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更新日:2023年4月13日

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平成27年度第2回手話言語普及推進協議会(審議結果)

平成27年度第2回神奈川県手話言語普及推進協議会の結果です

審議(会議)結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

平成27年度第2回神奈川県手話言語普及推進協議会

開催日時

平成27年8月26日(水曜日)18時00分から20時20分まで

開催場所

神奈川県庁本庁舎3階大会議場

出席者【会長・副会長等】

秋本委員、飯島委員、伊藤委員、石渡委員【会長】、小川委員【副会長】、影山委員、金井委員、河原委員、小海委員、田畑委員、田村委員、戸井田委員、土佐委員、萩原委員、二見委員、本田委員、山本委員、吉本委員(敬称略、50音順)

次回開催予定日

平成27年11月頃

所属名、担当者名

地域福祉課調整グループ

電話番号045-210-4804(ダイヤルイン)

ファックス045-210-8874

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掲載形式

  • 議事録全文

審議(会議)経過

(石渡会長)
石渡です。皆さん、こんばんは。
今日第2回目ということで、また、改めて、色々なお声が聞けたらと思います。
それでは、議事に入らせていただきます。
議題は、今日は手話推進計画、骨子案についてです。まず貴重な資料を3人の委員から提出していただきました。小川委員、萩原委員、河原委員、本当にどうもありがとうございました。
まずこの資料についてのご説明をお願いをしたいと思います。
最初に小川委員、続いて萩原委員、河原委員の順番でお願いをしたいと思います。
まずたくさん資料をいただきました小川委員からお願いします。
原文は英語であるものを日本語に翻訳していただいたことを含めまして、小川委員本当にありがとうございました。

(小川委員)
小川です。事前に事務局から配布していただきましたので、討議の資料にしていただければと思います。
まず、参考資料1をご覧ください。
ここでは、萩原委員が、前回の協議会の際にニュージーランドの手話週間が非常に参考になるという発言がありましたので、ちょっと調べました。
サイトを見ますと、非常にきれいなトップページになっておりまして、すべて動画で見ることができるということ、それから映像がですね、いわゆる素人がyoutubeで録したものとは違いまして、非常に美しい映像で見ごたえがあります。
それから、1週間、手話を覚えるワードが出てくるのですけれども、特段あいさつ言葉ではなく、ラグビーとか、ラブとか、そういうシンプルな言葉が出てくるというのもちょっとユニークかなと思います。
それから、4のところに様々なストーリーを動画で見ることができると書いてあるんですけれども、聴覚障害者のことを理解するというのは、紙ベースでお渡しするよりも、当事者の方が、映像で自分のことを語り、自分の生活を見せるというところで、理解が深まると思います。
その中で手話というものがどのように生きてくるのかということがわかるというような、映像になっております。
また、手話忍者というプレイゲームがありまして、そういうのも楽しむこともできるようになっております。
ホームページの説明をしたのですけども、実はこのページには、手話週間に各州のイベントが出ておりまして、例えば、手話通訳つき図書館ツアー、手話通訳つき美術館ツアー、それから色々なスポーツ等ろう者の方が楽しめる内容があります。それと、色々な1日レクリエーションがあって、バーベキューをしたり、それからフェイスペインティングという、顔に絵の具で書くという、子どもたちが楽しめるようなイベントの中に、手話入門講座というのが入っています。
ホームページの自分の地域をクリックするとイベントが出てくるというような形になっています。
例えば神奈川県に当てはめたら、各市町村のところをクリックすると、こういうイベントはこの週にはあるという形で出てくるようなものになっていました。
ページをおめくりいただきまして、イギリスでもろう者協会の中で手話週間というものが設けられています。アメリカも手話普及キャンペーンというのが設けられております。それぞれやはり動画を中心としたトップページになっております。
併せて、それ以外のところで、イギリス、オーストラリア、最後の3ページにいきまして、ニュージーランドとかカナダとかアイルランドのホームページを紹介しておりますけれども、主に動画を中心として、非常にいきいきしたページになっております。
一方日本の聴覚障害者関係のサイト、全日本ろうあ連盟、それから神奈川県聴覚障害者総合福祉センターは、ろう者や関係者に向けて情報発信するため、日本語情報をまずベースにする形になっております。手話のキャンペーンを行う際はまた別立てになってくるだろうと思いますので、できたら神奈川の聴覚障害者総合福祉センターのページから手話週間とか、手話の普及に関するページに飛べるような形にしてはどうかと考えました。
2番目に、参考資料2をご覧ください。共用品推進機構では、例えば、聴覚障害者の生活の不便さ調査というものを長年行ってきています。
しかし、ここ3年程、よかった調査というのをやっております。一昨年は旅行、昨年はコンビニ、そして今年は医療機関でこういうことがよかったということを、全部で13団体の協力を得て行っております。そのうち、全日本ろうあ連盟、それから全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全国盲ろう者協会の協力を得て、アンケートを取っております。
そこで、手話をキーワードにして検索をしてリストにしたものが今お配りしたものです。点線でアンダーラインを引いてみましたので、また時間のある際にお読みください。
また、コンビニのよかった調査に関する記載があります。
真ん中あたりから読み上げてみます。支払いが終わった後にありがとうと手話を使ってくれたとか、それから、ありがとう等簡単な手話を使ってくれたときは嬉しいとかですね、それから、手話ができる店員がいて安心感があるとかいう表現があります。
旅行のところでは、3ページの下から5、6行目、「海産物や地域の特産物だったが、説明があるとこうもおいしさが違うのか、と感動した」ということで仲居さんが手話と資料を交えて説明してくれた時のことが書かれています。
また、手話ができるレストランで安心して食事ができたという話もあります。
これから手話を普及しようとするときに、例えば聞こえる人が手話を使ってくれると便利になることに留まらず、人間関係が介在して、単に情報が保障されるというだけではないと思います。後に河原委員から遠隔手話通訳サービスの問題についてご説明があるかと思うんですけれども、何が必要かというのを本当に考えたときに、ろう者と健常者の方のコミュニケーション、人間関係というのがとても重要であると思います。
最後に、提案資料です。この計画をこれから立てていくわけなんですが、実際に、思いつきを並べて計画を立てるんではなくて、こうすることが良いとか、こういうことに困っているということに裏打ちされた、計画が立てられるべきだと思います。
そのうえでまずは、手話言語普及推進協議会の委員の皆様がそれぞれ専門の分野でいらっしゃるので、当事者団体と共同で作り上げていくというスケジュールを立てていくことが大事かと思います。
それから2番目に、聴覚障害者の方に必要な情報だけではなくて、手話普及に重点を置いた一般向けのキャンペーンサイトというものを立ち上げていくことが考えられるのではないでしょうか。
3番目は、お店や行政が手話を使う意識があるかとか、サービスをする姿勢があるかというのがなかなか見えないので、例えばマークだとか、グッズだとかで、努力していることを見える化するという活動も必要だと思います。
それから、当たり前のことなのですが、4番目に世代別、分野別、地域別に綿密な普及計画を立てていくということでは、各地に当事者団体が存在するわけですので、そういった団体と共同で、構築していけると良いかなと思っております。
5番目には、どうしても手話というものが必要だ、例えば学校で図書館には手話の本が必要だとかそれから各授業の中にうまく手話を取り込んでということがあるわけですけれども、形のうえで整えることにとどまるのではなく、ろう者への理解ということがとても大切になってくるかと思います。
つまり、手話が普及することでどのような意義が社会に生まれてくるのかということを理解するような普及の仕方が大事なんではないかと思います。
それから6番目に書いたんですけれども、最もここは重要だと思うんですが、手話通訳の方の働きというのがあって、この分野が広がっていくわけですので、まず手話通訳者の団体の方々等をキーパーソンにして、十分な練り込みをした計画をしていく必要があるのではないかなと思っています。
少し駆け足でしたが、またお時間があるときにお読みいただければありがたいです。

(石渡会長)
はい、石渡です。小川委員、ありがとうございました。
提出いただいたい情報もとても新しい興味深い情報でしたけれども、最後に、考慮すべき諸点ということで挙げてくださった6つのご指摘、この推進計画の中でも、本当に新しい視点で、とても意義深い、6つの視点だと思います。
本当に大事なご指摘を端的にまとめてくださってありがとうございました。
それでは続いて、萩原委員お願いします。

