審議結果(県土整備局・R元第2回委員会)

掲載日:2019年10月23日
様式3

審議(会議)結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 令和元年度第2回神奈川県県土整備局公共事業評価委員会
開催日時 令和元年8月22日(木曜日)14時30分から17時00分まで
開催場所

神奈川県庁新庁舎12階 県土整備局大会議室

出席者

家田 仁(委員長)

中村 英夫(副委員長)

稲垣 景子

高橋 泰成

田邉 勝巳

中村 幸人

次回開催予定日 令和元年8月27日(火曜日)13時30分から17時00分まで
所属名、担当者名

県土整備局総務室 山本、荒井
電話番号 045-210-6019

掲載形式 審議経過

議事概要とした理由

 
会議資料

 ・二級河川 引地川(上流) 河川改修事業(PDF:1,835KB)

 ・二級河川 境川(上流) 河川改修事業(PDF:1,599KB)

 ・二級河川 境川(相模原) 河川改修事業(PDF:1,523KB)

 ・二の足沢 砂防事業(PDF:5,489KB)

 ・カヤの木沢 砂防事業(PDF:2,442KB)

審議経過

(委:委員発言内容、事:事務局・事業課発言内容)
[6番 二級河川 引地川(上流) 河川改修事業]
[9番 二級河川 境川(上流) 河川改修事業]
[10番 二級河川 境川(相模原) 河川改修事業]
<事業担当課から事業内容の説明>
委:6番の案件の桜の伐採について、片側の護岸を整備するときには、全部伐採してしまうのか。それともある程度分断して整備するのか。その辺の工事方法を教えていただきたい。
事:資料の23ページをお開きいただきたい。5「事業実施にあたって配慮した項目」のところに施工順序のイメージを書いている。桜の数は、全数で大体400本である。地元の方だけではなくて、小田急に乗って来れるような桜の名所になっていて、その時期は物すごくにぎわう。
施工順序については、「施工順序イメージ」に書いてある順番で行う。工事を実施する区間については、伐採しないと護岸が施工できないので、基本的には伐採する。伐採した後、理想的には、すぐその場で植栽していくことになる。
25ページの事業スケジュールを見ていただくとわかるが、かなり年数がかかる事業スケジュールになっている。これだけの事業スケジュールがかかっている間に、一番最初に植栽した桜がかなり成長する。一度に全部を伐採すると、桜の名所が完全になくなってしまうが、片岸ずつ施工することで、ほかの箇所をやっているうちに、植えた桜が育っていく。
治水効果としては、先行で河道を広げていくので、下流から少しずつ治水安全度が上がっていく。このような施工順序を考えて、地元と十分に話し合った結果、地元も、やはり治水も桜も大切なので、こういうやり方だったらいいだろうという話をいただいて、事業を実施するということになった。
委:川縁から5~6mの幅があり、桜の下を歩いていけるような形状になっているが、河川を拡幅するので、桜を植える空間と歩く空間は、完成後はどんなイメージになるのか。
事:23ページをごらんいただきたい。右側の標準断面図の赤い部分が完成のイメージである。ご指摘のとおり、歩くスペースに関しては少し減る。その分、セットバックするかというと、後ろには両側とも道路があって、その後ろは完全に住宅地なので、そこを拡幅していくことは、治水事業の中ではなかなか難しい。
委:今の引地川だが、事業スケジュールが長いと感じた。桜の話は、工期がかかってしまうことの1つの理由にはなると思う。もう1点、橋梁架替工だが、7~8橋の橋が架かっている。橋の架け替えを一気に全部やると、道路が通れなくなるので、そういうのも工期設定の理由になっているのか。
事:橋を架けなくてはいけない理由は、川幅が広がることで河川が原因のため、河川の事業費で架け替えをするということである。そのため、河川改修が進んでいって、その必要が生じたときに、順番で架けていくことになる。先に架けてしまって、後から護岸をつくるということは、余りしない。
委:二十何年かかってしまうというところは、桜の扱いについて地元と結構長い間協議をした結果として、こういう進め方でいけば桜の問題と治水の問題がクリアできるということか。
事:実際は橋梁の架け替えにお金も時間もかかるので、単なる護岸整備以上に時間はかかる。その辺の兼ね合いで今の事業計画になっている。
委:仮に桜の話がなかった場合、工期がどれぐらい短くなる可能性があったのか。
事:今この場で一概に何年短くなるというお話はなかなか難しいが、桜がなければ、あとは、事業費や、人の制約次第になる。
