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更新日:2023年12月27日

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平成18年度第1回 神奈川県福祉の街づくり推進協議会(議事録)

福祉のまちづくり推進協議会の平成18年度第1回会議議事録です

 
  1. 日時:平成18年6月12日(月曜日) 14時~16時
  2. 場所:神奈川県中央農業会館 講堂
  3. 出席委員:26名(左記のうち代理出席3名)
    高橋(儀平)委員、山田委員、木村委員、二宮委員、小久保委員、大道委員、小宮山委員、沖津委員、瀬戸委員、角野委員、藤本委員、三杉委員、佐藤委員、高橋(正人)委員、牧野委員、東委員(代理)、田崎委員、横林委員、浜本委員、山本委員、間中委員、齊藤委員、加藤委員、増田委員(代理)、河原委員(代理)、木島委員
  4. 議題等
    • 議題1 協議会の運営について
      1. 各委員の自己紹介
      2. 会長・副会長の選任
      3. 福祉の街づくり推進協議会の概要
    • 議題2 福祉の街づくり条例の運用状況と課題
    • 議題3 福祉のまちづくり事業体系について
    • 議題4 最近のまちづくりをめぐる動向
    • 情報交換
    • その他
  5. 資料
    • 資料1-1 神奈川県福祉の街づくり推進協議会の概要
    • 資料2-1 神奈川県福祉の街づくり条例の概要
    • 資料2-2 神奈川県福祉の街づくり条例の運用状況
    • 資料2-3 平成17年度事前協議の傾向と今後の課題
    • 資料3-1 平成18年度福祉のまちづくり推進事業体系図
    • 資料3-2 平成18年度福祉のまちづくり推進組織図
    • 資料3-3 福祉のまちづくり普及・啓発事業
    • 参考資料 かながわ夢タウンニュース 19号
      • 「だれにもやさしく快適なまち」ってどんなまち?
      • だれもが住み良い街づくり
  6. 決定事項 協議会会長等選任: 会長 高橋儀平 副会長 藤本圭佑
  7. 記録
    (1)あいさつ 加藤部長(神奈川県保健福祉部長) 略
    (2)議事

議題1 協議会の運営について

委員紹介(事務局紹介) 略

会長・副会長の選任 略

(高橋会長)
ただ今皆様からご推薦いただき、引き続き福祉の街づくり推進協議会の会長席に座わらせていただく。
これまで、先ほど部長のご挨拶にあったが、条例が施行されてちょうど10年ということである。第6期ということであるので、あっという間の10年だったのではないかと思うが、この間、神奈川県の福祉の街づくりにおいては、全国の様々な自治体と比較しても、かなり進んだ自治体の一つになっているのではないかと思う。街づくりの推進協議会ができて、条例が施行された直後から、様々な広報活動を、これも全国に先駆けて積極的に展開しているし、こういったようなところは首都圏でも私の目から見ると、かなりいい線いっているのではないかという感じがする。
ここ1、2年でも様々な法制度の動きがあるので、まだまだ新たな課題が山積しているわけであるが、またこの新しい第6期の皆様方とご一緒に、神奈川県の福祉の街づくりがさらにいっそう推進されていくことを願って、ご挨拶に代えさせていただく。よろしくお願いしたい。

(藤本副会長)
この協議会の運営に当たり、高橋会長の補佐役を勤めさせていただきたいと思っている。よろしくお願いしたい。

(高橋会長)
それでは、早速であるが、お手元の議事次第に沿って、これから議事を運営していきたい。2時間弱であるが、よろしくご協力をお願いしたい。
今回新たに委員)
になられた方もいるが、時間の関係もあるので、公募委員の方にお一言ずつ、抱負というと大げさだが、お気持ちなりをお聞かせいただければと思う。それ以外の方にももちろん新任の方はいるが、代表して4名の方に一言ずつお願いしたい。

(二宮委員)
私は、大山の麓にある伊勢原市というところで伊勢原自動車学校というのがあり、そこで教習指導員という仕事をしている。
近くに県のリハビリセンター、通称神奈リハがある関係から、障害を抱えた方がたくさん免許取得のためにうちへお見えになり、その方々を毎年何名かお手伝いさせていただいる。
来られる方の障害の程度は、車椅子でバスケットができる程度の方から、かなり重度の方までいるが、かなり重度の方だと、座席にマジックバンドで体を固定して教習ということもある。
その方々を大勢今までに手伝わせていただいて、この方たちが社会参加をする段階で、車の乗り降りに非常に難儀をされているのではないかと思う。自動車学校に来られたときでも、我々がお手伝いをしたり、施設の方がお手伝いをしたりして、乗り降りにかなり時間を要して教習を始める。終わってからもかなり時間を要して降りていただくということを何回も何回も繰り返している。
この方たちが社会参加されたときに、免許を取って表へ出ていかれて、どうされているのかと常々思っていた。
そのような環境の中で、今回、県のこの福祉の街づくりの推進協議会の委員の公募を知り、その辺のところでこの条例の普及と啓蒙に多少なりともお役に立てるかと思った。
また、私は福祉住環境コーディネーターという資格を取得しており、いろいろ考えていた。
その中でこの協議会の趣旨に沿って多少なりともお役に立てればということで今回応募させていただいた。

(小宮山委員)
私は、新しいタイプの法律家を目指して勉強中の大学生である。将来は地域社会にしっかり定着して、障害をもつ人やお年寄りを含めた市民の多様なニーズに応えられるホームドクター的な存在になれれば、と考えている。
実は、私自身も障害者である。私も含めて障害者の中には、自分の特性を生かして地域福祉の支え手でもありたい、と考えている人がたくさんいる。自由に安心して行動できる空間が連続的に確保できれば、より多くの自己実現が可能になる。活力のある、支えあう街づくりのために県はどのような施策を展開していくべきか、私も一緒に考えたく、今回の応募を思いついた。
昨年度、私は大学の行政インターンシップを利用して福祉行政の現場を体験し、その中で福祉の街づくりの現場も数多く見学し、各自治体の様々な計画のビジョンも勉強させていただいた。
これまでの固定観念にとらわれず、国際情勢も含めた広い視野での政策展開を期待したい。そして、私たち若い世代の視点や新しい時代を見据えた意見も、今後の議論の中に加えていただければ幸いである。

(小久保委員)
横浜に住んで約13年間である。公募の動機としては、約3年ほどに渡る両親の介護体験を通して福祉問題、特に高齢者の福祉問題に大きな関心を抱いたからである。
最近非常に感銘を受けたことがある。この4月に花見に近くの公園に出かけた折に、車椅子に乗られた約十数名のお年寄りに出会った。
桜の木の下で、皆さんが実に楽しそうににこにこしながら観覧をされている光景を見て、なんとすばらしいことかと思った。
その一方では、とてもてきぱきと立ち働いていた付き添いの若い方々がいて、おそらくこの方々はボランティアの方ではなかろうかと思うが、非常に思いやりのあるというか、あるいは慈愛に満ちた表情で対応されておられる姿がまことに印象的で、いたく感銘を覚えた次第である。
当たり前のように車椅子の方が花見ができて、気持ちのいい若者がそれをサポートするというような雰囲気が定着することが、実は福祉の街づくりの理想形かもしれないなと、自分に勝手に言い聞かせている。
本協議会は、私はほとんど素人であり、とんちんかんなことを言うかもしれないが、どうぞよろしくお願いしたい。