(萩原委員)
公募委員の萩原です。
前回は手話だけでお話をしたのですが、うまく日本語で伝わらなかった部分も多かったので、今日は日本語も一緒に使って、お伝えしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
まず発言の機会をいただいて、ありがとうございます。
資料を提出させていただいていたのは、自分なりにどうしたら県民の皆さんに手話を楽しく親しんでもらえる機会をつくることができるのかということを、お示ししたいと思って資料を作りました。
資料説明の前に少し別のお話をしてよろしいでしょうか。
先週から私が個人的にお手伝いをしている別の団体の視察旅行に同行させていただき、イギリスに行ってきました。
一昨日帰ってきたばかりです。
視察の合間にお散歩とかお買い物、美術館に行ったりしましたが、印象的だったのが、イギリスの人達の態度です。
こちらが聞こえないということを伝えただけで、自然に簡単な手話ですとか、手話ができなければ、メモを取り出して筆談ですとか、自然な態度を示してくれて、そこに聞こえない人がいるということがごく当たり前に受け入れられているということがよくわかりました。
美術館、劇場、カフェ、スーパー、レストラン、町の公園、電車の中等、当たり前に手話や筆談と出会いました。
カフェで自分の名前を頑張って指文字で表してくれた聞こえるボーイさんに、どこで手話を習ったのかと聞きましたら、学校で習ったのだと教えてくれました。
イギリスでは、日本と同じような町のサークルやコミュニティークラス以外にも普通の学校や、大学の中で、3年や5年かけて手話を学ぶことのできるコースがあるということでした。
それから美術館でも手話通訳を目指しているというアルバイトの女性が、ちょっと声をかけてくれて手話で絵の説明をしてくれたこともありました。
イギリスでは、日本で全日本ろうあ連盟にあたる英国ろうあ連盟(BDA)という組織がアドボカシー、日本語だと啓発活動というものを積極的に行っています。
企業や学校に、ろう者を派遣して、ろう者がスムーズに仕事をこなすうえでどんなサポートが必要なのかということを説明したり、ろう者とともに過ごす時の、例えば呼びかけ方だとか話し方についての注意点を伝えたり、簡単な手話の講習を行っています。ろう者自身による講習というところがポイントになっています。
街の中では、ロンドンはあんなに人が多くて、道も整備されていない、でこぼこの歩きにくい道なのに、どこに行っても、車椅子の人もいれば、杖をフルに使った肢体不自由の方もいれば、盲ろうの方にも会いました。
盲ろうの方はろうの方が通訳をして、一緒にいらしたので、ちょっと立ち話をさせていただきました。
二人でこれから一緒に仕事に行くんだよということで、国も制度も違うんですけれども、いつもの日常の中に色々な人がいるということが、ごく当たり前で、どこに行っても自然に手話がある。これは、この県の条例が目指している町の姿を表しているような、ちょっと未来の姿を垣間見たような気がしました。
長くなりましたけれども、そんな体験をして参りました。
資料の説明に入ります。
先ほどのイギリスのような、いつもの日常の中に、当たり前に手話がある、そんな街になるにはどうしたらいいか。
それはやはり子どもの頃から、手話に親しんでもらう機会が多いことが大切だと考えます。
それで、私の案の方向性としては、ターゲットを原則として高校生までの子どもたちで、手話はかわいいとか、カッコイイとか思ってもらうことが大事だと思います。
子ども達の興味を引くために、マスコットキャラクターのパワーが必要でないかと、思いました。
先生の研修も大事なのですけれども、一瞬で子どもたちの印象に残るということを考えると、学習の仕組みの中にマスコットキャラクターを使った学習の仕組みが一つあっても良いのではないかなと思います。
ただマスコットキャラクターを作るだけでは意味がないんですが、うまく活用していけば、特定の地域だとか、特定のテーマに注目度が高くなるということは、皆さんご存知のとおりかと思います。
そこで最初に提案したいのが、手話言語推進のための国内初のマスコットキャラクターを作ってしまってはどうかというものです。
県内の子どもたちにデザインを考えてもらって、最終デザイナーは公募でろう者のデザイナーを雇用するというのはたぶん今までにない取り組みではないかと思います。
ただし、予算もお金も苦しいだろうなと思うので、今、存在しているマスコットキャラクターの皆さんに頑張ってもらうというのもありかなと思ったのが2番目の案です。
すでにツイッターとか、フェイスブックをお持ちのマスコットキャラクターもたくさんいるので、その中で動画で、手話を発信してはどうかと思います。
例えば「楽しい」だとか、「手話」とか、「ありがとう」の手話をしているマスコットの動画をちょっと撮りためておいて、良いタイミングで載せるだけでみんな見てくれるんじゃないかと思います。
これからいろんなところで手話教室を企画する機会があると思いますが、その時にどのマスコットでも良いので一緒に行ってもらうと良いと思います。
ここに載せてある写真は、私が自分の地域の小学校や保育園に手話を教えに行くときに、その地域のマスコットに一緒に来てもらったものです。
マスコットが手話をすると、すごくかわいいので、子どもたちはとても喜んで、マスコットが行う手話は覚えてくれます。
そして県庁のマスコットたちで、この人達なら手話ができるのではないかと思って出したのがこの三つです。
「かながわキンタロウ」は出番も多いですし、両手がよく動くので、手話ができるようになると思います。
知事と一緒に手話を勉強しているということにすれば、色々なところで知事と一緒に手話をやってくれるんじゃないかなと思っています。
それから真ん中の「かにゃお」、親指を立てて「いいにゃ」とやっていますが、これを鼻のところに持ってくれば、そのまま「良い」という手話になるので、デザイナーさんと相談すれば、手話の「いいにゃ」ができると思います。
「かにゃお」は、社会貢献度の高いお店に「いいにゃ」のシールを貼ってもらっているということなので、手話のできるお店等に手話「いいにゃ」のシールを貼ってもらうのも良いのではないかなと思います。
最後の「かなふう」はちょっと手が短いのですけれども、そのままほっぺを叩けば「おいしい」という手話ができます。
かなふうさんは食育のマスコットなので、おそらく子ども達と会う機会が多いマスコットだと思います。
そういうところで「おいしい」という手話を広めてもらうのも良いのではないでしょうか。
こんなふうに、「かながわキンタロウ」には特にいっぱい頑張ってもらいたいんですけれども、一人一つの手話でも良いので、いろんな場面で何か一つ手話を使ってもらえると、県民の皆さんや子どもたちに手話を見てもらったり、興味を持ってもらう機会が増えることに繋がるのではと思いました。
それから、手話グッズというものも考えました。
目に見えるもの、手に取れるもので手話のモチーフが入っていると、やっぱりかわいい、カッコイイと思ってもらえるのではないかと思って、3点、案をあげました。
一つ目は、いわゆるシールとか、カレンダーで、やはり低学年の子どもたちはシールの好きなお子さんが多いと思うので、マスコットのシールだったりすると、マスコットの知名度も絶対上がります。
それから、カレンダーに手話のできるお店や手話を活用している企業の方の広告枠をとれば宣伝にもなり、ろうの方にもこのお店に行けば手話が通じるのだという情報提供にもなり一石二鳥なのかなと思いました。
それから、指文字をモチーフにしたかばんや、ネームタグを作るというのもちょっとおしゃれな感じで良いのじゃないかなと思っています。
写真はイギリスのろう学校の鞄で、子どもの名前が指文字で、印字してあるものです。とてもかわいい鞄です。
それから、手話の教科書やガイドブックは、やはり神奈川県版を作るべきだと思います。
他の自治体でもオリジナルの教科書は作っていると思いますが、神奈川県の場合は、県出身のろう者のタレントさんがいます。例えば、忍足亜希子さんとか、平塚市で活躍されているハンドサインさん、他にも役者さんで庄崎隆志さん、そうした子どもたちのあこがれになるような人たちに協力してもらえば、他にない全国に誇れる教科書が作れると思います。シンプルなもので構わないのです。
指文字とあいさつ、子どもの頃から、それに触れる機会があるということが大事だと思います。
最後に、子どもたちとデジタル文化はもう切っても切れないものになっていると思いますので、アプリのことを書きました。子どもたち自身、聞こえる、聞こえないに関係なく、子どもたち自身にアプリを作ってもらって、アプリを通じた手話学習の環境を作ると良いと思います。
特に授業で活用できるアプリとか動く看板を作ってみるというのは、たまたまここに小川委員がいらっしゃいけれども、神奈川県は工科系の大学もありますし、それから、会社でも「シュアール」という企業もあります。
子どもたちと一緒に手話に関わるアプリを考えてもらえると、やわらかい頭から出てくる発想は非常に教育の面では効果が期待できると思いました。
長い時間をいただきありがとうございました。以上になります。

(石渡会長)
萩原委員、本当に萩原委員自身がやわらかい頭で興味深いご提案をありがとうございました。
そして最初のイギリスの体験を萩原委員自身が、県の条例が目指している未来の姿というふうにまとめてくださいましたけれども、今お話してくださったイギリスのような世界を神奈川県が実現できるように、ぜひ、良い計画を作らなくてはと改めて思いました。ありがとうございました。
それでは、河原委員、お願いしてよろしいでしょうか。

