったと思うが、白地図等を利用して、ハザードマップに沿って色を塗っていくような、教育と福祉が連携した事業をすでに始めているという話があったと記憶しているので、詳細を教えてほしい。

 

事:理念の重要性というところは、改めて確認をしていきたいと思う。2点目の市民との協力について、ハザードマップなどを地域の学生などに周知して、地域のサポートに生かしていくことに関しては、市町村も力を入れて取り組んでいるところがある。河川管理者としても市町村と連携して説明に努めている。地域の防災意識の高い自治体の方々からは、出前で河川の整備状況や浸水エリアといった内容の説明を出水期前に行うよう、要請されている事例もある。
 また、教育機関に対する普及啓発も大切な視点だと考えており、教育委員会などと連携しながら取り組んでいきたいと考えている。

 

委:防災に関する事務は基本的に自治体が実施している。一方で、河川行政は国と県が実施しているので、そこのギャップは常に感じている。委員がおっしゃったように、河川については少し重点的に取り組むとか、どこかに注力してやったらいいのではないか。


委:2点ある。1つ目は先ほどの話と関連するが、再々評価に関する事業については、前回と対比してどうなのか、という評価をお願いしたい。
 2点目だが、先ほど総合的な効果のところで、柱立てを少し見直したらどうかという話があった。私もその通りだと思っており、例えば境川の20ページを見ると、「行政コスト」、「安全・安心・利便性」、「その他」とあり、境川では地域の幹線道路が守られるとか、別の川では消防施設が守られるとか、そういうことが「その他」に書いてあるが、これは「その他」ではなく、「安全・安心」だと思う。もし「安全・安心・利便性」が人命財産という意味で書いてあるのだとすれば、道路や消防施設は「地域の強靭化」のような柱を立てて書いたほうが良いと思う。


委:下水処理の動画を見て、これは自然がやっていることだな、と感じた。河川の流水が草原や樹林に引っかかってゆっくりと流れる、それが水生植物の根あるいは藻類に吸収されて、光合成によって有機物が生産される。それを鳥や魚や両生類のような多様な生物がそれを享受する、それで物質が回り、水が浄化される。そういう生態系のある河川は、いわば生きた下水処理場といえるのかな、と思っている。
 一方で、河川というのは流れに何かが引っ掛かっていると、洪水の原因になる、理想的にはコンクリートの三面張りが一番良いという考え方もある。神奈川県は生物の多様性に配慮した河川管理を行っている。その象徴的なものが境川の風間遊水地だが、一部が植生護岸となっていて、そこに事業前の状況を再生しようとしている。
 それから、資料の中では植生マットと緑化ブロック、それぞれ違う構造物であると思うが、それをどのように使い分けているのか、そして将来どのような植生が戻ることを期待して設置しているのかを伺いたい。
 もう1つ、酒匂川について、掘削によって深堀することによって、河道がある程度狭まってくると思うが、それによって河道が固定されてしまうのではないかという恐れがある。酒匂川の中流域は浸食と堆積が繰り返すような場所であり、それによって中流域の生態系が形成されている。だからある程度川が自由に暴れるような要素も持っていないと中流域の河川生態系というのは保全できないと思っていて、そのあたり、高河道が固定してしまうような危険はないのかどうか、その2つを伺いたい。

 

事:1点目について、境川の緑化ブロックと植生マットの使い分けについて、河川の本川の護岸といった比較的急勾配の箇所は緑化ブロックとし、遊水地の比較的緩いのり面については、流速が遅いということもあり植生マットを適用している。基本的には盛土を現場発生土で行っているため、最終的にはもともと現場で繁茂していた植生が復元されることを期待している。

 

委:植生マットでも、従来そこにあった植生が戻ってくることを想定しているのか。

 

事:特に種子吹付とか新たなものを加えているわけではなく、あくまでマットの隙間から入った種子が芽吹いて復元されることを期待している。

 

委:了解した。例えば、将来そこにヤナギ類やハンノキとか、強い樹林が形成されても、それは仕方がない、と判断されるのか。

 

事:河川の維持管理上で問題ない範囲であれば、そういった自然の復元というのは、許容できるかと思う。

 

委:なかなか実際上許容限界を決めるのは難しいと思う。これまでも河道の植生復元で樹林地になったところはあるのか。

 

事:河川によっては河道内の植生がかなり樹林化してきていて、河川の流下を阻害しているところもあるので、そういったところでは樹林化対策として伐採などの対策を行っている。

 

委:私は神奈川県が積極的に生物多様性の保全に大きく関わっていることを非常に評価しているので、今後ともよろしくお願いする。

 