(大道委員)
私の応募の理由は、福祉の街づくりに心を吹き込みたいというものである。私は10年近く都内の設計事務所で集合住宅の設計に関わってきた。設計者として、人間の住空間とはどうあるべきか、人間の幸せの形はどうあるべきか、少ない人生経験の中で、私なりに真剣に考えながら携わっていたが、高齢化社会の流れの中で、法律が先行したバリアフリーマニュアルが重視されて、利用者像がとらえられないまま図面を書くことにとまどう日々が続いた。
そして4年前に、思い切って設計者としてだけではなく、自分自身のために、日頃から常々興味を持ち続けていた人間というものについてもっと深く学びたいと思い、社会福祉の専門学校に通い始めた。
社会福祉という世界で私が得たものは想像以上のものだった。
実習をした身体障害者施設や、日中アルバイトをしていた特別養護老人ホーム、そして昨年一年間社会福祉士として権利擁護の生活支援員として出会った人たちと同じ時間を共有して、一対一の人間同士の関わりを持ち、一緒に語り合ったり笑ったり、時には涙を流したり、身体に障害を持っていても決して不幸に陥ることなくとても生き生きとしている姿にふれる中で、私とは何も違わないのに、それなのに何故こんなにも生活に制限ができてしまっている人がいるのかという、とても不安な気持ちにさいなまれた。
私の感じたこの経験は、耳で人から聞いて分かることや、本を読んで分かることとは全く違う、私の体や心で感じて分かったことのように思う。
この経験をニュースで問題になっている東横インホテルの社長がもしできていたらとか、多くの企業主の方々や設計者たちが経験していたらと、ニュースを見ていて大変歯がゆく感じている。
そして、昨年私は神奈川県の福祉の街づくりのバリアフリーアドバイザーとして4日間講習をして、いろいろ温泉や店舗の方にバリアフリーチェックに出かけたが、そこでとてもショックを受けたのは、たった4日の講習はとても勉強になったが、それをすべて真に受けてしまって、バリアフリーとはこういうものだという、答は一つしかないような、人間はいろんな面を持っていて、いろんな人がいる中で、絶対答はこれという偏ったとらえ方をしている方々が何人かいたということもあったが、そういうようなこともたぶんひとえに私が身体で感じたようなことを一度もできずにここまできてしまった、この分離社会のあり方に大きな問題が残っているように感じている。
そんな心で感じることへの働きかけをできるだけ多くの人に体験してもらいたいという思いと、日々の生活や仕事で私自身もすぐに麻痺してしまって、人の気持ちが分からなくなってしまう、そういう私自身への心の働きかけとして、是非この福祉の街づくりで多くのことを感じ、刺激を得たいと思っている。
生意気なようだが、現在のスピード主義、優越主義の現代で、声の大きな方、話の上手な人が議論の中心になるのは当然のこととなっているが、この福祉の街づくりの議論の場だけは、人間同士という視点に立って、あらゆる人が参画できる場として、自分という小さな殻や、組織という偏った殻を破って、県民や、各界の専門家の方々、企業主の方々や公務員の方々が勇気を持って殻から出てきて、生身の人間となって意見を言い合える、とても貴重な場となり得るような気がして、とても期待している。
そして、もう10年ということで、そういう場になってきてもよいのではないかという希望を持っている。
また、強いて言えば、ゆくゆくは日頃言葉をうまく表現できない人や、障害を持ったりして言葉を飲み込んでしまっている人にもじっくり耳を傾けられる、ゆとりのある社会になってほしいという願いを込めて、この場に参加させていただきたいと思っている。

(高橋会長)
それでは、議事次第に戻り、議題1の(3)の福祉の街づくり推進協議会の概要について、事務局から説明をお願いしたい。

(事務局)
福祉の街づくり推進協議会の概要について説明させていただく。資料1-1をご覧いただきたい。
1の趣旨である。神奈川県福祉の街づくり条例第7条では、県、市町村、事業者及び県民が一体となって福祉の街づくりの実現を図るものとしている。
そこで、県では、平成8年の条例の施行にあわせて、県民、事業者、行政など、団体相互の理解を深めるとともに、協調して福祉のまちづくりを推進するために、この「福祉の街づくり推進協議会」を設置した。
2の構成だが、この協議会は名簿にもあるとおり障害者・高齢者団体、福祉関係団体、事業者団体、行政機関の代表及び学識者など40人で構成している。
3の設置だが、設置日は平成8年3月となっている。
4の協議事項については、(1) 福祉のまちづくりの推進のための施策に関する事項、(2) その他、福祉のまちづくりの推進のために必要な事項とあるが、今までにどのような内容を協議してきたのかが、5の主な活動内容に書かれている。
こちらの表は平成13年度第1回から平成17年度第2回の協議内容が書かれているが、全てを追って説明することが時間的に難しいので、簡単に説明させていただく。
全体的の見てみると、福祉のまちづくりに関する施策の推進のため、県の施策へのご意見、ご提言をいただくことを始めとして、当事者の皆様から日頃バリアと感じられている点や、逆に事業者側からの新たな取組の報告など、関係者間の合意形成、情報交換、協力要請といった幅広い意見交換を行っている。
具体的には、平成13年度第1回では、福祉の街づくり条例整備基準の改正にかかる合意形成。平成13年度第2回、平成14年度第1回では条例整備基準の普及啓発について、その他、当事者団体からの要望の検討、事業者からの新たな取組の報告、行政からの情報提供などを行っている。
6、会議の公開だが、平成14年度第1回協議会より会議録の公開を開始、平成15年度第2回協議会より会議の傍聴を認めることとなった。また、平成16年4月より協議会委員の公募(2名)を実施し、今年度からは4名に拡大して今まで以上に幅広い意見をいただきたいと思っている。
次のページにいって、神奈川県福祉の街づくり推進協議会の設置要綱があるが、協議事項、構成員、役員等について定めてある。それから次のページに協議会の会議録の公開に関する要綱があるが、第3条にあるとおり、会議の開催についてはホームページにより掲載している。また、第5条では、会議録についても県のホームページで掲載することとなっており、第5条の2では、委員の方の氏名を掲載し、会議の内容を要約したものを公開することとなっているので、ご了承いただきたいと思う。
続いて、会議の傍聴要領があるが、こちらの要領により、傍聴を認めているが、第2条では傍聴席は一般席と報道関係者席で分けるものとしている。そして、第7条では、写真、映画、テレビの撮影及び録画等の禁止を規定しているので、こちらについてもご理解いただきたいと思う。

(高橋会長)
今の全体の概要、あるいは要綱等について何かご質問があったらお願したい。
初めて見る方もいると思うし、私も改めて見ているが、会議録については、今、説明があったが、議事が終わった後に、事務局の方から郵送され、議事の確認をした後に公開というような形になるので、了承していただきたいと思う。
それでは議題2に移りたいと思う。福祉の街づくり条例の運用状況と課題というである。これについても、事務局から資料と合わせて説明いただきたい。