(河原委員)
神奈川県聴覚障害者連盟の河原と申します。
先程萩原委員の方が楽しい夢の話を出していただいた後で、固い話になってしまうと思いますが、我慢して聞いていただければと思います。
遠隔手話通訳サービスは、簡単に言えば、タブレットとか画面を通して通訳サービスを行うということです。
最近では例えば動画を簡単にインターネットを通して送るということができるようになりました。それを利用することによって離れた場所にいる手話通訳者を手元のタブレットの画面に映し出し、聴覚障害者がそれを見て手話通訳をしてもらうという方法です。
これは非常に便利なことなのですが、私たちには便利なだけではなくて、少し気になる面もあります。
そこを皆さんに理解していただきたいと思って今日資料を出しました。
気になる点について、ポイントを太文字で書いてあります。
慎重に検討する必要がある、公的機関等における「遠隔手話通訳サービス」とは、例えば市役所とか警察、病院など命または権利に関わる場での手話通訳ということです。
遠隔手話通訳だと十分に対応ができない部分があるわけなのです。それが何かということは、次に書かれています。太文字のところです。
翻訳技術提供以外の支援が欠けてしまうと記載してあります。手話通訳というのは単に手話を日本語に変える、または日本語を手話に変えるだけではないのです。
ろう者が今まで育ってきた背景もきちんと掴んだうえで、ろう者が何を望んでいるのか、何に困っているのか、そのニーズをはっきり掴んだうえで、通訳を行わなければいけません。その部分が遠隔手話通訳の場合は、画面だけできちんとそのあたりが掴めてるかどうかっていう心配があるのです。
通訳現場だけではなく、他の部分でもきちんと分かったうえで通訳を行うということ、それが通訳の仕事の大事な一つの部分ですが、遠隔手話通訳では、その部分が欠落してしまうということなのです。
例えば警察で、捕まる、捕まらないというようなところで、遠隔の通訳を行うと大事な背景などが抜け落ちてしまうために、ろう者の権利が奪われてしまうということもあるわけですね。
結局、見た目は同じ手話通訳に見えるかもしれませんが、大きな違いがあるというところを理解していただきたいと思っています。
私どもは、行政の場面とか医療、警察等の権利や関係する重要な場を遠隔手話通訳サービスは利用すべきではないと考えています。便利な部分もあるのは確かです。
例えば受け付けとか、窓口お店や切符の予約、旅行の案内とか、簡単な内容のもの、そういった場合は使うということも構わないとは思っています。
一方で例えば銀行ですと、貸し付け等の問題、または、大事な内容の場合は遠隔手話通訳サービスは使うべきではないと考えています。
そのあたりを考慮していただいたうえで、これから手話推進計画を作っていただきたいというふうに思っています。
また、時間のある際にこちらの資料を読んでいただければと思っています。
この資料は私たちの上部団体の全日本ろうあ連盟が2年前、遠隔手話通訳サービスの広まりつつある時に、全日本ろうあ連盟としての考え方を打ち出したものです。
ホームページにも載っておりますので、読んでいただければありがたいと思っています。よろしくお願いいたします。

(石渡会長)
はい、石渡です。河原委員、ありがとうございました。
とても便利な面と、使ってらっしゃる立場だからこそ気づかれる気になる点ということがとても納得できました、ありがとうございました。
今、3人の委員の方から、資料についてご説明をいただきましたが、お聞きになっていらっしゃった委員の皆さん、何かご質問とか感想やご意見等ありましたら、ぜひお願いをしたいと思います。伊藤委員どうぞ。

(伊藤委員)
平塚ろう学校長の伊藤です。
お三方のお話を聞かせていただいて、簡潔に話をさせていただきます。
小川委員のお話の中で一番共感したのは、手話はコミュニケーションの問題であるということです。
手話という手段を使って心と心を通わせるということが本質なので、そこは見誤っていけないだろうなと思っています。
本校は90名常勤の職員がいますが、17名がろうの先生です。よくそのろうの先生たちと話をします。ある先生は、SMAPが好きなんです。
そのため、SMAPの歌を手話でつけてもらうと、自分が知っている歌だから楽しめると言っていました。
しかし全然知らない歌をボランティアの方が手話でつけてくれても、それは、ありがとうとは言うのだけれども、心から楽しめているわけではないという言い方をしていました。
ですので、やはりこの取り組みを進めるときには、ご本人たちのニーズとか、ご希望に沿ったものでないと、お仕着せになってしまうと思うので、そこを注視する必要があるかなということを感じました。
それから、萩原委員のところで、マスコットはですね、ぜひ作ってもらいたいなと思います。加えて、何かプロモーションビデオみたいなものを作ってはどうかと思います。例えばですね、今考えたのは「かにゃお」が最初大会議場にいるんですね、この会場にいて、手話をしていると、でもシーンとしていると。
黒岩知事が出ていた「恋するフォーチュンクッキー」の神奈川のプロモーションビデオありましたよね。
youtubeであっという間に300万を超えたものですが、あのようなイメージで、「かにゃお」がですね、神奈川県に手話を広めるために巡回するんです。
エンディングはですね、この大会議場に人が入りきらないぐらい集まって、かにゃおくんとみんなで一緒に手話でありがとうをするとか、子どもたちも入りこめるような、そんなものができると良いなと感じました。
それから、河原委員お話ですが、私の職場には手話通訳者がいますので、勤務時間中ろうの先生とやりとりする時は、手話通訳が入ってくれるんです。
でも時間外は手話通訳がいませんので、筆談パッドだとか、今はしゃべるとすぐに変換してくれるソフトがありますので、最初はそういうもので話すんですよ。
しかし、段々もどかしくなってきてですね、どうも違うという感じがします。
うまく説明できないんですが、そういう機器を介するとどうも最初に言った心と心の繋がりという感覚ではないのですね。人と人が向き合うって、手話通訳でも良いと思うんです。
それで、表情とか息遣いだとか、実は私たちは言葉と一緒にノンバーバルな、いろんな情報でやりとりしているのだから、こういうサービスは、部分的には必要でしょうけれども、最終的には人と人とがやりとりをすると、そういう社会を作っていくんだということを前提に色々と具体案を作っていく必要があるのかなと思いました。以上です。

(石渡会長)
はい、石渡です。伊藤委員ありがとうございました。
今、コミュニケーション、意思疎通という言葉を使われましたけれども、先ほど河原委員が、単なる言葉の通訳ではなく、その人の背景を含めて通訳を行う必要があるとおっしゃっていましたが、伊藤委員はそれを心と心をつなぐとか、人と人との関わりなどとご表現いただきました。
その辺のところがきちんと伝わるために、マスコットとか、動画をうまく使うというのはこないだ黒岩知事が率先して示してくださったので、ぜひ手話についても神奈川方式にしなくてはいけませんね。ありがとうございました。
ほかに何か意見はありますか。それでは戸井田委員。

(戸井田委員)
まず私たち「手話言語普及推進協議会」を開催しておりますので、会議が始まる前に「こんばんは」、終わりには「ご苦労さま」、「ありがとう」という手話を皆さんと一緒することも、大切なことではないかと思います。
聴覚障害の皆さまにとって、手話は言葉ですので、私達も一緒に簡単なあいさつだけでもできたらと思いますが、いかがでしょうか。
この会議を意義あるものにしていくには、聴覚障害の皆さんの言語である手話を理解していくことが大切であり、共生社会を作っていくためにも、神奈川県らしい条例ができたらと思います。はじめと終わりのあいさつだけでも手話でお願いします。

(石渡会長)
戸井田委員、ありがとうございました。
今会場から拍手が沸きあがっていますけれども、最後のあいさつは是非萩原委員から締めのところをご指導いただいて、全員でやりたいと思います。よろしくお願いします。
ありがとうございました。

(戸井田委員)
手話の普及推進の第一歩に繋がっていくのではないでしょうか。よろしくお願いいたします。

(石渡会長)
はい、大事なご提案をありがとうございました。他に、今の3人のご意見との関連で何かございますか。

(各委員)
(意見なし)

(石渡会長)
それではとても大事なご指摘を沢山いただきましたが、今日の議題の本題は、ヒアリングの結果をお聞きすることと、骨子案について、まずご説明をいただくというところになります。
それでは、事務局にヒアリングの結果、骨子案についてのご説明をお願いいたします。

(事務局)
(資料にそってヒアリングの結果及び骨子案を説明)