事:もう1点、酒匂川の河道については、酒匂川は総合土砂管理プランというものを策定している。酒匂川は流路が広く、河道が右に左に流れている河川だったのだが、台風によって土砂が流出して堆積が激しくなったため、このプランによって台風被害前の状態に戻そうと取り組んでいる。その中では、河床掘削をして安全を確保しつつ、生物や植生などの環境にも配慮していかなければならないので、毎年測量を行って河川の状況をモニタリングしつつ管理を行っている。

 

委:ここでこそ、流域治水というものが必要になってくるのかもしれない。土砂の流入を放置すると天井川になってしまい、水害リスクが上がってしまうため、掘削せざるを得ないし、上流では治山・砂防を実施していると思うので、それらを総合して流域治水に取り組む必要があると思う。その目的は単に治水ではなくて流域マネジメントであるべきであって、環境づくりや生物の保護、文化の保全などいろいろなものがある、ということなのだと思う。


委:河川改修事業の総合的な効果についてコメントと質問である。安全・安心・利便性の項目の中に、「災害時要援護者」の人口が計算されて書かれているが、平成25年度に災害対策基本法が改正され、「災害時要配慮者」という名称に代わっていると思うので、文言を確認していただきたい。
 もう1点、「家屋のコンセントが浸水することによって停電する人口がなくなる」という記載があるが、床上浸水と何が違うのか、どのように計算しているのかを教えてほしい。

 

事:「要配慮者」については資料を修正する。もう1つ、コンセントの影響の人口というのは、心理的不安を受ける部分を効果として書いたものであり、もう少しわかりやすい表現に修正したいと思う。

 

委:停電の影響を受ける人口というのが人数で出ているが、これは何かしらルールを決めて計算していると思われる。浸水深何メートルまではコンセントは浸からないとか、地盤の高さや建物の作り方を含めて検討されているのか、もしくは集合住宅で1階部分の世帯だけ計算して2階以上はカウントしないとか、どのように計算しているのか教えてほしい。

 

事:委員のおっしゃる通り、例えば戸建て住宅や集合住宅の1階については、浸水深が70センチメートル以上、これは床上浸水の50センチメートルにコンセントの設置高さ20センチメートルを足した高さを想定しており、それ以上の浸水が見込まれる場合にはコンセントが使用できなくなって停電の影響を受ける、というような判断をしている。

 

委:了解した。あまり一般的な指標ではない気もするので、どこかに計算方法や根拠を書いたほうがいいと思う。

 

事:審議資料の文言を工夫し、どういった根拠で数字を出しているのかわかるようにする。

 