委:感覚で言うと、桜もさることながら、次の事業もそうだけど、これは工学的なところの制約より、予算ではないのか。
事:予算の制約が一番大きいかなというのはある。
委:予算の制約となると、計画について見直す必要があるかどうかというところとは別の話になるということか。
事:そうである。そこは少し別の話である。県内で整備しなければいけない河川がたくさんあり、横並びの問題もある。こちらを集中投資するときは、あちらが遅くなるというのもあるので、なかなか一概には言えない。
委:今後も事業しなければいけないこのクラスの川が何本あると思ったらよいか。
事:私どもは今かながわセイフティリバーといって、都市河川重点整備計画を持っている。それは優先的に整備する河川で、大河川を除いているが、中小河川だけで18河川、集中投資をしているというような状況である。
委:整備しなければいけないところを全部着手しているわけではないんでしょう。
事:河川ごとの考え方では、18河川全部着手している。終わった河川もある。
委:そうすると、10年から20年というオーダーで、現在目標にしている10分の1の超過確率クリアというのが大体できると思ってよいか。
事:都市河川重点整備計画のほかに、河川法に基づく河川整備計画というのもつくっている。河川整備計画の中の目標の年数というのを、大体20年から30年でつくることになっているが、先ほどの予算の問題になるので、なかなか難しい。
10分の1もそうだが、もともと50mm計画というのも河川の計画の中で暫定である。手戻りのない範囲で、まずは50mmでつくろうというふうに動き出したのが昭和50年代である。そのときは10年でやると言っているが、それがまだ追いついてないという状況である。
委:もし桜がなければ、もう少し効率よく工事できるのかなどと思ったりするが、いかがか。
事:それはそのとおり。先ほど資料の説明でもあったが、桜を切る計画は平成6年とか7年に提示している。そのため、桜のことで一番時間がかかったのは、着手までの時間である。
委:相談しているところで時間がかかっている。
事:そこで一番時間がかってしまった。
委:その辺も書いておいたほうがいいと思う。
委:当初、平成6年ぐらいに提案したときは、桜はばっさり切るというような計画で、もっと事業費が安かったということか。
事:当時と今との価格の差はあるとは思うが、事業費的にはそれほど変わらないのではないか。
委:最初から片岸ずつ順番にやっていこうということだったのか。
事:それはないと思う。全部伐採するというふうに覚悟を決めれば、通常の河川改修は下流から行う。
委:それによって事業費はそれほどふえていないし、事業年度もそんなにふえていないだろうということか。
事:事業年度は多分延ばすことはあると思う。そこを例えば5年間でやってしまうというと、このストーリーは成立しない。
委:B/CのBには何が入っているのか。今回の桜の案件は、このBとかCにどういうふうに影響しているのか。
事:今、河川事業で、便益を与える、貨幣価値に換算するものというのは、浸水したときにどの程度の被害が出るかということを貨幣価値換算しているものである。
河川事業はいろいろ効果があって、例えば環境がよくなるとか、桜が保全されるとかいう話はあるが、資料に書かせていただいている24ページの下の②「事業の投資効果等」の中の総便益31.4億円の中に入っているのは、浸水被害に関するものである。
具体的に言うと、24ページの下のほうに、整備前、整備後の図面を入れているが、黄色く塗っているところが浸水域である。この部分が浸水するので、この部分の被害が幾らになるかということである。そのときの被害額を出して、それをもとに算出したのが総便益と言われているものである。
しかし、間接的な効果、例えばライフラインが途絶えたときに間接的に被害を受ける人たちに対する便益とかはその中には含まれていない。
委:24ページの黄色くなっているエリアで見ると、沿川が水浸しになっているわけではないから、B/Cは割と小さ目に出ている。
事:そのため、ここでは1.2しか出ない。
事:治水の貨幣価値換算というのは難しいと感じる。
委:同感だ。特に家屋とか市街地に対して非常に大きく出るようなものになっている。
事:その辺は現状の技術的限界なのかもしれないが、貨幣価値換算にならないものについてもしっかり見せていきたいと考えている。
委:まさしくB/Cは数字がひとり歩きするので、数字だけで判断してはいけない内容について議論するのがこういう場だと思うので、その点に関してはそのとおりだと思う。
単純にB/Cが1.2の案件が、先ほど集中投資をする18河川の重要な順の案件になってしまっているのはなぜか。