(石渡会長)
事務局ご説明ありがとうございました。
今、骨子案をご説明いただきました。また、骨子案を作るのに、色々元にもなったヒアリングの結果もご紹介いただきました。
会議がスタートしてから、間もなく1時間程になるので、休憩をとりたいとは思うのですけれども、休憩をとる前に、今の事務局の説明について、このことを、今聞いておきたいというようなご質問とか、お考えがおありの委員の方がいらっしゃいましたら、そのことをお聞きして、休憩に入ろうのかと思いますが、今のご説明との関連で特に、確認したいというようなことはございますか。
どうぞ、河原委員。

(河原委員)
河原と申します。
骨子案の中の2ページですが、第4節「神奈川県の手話の取り巻く現状」の中に数字が書かれております。例えば、聴覚・平衡機能障害者の数について、これは県全体の数だと思いますけれども、手話通訳の数については、横浜市、川崎市も含まれた数でしょうか。
どのようにして調べられた数字であるのか、内容を聞かしてください。以上です。

(石渡会長)
はい。それでは、事務局、今の河原委員からのご質問にお答えいただけますでしょうか。

(事務局)
聴覚障害者の23,450人と登録手話通訳者数の654名というのは、神奈川県全域の数字で、横浜市、川崎市を含んでおります。
こちらの数の紹介につきましては、他課からデータをいただいているもので、どのようにしてとったかというのが今すぐに申し上げられません。

(石渡会長)
補足はございますか。

(事務局)
この数字については、毎年調査をしておりまして、その結果を、県内全体として示しているものです。

(石渡会長)
はい、ということですので、神奈川県が毎年調査しているもので、横浜市や川崎市も含めた神奈川県全体の数字ということですね。
河原委員よろしいでしょうか。

(河原委員)
すみません、発言させていただいてよろしいでしょうか。
くどくて申し訳ございませんが、派遣の件数につきまして神奈川県の数が出ておりますが、例えば平塚市ですとか横須賀市ですとか、その各市の派遣の数も含まれているという意味でしょうか。

(石渡会長)
はい、石渡です。
その下にある18,747件という数字は、神奈川県全体の市町村のまとめた数字かどうかということの確認ですね。

(事務局)
この数字は聴覚障害者福祉センターに県が指定管理をしておりまして、その派遣件数でございます。

(石渡会長)
はい、そうしますと、小海委員のいらっしゃる聴覚障害者センターで把握している数字ということになるんですね。

(事務局)
はいその通りでございます。

(石渡会長)
小海委員これは、神奈川県全体の派遣の数という理解でよろしいんでしょうか。

(小海委員)
小海です。
突然に振られたので、私も正直この数についてお答えができかねますが、一つ確認したいのですが、手話通訳者の派遣事業は市町村の事業ですよね。
私たち神奈川県聴覚障害者福祉センターが行っている派遣というものは、団体派遣または市町村から頼まれて、市町村の事業を行うというものの、二つがあるんですね。
企業が派遣をお願いする数字は、別計上かと思うので、改めて調べてお答えするということでよろしいでしょうか。

(石渡会長)
はい、石渡です。
申し訳ありませんが、それではお調べいただいて、皆さんにはっきりした数字がわかりように、事務局にお伝えいただくようお願いいたします。

(事務局)
私どもも再度確認をいたしまして、次回、お示しできるようにいたします。

(石渡会長)
他にぜひこのことというような委員の方いらっしゃいますか。山本委員どうぞ。

(山本委員)
山本です。
同じページなんですけれども、三つ目の四角い枠、三つ目ですね、「手話通訳者の配置」という書き方になっているのですが、この配置というのは、どういったイメージをで配置という言葉になっているのか伺いたいです。

(石渡会長)
それでは、事務局お願いをいたします。

(事務局)
こちら配置という言葉を使っておりますが、養成や各所に配置するというイメージで使わせていただいております。

(石渡会長)
山本委員、何かご意見ございますか。

(山本委員)
各所というのは、県庁内っていうことですか。

(事務局)
県庁内に限定してはいません。

(石渡会長)
今事務局は、手話通訳の方たちを、例えば何人養成をして、その方たちがどういうところで活動するという意味で配置という言葉を使われたと私は理解したんですけれども、違いましたか。

(事務局)
配置というのは、配置、養成の両方を含んだ広い意味で使っておりますと考えております。

(石渡会長)
石渡です。
そうしますと今山本委員からご指摘があったように、ちょっと誤解をされやすいのかなというような気もしますので、この言葉の検討も含めて、また色々委員の方からご意見をいただきたいと思いますが、それではすみません。
7時10分になろうとしていますので、ここで10分間休憩を取らせていただきたいと思います。
それで、休憩の後は、今の骨子案等について、3人の委員のご意見も含めて、委員の皆様からご意見をいただきたいと思います。

(石渡会長)
はい、それでは、15分になりましたので、再開したいと思います。
再開したところで、まず、事務局から補足説明があるということですので、お願いします。

(事務局)
休憩前の山本委員のご質問で、手話通訳の配置というご質問がございましたが、これは必要なところに手話通訳者の配置をしていくという意味で使っております。
県庁ですとか市町村ですとか、限定されたところではなくて、それ以外にも必要なところに配置するという意味で使っております。
それから、今回、事務局から骨子案を提示させていただきましたけども、これは、この骨子案で通していただきたいという、そういう意味ではなく、皆様から様々なご意見をいただきまして、言葉の使い方一つにつきましても、より良い使い方、あるいは、言い換えがございましたら、ぜひご意見をいただきまして、より良い計画づくりにしていきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

(石渡会長)
はい、石渡です。ありがとうございました。
ということですので、きれいにまとまった骨子案をご紹介いただきましたが、その前の3人の委員の方の、既存のアイデアに捉われない、こんなことが実現したらば、本当に神奈川が変わるのではないかという、お考えを示していただきました。
それぞれの委員の皆さんには手話推進計画を実現していく際に、このような点が必要であるとか、このような点を大事にしたいとか、もっとこんなこともあるのではないか、それぞれの委員のお立場でお考えのことをぜひ自由にご発言をいただけたらと思います。
ですから、特にこのことと関連してというようなことでなくても、委員のそれぞれの立場で考えていらっしゃることをご発言いただけたらというふうに思いますが、田畑委員お願いいたします。

(田畑委員)
神奈川盲ろう者ゆりの会の田畑です。
よろしくお願いします。
まず、当事者団体へのヒアリングについて申し上げます。
正直に申し上げて、この中にゆりの会が入っていないことをとても残念に思っております。
神奈川県民全体に対するその理解の周知ということもありますが、この話し合いをする中で、忘れてはいけない視点というのは、当事者への周知だと思っております。
特に盲ろう者の場合には、情報入力障害なので、本当に丁寧に情報提供しなければ、情報を得ることができません。
この条例が施行されたこと、また、この条例の中身、また具体的にどのような活動がなされていくか、そのことを、意図して伝えなければ、盲ろう者は情報を得ることができません。
皆さんから、本当に様々な豊かな楽しいアイデアをいただいて、私もわくわくしてくるのですけれども、県全体が盛り上がっている中で、私の仲間たちが、何も知らないという状況が生ずるのではないかというようにとても心配しております。
骨子案の中に手話を通じてお互いを尊重する共生社会の実現というふうにありますが、手話を広めるというよりも、ろう者、広義にとれば、言語的にマイノリティな立場にいる方々に寄り添う、あるいはそれぞれの言語を使っている方の数が少なくても、それぞれの言語を尊重しましょうという思想をみんなで共有することを目指しているのではないかというふうに思っております。
盲ろう者も非常にマイノリティなので、自ら声を発信することがなかなか難しいですし、また、彼らが情報を得るために通訳介助員という支援を受けているのですけれども、その支援に現在制限があります。
自由に外出をしたり、情報を得たりということが、制度上は許されていない現状があるということを、皆さんにお伝えをしておきたいと思っております。
ある盲ろう者から言われた衝撃的な言葉があります。「色々な制約や制限がある生活をする中で、私は、我慢をしなさいといわれたら、我慢をすることしか知らないのです。そうすることしか出来ないのです。」と言われたことがあります。
情報を得たり外出をしたり、そういうことにハンデがありますので、ただ与えられた環境の中で、やりくりするしかないという状況が今なおあるということをお伝えして、当事者も、健常者も本当にすべての人がともに共有できるようなプランを考えていただきたいと思っております。以上です。

(石渡会長)
はい、石渡です。
田畑委員、ありがとうございました。私も個人として田畑委員と同じような思いがございます。
お互いを尊重する共生社会というところを実現するための手話が一つの入口なんだっていうような理解だと、事務局の方ともお話をしたところなんですけども、そういうことをやっぱりきちんと伝わるような、計画にしたいですので、またお知恵をいただきたいと思います。
それから、神奈川盲ろう者ゆりの会へのヒアリングについても、ちょっとまた事務局に少し工夫していただいてと思いますが、ありがとうございました。
それでは、お待たせしました、田村委員お願いいたします。