委:私からも質問させていただく。まず基本認識として、神奈川県は関東首都圏の一員であり、日本の中でも人口が多い地域となっている。一方で、県西部には火山もあれば暴れ川もあるし、いろいろ大変な場所もある、という基本認識だと思う。そのような状況を踏まえつつ、確率の表現をもっと工夫しないといけないのではないかと感じる。
 例えば境川では、想定している規模の降雨の年超過確率が10分の1であり、これはもともと「10年に1回」という表現をしていたものを、今は超過確率という表現として10パーセントとしている。
 他事例として、南海トラフ地震に伴って津波が来るという話については、今後30年の間に何パーセントの確率で経験する可能性があるという表現をしている。例えば首都直下地震だと、今後30年で70パーセントの確率で経験するというような表現をしている。30年間というのは人間が現役で働く期間に近く、その期間内で70パーセントとなると、かなり経験する可能性が高く感じられる。
 ところが、超過確率10分の1の降雨を、30年以内に経験する可能性に換算すると、約93パーセントとなり、ほぼ確実に経験することが想定され、対策をやってもほぼ必ず経験することになる。ということは、この対策は防災対策だけではなく、減災対策としても捉えることができる。30年間以内に経験する確率が93パーセントなので、避難についてもよほど気を付けてもらわないといけない、という表現になる。
 その点は「10分の1」という表現だけでは分からず、災害が発生する確率は低いのか、と思ってしまうおそれがあり、それはとんでもないミスリードとなってしまう。流域治水の原点は人々が我が事と思えるような表現とすることなのだと思う。地震や津波はそのように表現を変えたのだが、河川は全然変えていない。そこを何とかしてもらいたいと思う。
 一方で酒匂川の計画降雨の発生確率は100分の1だが、これも30年以内に経験する確率を計算すると約30パーセントであり、相当高くなっている。また、想定最大クラスの雨は1000分の1の発生確率で検討し、ハザードマップを作って避難を促しているが、これは30年以内に経験する確率が3パーセントとなる。30年くらいのオーダーでもほぼ起きない数字だから、これ以上のものはあまり念頭に置かなくても良く、このくらいの規模のものは発生しても大丈夫なように避難体制の整備や防災教育などを進める必要があると考えられる。
 しかし、避難体制の整備などだけを進めてしまうと、家屋などの被害を免れることができないため、やはりできるところから減災対策をやって、物損などを極力下げることも必要となる。その便益がこのB/Cでいえばいくつになるとか、そこのところがもう少し、県民にも分かりやすいようにしてほしい。河川事業に従事している職員以外の人はほとんど分からないと思うので、この点はもう少し頑張ってほしいと思う。
 2つ目は、神奈川の遊水地ということでいえば、新横浜にある運動場が有名な事例である。鶴見川が氾濫したらあそこに貯めていく、ということで、流域治水の前の総合治水の取組の一つとして整備したと思う。遊水地といっても割と浅い、平たく出入りができるようなところは公園的な機能を併用することもできるが、例えば団地開発した時の遊水地を公園にしたら、いざという時に出られなくなってしまうかもしれないので公園利用は難しい。構造や、どのくらいのリードタイムで水が入ってくるのかにもよるので、すべての遊水地を公園的に使うことができるほど甘くはないと思うが、県としても積極活用というか、環境づくりであるとか、そういうことを考えている、というのをもう少し積極的に表現するスタンスを持っていたほうがいいのかもしれない。
 3点目は、酒匂川の評価対象区間のやや上流だと思うが、日本の中でも有名な碑がある。それは、中国の兎王の時代に、その三代目が治水をやった有名な土木エンジニアで、夏王朝の初代皇帝になった人なのだが、その碑が文命堤として現地に残っている。河川の治水活動の原点がそういうところに、実は歴史的資産として残っている。そのような文化性と、治水をつなげる要素がこの酒匂川には大いにあるのだが、そこがあまり見えなかった。もちろん県の方はご存じだと思うので、もう少し積極性があってもいいのではないかと思う。
 そうすると、地域の人々も巻き込みながら、川づくりとか、防災活動とかが前に進むと思う。危ないから逃げろ、というだけで市民と仲良くしようとしても、なかなか難しく、そういう歴史性とか文化性とセットにする、そういういい題材が酒匂川にはあるということをアピールしてもらいたいと思う。
 それから1点質問である。下水道に関することだが、下水道はいろいろなインフラの中でも非常に積極性を持つインフラで、もちろん神奈川県の流域下水道もそうだと思う。それはどういうことかというと、汚いものを単にきれいにする、あるいは増えてきた水を円滑に川に流す、というだけではなく、そこで生じる活性汚泥を使ってコンポストにして肥料を作るとか、あるいは発電をするとか、全国でいろいろなことにトライしている。おそらく神奈川県でもやっていることだとは思うが、その辺のアピールが今日はほとんど見られなかったので、マイナスのものをゼロにする下水道事業だけではなくてゼロのものをプラスにする、プラスの価値を目指す。「下水道は都市の鉱山である」という言い方を東京都などは随分しているが、そのあたりはどうなっているのか、自己アピールを含めて下水道課の方に教えていただきたい。

 

事:現在、相模川流域下水道、酒匂川流域下水道という二つの流域を抱えているが、委員長のおっしゃる通り、下水の特に汚泥のエネルギーを活用した取組みが全国的には少し前から始まっており、東京都はその中でもトップランナーであることは承知している。資料にも記載したが、汚泥は燃やして、セメント等の材料に使っているだけにとどまっているのが現状である。
 今回、酒匂川流域下水道の方のご審議をいただいているが、こちらでも汚泥処理施設のうち、耐用年数がきたものをいくつか整備をしていく予定である。そこでは汚泥のエネルギーを活用した施設というものを入れていこうと、今まさに検討しているところである。

 

委:どうして特段に申し上げたかというと、神奈川県も東京都も、自分のところだけで生きているわけではなくて、例えば電力はかつて福島原発なり柏崎から、要するに新潟県や福島県から持ってきたりしている。けれども、やはり大消費地である神奈川県や東京都は、一つは生ごみを使えばいいし、もう一つは下水からの汚泥の廃棄物を使って、エネルギーを自給するとまでは言わないものの、ある程度は発電するなり熱として使っていく努力を払うのが、消費地であるところの神奈川県や東京都の責務であろうと思っている。なのでそれを国土計画、特に首都圏広域地方計画にはぜひ盛り込むべきという風に思っているが、今言っていただいた事例はその先行事例にもなるだろうから、頑張っていただきたい。
 それでは、いくつか今後に向けての注意すべき点や文言の修正事項もあったが、河川及び下水道の事業について、継続ということでよいか。
(異議なし)
委:特にご異議が無さそうなので、以上5件とも継続ということにする。

(以上)

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