事:18というのは河川の数であり、引地川の事業は、ここのほかに、今もう少し下流で集中投資している遊水地事業がある。そちらのほうがB/Cは大きい。
事業区間のとり方で下流も含めてとっておけば、B/Cはここだけより大きくなる。
ただ、下から全部やるかといったら、事業評価委員会でやるよりも、かなりの年数がかかるものになるので、ある程度事業評価委員会でご審議いただけるところで区切ろうということで、今回の1.3kmぐらいの区間に区切らせていただいている。
委:今のお答えに関連して、こういうのも出していただけるといいなということで言うと、参考資料として、川のずっと上から下の図があって、こちら側の堤防は、ここまでできていて、ここはできていないというのがわかる資料があるとよい。
事:用意する。
委:要は、10分の1の計画で今やっている。一方では、集中豪雨もふえ、被害の激甚化の中では、これでいいのかという議論もいろいろある。しかし、財政的に苦しい中で、一生懸命やっている。県民の皆さんには、この川について、まだこの程度までしかできていないけど、今ここを頑張ってやっているということを示すのが非常に重要である。
個々のプロジェクトのB/Cが高い、低いというのは大した話ではなくて、ここまでやってきたことと、これからやろうとしていることのうちで、今ここをやっているということを、ここにいる委員の方々や県民に理解していただくための参考資料として考えていただきたい。
事:22ページの左側に「評価対象事業の概要」があり、引地川の最上流部が今回の評価対象区間で、引地川は下流から全部でき上がりつつある。今、神奈川県が一番大きな事業として行っているのが、この評価対象区間の下流部にある遊水地を整備していて、そこが令和2年度の完成を予定している。そこが完成したら、その遊水地と今回の評価対象区間の間にある一部河道拡幅等が残るが、そこを残しておおむねでき上がる。
委:引地川はそうだろうし、境川は、9番と10番、2個出ている。それが連続しているわけではない。したがって、その中間はどうなっているのか。それより下流はどうなっているのか。上流ではどうか。そういう全体像と現状が見えるようにしたらどうか。そういうものを見せるほうが、B/Cの数字よりもずっと説得力がある。
事:工夫させていただく。
委:自然環境への負荷についてお聞きしたい。対象事業10番の40ページの左側に1947年撮影の境川の古い写真があって、自然堤防に沿って集落があり、主に畑や水田として利用されている。水田のあたりにほとんど家屋がないのは、雨が降ったときに水が入りやすいということで、洪水への対応として河川改修を行って、土地の有効利用をしてきたのか。
それに伴って、特に河川の自然環境が損なわれてきたと考えている。41ページに写真が載っているが、土手の緩やかな斜面、こういったところが、唯一の植生、あるいは自然環境として、ほかの動物も含めて、残り得た場所だったのかなと思う。ただ、今回の事業計画を見ていると、土手を取り払って、ほぼ垂直に河川改修を行ってしまうことによって、自然環境というのはほとんど損なわれてしまうので、これは問題ではあるが、都市河川だから仕方がないのかなと思う。
ただ、自然環境への配慮として、今度は25ページの右側を見ていただきたいが、「神明橋上流」という写真が載っており、ここでは河道内の新たな自然環境ができ上がっていって、いろいろな生物がすむ場所にもなっている。全部河道にしてしまった場合に、河道内にこういう人工物をつくって、生物の多様性を保全するとか、そういった配慮というのは、意識してやられているのか。
事:今、河川事業を実施している者として、河川の環境、特に今おっしゃられた生物の生育環境、生息環境をよくしていこうという意思は持っている。
多自然型川づくりという指針があり、今おっしゃられたような瀬・淵をつくるとか、コンクリートブロックだけではなくて、石とかを使って、空隙もきちんとつくってあげるというようなことをしっかり進めている。
今回お示ししたこの2つの河川については、大変心苦しいが、治水を優先している。現状の河川施設の中で、治水としての機能を最大限持てるような形をつくっているのがここの2河川である。
ただ、それも場所による。今進めている境川は特に川幅の狭いところでやっているので、やむを得ず直壁にして前に進むということをやっているが、場所によってはしっかり緩傾斜護岸をつくって、親水的な拠点をつくったり、遊水地をたくさんつくっている。遊水地の中でビオトープをつくったり、そういうことは河川管理者としてはしっかり努力を続けている。