(田村委員)
田村です。ヒアリング資料の件について少し補足といいますか、意見を言わせていただきたいのですが、まず第1に今の田畑委員のおっしゃったことは、その通りで、まず当事者の意見をきちんと踏まえていただきたいということがあります。
そういった意味でその団体からのヒアリングは当然大事なことなんですが、満遍なくいろんな方からの意見を聞いていただきたいなということと、それから今後進んでいく中でパブリックコメントを沢山取る機会があると思います。
多分立場が違うと意見が色々だと思いますので、矛盾することもあろうかと思いますが、できるだけ当事者の意見ということを尊重していただきたいなと思います。
そこで、ご紹介していただいた中自分なりの考えを申し上げたいと思います。
まず、「ろう者のことを理解していただきたい」という意見。
当然そのとおりで、ここに書かれていることは一つ一つまったくその通りだと思って読んでいたのですが、この件については、もちろんそのろう者のことを理解していただくということと併せて、これ実は私が大学生に授業の中で教えていることなのですけれども、実はろう者ということに対して、今、一般社会の多くの人たちが大変誤解していることがあります。それが本当の理解を妨げているのではないかと思います。
つまり、例えばろう者は唇を読んでくれるんだから、こちら何もしなくても話せば良いのだとか、口を大きく開けて話せば良いのだというような誤解ですとか、あるいは聞こえなくとも筆談で書けば良いのだということで、相手がわからない言葉でも書いてしまうということですとか、あるいは、これは統計的に現在どの程度になっているのか私もよくわからないんですが、手話についても、必ずしもろう者全員がその手話をきちんと理解しているとも限らないわけでありまして、そういった意味で、一番ショッキングだったのは、NHKの手話ニュースを見て、正しく意味が取れるろう者が全員ではないという話を聞いたことです。
そういった点で、本当の意味での手話ということをどれくらいきちんと標準化されて、みんなのものになっているのかというあたりも把握しておかないと、ろう者を本当に理解することに繋がらないのではないかという心配をしています。
それから二つ目に、少しでも手話がわかることと、深く理解することは違うということ。これもその通りだと思います。広く浅く知っていただくことも当然必要です。
一方で正確にろう者の気持ちを代弁できる人たちを多く養成して、必要なところに配置をするということはまさしく必要なことだろうと思います。
ここに集まっている方は皆了解してらっしゃることだと思うのですけれども、この両面はきちんと押さえておかないといけない部分かなと思います。
余談ですけど、10年ちょっと前に私が平塚ろう学校の校長だったとき、手話を覚えなくてはいけないなと思いました。それはなぜかと言いますと、校長先生のお話というのがあるからです。
百数十人の生徒が、体育館に集まって、私は壇上で話をしなくちゃいけないんですね。
当然情報保障されていますので、私のしゃべる原稿はすべて事前に渡してあって、それはOHPで全部表示されているのですね。
ですからアドリブの冗談が言えないのですけれど、それは置いておいて、隣に手話を使える先生がいて、私の話していることを手話通訳をしてくれますので、それは良いのですが、これはいけないと思ったのは、子どもたちが私を見ないことです。
手話や情報保障の方を見ているわけですね。これではコミュニケーションではない。
先ほど伊藤委員が手話はコミュニケーションなのだといわれました。
つまり人と人の繋がりの元ですので、目と目を合わさない形でのコミュニケーションは本当ではないと思って、せめて校長先生の話をするときは私を見てもらいたいから下手でも手話を使うというふうにしました。
そういったことが基本として必要なのではないかと思っております。
長くなりましたが、最後にろう教育の話が出てきまして、前回の協議会でもちょっと言ったのですが、ろう学校にろうの先生を増やすというのは、実は10年ちょっと前に、私の時から始めたことなのです。
私がやったという意味ではなく、ちょうどそういう時代背景だったということなのですね。
私より前のろう学校というのは、あるいは私のころのろう学校というのは、まだ聴覚口話法が全盛でした。
ですからろうの先生も少数いましたが、その先生というのは申し訳ない言い方なんですが、例えば中途失聴して、他の学校ではなかなか教えられなくなってきたのでろう学校に赴任したという感じの先生も中にはいました。
子どもたちのロールモデルとしてのろう者つまり、大人のろう者というのを彼らは自分の親しか知らない。それではだめだと。きちんと子どもに教えることのできるろう者が、子どもらの目の前にいる必要があるというふうに考えたのです。
それがちょうど時代の背景で、そこからどっとろう者の教員が増えてきました。
ですからこのことは一つ抑えておく歴史かなと思っています。
異動の問題については、これはろう教育に限らず、特別支援教育全体の問題です。
たとえば病弱教育等についても、専門性ということはとても高くて、一朝一夕に養成できるものではないのですが、実際には異動の一つのルールがある中で、何年かに1度、学校を異動していかなければならない。
それについては前回申しましたけれども、長くやる専門性の良さと、いろんな学校種別、あるいは様々な障害種別を知ったうえで、もう一度ろう教育に帰ってきていただくということの厚みとどちらを取るかという話になってくるのではないかと思います。以上です。

(石渡会長)
はい。田村委員ありがとうございました。
今の教育の話も大事なポイントをおっしゃってくださいましたけれども、最初のところで、当事者の声を大事に計画を作って欲しいということがありました。しかし、今の骨子案だとなかなかそこのところが見えきれていない気がしますので、そのあたり、どのようなやり方をするかについて、色々御意見をいただきたいと思いますし、コミュニケーションの本質というのは、皆さんおっしゃっているとおり、その人とどうきちんと向き合うかというようなところ、手話もいろんな情報保障もあるということが再確認できました。他に何か意見はありますか。河原委員どうぞ。

(河原委員)
たびたびすみません河原です。
骨子案を読ませていただきまして、大変よくまとまっていると思います。
ただし、少し足りないなと思います面がありますので、お話させていただきます。
一つは先ほどおっしゃった、ろう者の理解ということにつきまして、大きな柱の中に、手話の普及と理解というふうに書いてありますが、手話を使っているろう者に対する理解が必要であると思います。
手話だけではなく、ろう者への理解もぜひ入れていただきたいと思います。
それから、ヒアリングの時にも出されました、ろうの子どもが手話を獲得するという条件が今ほとんどございません。
ろう学校の中でも手話を使って教えているところもありますが、教科として教えているわけではないと思います。
また、ろうの子どもが生まれた時、その親のほとんどは健聴で手話を知らないことが多いので、そういうろうの子どもは手話を学ぶ機会がないわけです。
ろうの子どもの発達を考えるうえでそういう状況でどうなのかなと考えています。ろうの子どもが手話をきちんと学ぶ機会が必要であると思います。骨子案に手話をきちんと教えるということも入れていただきたいと思います。
聞こえる子どもたちに手話を教えることも大事ではありますが、聞こえない子どもたちにきちんと手話を教えることも大事です。それを入れていただきたいと思います。
また、3番目の柱の中で、手話を使用しやすい環境整備をしたいと書いてありますが、手話は日常だけではなく、例えば災害が起こった時、必要になるわけです。
例えば災害が起こったときですが、情報を得るための機械が停電などで役立たなくなくなってしまい、最終的には人とコミュニケーションを取らなければいけないということになります。
そういうときに手話ができる人がいるかどうかが大きな鍵になります。
非日常的な場面でも手話で情報を得て、コミュニケーションできるように、例えば避難所とかそういうところでの場面についても環境整備を考えなければいけないと思います。
また、庁内会議として手話言語推進会議があると思いますけれども、先ほど小川委員が言われましたように、きちんと当事者が参加して、具体的な審議をしたうえで進めていくという体制が必要であると思います。
当事者でなければ気づかない視点が沢山あると思いますので、ろう者が参加をして進めていく仕組みが必要であると思います。
また、こういった会議だけでなく、具体的な施策を考える体制も必要だと思いますが、ろう者や聴覚障害、手話について、本当に専門的な知識を持っている人は、少ないと思いますので、当事者と一緒になって具体的な施策を考える体制を作っていかなければいけないと思います。
以上です。長くなりまして申し訳ございませんでした。

(石渡会長)
河原委員、大事なご指摘ありがとうございました。
当事者というお立場でないと気づかないご指摘をいただきありがとうございます。
ろう者についての理解やヒアリングの中にもあったかと思いますが、国語という教科はあるけれども、手話という教科がないということで、手話を教育の中で、きちんと学ぶこと、それから、災害のような非日常の場面、そして、先ほど田村委員からも意見がでましたけれども、ろう者自身の声をこうした協議会のなかでにどのように位置づけるかということについては、大事なご指摘を沢山いただきましたので、事務局はきちんと整理をお願いいたします。
他に何か意見はありますか。はい、影山委員お願いいたします。