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(事務局)
まず、神奈川県福祉の街づくり条例の概要について説明させていただく。資料2-1をご覧いただきたい。
障害者や高齢者等が安心して生活し、自らの意思で自由に移動し、社会参加できるまちづくりを進めるため、日常生活や社会生活において、その障害となっている原因を取り除き「福祉社会かながわ」の実現を目指す、といったことがこの条例の目的である。
2、条例の対象施設は公共的施設、道路、公園、公共車両、住宅となっているが、実際には、公共的施設、道路、公園については、施設を障害者等が安全・快適に利用できるよう、構造、設備の整備に関する基準(整備基準)を定めているが、公共車両、住宅については整備基準は設けておらず、条例において、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう整備に努めていただくとなっている。
では、整備基準とは何かというと、3に書かれているとおり、車いす使用者等が通行できる幅員の確保であるとか、車いす使用者等が通行できる傾斜路の設置、障害者等の利用に配慮したエレベーター、便所、駐車場の設置などになる。また、この他にも、障害者等に配慮すべき事項が整備基準として定められている。
続いて4、整備基準の遵守義務であるが、先ほども説明した通り、公共的施設、道路、公園の新築等をしようとする者には整備基準の遵守義務が課せられる。また、現在既に建ってしまっている施設、既存施設については、整備基準に沿った整備の努力義務が課せられている。既存施設につきましては、増改築時に整備基準を遵守していただくことになる。
5、事前協議であるが、ここではどういう風に福祉の街づくり条例を遵守していただくのかが、書かれている。公共的施設のうち規則で定める施設の新築等をしようとする者は、その計画についてあらかじめ知事と協議(事前協議)をしなければならない。整備基準に適合しない場合には知事は必要な指導、助言等を行うことができるとある。下の図を見ていただくと、事業者が特定行政庁や土木事務所の事前協議窓口と事前協議を行い、指導や助言を行う形になっている。では、どんな公共的施設が知事と事前協議をしなければならないかが、その下の表、公共的施設のうち事前協議対象施設になる。官公庁、教育文化施設、医療施設、福祉施設など一番左の枠に書かれているものについては、規模要件がないので、全てが事前協議の対象となる。店舗等については、200平米以上のもの、興行遊興施設については300平米以上のもの、駐車場、公衆浴場については500平米以上のもの、共同住宅等については1000平米以上のものが事前協議を行っていただくことになる。
6、適合証ですが、5の事前協議を行い、福祉の街づくり条例に適合させた場合には適合証を交付している。
7、その他ですが、横浜、川崎におきましては、独自に福祉の街づくり条例を制定しているので、この神奈川県福祉の街づくり条例は適用除外となる。また、そこには書かれてないが、この福祉の街づくり条例は平成8年に施行になったが、平成14年に整備基準の改正を行っている。条例の概要につきましては以上である。
引き続き平成17年度に福祉の街づくり条例がどれほど守られたか、その状況と今後の課題について説明させていただく。資料2-2をご覧いただきたい。こちらの資料は平成14年度から平成17年度までの協議件数と遵守率を一覧にしている。ではまず、遵守率とは何を指すのかというと、表の事前協議等と項目があるが、そちらの太枠をご覧いただきたい。Fの条例遵守件数とあるが、遵守には3つの内訳がある。その項目の中にbの全項目とあるが、全項目適合といって整備基準を全て適合したものになる。cの12条但し書・前段適用というのは、整備基準を一部クリアしていないが、だいたい措置をとっているものである。dの12条但し書・後段適用というのは、整備基準をクリアしていないことが、建物の構造であるとか、地形上の理由によりやむを得ないものとして適用というものである。この3つを合わせた件数が条例遵守件数となっている。そしてその条例遵守件数をEの終了件数で割ったものが遵守率である。
それでは表の17年度のところをご覧いただきたい。太枠で囲ってある60パーセントが平成17年度の条例遵守率である。その同じ段を左にいっていただくと、16年度、15年度、14年度とあるが、16年度の遵守率は68パーセントであった。17年度と比較すると、17年度は8パーセント下がっている。15年度については72パーセント、14年度は81パーセントと年々低下の傾向にあることがわかる。
1枚めくっていただいて、A4の用途別遵守率の比較というグラフをご覧いただきたい。こちらは用途別のグラフになっているが、縦軸が用途別に区分した施設の名称になっており、横軸が遵守率となっている。施設ごとに2本のグラフがあるが、上段の斜線のグラフが平成16年度の遵守率、下段の塗りつぶしてあるグラフが平成17年度の遵守率である。平成16年度より遵守率が高かった施設はわずか4施設で、公共交通機関、宿泊施設、運動施設、工場の4つである。半数以上は平成16年度の遵守率を下回っている。こういった全体の遵守率が下がっているということが平成17年度の遵守率にも大きく影響しているのかと思われる。
1枚めくっていただいて、A3の資料をご覧いただきたい。次に事前協議の状況について平成17年度と16年度を比較しながらご覧いただきたいと思う。このグラフは用途別に全項目適合、12条適用、不適合という協議の結果の内訳を示している。グラフの長さが協議の件数を示している。17年度の事前協議の件数が多かった施設は、共同住宅の138件、福祉施設の116件、商業施設の92件となっている。16年度については、共同住宅が150件、商業施設が105件、福祉施設が83件と順位は替わっているが、この3施設が全体の半分以上を占めている。今見ていただいた3施設の協議結果の内訳を見ていただくと、斜線の部分が不適合となっているが、不適合の件数は17年度の福祉施設は38件となっており、16年度と比較すると17件増えている。商業施設においては、31件から41件と10件増えている。共同住宅については52件から67件と15件増えている状況である。協議件数の多い施設で不適合の件数が多かったということも17年度の遵守率が低かった要因の一つと考えている。
1枚めくっていただいて、これまで事前協議の状況と遵守率について説明してきたが、最後に今後の課題について説明したいと思う。前半の繰り返しになるが、先ほどグラフで見ていただいたものを表にしてある。1の用途別に見た条例遵守状況をご覧いただきたい。遵守率の高い施設が1の表になっている。ただ、協議件数を見ていただくと、全体的に協議件数の少ない施設において遵守率が高くなっている。そのため、全体の遵守率に影響がなかったと思う。次に、遵守率の低い用途は1の(2)の表のとおりであるが、共同住宅が138件で全体の2割を占めるため、この遵守率の低さが全体の遵守率に影響したと考えている。次に、2の基準を満たしていない整備項目であるが、全体から見ると、トイレ、エレベーター、誘導ブロックの3つが未整備の割合が高い項目となっている。この項目は16年度についても多少順位は入れ替わっているが、上位を占めている。トイレについては、基準の広さや入口の幅がとれないといった理由があった。エレベーターについては、カゴの大きさや入口の幅がとれない、ガラス窓を付けられないといった理由があった。誘導ブロックについては、特に福祉施設において、利用者がつまずきやすいといった理由で未整備の施設が多かった。2の(2)に用途別に見た未整備割合の高い項目をあげている。集会場や無床の医療施設、商業施設ではトイレの未整備率が高くなっているが、規模の小さい施設では条件的に難しいと考えられる。官公庁や学校、福祉施設では誘導ブロックの未整備の割合が高くなっている。共同住宅ではエレベーターの未整備の割合が高くなっている。カゴの大きさが不十分であるとか音声案内ができない、ガラス窓が付けられないといった理由が多かった。
最後に3の今後の課題であるが、窓口において事業者の指導が第一と考えているので、今後も一層粘り強い指導を窓口の担当と一緒に心がけていきたいと思う。また、窓口ごとに指導の差が出ないように連絡をとりながら条例の運用に務めていきたいと思う。
バリアフリー新法についても、今年度の秋頃の施行になるので、国の動きを見据えながら条例のあり方についても検討してきたい。

(高橋会長)
福祉の街づくり条例の運用状況と課題ということで、資料2についてご説明をいただいた。
これについてご質問等あれば、遠慮なく言っていただきたいと思う。かなり細かな数値もあるが、全体として遵守率が低化傾向にあるということが報告されていると思う。未整備項目については、これまでの16年までとほぼ同じような傾向にあるということが分かる。

(瀬戸委員)
ご説明いただき、分かりやすくグラフで表示をされて、非常に資料が、分かりやすい。
その中で何点か質問があるが、17年度が16年度に比べて条例の遵守状況が低くなっているが、
この本当の原因というのはいったい何かということをきちんと把握をしないと、その対策なり改善策を検討するということがなかなか難しいのではないかと思う。
特に福祉施設、医療施設、商業施設、展示施設で遵守状況が下がっているということは、どういうことが本当に原因なのかということについて、どのように把握をされているのか、質問したいと思う。

(事務局)
今ご質問いただいた、原因というか、要因をどのように把握しているかということであるが、私どもも、16年度と17年度を比べて、実は14年度以後毎年下がってきているわけではあるが、16年度から17年度にかけてもやはりかなり大幅に下がっているということがあり、今、どういったことが要因でこういった数字になったのかというのを、個別にいくつか例を挙げて聞いているところである。いずれにしても要因を分析して、どこが問題になっているのかといったようなところは把握し、それに基づいていったい何ができるのか考えていきたいと思っているところである。
若干説明すると、例えば、新築ではなくて増改築の割合が高く、増改築だとやはりその既存の構造に、ある程度左右されるということもあり、なかなか適合させるのが難しいといったようなこともあるし、それから福祉施設では視覚障害者の方への誘導ブロックがかえって高齢者の方が非常につまずきやすいと、幼児、幼稚園でもそういったようなご意見をいただくことがある。そういった個別の状況で今回17年度はこういう状況になっているのかなと思う。ただ、それはいくつかの事例ということであるので、もう少しそこら辺のところは明らかにしていく必要があると思っている。

(瀬戸委員)
原因を把握するときに、もし追跡の調査をしていただければ、たいへん参考になるかと思う。どうしてそういうふうに遵守できなかったのか、回答しづらい事業者もあるかもしれないが、そういったフォローアップ調査というか、追跡調査といったものを行うことにより、そういった原因が把握できるのではないかと思う。条例で何か修正すべきことがあるのかもしれないし、あるいは事業所側にそういったことをすることのインセンティブがなかなか持ちづらいというような原因があるのかもしれないし、いずれにしても、そういった原因を追求して、真実がどこにあるかということを把握しておかないと、窓口での指導強化と一口に言われても、なかなか難しいのではないかと感じるので、そういったデータを揃えて対応していただく方が良いのではないかと思う。

(高橋会長)
2002年にハートビル法が改正されて、一部が義務化されたわけだが、それと反比例するように条例の適合率というか、遵守率が下がっているというのは少し残念な結果である。
これは私も、そのデータを見ているわけではないが、たぶん確認申請が民間検査機関に急速に流れていることとも無縁ではない。つまり事前協議が十分にできない状態で確認がおりているというようなこともあると感じている。
それから、もう一つは基準の問題がやはりあると思う。
これらについても今後検討しなければいけない部分ではないかと思っている。
私の方から一点質問させていただくが、横浜市には申し訳ないが、16年度からかなり大幅に遵守率が下がっているが、この辺りはどのように見ているのか。もし概要でも分かるようであれば教えていただきたい。