委:私は、自然環境をなるべく維持していきたいという取り組みは評価している。その中で、境川は多分ぎりぎりのところでの選択と理解している。ただ、25ページの写真で、川の真ん中に堆積物があるというのは、新たな生物が定着できる場となるが、これはたまたまの写真なのか。
事:ここはたまたまと思っていただきたい。全く逆の話になってしまうが、今我々が進めているのは、こういう堆積土を撤去することも積極的にやっている。それは堆積土が治水上問題になっており、今あるストックを最大限に活用するために撤去する方向である。だから、河川環境への配慮というのは当然やるが、それとは別に、過剰な堆積土は撤去していくという方向で進めているところもある。
例えば引地川なら引地川、境川なら境川で環境に配慮している場所と治水を優先に考えている場所がわかるようなマップがあるとよい。
委:緑というキーワードでやったときには、こういう絵になることもお見せになると、ここは治水に集中投下させてもらいたいというのも説得力がふえる。
事:先ほどお話が出た中全体像に落とし込んで、お示ししたいと思う。
委:それをお願いしたい。
私からは、さっき言った全体像を見せるというのが1つリクエストで、もう1つは質問だが、36ページを見てもらうと、事業前と後で浸水域がこういうふうに変わるということで、これは確かにB/Cが大きくなるよなというような絵になっている。
次に、24ページを見ると、浸水域は福田小学校の上流の左岸側で黄色くなっている。この浸水域の小学校付近が一番心配なエリアだとすると、基本は下流側から整備するというのはよくわかるが、福田小学校付近を一刻も早く守るという意味からすると、下流からやるのがベストなのかどうかよくわからなかった。
事:やはり、原則どおり、下流からである。下流をやらないと結局、川幅が広がったとしても、水位が下がらないので、あふれるということになる。浸水域というのは、基本的に地形に影響されているところが多い。ここで浸水域が余り出なくて、さっきの境川で出るというのは、全体的にこちらのほうが地盤自体が高い。下流からやっていくのが一番効果が出る。
委:仮に小学校付近のところで護岸をやってみても、を整備しなければ、下からあふれてくると。
事:どこからあふれるかというのは高さによるが、全体的に水位が下がらない。下流からやると、下流の水位が下がる。川の水というのは必ず下流の水位に影響を受ける。
委:では、1件ずつ審議する。
6番の「二級河川 引地川(上流) 河川改修事業」については、継続か継続しないかというところで、ご意見があれば、お願いしたい。
事務局案は継続だが、それでよろしいか。
<原案どおりとして各委員了承>
引き続き地元と仲よくやりながら、できる限り桜の名所性を維持し、あるいは増進できるようなことをお考えいただけたらと思う。
では、9番の「二級河川 境川(上流) 河川改修事業」についてはいかがか。
<原案どおりとして各委員了承>
では、10番の「二級河川 境川(相模原) 河川改修事業」についてはいかがか。
<原案どおりとして各委員了承>
3件まとめてのところで出た議論で、環境配慮とか、施工期間が随分長くなっている。全体の予算との絡みがあるのはわかるが、河川改修の重要性を県民にアピールするためにも、全体像が見えるような工夫を今後もしていただくということを附帯の意見にしておきたいと思う。
[15番 二の足沢 砂防事業]
[16番 カヤの木沢 砂防事業]
<事業担当課から事業内容の説明>
委:事業自体、何の問題もないと思うが、15番と16番でB/Cの再評価時と事後評価時を比べると、15番のほうはほとんど変化しておらず、16番のほうは便益も費用も大きく変化している。
費用対効果の要因の変化で、マニュアルが変わったからという説明だけで、便益の何がどういう要因で変化したのかとか、費用がどういう要因で変化したのか。例えば費用がマニュアルによって影響を受けたのか。それとも今回、県の努力でコストを削減したのかという要因変化の説明が、余り有益な情報を与えていないような感じがしたが、その辺を説明していただけるか。
事:まず、二の足沢のほうだが、B/Cが1.30から1.32になり、ほとんど変わっていない。その要因が16ページの①「費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化」の中で、まずマニュアルが変わったことと、最後の「資産評価単価、デフレータ、人家戸数等の変化」というところで、人家戸数が減ったことで、こちらは余り上がらないというのが1つの要因である。
委:便益が上がらない理由が人家だということか。
事:そうである。カヤの木沢は、基本的にその辺の要因の変化が余りないので、マニュアルに沿って計上項目がふえたことで、上がっていくようなイメージである。