(影山委員)
公募委員の影山と申します。
前回発言がなかったのと、私は団体からの代表ではないので、簡単に自己紹介させていただきます。
私は普段、大学病院に勤めています。
その病院の中でも私は事務方で、主にシステム担当の仕事をしていますので、患者さんと接することはなく、ろうの患者さんとも、実際に接したことがありません。
手話を期間限定で習ったことがあって、そこから興味を持ってここに応募している形になります。
そのため、この中では一番素人かなと思うのですけれど、素人という面と、病院職員としての意見等があるので、そこからお話をさせていただきたいと思います。
まず、うちの大学病院の状況を知り合っている医師や技師からヒアリングをしたことを簡単に説明したいと思います。
うちの大学病院の耳鼻科と看護部にいくつか確認をしたんですけど、まず、病院として手話通訳者を雇用しているということではなくて、必要に応じて、たまたま病棟に手話のできる看護師さんがいたり、医師がいれば、ヘルプで来てもらうとか、耳鼻科であれば、人工内耳の手術が多いので、そこには常勤で手話を話せる人がいるということでした。
今後、病院としての大きな考えはわからないのですけれども、特にその手話通訳をどうこうしようとか何かしなければいけないという声も今のところなさそうです。
この骨子案を事前に読ませていただいて、先ほど山本委員からもあったんですけども、手話推進計画が目指す姿ということで、環境の整備がありまして、通訳者の配置ということがあったんですけれども、配置にあたっては、おそらく手話通訳者を雇用する必要があって、当然人件費などがかかってくるのかなと思います。
その点で言うと、いきなり雇用って言われても、例えばうちの病院では非常に難しいところがありまして、手話通訳専任なのか、もしくは他の業務と兼務して、手話通訳も行うのかという点があって、非常に難しいかなと思ってます。
病院の職員の立場で言えば、例えば補助金が出たりとかそういう一部の支援があれば、最初のとっかかりがあるので、そこから雇用につながったりとか、今後の教育にも繋がるかなと思うのですけども、その辺がこの骨子案だと予算化して何か実施するというところがあまり見えてこないので、具体的に今後肉付けする中であればいいかなと思います。以上です。

(石渡会長)
ありがとうございました。
今影山委員から、病院で働いていらっしゃるお立場で、病院に手話通訳というような配属が難しいという話がありました。
そのあたりをこの計画の中でどのように考えるかというご意見がございました。
今の影山委員のご意見と、少し関わって私の意見になるんですけど、ヒアリングの内容を聞いていますと、聴覚障害であるためにきちんと対応してもらえなかったという話や、病院で診察してもらえなかったという話は、差別に関わる例みたいな部分があるので、その辺り障害者差別解消法が来年の4月から施行されるので、障害者差別解消法との関連についても、手話通訳者の配置という点等を含めて、この計画の中できちんと位置付けなければならないことはもちろんですが、併せて他の法律や制度との関係も、考えなくてはいけないのかなということを、影山委員のご意見を聞いて思いました。

(二見委員)
経営者協会の二見でございます。
前回の協議会でも発言しようと思ったのですが、皆さん大分活発にお話されていたので、控えさせていただきました。
皆さんからお話を聞いておりますと、自分自身として、ろう者のことを良く知っていなかったなと感じております。
私も出身元の会社の方で採用関係の業務を担当したことがございまして、耳の聞こえない方、難聴な方も、採用したケースがございます。
特に理系の方でしたが、実際に職場にある機械の音であるとか振動といったものを聞きわけないと、異常がわからない、いわゆるリスクがわからないというような職場がございまして、そういった職場への配置はなかなかしにくいものです。
ひょっとしたら、感覚、感じで分かるんだというようなお話もあるかもしれませんが。先ほど田村先生がおっしゃっていたかと思いますが、ろうの方にも色々なレベルの方がいらっしゃるということを踏まえて、個別に配置場所、担当業務を決めなければならないということになります。
基本的には筆談で間違いのないように確認し合って仕事をするということで、職場の中ではそれが基本的な業務指示、確認の流れとなっていました。
いわゆる機械を取扱うとか、場合によっては人の命に関わるものについては、やはり、きちっと筆談なりで確認し合う必要があると思っています。
逆に先ほど河原委員がおっしゃいましたけれども、受付であるとか、いわゆるコミュニケーション中心のところは、手話が非常に向いているところだろうと思います。
ですから、「企業の職場の中で」「すぐに雇用に」云々という話よりも、私が重要視しているのは、手話を通じたコミュニケーションの基盤を作っていくことでありまして、それが社会生活に潤いを持たせるものだと考えております。
したがって、今回計画を作るにあたって、5年間というスパン、平成27年4月にこの条例が県下で制定されて、さらに、手話推進計画を平成28年から実施していこうということ。そのためにこの協議会があるわけでございますので、この5年間でどこまでのレベルを手話推進計画として目指すかというところ、この第2章の部分のところを、ある程度、委員全員が同じ感覚で認識することが大事なのではないかと思っています。
そのために、もう1点申し上げますと「手話の理解」というのが、どのレベルを目指すべきなのかということは、人それぞれ、違うということです。
私も手話の本を買いましたけれども、「良い」とか「ありがとうございます」はわかるのですが、それ以外の手話はなかなか身につかないものです。
ですから、小さな一つ一つの単語でも良いのかもしれないですが、それらを積み重ねていくということが大事だと思いまして、骨子ですから、細目のところはこれから定めていくのだと思うのですが、「手話の理解」のレベルをどこに置くかということはしっかりと定めて欲しいという感じがしております。
あともう1点は、教育現場での手話ということでありまして、先ほどの田村先生のお話なんかを聞きますと、手話が通常の教育の中に落とし込まれていないような印象を持っているんですが、いわゆるろう学校の教育として、手話の取得ということが標準化された話になっているのかどうか、そのところちょっと確認したいなと思っていました。
いかがでしょうか伊藤先生。

(伊藤委員)
先ほど90名職員がいるとお話しましたが、90名職員全員が手話ができます。
授業は手話で行います。
中でも17人のろう者がいて、その人たちは、ろう者の中で使われている手話も教えています。
ただ、河原委員がおっしゃったのは、手話で教科を教えていますが、手話そのものについて教えていないじゃないかというご指摘だと思うのですね。
そこは私もこれから充実強化していかなきゃいけないところだと思いますが、こないだ行った、手話の授業は、学校では自立活動という名称なのですが、例えば、「トイレ」、こういう手話で表すのですが、感覚で言うと、目上の方や異性に言う時に「トイレ」は普通使いませんよね。「お手洗い」と言いますよね。
そういう際にはこうやって表現するのだよと、生徒に教えています。これが手話の授業の1例じゃないかと思います。
そういったことも取り入れてやっていますが、一方で手話の授業内容は十分ではないということがあると思いますので、ここはですね、ろうの教員に聞いて、どんなことが必要なんていうことについて、内容的には手話の授業について、順次とりあげていくということを行う必要あるかなと思っています。
普段授業は手話でしています。

(二見委員)
基本的には教育のツールとして標準化されてると認識してよろしいでしょうか。

(伊藤委員)
伊藤です。
おそらく、学校間や都道府県で差がありますが、平塚ろう学校は、NHKでも取り上げられたように、全国的に見れば、相当手話が一般的な教え方として取り入れられている学校であると認識はしています。

(石渡会長)
手話についての教育の状況というのが、イメージできましたが、二見委員からは手話の理解とか、どこまでを目指すのかというお話がありました。

(二見委員)
5年間の計画の範囲でどこまでを目指すのかですね。
多分、5年間ですべて世の中に広まってしまうということはないと思います。
人間は年をとりますし、新しく生まれてくる方もいらっしゃるわけなんで。