(山本委員)
これから細かく建築部局と原因分析しようと思っているが、16年度と17年度との違いということで考えられることとしては、ハートビル法が改正されて、それに伴って横浜市はハートビル条例という条例をつくって規制の強化をして、その施行が17年4月1日からになっている。
具体的に例えばどういうところを強化したかというと、建築物の対象面積を、ハートビル法では2000平米以上であるところ、条例により面積を1000平米以上など対象の面積を引き下げたとか、あるいはいわゆるバリアフリー基準の強化ということで申し上げると、例えば階段の幅を、建築基準法で90センチメートルだったのを、ハートビル条例で120センチメートルに広げている。ハートビル条例がそういうふうに変えたのに合わせて、横浜市の福祉の街づくり条例についても同じように17年4月1日から合わせた。そんなこともあるのではないかなと思う。ハートビル条例では、共同住宅は対象にしていない。ところが、福祉の街づくり条例は共同住宅を対象にして、ハートビル条例と同一の基準を適用しているところがあるので、たぶんそのようなところが事前協議で厳しかったのではないかと思う。まだ十分ではないが、共同住宅の割合が全体で3割ぐらいあるので、かなりその影響があるのかなとか、いろいろほかにクリアできなくなった部分があったのではないかと思う。半分しか守れないというのは、前年度が79パーセントであるので、やはり、その辺をこれから19年度の対応含めて考えていきたいと思っている。まだ十分ではないが、だいたいそんなところである。

(高橋会長)
どうしても条例の改正になると、全体的に事業主からすると厳しくなるので、そういったようなことが影響しているのだろうと思う。これは神奈川県でも同じようなことが起こった。

(大道委員)
どの辺で事前協議をやっているのかというのは、設計事務所で設計をやっている者として、だいたい図面ができて、確認申請出す前の、もう図面ができているところでの事前協議が福祉の街づくりのところにいくことが多い。そうすると、もう固まったところで、ああして、こうしてというと、もう残りの工期のところから考えると、すごく動かすのが難しくなって、それで結局断念してしまうということが多いような気がしている。それであるなら、そういう企画があるという時点で、図面化するもっと前の時点でこういう事前協議というか、事前相談の場を設けられれば、設計者やそこの企業主の方にも自然と浸透して、図面を置くときになって、そこをまず重要視して図面が出るのではないかという、すごく単純なことであるが疑問に感じて、もし提案できればと思っている。

(高橋会長)
事前協議の場にならなくても、設計者は条例なり法制度を、法基準に遵守するというのは大原則になるで、その辺りも、建築関係の皆さんがいるが、改めて福祉の街づくり条例なりハートビル法といったようなものの理解が十分にできてないというようなこともあるかもしれない。

(小宮山委員)
神奈川県福祉の街づくり条例の概要というところの3番の、整備基準として定める内容の(5)というところで考えたことがあるが、もちろんエレベーターとかトイレとか駐車場の設置をすることも大切であるが、私が行政インターンシップで訪問した町田市では心のバリアフリーというふうに言っていたが、周囲の理解を県として徹底させる必要があると思う。
もちろん施設をつくることも大切だが、それと平行して、「こういう障害者の方がいるんだよ、理解してね。」ということを県民の皆さんに自然な形で分かっていただくということが大切だと思う。

(事務局)
私どももその周知というか、この趣旨をいかにPRするかということは非常に重要な課題だと思っている。本日この議題の次の議題3福祉の街づくり事業体系についてというところで、今私どもの方で全体としてこういうことをやっているということを説明させていただきたいと考えている。

(高橋会長)
福祉の街づくり事業体系についての審議に入っていきたいと思う。それでは資料等の説明から入りたいと思う。

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(事務局)
神奈川県で行っている福祉のまちづくり推進事業について説明させていただく。資料3-1をご覧いただきたい。
神奈川県で行っている福祉のまちづくりの推進事業は大きく分けて3つある。1の県条例施行等関係事業、2の民間施設等整備事業、3の県有施設等整備事業である。1の県条例施行等関係事業としては、(ア)県条例の推進及び普及啓発を当課で所管しており、福祉の街づくり推進協議会の運営、皆様のお手元にある、かながわ夢タウンニュースといった広報紙の発行等による条例の周知活動を行っている。(イ)ですが、県条例等施行事務費は、企画部が所管で、条例施行事務を建築確認窓口を持つ市に移譲していることに伴う移譲事務交付金の支出事務を行っている。(ウ)(エ)では、市町村が実施するバリアフリーのまちづくりに対する補助金の支出事務を当課にて行っている。
2の民間施設等整備事業では、アの公共的施設の整備は3つあり、(オ)デイサービスセンター整備費補助(カ)民間障害福祉施設整備費補助(キ)老人福祉施設整備費補助ということで、それぞれ施設整備に対する補助を行っている。イの住まいづくりは2つあり、(ク)重度障害者住宅整備改良費補助は、市町村が実施する在宅重度障害者世帯の住宅整備改良等の経費助成事業に対する補助を行っている。(ケ)高齢者向け優良賃貸住宅供給事業は、民間事業者が建設する高齢者向け優良賃貸住宅の家賃の一部に対する助成を行っている。ウの公共交通機関の整備は3つある。(コ)民営鉄道駅舎福祉施設整備費補助は、市町村が実施する駅舎の障害者対応型エレベーター等の整備事業に対する補助を行っている。それから(サ)の福祉バス運行事業(シ)の福祉有償運送推進事業は当課で所管して、NPO等が行う福祉有償運送の運転者や運行管理責任者への研修を実施しており、NPOとの協働で行っている事業である。
3の県有施設等整備は、県有施設を始め、公共住宅、県道、都市公園のバリアフリー化に関する事業を行っている。
続いて平成18年度福祉のまちづくり推進組織図について説明させていただく。資料3-2をご覧いただきたい。合意形成を行う福祉の街づくり推進協議会の他に、県庁内における推進体制としては、副知事をトップに教育委員会や警察本部をも含めた関係部局で組織された、「福祉21推進会議」がある。この会議の中に、関係20の課長で構成する、福祉のまちづくりの推進を所掌する、「福祉のまちづくり部会」を設置して、部局横断的に、推進方策の協議検討などを行っている。昨年度は県有施設のバリアフリー化の推進などについて意見交換し、今後の推進方策について議論しているところである。
また、福祉のまちづくり部会の下に関係所属の実務者から構成する「県有施設分科会」を設置し、県有施設のバリアフリー化について、その推進方策を検討している。
さらに、福祉の街づくり条例の適正な運用を図るため、条例の事前協議窓口12の特定行政庁、8土木事務所の実務担当者を中心に、「神奈川県福祉の街づくり条例運用調整会議」を設置し、条例運用上の事例検討などを行い、日常の事業者等の指導や助言に生かしている。
そして一番右にあります、庁内連絡会は各部総務室課の担当者が集まり、福祉のまちづくり部会や県有施設分科会の協議結果の報告、連絡調整を行っている。
続いて、保健福祉事務所が行う平成17年度普及啓発事業である。資料3-3をご覧いただきたい。
福祉のまちづくりの実現には施設の整備等においてバリアフリー化を進めていくというハード的側面と、障害者等に対する無理解の状況を改善するなど、ソフト面の充実が必要となるため、各種啓発事業の実施によって、福祉のまちづくりに関する県民の皆様の一層のご理解をいただくことが重要となるということから、この資料3-3にあるような普及啓発活動を行っている。
県内を横須賀・三浦、県央、湘南東、湘南西、県西、県北の6の圏域に分け、それぞれの圏域にある保健福祉事務所のうち、幹事となる保健福祉事務所が昨年度行った普及啓発事業がこの表に書かれている。丸がついている所が幹事事務所である。
各保健福祉事務所とも、市や町が主催する福祉まつりや社会福祉大会において皆様のお手元にある2種類のパンフレットを配布するようなことが多かったようである。その他にも、三崎保健福祉事務所では、盲導犬の紹介をしたり、秦野保健福祉事務所では、湘南西地区における条例の適合施設を紹介するマップの作成なども行っている。また、厚木、足柄上、津久井保健福祉事務所では、福祉のまちづくりに関するクイズを行って、答えていただいた方に、福祉授産施設などで作成した啓発物品を配布するといったことも行った。
普及啓発事業といたしましては、この保健福祉事務所が行う普及啓発事業の他にも、皆様のお手元にある「かながわ夢タウンニュース」という広報誌があるが、この夢タウンニュースは当課で作成しており、年2回、1回8,000部ほど作成して、配布している。条例を適正に運用するためには、事業者に福祉の街づくり条例を周知することが必要であることから、配布先としては、建築士や設計士、商店街連合会を中心に福祉関係者等に配布している。今年度においても引き続き普及啓発に努めていきたいと考えている。

(高橋会長)
福祉の街づくり事業体系についての説明であった。今の説明について質問等あったらお願いしたいと思う。

(大道委員)
少し疑問に感じているのと、自分自身の整理のために教えていただきたい。これらの事業体系や組織図を見せていただいて、これらは事務局が県の地域保健福祉課を中心に形成されているように感じて、3の3の中で心の普及ということで、一番上のところに、鎌倉市の社会福祉協議会の名前が入っていたりするが、私も社会福祉協議会の安心センターに関わったこともあり、神奈川県の社会福祉協議会の中にも地域福祉という形で同じような活動をしているということを思っており、それが県の組織や活動とどのようにリンクしているのか教えていただきたい。