委:そのマニュアルで、例えば応急対策費用を計上したことによって、費用が大きくなるというように読めるが。
事:便益が大きくなる。
委:15番のほうは、費用はほとんど変化していないので、読み手としては混乱してしまった。どんな要因が便益と費用にプラスとマイナスの影響を与えたのかというのを、もう少し整理していただくと読みやすい。
委:これだけではわからない。どちらも費用がふえるはずだと言っているのに、片方は全然ふえてない。どういうことか。
事:先ほどが便益の話で、費用のほうは再評価時に考えていた費用よりも、実際、事業が終わった段階で、単純にかかった費用で比較したときに、大分安くなった。
委:なぜか。
事:再評価時には施設の設計の金額を、5億円程度見ていたが、それが下がった原因としては、再評価時は計画の見直しを行っている段階で、もともと堰堤を3基つくる予定だったのが、2基にする計画の見直しをしている段階であった。そこで設計の細かい費用の精査がまだできていなくて、5億円ぐらいで積んでいたものが、設計精査され、最終的には事業費が削減された。
委:そういうようなところをもう少し細かく書いていただきたい。
委:事後評価こそ皆さんが仕事をしたあかしである。苦労したところも、工夫したところも、あるいは自分たちの要因とは全く別のところで社会情勢が変わって、結果が変わってしまうというようなことも込みにして報告するのがこれである。
委:「対応方針(案)」について、「従って事後評価を再度行う必要はない」としているが、極端に言うと、これを言いたいがために、レポートをつくっているつもりでしょう。
これは通信簿ではないから。自分たちの仕事がいかに苦労したか。しかし、いい結果を生み出している。いわばそれを皆さんに知ってもらうためのレポートだから、「従って事後評価を再度行う必要はない」を言うために、一応形式的にそろっていればいいというふうにはお考えにならないほうがいい。
事:基本的には苦労したところ透過型にしたり、生物が生息できるような形で、結果を出しているつもりではあった。
委:そこのところの基本スタンスは変えてもらわなければいけない。日本中にあるほとんどのレポートはこういう書き方している。だけど、若干ながら、私どもが関与しているところは、書き方を変えている。
特段の事後評価を再度行う必要は当面考えられないが、継続してこのプロジェクトがどういうふうな効果を発揮し、あるいはさらに改善していくためのことが必要か、継続して見守っていきたいとか、書きたくなる。その辺のセンスが出る。通信簿をつけているつもりにならないように。
事:委員が事後評価は宝の山だというお話をされているので、その部分については意識をしながらやってきたつもりではあるが、それが感じ取れないような形になってしまった。
委:今度はうまく感じさせていただきましょう。今の委員の質問には正確に答え切れてない。これは事後評価であるから、継続するかしないかという問題ではない。これは県のやっている仕事だから、最終的に公開レポートにしなければいけない。それに向けて、今日いろいろ意見をいただくようなことを踏まえて、改善していただきたい。
事業に当たっては、生物の生息環境に十分配慮しているということで、例えば整備後に生物のモニタリング調査などを実施しているのかどうか。例えば15番の二の足沢は、整備することによって、堆砂敷というのが広がって、表面水が全部消えて伏流水になってしまった場合に、表面水を利用しているような水生生物の移動は難しくなるのではないかと思うが、そのあたりはどうなのか。
もう1つは、16番で教えてもらえるとうれしいが、「貴重な動物」というのがたくさん出てくるのは、具体的な名前は何か。
事:16番は、オオタカの営巣地が近くにあり、堰堤の計画位置と、営巣地との距離が短かったので、検討会でそこを見直して、堰堤を4基から2基に変えた。基本的には、営巣地まで200mぐらい離れていれば影響はないという結果が出た。オオタカについては、工事中や事後のモニタリングを実施している。
事:15番は、動植物のモニタリングはしてないが、透過型にすることによって、上下で動物の行き来ができるので、その部分での環境に配慮した。
委:生物の移動が可能であるという説明があったが、例えば砂が堆積した場合、水がみんな伏流してしまうと、いわゆる水を利用している魚類とか、そういう生物にとっては多分遮断されてしまう。
事:15番は、透過型の砂防堰堤にしているので、通常の砂は下流側に流れる。16番は、砂防堰堤を透過型にしていないので、そこについては土砂が堆積し、たまったところの上から伏流水が出ていくようなイメージになる。そこは少し違いがあるが、今は大体透過型であり、移動できるような形にしている。