(小川副会長)
小川です。
今二見委員がおっしゃったことはいつ言おうかと思ってた内容でしたので、発言させていただきます。
この骨子案っていうのは、組みあがった全体の骨組みのことなんですよね。
ですから、骨子案があるけど後何も知らないよでは、骨子ではなくて、思いついた作文という事になってしまいます。
5年計画なのですから、5年後にどういう状態を目指すかっていうものがなければいけないというふうにおっしゃっていると思うのです。
企業の方ならなおさらだと思うのですけど、何が足りないかというと、5年後に想定したアウトカムというか結果がないのです。
別にこちらに書かなくても良いのだけれども、これよりさらに下層の資料として、5年後にはここまで到達するよという目標があるから1年刻みあるいは2年刻みでここまでもっていこうということになるわけなので、それがここに書かれるということが重要だと思います。
例えば、災害が起こったときの対応です。
災害があった際に手話通訳を配置しますと書くのは、一瞬にして書けるのですけども、どのくらいの避難所数があってそこにどう配置するのかという記載が必要であると思います。
避難所だけではだめかもしれないけれども、仮に避難所の数と、そこに派遣する手話通訳の数とか、ある程度数値的なものを想定して、これでは圧倒的に足りないという結論を導いたうえで、別のところから出向ける手話通訳者はどのくらいかという仮説ででも、例えば東北の経験やいろんな経験を加味して、そういう到達の目標がないといけないと思います。
そうすると現状分析のデータがないので、先程、障害者数と手話通訳者数とか派遣数とかがトータルで合算が出ましたけども、各市町村でろう者の数がどのくらいで、派遣件数がどのくらいあるのかという最低限の数字ぐらいは出ていて、それでも足りないということがあるからどうすれば良いかということが出てくると思うのです。
今手話を普及させるのに、あいさつとかコンビニの話がありますけれども、コンビニでも、ちょっとしたことができるだけですごくそこに行きやすいということがあったなら、そこまでのレベルにするということにするためにはどのくらいのレベルなのか、それから手話通訳者の養成については、一定の期限が必要なので、5年でも短いかもしれないけれども、5年後にはどのくらいの数、さらに手話通訳を充実させるためには、さらにもう何年かが必要かというような想定した数値が出ないといけないと思うのですね。
ですから今日はちょっと時間がないのだけれども、次の協議会の際には、僕の方も事務局に出そうと思いますけれども、事務局は現状分析をする資料を数値で出してください。
数値目標としてこのくらいの数字にしてみようかという想定があって、それに対して各団体の方でもこれでは到底足りないので、こういうふうにした方が良いっていうのがあると思うので、作文の文言は出ているんですけども、具体的な数字を1回載せてみて、リアルに考えていくというのを次にやってみたらどうかなと思います。二見委員のご意見にとても賛成で、まずは基礎データを事務局にお願いしてみようかなと思います。

(石渡会長)
はい、大事なご指摘を、小川委員ありがとうございました。
そこのところはまた事務局にもご検討いただくということで、残り時間も少なくなってきているんですけれども、先に本田委員、よろしいですか。

(本田委員)
商工会議所連合会の本田と申しますけども、事業者サイドの代弁の形になります。
事業者サイドと申しましても中小企業、小規模企業の集まりで、そういった分野なのかと思いますので、色んなご意見を持った方がいらっしゃって、本当に千差万別なんですけども、第1回目、第2回目通じて感じた事を申し上げます。
皆さん、同じような意識を持っているなということです。それについては同感なんですが、本日提出されている資料に、ヒアリングをした結果が記載されているのですが、できれば、ろう者の立場からのご意見と、ろう者とコミュニケーションを取る立場の方の意見ですね。事業者もそういった分野のカウンターパートに入るんですけども、その分野側の人たちの意見や意識も併せて調査したうえで、そういった結果を踏まえて、今後計画の策定等にあたっていただければ、より内容の充実したものができるんじゃないのかなという印象を受けました。
簡単に言ってしまえば、本日骨子案で提出されております基本理念、それからその続きで記載がありますが、目標はお互いを尊重する共生社会の実現という記載があります。その通りだと思います。大賛成なんですけども、手話が広く普及啓発されてですね、世の中の皆さんがこういった意識なり考え方に立てれば良いと思います。
手話につきましては特に商工業者の世界なんかは、人手不足などで日常的に、苦労されている方が多いので、新しい義務や役割を押し付けられるというのは、非常に抵抗感があるのだろうなと思っております。
手話そのものが特別なものというような認識をされないように、色んな日本語もそうですけど、人間対人間が意思疎通を図る一つの手段だという理解をしていただいて、普及が進んでいく環境を作ることというのがまず大事なのかなと思っております。
先ほどこれもちょっと触れられていましたけども、まずは手話であいさつをするとかですね。簡単なお礼だとか、そういった感情表現ができる手話表現を広く皆さんに知っていただいて、それを実際使っていただける機会をできるだけ多く作りだしていくということが、出発点としては非常に大事なのかなというに感じております。以上です。

(石渡会長)
石渡です。ありがとうございました。
本田委員のお立場も今までのいろんな専門職の方と同じだということと、それから、改めて、聞こえない方と向き合う人の考えや意識について、きちんと把握をしなくてはというご指摘をいただきました。そのような調査ができるかどうかは難しいですけども、何か方法を考えるということは大事なご指摘として受け止めなければいけないと思います。それでは、土佐委員どうぞ。

(土佐委員)
こんばんは。高浜高校の土佐です。よろしくお願いいたします。
まず一つご報告なのですけれども、手話言語条例が神奈川県で制定されてから、高等学校で反響があります。
本校で夏休みに福祉手話講座という授業、講座を設けていますが、例年ですと、本校の生徒だけの参加でしたが、今年はPTAや、県内の高等学校の先生方が参加してくださっています。
それは明らかに手話言語条例を意識しているという反響の表れだと思います。
二つめは、今日の小川委員、萩原委員、河原委員の資料についてです。
これは感想になってしまいますが、ご提案、とても感動いたしました。
先程田畑委員からもわくわくするという表現がございましたが、私も、こんなことができるんだということで非常にやる気が出てきた次第です。
最後に、これが大事なところだと思うのですが、この骨子の中で、2つ目に教育が担う部分が示されています。これは、先程のヒアリングの中の2枚目にありますけれども、手話を普及する際に、少しでも、手話がわかるということと、正確に手話を理解し、通訳ができることをきちんと分けて捉えたほうが良いということが書かれています。
この部分においては教育も同じで、同じ教育でもろう学校の教育と私どもの普通科教育、どちらかと言うと私どもは多分普及の方になるのだと思いますが、小川先生からのご報告にあったように少しでも手話がわかることがろう者の方に喜んでいただけるということをお示しいただきましたけども、そういった部分を担える学校教育と、手話を正確に伝えていく部分というのは、分けて考えていかないといけないと思います。
手話の授業を毎週やりなさいと言われても、私どもにとっては正直言ってできないことですし、その辺の区分けが必要かなと思いました。以上でございます。

(石渡会長)
また、貴重なご意見をいただきましたけども、特に三番目、これはやっぱりその教育っていうのもそれぞれ立場によって、目指す手話の学びは違ってくるというところがきちんと位置付けないといけないということですね。
はい、ありがとうございます。そろそろ時間ではあるのですけれども、何か意見はありますか。秋本委員、萩原委員ですね。先に秋本委員、お願いします。

(秋本委員)
神奈川県公立小学校長会から参りました秋本です。
私は、小中学校という義務教育現場にいる者ですが、高校という立場での手話教育についての土佐委員のお話をうかがい、同様のことを考えておりました。
高校では、より社会に近い立場ですから、手話についても職業的な観点で考えたり活動したりすることが多いと思います。
小中学校でもキャリア教育という観点はありますが、「総合的な学習の時間」という学習の中で、小学4年、中学1から2年あたりの学年の子どもたちが「福祉・共生」というテーマで色々な体験を通して共生社会を学んでいるという学校がほとんどです。その体験活動のなかの一コマに手話を学ぶことが計画されています。
しかし、学校では、さまざまな教育施策により学習活動が多岐にわたり、「総合的な学習の時間」の時数が少なくなり、おのずと活動時数や活動内容が精選されています。土佐委員が発言されましたように、小中学校におきましても手話を教科の中に位置づけるというのはなかなか難しい問題であり、特色ある教育活動として学校全体で実践している学校のほかは、ある学年の一時期の体験学習で終わり、継続されていかない、繋がっていかないという現状です。
それでも、外国語活動のように、日常生活の中で単語やあいさつ程度の手話を取り入れていくということ、手話を入れながら歌を歌ったり音楽集会をしたりすることで点の学習を線の学習にしていかれると思いますし、大事なことだと思います。
それには、子どもたちを教える教員の意識改革が必要と考えます。多忙化の中、つい優先順位をつけて流されてしまいがちですが、当たり前に共生社会で生きていく子どもたちであるために、点ではなく、将来につなげる線の指導を大切にできる教員の意識・姿勢が大切だと考えます。
以上です。

(石渡会長)
またとても大事なご指摘を、ありがとうございました。
この計画の中でどのように位置づけるか悩ましいところですが、それでは、萩原委員手を挙げてくださいましたよね。