(沖津委員)
私どもの方は、実は昨年度、平成18年度から22年度までの神奈川県社協の活動推進計画というものを策定した。この計画をつくる中では、県の方でも地域福祉計画を策定しており、そちらと同時の両輪という形で計画を作成させていただいたということである。従って、県の計画に沿った形で県社協の活動推進計画も策定したという状況で、行政の計画と県社協の計画を一緒に進めていくということである。

(角野委員)
神奈川県社協があって、その下に市町村の社協があるという、縦の構造であるというふうに理解をしておいて良いのか。
大道委員がおっしゃったように、社協というのは非常に見えにくい。社協をここで問題にするわけではないが、社協のいろいろな委員会に呼ばれて発言をするが、その社協は下部の非常に小さな地域社協であって、なかなか上にあがっていかないようである。社協は縦構造があるのか。

(沖津委員)
組織的には違う。各市町村においての社会福祉協議会、それから私どもは県レベルの社会福祉協議会ということであり、今おっしゃっている意味では、県社協と上下というような、そういう状況はない。

(事務局)
社会福祉協議会は、県社協とか、横浜市社協とか、川崎市社協とか、各市町村社協がそれぞれの社会福祉法人になっているので、それぞれの独立した団体である。
県社協にはいろんな部会があり、その県社協の中に市町村社協部会というのがあって、あるいはまた高齢者施設の部会があってというふうに、いくつかのカテゴリーで社会福祉法人が部会を形成していて、その部会はその県社協の中にあるというような、組織的にはそういう独立しているが、県社協の会員として市町村社協がいるという形である。

(瀬戸委員)
資料3の3のところで、普及啓発が非常に重要であるということで説明があり、私もそのとおりだと思っているが、事業者への周知と合わせて、先ほど小宮山委員からもあったが、心のバリアフリーというのは非常に重要なことだと思っている。そういった観点からこの普及啓発ということを考えてみた場合に、このように地域密着で40人100人というレベルでやるのも良いが、これにプラスアルファして、もう少しマスメディアやインターネットを活用して普及を図っていく、そういった取組が必要ではないか、あるいは地域のミニコミ誌とか、いろんなメディアを使いながら普及をしていくということが大事なことだと思う。
特に事業者の方々に対しては、どのレベルで協議をいただくかということも含めて、インタラクティブな仕組をネット上に実現することによって、あるいは福祉の街づくりの取組を進めている団体、あるいは施設といったところをネットで紹介することによって、より推進がされるのではないかと思う。逗子の取組が紹介できにくいということもあるとすれば、一生懸命やっているところも、ネット上から広く周知をしていくということが必要なことではないかと思う。そういったいろいろなチャンネル、メディアを通して情報提供していくということが、やっている方にとってもやりがいが出てくると思うので、お考えいただければと思う。