委:15ページの右側の一番上の平面図で、堆砂敷というのはダムの堰堤の下のほうにできるんだよね。
事:この下のところの横になっているのが、透過型のスリットで、ここが通れるようになっている。ここはコンクリートで埋めているわけではなくて、スリットで通れるようになっている。
委:だけど、それが図でわかりにくい。
事:真ん中のところがスリットになって、行き来できる。
委:カヤの木沢は、透過式はやらないのか。
事:カヤの木沢は、平成16年度に土石流が来たということで、下流側が水路みたいな形になっていて、水路閉塞をしてしまった。そのため、さすがにここの部分に土を通すことができなくて、不透過型としている。
委:そういうことも書いておいたほうがいい。それも工夫の1つである。
委:私も「貴重な動物」と書いてあったのが、今のお話を聞いて、オオタカだと、営巣しているときは、工事時期も余り音を出してはいけないとか、そういうので、工期も工夫しなければいけないのではないかと思う。その辺でせっかくいろいろ配慮されているのが、19ページの下の「事業実施にあたって配慮した事項」でさらりと書いているので、その辺をもう少し詳しく書かれたほうがいいと思う。
事:検討会で、営巣地帯から200m離れれば大丈夫だろうという結果をいただいたので、工事の音については余り配慮しなかった。
委:それで若干位置を変えたということか。
事:はい、そうである。
委:そもそもここに動物がいて、この位置を変えたこととどういうつながりがあるのかなというのが見えていなかったので、その辺がせっかく配慮した結果であれば、もう少しわかるように書かれたほうがいいと思う。
委:こういったインフラ、特に防災のインフラとか、一般の方々にはわかりづらいところもあるので、いろいろな機会を通じてPRをしたり、現地に説明の看板を置いたり、そういったものが、ここ10年ぐらいでふえてきているような気がする。この2つの事業も「防災」というところに、「PRの場及び防災教育の場として活用する」といったことも書かれている。
15番のほうに写真が出ていて、堰堤の上に乗っかれるようなフェンスを張っているように見受けられた。どちらかというと、16番のほうが、人家も近くて、人の里に近そうな気がするが、看板を設置するのか。そこまではやらないか。
事:おっしゃるとおりだが、やっていない。これからはそういう形で、しっかりとPRするような形を整えていきたいと思う。
通常、砂防堰堤をつくるときに、仮設の道路をつくるのがひと仕事になっていて、かなり上まで行かないといけない。普通の人が入れないような奥まったところだが、ここについては入れるし、16番のところも町道からも入れるので、そういうところはしっかりと見ていただける場所ではあるが、PRについては不足しているので、しっかりとやりたいと思う。
委:ここだけではないと思うので、たまたまどこかでということがあれば、それはそれでいいと思うし、防災の見学の遠足なり、ツアーで通るという形もあると思う。看板がないこと自体は、別に致命傷という意味で言っているわけではないが、せっかくなのでそういう意識を持たれて、教育のほうとタイアップするとか、そういう視点を継続して持たれることは大事かなと思うので、よろしくお願いしたいというのが1つである。
もう1個、「上記便益に算定されていない効果」に、「防災」、「安全・安心・利便性」、「地域の活性化」というのがあるが、どういうメルクマールで分けているのかよくわからない。防災も安全・安心も同じといえば同じであるし、利便性はこの中には余り書かれていない。多分、河川とか、ほかの事業と並びで合わせているのでしょうけれども、もしできるのであれば、名は体をあらわすようないい説明のタイトルにされたほうがいいかもしれない。ご検討いただけたらありがたいと思う。
委:今のところに関連して、無理して書き過ぎることはないと思う。本当に副次的に、あるいはサイドエフェクトとして出ているようなものは、書きたいものは書けばいいが、これは結構無理している。ここが県民に伝えるためのPRの場に使える。それはそうだろうけど、実際にPRをやったのか。見学会をやったのか。
無理して書き過ぎないでいいと思う。やはり砂防とか防災というのは、極めて重要だからね。何も道楽でつくっているわけではないんだから。そこのメインエフェクトのところで、工夫とか、悩みとか、苦労とかも全部がっちりと書いて、何かよくよく聞くと、怪しいような感じのものは、無理して書かない。
委:私も資料を拝見していて少し気になったのが同じ場所で、「上記便益に算定されていない効果」の順番というのは、この順でないといけないか。