(萩原委員)
私は最後になりますか。

(石渡会長)
まだご意見がある方もいらっしゃるかなとは思うので、最後でよろしいですか。飯島委員、いかがでしょう。

(飯島委員)
当事者の声に加え、様々な世代からの声も聴いてみたい気がします。例えば子どもたちが手話をどのように捉えているのか。子どもたちならではの発想も大切にしたうえで、大人たちが何を用意しなければいけないのか、といったこと思います。
それから市町村別のデータも、収集は大変だと思いますが、大切だと思います。やはり地域ならではの課題も見えてくるのかもしれません。
最後に、先行して条例のある自治体に学ぶということも必要かと思います。これから神奈川で取り組んでいく際に、何かしらのヒントになるのではないでしょうか。

(石渡会長)
はい、今世代とか地域という視点をいただきましたが、金井委員、吉本委員、いかがでしょうか。

(金井委員)
障害者差別解消法が来年度から施行されます。
先ほど職場等で働くうえでの話がありまして、企業も色々準備をしなければいけないと思っています。
特に差別解消法の中で「合理的配慮」をする事になります。
今回この計画の中で、障害者に対する「合理的配慮」という視点がなかなかはっきり見えない部分がありますので、こういう計画の中で、一つ方向性を示して、企業とまた、働くものみんなで考えなければいけないと思っています。「合理的配慮」等について示される内容が計画に入ればいいのかなと思います。以上です。

(石渡会長)
障害者差別解消法に記載されている合理的な配慮についても、この条例との関連で考えなくてはいけないかなと思います。はい、ありがとうございます。山本委員、どうぞ。

(山本委員)
先ほど土佐委員が手話ができることと専門的な手話通訳ができることの違いについておっしゃっていました。
私もこの条例で少し心配するところがありまして、広く手話を普及するといううえでも、今まさに例えば、手話奉仕員養成講習会などを経て、日常生活会話ができるまでに成長する人たちもいるわけです。
また手話サークルに移行して、そこで、地域に根付いたろう者との交流、協力をしている方もいっぱいいらっしゃるのですね。
今回の骨子を見ますと、そういう方々の姿がちょっと見えてこないところがありまして、先ほどもありました災害時にはおそらく、ろう者の生活する近くにいる手話ができる人、手話通訳者だけではなく、手話ができる方々の協力っていうのがまず一番大事になってくると思うんですね、そういうことも踏まえまして、手話通訳と手話ができる協力者というところの棲み分けで、何か形にできるものがあるのではないかなと今、皆さんの話を聞いて感じました。
それと、事業者の皆さまの意見は、おっしゃるとおりだと思います。規制みたいなことをしたら、皆さん嫌がるだろうと思うのですね。
小川委員が準備してくださった、よかった事調査っていうのがありますよね。ああいうものがうまく、活用できないかなと思います。
ろう者が利用してとても良いイメージを持つことができたという商店や企業を奨励していく、そういう相乗効果って結構あると思うんですよね。
あそこが悪い、これが悪いっていう言い方をすると、気が萎えてしまいますけども、逆によかったことを探して、それを皆さんで奨励していくってことが、自然と普及の効果っていうものに繋がるのではないかと思います。
それともう一つは、全国手話研修センターが、全国手話検定というものやっているのですね。
これは手話通訳の資格ではなく、5級から1級まで5段階あるんですけども、そういうものをうまく活用しながら、つなげていけないかなと考えております。
それと、皆さん思っていると思いますけども、やはり、4回の協議会では、なかなか決めていくことや肉付けしていくことが難しいかなと思います。
数値目標とか、次回出てくるかもしれませんけれども、場合によっては協議会の回数を増やさざるを得ないとか、あとは作業部会が必要になってくるのではないかなどについて少し考えなければならない状況にもなるのかなと思っております。

(石渡会長)
色々大事なご指摘をいただきました。
そして、最後の協議会の運営については、事務局としてお考えいただけるとありがたいかなと思います。吉本委員、何かありますか。

(吉本委員)
この計画を作る際、マイナス思考ではなくて、ぜひプラス思考で作っていただきたいと思います。
細かいことですと、例えば計画の概要のところの背景のところで、3つ目でしょうかね。「これを実施しなければならないとされている。」
この1センテンスを読むだけでもやらなければいけないのだというトーンが見えますが、むしろ神奈川県として積極的にやりたいんだというトーンを出すべきですよね。
また、3ページ目の施策の展開の手話の普及のところも「理解促進」という記載になっていますが、「関心を持たせるように」しようよとかに変更してはどうでしょうか。表現の問題なんですけれども、これをしなければならない、あれをしなければならないというよりは、ポジティブ思考でこういうことをすると理解度が高まってお互い楽しく生活できるというようなポジティブな気持ちで作っていくってことがまず前提としてあって欲しいというのが個人的な感想です。

(石渡会長)
はい、さっきのワクワク発想で行くみたいなところですね。
それでは、萩原委員お願いします。

(萩原委員)
3点ありまして、1つ目は住み分けの話なんですが、私も自分の職場で手話を教えていますけれども、それは通訳者を育てるためではありません。
すぐそばにいつでも手話のできる人がいるという安心感を持ってもらいたいという思いで、手話のできる人を増やそうと思って手話を教えています。
そういうことも一緒に考えていけたら良いのではないかというのが一つで、そうすれば予算が何とかということもあまり考えずに済むのではないかと思いました。
2つ目なんですけども、二見委員と小川委員がおっしゃったとおり、今の骨子案の状態だと未来予想図の記載がないと思っていたところです。
この前ロンドンに行ったのは10年ぶりでしたが、すごく変わったという印象を受けました。
変化のきっかけはやっぱりパラリンピック、オリンピックだったに違いないと個人的には思っています。
あくまで、人々の雰囲気という面で、具体的なサポートがすごくできるようになったとかということではないけれども、人々の、気持ちとか障害者に対する見方というものが変わったという印象をすごくうけました。
私達にとっては、5年後がちょうどイベントの年にあたります。
この計画に書かれている「5年後」はすごく良いチャンスなのです。
5年後を超えたときに、その先はきっと、何かが変わるんじゃないだろうか。
そのための5年間の階段、ステップを作っていくことができる5年間になったらいいなと思います。
事務局の方にはゼロから考え、ヒアリングを経て、ここまでのものにしていただいたことで、これからもっと正確なデータや、予算の面など、そういった先のことも含めて、より良いものにしていただけると期待しております。
最後にせっかく機会をいただいたので、皆さん、手話のお土産をお持ち帰りください。使うチャンスのあるもの、それからなるべく点で終わらないもの、そして、人が明日も覚えていられる新しい言葉の数は3つまで、3つまでなら皆さん、明日もちゃんとできると思います。
今日は最初なので一番簡単な手話を。
「手話」それから、「ありがとう」と「お疲れ様」指1本と、手のひらとそれからグーでできる手話を覚えてお持ち帰りいただきたいと思います。
まずは「手話」ですね。
指を1本の状態にして、横にしてください。
くるっとまわせば「手話」です。前に回して「手話」です。
それから、両手パー、体に平行に平らにした片方の手の甲の上に、もう片方の手を交差させるように上からちょっと当てます。「ありがとう」の手話です。このときに心をこめてください。
そして長い時間「お疲れ様でした」です。グーの手でやります。
肩たたきと同じようなかんじで、体に平行に平らにしたもう片方の腕を叩いて「お疲れ様でした」。
この三つの手話をお土産にお持ち帰りください。

(石渡会長)
とても良い指導をしていただいたところで、事務局にお返しします。

(事務局)
今日いただきました意見を踏まえまして、次回は、より詳細な計画の素案を作成いたしまして、ご議論いただく形を想定しております。
次回の協議会に向けた日程調整の段取りなんですけども、近日中に委員の皆様にまたメール等で日程の調整をさせていただければと思いますので、皆様、よろしくお願いいたします。
最後に、本日の議論の結果なんですけども、議事録を作成いたしまして、また、委員の皆様の方に送付させていただきますので、ご確認の程よろしくお願いいたします。
今日はどうも、ありがとうございました。

会議資料

01次第[PDFファイル/5KB]

02委員出欠[PDFファイル/8KB]

03手話言語条例[PDFファイル/134KB]

04スケジュール[PDFファイル/18KB]

05資料1 ヒアリング結果概要[PDFファイル/11KB]

06資料2 手話推進計画骨子案[PDFファイル/15KB]

07小川委員配布資料 参考資料1[PDFファイル/188KB]

08小川委員配布資料 参考資料2[PDFファイル/303KB]

09小川委員配布資料 提案資料[PDFファイル/35KB]

10萩原委員配布資料[PDFファイル/66KB]

11河原委員提出資料[PDFファイル/11KB]

12(参考資料)庁内の取り組み[PDFファイル/58KB]

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