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(高橋会長)
よろしくご検討をお願いしたいと思う。次の議題4の方に入りたいと思う。
議題4は、最近の街づくりを巡る動向ということだが、これは議題というよりも、私の方に事務局の方から宿題をいただいており、最近の様々な動きについて少し紹介をしてほしいということがあったので、スライドを14枚程度用意してきた。
お手元に資料が配付していなくてたいへん申し訳ないが、これから説明をさせていただきたいと思う。
タイトルとしては「バリアフリー法制度と環境整備」ということである。
何のために、つまり私たちは今ここに何のために集まっているのかというふうなことも含めてだが、神奈川県の福祉の街づくり条例の説明の中でも障害者基本法ということが盛んに出てくるが、もちろん当然障害を持っている人たちの人権の問題、障害者基本法の第3条ではないが、差別をしてはいけないということがはっきり謳われているので、それもある。
それから、やはり今の福祉の街づくりの推進、展開を見ると、この高齢化社会というようなことがかなり大きい。
それからもう一つは、高齢化社会であるとか、障害を持つ、持たないとかに関わらず、誰もが等しく様々な社会活動に参加できる、チャレンジ、そういったようなことがあるだろうと思う。
日本で福祉の街づくりがスタートした、これは仙台だが、1971年のときに朝日新聞の厚生文化事業団が仙台の方の福祉の街づくりのグループを支援したときの例を紹介する。
「みんなの街づくり」と書いてある。これがつくられてから既に35年を経過しているわけでだが、依然として今でも私たちと同じ方に向いているというか、その問題を課題としているということが言えるかと思う。
そして、これはその1971年のときに、公共施設であるとか民間施設を仙台市内で、まず車椅子対応のトイレをつくろうということで動いてきた、ほぼ最初のものである。
福祉の街づくりという言葉はこの1971年の秋10月ぐらいから、仙台の市民グループがつくり出した言葉であるが、それが瞬く間に全国に広がってきている。
30年というと長いようだが、短い期間、あっという間に日本の中で動いてきている。
そして、最近では、先ほど申し上げたような高齢化社会の問題がかなりあると思う。
改めて、誰のための福祉の街づくりかというようなことも私なりに考えてみると、ちょっと読んでいただければ分かるが、事業者でもなく、行政でもなく、そして市民でもなく、つまり事業者、行政、市民と主体がなかなか分からない。
市民参加とはいうが、あるいは住民参加といってもなかなか分かりづらい。
そして今問われているのが、やっぱり自分自身のためではないか。これが本格的な超高齢社会というようなことになるのだろうと思う。
いずれかは、自分たちの周囲、家族、あるいは学校の友達といったようなことも、あるいは職場の同僚というようなことも含めて、関係してくる問題であることは明らかである。
そして改めて、この30数年の間にバリアフリー関連法を実施してきた課題ということだが、これは課題、あるいは問題というふうに理解していただいてよろしいかと思うが、細かな説明は省略をしていきたいと思うが、一つは、バリアフリー化することが特定の利用者のためだけではない。先ほど、その条例の遵守率が非常に下がっている、分かっているけれども、自分たちは使わない、誰かのため、その誰かのためだけでも、ひょっとしたら使われないかもしれない、そんなコストをかけるんだったら、ほかのスペースを確保するといったような関係である。
この辺を改めて考えていかなければいけないが、既に先ほど申し上げたように法制の中では、日本の社会の中でも謳われているので、それを見てもらえれば、今企業を含めてコンプライアンスという言葉が流行っているが、本当に法例を遵守しているのかどうかということは大事なポイントになると思う。
それから、先ほどの適合の問題でも、法律基準のその運用がどうなのだろうかということを、この神奈川県の福祉の街づくり条例の様々な整備基準の中でも議論をしないといけない。
どこでも議論しないといけないと思いつつ、なかなかできないのであるが、これは国の法制化の段階でも全く同じである。
これまでつくられてきたような基準であるとか、制度だとか、そういうようなものを十分に検証しないまま、次の法改正が行われたり、あるいは条例の改正が行われて、その根拠はいったい何なんだろう。
建築主や設計者、あるいは利用者が、どうもこれはおかしいんじゃないのというふうに言ったときに、それがどうしてそういうことが言われてしまうのか、あるいはその問題は何なのか、先ほど委員の皆さんからもご質問あったが、その根拠について改めて問う必要があるというふうに思う。
それからもう一つは、技術の工夫というのは、もちろん建築主、あるいは設計者だけではなくて、それを事前協議とか、あるいは届出をして相談を受ける側も両方一緒にやっていかなければならない。もちろんユーザーの方々も同じである。
それから三つ目だが、これは今回の今国会で議論されているバリアフリー新法絡みだが、交通バリアフリー法の基本構想というのがある。
これは市町村が基本構想をバリアフリー化の計画を立案することができるというようなものであるが、これも主体が必ずしも明らかになってない。
先ほど誰かというような問いかけを皆様方にしたが、それと同じようなことが言えるかもしれない。計画の主体が明らかではない。
そして、究極では、市町村が動けないシーンがたびたび出てくる。これについても何とかしないといけないというようなことになる。折角つくった基本構想がストップしてしまう。
それから、もう一つは、これは2の法令等の遵守とも絡んでくるが、その設計・建設・行政現場での基準遵守の仕組と建設後の検証評価が、ここ数年間の間でずいぶん、こうしたいろんな検証であるとか、評価であるとかいうようなことが出始めてはいるが、これからの課題として出てきている。
そして、既存施設の改善にどういうふうに知恵を絞るか、出すかということが問われている。費用負担の問題、あるいは用途別整理の問題、そして地域での総合的な環境改善の必要性ということになる。もし今やらなければ、あと誰が負担するのかというようなことである。
確かに今はあまりお金がないかもしれない、あるいは持ち合わせがないかもしれない。地域全体では、場合によっては一つ一つの建物では整備できないけれども、いくつかの建物が連携したり、店舗が連携しながら整備するようなやり方も、その施設の内容によっては考えておかなきゃいけないというようなことも、この中に含まれている。
それから、介護保険であるとか、あるいは自立支援法でも盛んに問われているが、市町村間格差の是正の問題がある。こちらの神奈川県でも、山間部とか、それから平坦部とか、あまり平坦部はないが、アップ・ダウンが非常に多いところであるので、なかなか整備が行き届かない、あるいは事業主によってもそういう差があるかもしれない。
こういうようなものも、ただ問題があるというようなことだけで手をこまねいてはいけないわけであるので、これから考える。
その一つのきっかけづくりにたぶんなるだろう、あるいはなっていただかなければいけないのだが、それがバリアフリー新法の概要である。
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律ということになってきている。これについて簡単に説明をしたいと思う。
私が説明するよりも、今日も役所の方がいっぱいいるので、それぞれ既に国等の方から情報が入っているかと思うが、すべてホームページ等でご覧になれるものである。
順調にいけば、明後日辺りに衆議院を通過して、可決されるというようなことになっているが、まず一つは、高齢者、障害者等のという名称に変わった。今までは高齢者、身体障害者等の移動のとか、高齢者、身体障害者等にかかわる建築物という、特定建築物の建築の促進とかというような表現があったが、障害者基本法で様々な障害を持っている人たちすべて対象なのだという、それをひとくくりに障害のある人、あるいは障害者ということで、ここでの身体が取れた。
法律の名称としては実は「身体」が取れたが、本当に「身体」が取れた中身が法文の中にあるかどうかというのは今後の課題になっている。
それから、二つ目は公園が新たに、交通バリアフリー法とハートビル法が合体しただけではなくて、いわゆる都市公園であるが、公園が加わっている。先々週ぐらいから公園の基準づくりが新たに検討に入っている。
そして、交通バリアフリー法では今まで新設のものは当然義務化する、それから既存施設は努力義務ということになっていたが、建築物については、任意の努力義務はもちろんあったが、法文的に成文、既存施設へのその努力義務が新たに加わっていく。
それから、交通バリアフリー法の重点整備地区、先ほどの基本構想を立てるところだが、基本構想を立てるときに重点整備地区ということを概ね同公園内、駅を中心とした同公園内につくれることになっているが、どうも駅を中心としたところだけだと、中心街であるとか商店街が駅から離れているところもあるので、そういったようなところは除かれてしまうではないか、あるいはもっと重要な公共施設が駅から離れたところにあるのに、1キロとか2キロ以上のところにあるのに、それが対応できないではないかというようなことがあったので、そういう部分でもできるように、いろんなパターンがつくられている。
さらに交通関係の道路公共交通機関だけではなくて、当然道路があれば周囲に建物であるとか、店舗であるとか、公共施設、あるいは学校等が出てくるので、その建築物の一体的にバリアフリーの基本構想が立案できるというのが、今回一番大きな改正のポイントになっている。
それから、次に住民、利用者による基本構想の提案というようなことである。これも新しく今回のバリアフリー新法の中で取り上げられている重要なところである。
つまり、今までは市町村等がそのバリアフリーの基本構想を立てていたわけであるが、発意を持ってそして、いろんな事業者を集めてやっていたが、今度は住民であるとか、NPOであるとかそういう、あるいは利用者の方々が、自分たちで基本構想を仮につくって、それを市町村等に提案することができるようになったのである。それを協議する場が協議会という、これは任意であるが、法律の中で謳われている。
もし住民が提案したもの、利用者の人たちが提案したもの、あるいは様々な事業者が提案したものが、市町村でうまくそういう基本構想に乗らないというときには、きちんとした説明責任が伴うということが、法文の中でも出てきている。
それから、ここに移動円滑化経路の協定というふうに書いてあるが、バリアフリー化するような道路であるとか、経路であるとか、そういうものがあるわけだが、それが公共の道路ではない場合もあるわけである。民間の土地であるとか。というものがあるので、それは共有して、経路協定すれば、永遠とは言わないけれども、次の借手になったときにも、それは経路協定になっているので、ちゃんとバリアフリー化の経路であるということを言える。あるいはそれを利用できるということをしましょうということで、新たにできている。例えば、地下鉄から上がって、なかなかうまくアクセスできるような道路につながらない、上が共同住宅である、その一部を経路協定にして利用できるようにするといったようなこともその一つである。
それから、法律の文書の中では施設管理者、これは東横インの問題もあったが、その施設管理者の責務をかなり条文の早い段階に謳っている。前の方で位置とか管理責務を謳っている。
この辺りがバリアフリー新法の大きな概要になっている。
詳細についてはこれから政令であるとか、あるいは省令等で議論されていくことになっていく。
改めてそのバリアフリー新法でどんなふうに変わっていくのかということをいくつか整理すると、まず一つは点、線から面、あるいは街へということである。
これももちろん先ほど申し上げたように、仙台で始まったみんなの街づくりから、ずっと一貫して言われ続けてきたことであるが、法律の中では謳われてきたのは今回が初めてということになる。点から線、そして面へということである。
駅、建物、道路、公園、商店街、つまり福祉の街づくり条例で謳われていることが、ようやくそのバリアフリー新法の中で具体化してきたというようなことが言えるんだろうと思っている。
それから、これまでここ十数年の間でも市民参加であるとか当事者参加という言葉が盛んに出てきているわけだが、これも法の中できちっと謳われているというようなことである。これも大きな動きである。
それから、罰則の強化ができている。その整備基準に違反している場合、あるいは命令に違反した場合は100万から300万円、あるいは先ほどのバリアフリーの基本構想の実施勧告に違反した場合100万円以下、これは単に金額の問題ではなくて、国としてもそういう姿勢を示そうといったようなことになるかもしれない。
それから、先ほどの名称ではないが、高齢者、身体障害者等から、高齢者、障害者等になった。
ただし、障害者等というのは単に障害を持っている人たちだけを指すのではなくて、日常生活に不自由のあるすべての市民が対象である。
これは2002年のハートビル法の改正の審議の中でもこの議論はされたわけだが、誰もが安心して暮らせるような市民社会の実現がこのバリアフリー新法の大きな目標である。そして、バリアフリー新法への期待ということである。
これも繰り返しになるが、とにかく新たなバリアをこれ以上産み出さない。
先ほど条例遵守の義務の、どんなふうに進めたらいいかというお話があったが、これはもうみんなにかかってくることであるということを繰り返し言い続けるしかないのかもしれないが、特に窓口、建築主、あるいは設計者の教育がこれからますます必要になるだろうと思う。
それから、今までは例えば保健、福祉、医療とかという、そういう三位一体的なものがあって、なかなか横につながらないのと同じように、市民、行政、事業者が一体となってというかけ声はいつもあるが、なかなかそれが具体化しにくいというようなことがあったが、もうそんなことを言っている時間的な余裕もなくなった。社会全体の利益であったり、不利益であったりということをもう少し考えないといけない。
それから、昨今の様々な動きであるが、災害時、非常時にもきちんと対応できるような動きになっていかなければいけないということが、このバリアフリー新法を運用していくときに重要になっていくだろうと思う。災害時にはすべての人が災害弱者になる、あるいは要援護者になってしまうということをもう一度改めて理解をしたいと思う。
いくつか写真の事例をご紹介したいと思うが、こちらは基準を満たしているわけですね。これは玄関エントランスになる。そして誘導ブロックがあったり、チャイムがあったりとか、それから玄関ホールに来ますと触知案内だとか、カウンターナルとかという、しかも低カウンターがみんな一列に。これは先ほどの適合からすればすべて100パーセント丸になるが、どうも、私が見ても、これでいいんだろうかというようなことを感じる。
皆さん、このスライドを見ていただいて、何が悪いのか、どこをどうしたらいいのかということを考えてほしい。今日は回答しない。たいへんこれから重要である。
何故設計者がやらないのか、あるいは建築主が理解しないのか、それから、みんなが利用するってことはいったいどういうことなのかという、設計の本当のベース段階から考えていかなければならない。
一方では、これは金沢21世紀美術館、昨年の5月だったか6月だったか、オープンしたばかりのものであるが、この設計者のお一人は横浜国大の西沢さんという著名な若手の建築家が参加しているが、私はこのユニバーサルデザインの計画に少しアドバイザーとして関わったのだが、このときに西沢さんに申し上げたのは、「できるだけシンプルに、やり過ぎない」ということである。