委:そんなことはないよね。
委:県民への理解を得るというところが、恐らく相当重要とは思うが、防災的立場からすると、どれだけ安全になったのかということが、B/Cの計算の中に入ってないのであれば、ここに文章をきちんと書くことを優先されてもいいのかなと思う。
それと、ウ)「地域の活性化」の中に、ハイキングで利用してくれる人が堰堤を見ることで、防災のことを考えることにもつながるでしょうし、ア)とウ)に書かれていることが結構近いのかなという気もしたので、順番としては、ア)とイ)が逆でもいいかなと思う。それは15番、16番、両方とも同じだが、PRをそこまで載せなくてもいいかなと思う。
委:PRだったら、サイドエフェクトで書くより、「今後の取組み」とか、そういうところに書いたほうがいい。
委:そうかもしれない。あえて控えてみるみたいなほうが、何となく受けとめやすいかなという気はした。
委:ダムが人気でカードになったり、インターチェンジのマニアが出てきたりするから、砂防堰堤マニアだって出るかもしれない。何が起こるかわからないけども、私は山も好きだから、そこら方々を歩くが、砂防堰堤なんて、そこら方々にある。いっぱいあるから、ハイキングに行った人が、新しくできた砂防堰堤を見て、防災は大事だなと思う人はまずいないと思う。
委:そういうことで、PRよりも、実際この堰堤が機能すると、日常とはちょっと違う場面ではあるが、どれだけ効果が得られるかということこそ押すべきと思う。
あとは、この地域には温泉もあるということなので、1湯といえば1湯かもしれないが、地域の資源と考えると、そういうものも守られるということも、もしかすると大きな効果なのかもしれないと思ったので、そのあたりをもう一度ご検討いただきたい。
委:まず1つは、両方に共通するが、土砂災害の警戒区域の指定行為とこの事業はどういう関係になっているかがわからなかった。
事:土砂災害は土砂法に基づいて、土砂災害警戒区域を指定しているので、この事業とのリンクは特にはないが、イエロー指定されている。
委:そこのところを書いたほうがいいと思う。だからこそやるんだよね。
つまり、ソフトとしての施策があっちの法律で、それに伴って、今度は、連動はしてないが、それと関係しながら、こういうハード事業をやっているということだから、重なる話だと思う。それが1つ。
それから次も単純な質問だが、14ページの二の足沢について、これは二の足を踏むということか。やはり怖い沢なのかもしれない。これで聞こうと思うのは、右上の事業地周辺図で、この堰堤の上流に7基の砂防堰堤が既にあるんだよね。
事:はい。
委:その下流側に1個つくる。そのまた下流側には、既にもう1個あるという理解でよいか。
事:はい。
委:そうすると、いろいろ計算している費用や便益というのは、全体ではなくて、1基分の費用と、この1基を追加的につくることによって、さらに追加的な安全を計算しなければいけないはずだけど、そこはどうなっているのかがよくわからない。つまり、この1基を足すことによって、どれほどの効果が上がったのか。多分そう計算しているはずだけど、わからない。逆に言えば、この1基だけを独立してB/Cを計算する意味がどこにあるのかとも思う。
つまり、これは9基のセットであって、セットになって初めて効果を発揮するという文脈で言えば、最後の1基のところができ上がったので、全部でき上がって、それで完成形としてこうなった、こんなに効果を上げているということを言っているようにも見えるし、それなら全部費用を入れなければいけない。そこがわからない。
3番目は、両方に余り明確に入ってないが、要するに、事後評価はレッスンが大事である。よかったレッスン、苦渋のレッスン、次にこういうことがあるんだったら、こういうふうに取り組まないとまずかったなという反省のレッスン。レッスンをよきも悪きもまとめていただくというのが、事後評価の最大の目的だと思っている。そういう意味で、二の足沢で言うと、着工までに時間がかかったという話であった。そこのところに関する事情の説明と、それに関するレッスンが欲しい。
それから2つ目で言うと、これは検討委員会がやって、貴重な動物あるいは地下水に関するいろいろな工夫なり、地元との相談の内容である。そういうこととか、ぜひレッスンをまとめるというのを風習にしてはいかがかなと思う。
次は、さっき言ったが、無理して当たり前のことを書くことはない。
次は、「事業の効果の発現状況」を書くところがあるが、これについては、道路事業のように、基本的には直ちに効果が発揮されて、交通量がこのくらいになって、なるほど、便利になったね。5~6年もすれば新しい工場ができてきてなんということを書きやすいところもあるけれども、防災事業というのは、そんな生易しいものではなくて、5年や10年で事業の効果が発揮するかもしれないし、ちっともしないかもしれない。幸運にも災害が来なくて、効果が見えないかもれしないけど、その場合は、潜在的な安全度が上がったということになる。
つまり、「発現状況」というのは、いかにもこういうフォーマットをつくったのは、どちらかというと、道路っぽいところでつくっている。だから、防災の人たちは、この書きぶりをもう少し変えていいと思う。「完成後、幸いにもまだ大きな雨が降っていないので、顕在的に効果が確認されたわけではないが、潜在的にはこれだけの安全度が向上されている」と。加えて、例えば完成後2年目には、想定されている雨量に準ずるこれだけの雨が降ったけども、何も起こってないとか。だけど、砂防堰堤の上流側ではそこここで崩壊が起こったようであるとか、もう少し色気のあることが書けるでしょう。そういうふうにやりましょう。②がやはり非常に重要である。この事業の効果というのが、B/Cが幾つになったということ以上に、現象が実際にわかっているから、それを書くということをやっていただきたい。
次は、社会情勢の変化ということを書くところがあるが、これは書いている人の意図がわからない。人口が減ったとか、観光客が減ったとか、何が言いたいのか。だから砂防と何の関係があるのか。
例えば人口が減って、下流に4軒の家があったというけど、実は全部引っ越してしまったといったら、つくるまでもなかったということを言いたいのか。そうではないんでしょう。そうではないのだったら、ある種の書き手のストーリーというものを意識してここを書いていただかないと、頭が混乱する。
それから、20ページの貴重な生物云々のところで、最後に「活かせる事項」と書いてあるのはいいが、事前にそういう要望があったわけだよね。先ほど口頭でご説明があったが、事業完了後は、町や地元からのさらなる要望はないといって、要望がないことを喜んでいるようではだめだと思う。期待もされていないということと一緒だから。むしろ事前には、地元の要望としてぜひ安全にしてほしい。でも、こんなことにも配慮しながらやってほしいということを言われたわけでしょう。それをちゃんと書いて、事後は、加えての要望はないけども、例えば貴重な動物の状況云々については、その後も定期的なパトロールの際にチェックして、問題のないことを確認しているとか、ここも相当書ける。だから、日ごろやっていることをにじませたほうがいいのではないかと思う。
以上、少々長くなったが、前のほうについて質問、特に一番わからなかったのは、14ページの、砂防堰堤がたくさんある中の1つとしてつくっている追加投資に対する追加便益の評価をやっているのか、そうではないのかがわからない。
事:やり方としては、全体ではなく、追加分を出している。
委:追加分のところの便益を出せるのか。
事:捕捉の土砂量を掛けるという出し方をしている。
委:それで案分している。
事:それは明らかにおかしいのだが、手法としては、神奈川県の複数あるものは、全体でやると、期間も長いので、1基分を確保するとき、まさかそれのウィズやウィズアウトをわざわざ出せないので、それぞれ全体計画の中の捕捉土砂量の案分比で便益を出している。
委:そこにエンジニアリング的にどうかと思う。そうしたら、それを正直に、例えば今後の「活かせる事項」というのはそういうことも書くべき。評価手法についてのあり方で、今のやり方はこういう事情からこういう便宜的な方法をやっているけれども、本来であれば云々であるとか、そこにさらに検討の余地があるとか、そういうところから次に発展するから、そこでよしとしてしまわないでいただきたいと思う。
それでは、今日のところは、この2件はレポートの範囲においてはわかったということで、ぜひレポートを充実していただいて、特に審議というよりは報告でいいと思うが、適当な時期にまた見せていただくことにする。
<各委員了解>
委:事後評価は、非常に重要な宝の山である。それは行政にとっても宝の山だし、県民にとっても宝の山だと思うので、なるべく充実する方向でお願いしたいと思う。状況が許されれば、それを使って、皆さんがインフラの仕事の重要性なり、苦労のポイントなりを、県民あるいは議員さんも含めて、いろいろ理解してもらうときの一番の糧になるのが事後評価だと思うので、何らかの方法で、より適切にそれがストック化されていくようなことをお考えになるのを、また私としても要望したいと思う。

(以上)

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