石川県でもバリアフリー推進条例というようなものをつくっていて、その中の3章か4章にハートビル条例を動かすものがあるわけだが、もし設計者が、その条例で満たせない、あるいはそれを越えるような提案をするのであれば、それはたぶん行政のあなたたちもきちんと理解するのかもしれないということを申し上げた。
そういうことも含めて、設計者自身が工夫しなければいけないものがたくさんあるし、なおかつ、新しく立てられた建物が市民全体に受け入れられていかなければいけないわけである。
快適さ、あるいはアクセスの問題、それから情報の案内、それから利用についてもそうである。
こちらでは中に保育所があり、美術館を利用する人たちだけではなくて、それ以外の人たちもいつでも利用できるという、そういう非常に開かれたような運営をしている。これも大きな意味では福祉のまちづくりを手助けしていくものになっていくわけである。
そして、これはシンガポールの地下鉄であるが、鉄道事業者の方もご覧になっているかと思うが、新しい延長している路線があるが、そちらの方はかなりいいものができ上がっている。ブロックの敷設の方法にしても、日本とちょっと状況は違うが、工夫されている。
これはちょうど日本でいうとシルバーシートのところに立てられているようなものとか、それからこのポスターが、エスカレーターでのケアだとか、いろんな分からないときに、困ったお年寄りの方だとかということで、そういう案内が非常に大きくホームにある。
ここ数カ月の動きを見ていると、JRの方でもかなりホームのコンコースでも適切丁寧なご案内をされている。
それからバス等でもご案内されているが、なかなか広告が多過ぎるので、分かりにくくなってしまうが、こんなところも適材適所で考えないといけない。
こちらはちょうどここのホームドアになる。
シンガポールの方は完璧にホームドアであり、天上までくっついている。
南北線ではそこまでいっていないが、上が空いているが、やはり隙間があるので、そういうところを注意しなさいという、こういう矢印が下の方についている。
これは地下鉄ではないが、ちょっとした商業施設であるが、そこでも普通のデザイン、暖かいところであるから花がたくさんあるのかもしれないが、そんなようなかわいい洗面器が。
そして、これは誰もが使える、ちょっと高さが違う洗面器がある。この場合、別に車椅子のアクセスシンボルマークを設けなくてもいいということである。
こちらの方は、現在私が参加している沼津健康福祉プラザのワークショップの流れである。
ここは運用検討会議というのがプロポーザルコンペ、提案型のコンペをやったが、その前の段階から市民が参加する企画を公共施設、こちらが完成型であるが、できた。
そして、コンペが終わってから、私はコンペの審査員の一人として加わったが、そのときからこういう運用検討会議というのが開かれて、最初に立てられたイメージとそれから引き続いて同じ方々が、コンペに当選した作品がいったいどうなのかというようなことを議論しながら、そして県内の様々な事例を調べてみたり、それから模型をつくって、また模型を次の目標に変えたりというようなことを月一ずつぐらいやりながら、実設計が完了した。
実設計が完了したら、この会議に参加している市民の代表だけではちょっと狭いので、市民全体で市民会館を借りて、今度はオープンのシンポジウムと、その説明会を開いたりして、議論を市民のこんなふうにやっているということを積極的に展開してきている。
ちょうどこの6月から施工されるというふうに聞いているが、またその業者が決まり、施工が始まると、今度は会議を再開して、私も今月末からまた行くが、様々な市民の方が参加して、なおかつ、来年の9月にオープンになるが、オープンになった後もずっと続けるということを沼津市は宣言をしている。それを見守りたいと思う。今、私たちにできることである。
高齢化社会をどう生きるのかということ、それから未来社会をどういうふうにつくるのか、このUD、ユニバーサルデザインであるが、みんなの街づくりというそういう環境をどんなふうにつくっていくのかということが今問われているかと思う。
そして、究極には生き方に合わせる住まい、あるいは活動に合わせる環境、組織というようなこともあるかもしれないし、そして一人一人に合わせる、みんなに合わせるといっても、やっぱり一人一人に適合できるような環境であるとか、あるいはチーム、あるいは会社であるとか、あるいは保育所であっても、学校であってもいいが、それが一つのゴールになっていくんだろうと思う。そのことができてこの矢印が反対に向いていくのだろうと思う。
そして、危機管理はしっかりとということを追加しておきたいと思う。
そして、私たちへの課題ということになる。
街づくりの持続性、そして二つ目に市民、事業者、行政が対等にかかわれる仕組。イメージとしては皆さん方持っているわけですけれども、それをとにかくやらないと。
地域の文化や自然環境を踏まえたバリアフリー化、これはもう神奈川県では本当に求められていることであろうと思う。今でもその経験がたくさんあるわけである。
そして、市民の行動力と受け皿、市民自身、市民が参加するということは市民の力量が問われるし、行政の力量が同時に問われている、あるいは様々な事業者が問われているわけだが、これが改めて一人一人に突きつけられているというようなことになるかと思う。
これが最後のスライドである。
人に優しい街というのは、自分たちだけのことではなくて、次の時代につなげる街、環境、そして私たち一人一人にその使命があるというようなことになるかと思う。
ちょっと延びたが、以上、少し宿題をいただいたので、説明をさせていただいた。
これについては質問を受けるというようなこともあるかと思うが、時間の関係もあるので、これでひとまず終わりにさせていただきたいと思う。
また何かございましたら遠慮なくお話をいただければと思う。
それでは情報交換に入りたいというふうに思うが、まず今年の1月以来、いろいろ問題になったが、社会面のトップ記事になっていたが、東横インの問題につきまして、県の建築指導課の方から情報提供いただきたいと思うので、よろしくお願したい。

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(増田委員)(代理 加藤邦裕氏)
東横インの状況ということでお話をさせていただきたいと思う。資料をお配りしてないので、口頭でお話したいと思う。
東横インの問題については新聞報道等されており、だいたい概略のところは皆さんご承知かと思うが、今年の1月末、1月27日になるか、ある新聞の報道をきっかけにして、次々と東横インチェーン、全国展開であるが、その辺のいろんな全国的な広がりがあったが、それぞれでかなり改造が行われていたということがあった。
施設それぞれは建築確認をきちんと取り、あるいは検査をきちんと受け、その後にどうも改造したということで、その改造の内容が、駐車場をロビーに変えたり、あるいは福祉的な施設、スペースがどうしても福祉関係の施設になると大きめに取るということがあるが、それらを改造して、その分の余分にできたスペースを別のものに変えるとか、そういうことがチェーン全体でかなり行われていたという状況が次々と明るみに出た。
私どもとしても建築基準法、それからハートビル法を所管しておりますので、どこにまず東横インがあるのかということをその発端以後調べて、これは全国的にやったわけだが、県内には横浜市と川崎、それから藤沢でそれぞれ施設があり、横浜には8施設、それから川崎には4施設、藤沢に1施設ということであった。
全国的には、全体として122の調査対象ということであり、122店舗あったようだが、そのうち改造が行われていたというのが77と聞いている。 
中身的にはどういうような改造が行われていたかというと、誘導ブロックが剥がされているというか、ないもの、それから車椅子使用者用の駐車施設がなくなってしまっている、それから出入口の幅とか、廊下の段差、こういうものに関する違反というか、ハートビル法関係の違反という意味だが、こういうものがあった。
建築基準法の関係でいうと、容積率違反というのがあり、これはどういうものかというと、床を吹き抜け、1階と2階、2階の一部の床を抜いて吹き抜けにしてあるようなところ、これを検査が終わった後に2階に床を張ってしまって、要するに床面積が増えるわけである。
元々設計上、容積率はかなりぎりぎりに設計しているということで、そこに増えてしまうと容積率違反ということであるが、そういうものがあった。
定期報告であるとか、そういうものもしていないとか、基準法上は防火とかそういうのも一部あったようだが、いずれにしても、きちんと完了検査を受けた後に、行政が分からないところで故意に改造して、しかも福祉的な部分、バリアフリーのところを改造してしまうというふうに、非常に我々から見ると悪質な事案ということであり、国の方からも強い指導の要請があり、県内の先ほど申し上げた13施設について、これはそれぞれの特定行政庁というか、ハートビル法では所管行政庁と言っているが、12の市が所管行政庁であるが、それぞれ市の方で指導が入り、今現在の状況で言うとほぼ、ハートビル法、それから建築基準法の関係の是正は終了している。
一つだけ、駐車場条例というか、駐車場法の関係で是正がまだ完了してないというものがあるが、福祉関係のものはほぼ終了しているというふうに聞いている。
こういうことが起きましたので、我々としても検査済、完了後のこういう改造が今後起きないようにということもあり、従前から完了したものの違反パトロールだとか、防災査察とかやってきたわけだが、こういう福祉的な改造ということもありましたので、今後は完了後の違反のパトロールということもある程度考えて充実していかないといけないかなというふうには考えているが、なかなか全部を見きれないというところもあるので、施設のバリアフリーに対する意識というものは引き続き高揚していかないといけないかなというふうには考えている。

(高橋会長)
今の件について、これは新聞、あるいは国等のホームページ等でもご覧になれるし、それからその後東横インでは内部で外部の学識者も含めたような是正するための委員会が持たれているので、それらもホームページ等で見られるので、詳細なことはそちらの方でも見ていただければというふうに思うが、何かご質問等があるか。

(二宮委員)
どのタイミングで言ったらいいのか分からないので、今手を挙げてしまったが、折角参加させていただいたので、提案させていただきたい。公募委員に選出していただいてから、この推進協議会の議事録をインターネットでひき、いろいろ読ませていただき、委員の皆さんの長年の活躍とご苦労を少し見させていただいた。
また、地域性からいって、私は伊勢原であるので、斉藤先生の街づくりに対しての活動も少し見させていただいた。
福祉の街づくり条例の普及啓発については、関係各位一丸となって取り組んでおられ、その成果は、確実に現れていると感じる。また、良好な世論形成に向けての広く一般に対する周知についても、有効な施策を実施されていると思う。
しかし、関係各位異口同音に周知不足の感は否めないとも言われている。
そこで、福祉住環境コーディネーターをバリアフリーアドバイザー制度の中に取り込み、その資質を有効に発揮してもらうことで彼等の活躍の場も広がり、なによりも増して本条例の普及啓発の増進につながるものと思う。広く一般に対して周知度を高め、意識を強く持ち続けていただくために、従来の「お知らせ型」に加えて「参加型」の方法を取り入れてみてはいかがか。
これは、なるべく多くの人にこの条例の普及啓発活動の中に当事者として参加してもらい、役割分担の中で具体的に作業することで、問題意識を強く持ち続けてもらうことが可能になり、世論の盛り上げにも貢献していただけるのではないかと思う。

(高橋会長)
先ほどご紹介があったが、普及啓発の仕方が今後ますますいろいろ重要になってくると思う。
今まででもやってきたわけだが、なかなか行き届かない、それからハード的な整備についてもなかなかご理解がいただかないというようなところでの提案かというふうに思うが、これについて事務局の方。

(事務局)
バリアフリーアドバイザーについては実は本日最後に、この「かながわ夢タウンニュース」の裏面に出ているということもあり、ご説明とご協力依頼をさせていただこうというふうに思っていたところである。

(事務局)
夢タウンニュースの裏表紙をご覧いただきたい。このバリアフリーアドバイザー制度は既存の建物のバリアフリー化が進まないというところで、何とか解消できないかということで、アドバイザーを派遣して施設管理者の方に助言をして、バリアフリー化を進めてもらおうということで、平成16年度から試行的に始めて、平成17年度に11施設の派遣を行った。このバリアフリーアドバイザーは建築関係団体より推薦を受けて、所定の研修を終了した後、当課より委嘱を受けた1級建築士である。現在23名が登録している。対象施設は、神奈川県福祉の街づくり条例の対象とする既存の公共的施設となっている。県条例の所管外となっている横浜市、川崎市は除かせていただいている。また、個人住宅についても対象外とさせていただいている。平成17年度は先ほども説明したとおり、11施設に派遣を行ったが、商業施設8施設、教育施設1施設、文化施設1施設、共同住宅1施設となっている。派遣にあったっての申し込みは、下記にあるとおり、かながわ住まいまちづくり協会もしくは、当課となっている。アドバイザーを現地に派遣して、現場で施設管理者の要望を伺いながら改修の方法等をアドバイスさせていただく。その後に改修図面や見積もり書も合わせて送付させていただくが、こちらの費用については無料である。
先ほど委員の方からあったように、施設を車椅子でも気軽に利用できるようにしたいと考えている方がいらっしゃれば、積極的に活用していただきたい。

(事務局)
今担当の方からバリアフリーアドバイザー制度と、それからその活用のお願いをさせていただいたところであるが、皆様のご指摘のとおり、いかにこの条例の趣旨、それから福祉の街づくりを進めていくかに当たり、非常に重要なツールだと思っている。 そういった意味で、今年度も今日お願いさせていただいたが、改めて各団体にお願いに伺いたいと思っている。それから、今年度のやり方についても、ご意見を踏まえて、どのような工夫ができるかといったようなことについては、また皆様ともご相談をさせていただきたいと思っているので、よろしくお願いしたい。

(高橋会長)
今委員の方からご質問があったが、たぶんそういう様々な専門職の連携だとか、そういう広がりをどんなふうにつくっていくかという、そういうようなことになるかというふうに思うので、一人一人はたぶんいろいろなところで個々にやられているかというふうに思うが、その辺りもこれから県内でいろいろな啓発事業、先ほどの保健福祉事務所関係以外のところでもやっていく、あるいは建築部局等でも、あるいは道路部局でやっていくかというふうに思うので、その辺りも含めて、いろんな組織を有効に活用していく、そんな手立てを検討していただきたいと思う。
大道委員はアドバイザーをやられていると思うが、今の話に関連して何か補足などあるか。

(大道委員)
バリアフリーアドバイザー制度ができるということで、大変期待して参加させていただいた。そこに参加している建築士の方々もすごく意欲的で前向きに頑張っているが、まだ入口のような感じがある。一級建築士の中にも、元々興味を持って、福祉住環境コーディネーターを勉強しながら何か形になるもの、世の中が動いている途中なので、何もつかめないところがあるが、その何かあしがけとなる、とても期待できる制度だと思っている。4日間の研修で始めるのではなく、もっとそういう経験が必要であり、そういう勉強や経験を積んでいることを県民の方に理解していただくことを進めていただきたい。

(高橋会長)
箱根町の福祉のまちづくりについて、地形的には山あり谷ありで大変かと思うが、実施している事業について情報提供いただきたい思う。

(加藤委員)
ご存知のとおり箱根町は観光地である。今住民は年々減少しており、現在14,500人、観光客は約19,000,000人で、圧倒的に観光客の多い町である。福祉については観光客のことをしっかり考えていかないとお客様が減ってしまうのではないかと前々から考えていたが、さらに積極的に進めるべきであることから、最近では公衆便所を含めて全ての施設にオストメイトを設置することを目標に積極的に取り組んだ。全体では34箇所ほど設置した。それから、観光客の利用の多い低床バスについても、50万を限度に4分の1以内の補助を行って3年になる。事業者も積極的に進められていて、箱根の過半数のバスは低床式になってきたという状況である。それから、今年に入り、耳マークやハートプラスマークを作成した。耳マークについては、それぞれの部署や観光施設の窓口に全て看板を設置し対応していく。職員にも周知している。ハートプラスマークはできる範囲で駐車場に設置し、周知していきたい。今後は、補助や助成という観点でなく職員一人一人がおもてなし心で対応していきたい。

(高橋会長)
時間の関係上、質疑応答は止めさせていただく。議題の1から4、情報交換を行ってきた。今後の検討課題が出されている。新たに事業体系が策定されており、今年度の事業がスタートしているわけだが、第1回の議題については一通り終わったが、事務局から何かあるか。

(事務局)
次回は12月頃を予定している。日程等については追って連絡させていただきたい。
また、今日は1回目ということで、県の仕事を知っていただきたいということで事務局からの説明が多かったが、次回からは皆様の議論がいただけるようにお願いできればと思う。

(高橋会長)
この推進協議会も年2回ということであるので、どうしても、まとめた話しや、事務的な話しが多くなると思う。これからも協議会の合間において、皆様からの意見を事務局に寄せていただいて、次回の協議会前に検討していく。また、他の部局から情報を集めて情報提供していくこともあるかと思うが、皆様のご協力をお願いしたい。

(事務局)
委員の方から普及啓発に工夫が必要であるというご意見をいただいたが、県のたより等で広報しているが、まだまだ足りない状況である。課題がたくさんあり、例えばエレベーターができると、そのエレベーターに真っ先に乗るのが誰であるかといった問題もある。いろいろな普及啓発をしたいが、我々の持っているツールでは限りがあるので、是非、皆様のご協力をお願いしたい。
バリアフリーアドバイザーは今年度については募集をしているが、事業者の方から応募が無い状況であるので、再度、団体等にご案内させていただきたいと思うので、よろしくお願いしたい。

(高橋会長)
バリアフリーアドバイザーは待機しているということである。様子を見るといった形でもかまわないので、事務局の方に連絡していただき、県の条例を益々展開していくような動きを皆様で協力しながら進めていただきたいと思う。それでは第1回福祉の街づくり推進協議会を終了する。

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