高齢者福祉施設における新型コロナウイルス感染症の迅速検査の令和2年度実証試験結果について

掲載日:2021年6月25日

神奈川県では、新型コロナウイルス感染症の、重症化リスクの高い高齢者が入居する高齢者福祉施設において、発熱者等が発生した場合の迅速な検査について、3つの特別養護老人ホームで実証試験を行いました。

施設写真

通常は、施設内で発熱者等が発生した場合、協力医療機関の病院やクリニックの医師に容態を連絡し、新型コロナウイルスの検査が必要な場合、病院等に高齢者を移送し、検査を行ってもらっていました。
本試験は、事前に医師から発熱時等の指示をうけ、施設内の看護師が鼻咽頭等から検体採取、15分程度で結果が判明する抗原検査を行う、また、2施設ではクリニックや民間検査会社によるスマートアンプ法での検査を実施しました。コメント

迅速検査のフロー

フロー

2 実証試験の結果

(1)社会福祉法人啓生会 特別養護老人ホーム はまゆう等

(ア)施設の概要

  • 所在:三浦市三崎町諸磯1411-1
  • 施設概要
    • 特別養護老人ホーム はまゆう(定員54名)
    • 小規模特別養護老人ホーム たんぽぽ(定員29名)
    • 介護付有料老人ホーム アーブル・ヴェール(定員30名)
  • 実証期間:令和2年11月11日~令和3年2月28日

(イ)実証試験の概要

lifecase

スマートアンプ法を活用した簡易パッケージ機器

  • 入居者等で発熱等の症状が出た際、協力医療機関であるクリニックの医師の指示に基づき、施設内で看護師が検体を採取
  • 検体採取は、抗原検査用スワブ及びスマートアンプ法用スワブの2本を採取。
  • インフルエンザと新型コロナウイルスのスクリーニング検査として、抗原定性検査キットにより抗原検査を実施。
  • 抗原検査(15分程度)が陰性の場合、スマートアンプ法用の検体(不活化液に入ったチューブ)をクーラーボックスに入れ、クリニックに車で移送。
  • 抗原検査(15分程度)が陰性の場合、スマートアンプ法用の検体(不活化液に入ったチューブ)をクーラーボックスに入れ、クリニックに車で移送。
  • クリニックにて、医師が診療の空き時間を活用し、スマートアンプ法を活用した簡易パッケージ機器により、遺伝子検査を実施。

(ウ)実証試験の結果

  • 発熱症状のあった入居者・施設スタッフ8名、また、上気道の異常を訴えた入居者・病院から退院してきた入居者21名の合計29名に対して、抗原検査を実施。すべて陰性。
  • 同上29名が抗原検査陰性であったため、29名全てに対して、スマートアンプ法を活用した簡易パッケージ機器により、遺伝子検査を実施。すべて陰性。

(エ)施設責任者の感想

  • 本検査は、施設の看護師に負担はかけてしまうが、看護師自体のスキルアップが図られたこと、また、看護師が介護スタッフに対して、検体採取と同じように感染リスクの高い、口腔ケアや食事介護の際の感染対策を指導してくれたことで、施設全体の感染症対策のレベルが相当向上した。

(2)社会福祉法人久寿会 特別養護老人ホーム 中の郷

(ア)施設の概要

  • 所在:相模原市緑区大島1556番
  • 施設概要
    • 特別養護老人ホーム 中の郷 従来型(定員54名)
    • 特別養護老人ホーム 中の郷 ユニット型(定員40名)
  • 実証期間:令和3年2月17日~令和3年3月19日

(イ)実証試験の概要

  • 入居者等で発熱等の症状が出た際、協力医療機関である病院の医師の指示に基づき、施設内で看護師が検体を採取。
  • 検体採取は、抗原検査用スワブ及びスマートアンプ法用スワブの2本を採取。
  • 新型コロナウイルスのスクリーニング検査として、抗原定性検査キットにより抗原検査を実施。
  • 抗原検査(15分程度)が陰性の場合、バイク便を手配し、スマートアンプ法用の検体(不活化液に入ったチューブ)を民間の検査機関に移送。
  • 検査機関にて、スマートアンプ法による遺伝子検査を実施し、検査結果を病院に電話連絡。病院から施設に結果を電話連絡し対応を指示。

(ウ)実証試験の結果

  • 発熱症状のあった入居者3名に対して、抗原検査を実施。すべて陰性。
  • 同上3名が抗原検査陰性であったため、3名全てに対して、スマートアンプ法による遺伝子検査を実施。すべて陰性。

(エ)施設責任者の感想

  • 新型コロナウイルスの検体採取や検査は、状況の見極めが可能であれば施設内での実施を検討する必要がある。その際、県や国から依頼通知等があれば、医療との体制作りがよりスムーズになる。
  • 医療力と介護力があって、医師の指示のもと、検査等の一定の医療行為が施設内でできることも、福祉施設のレベルアップにつながり感染防止対策の一助になる。
  • 協力医療機関の病院の院長が、実際に施設に来ていただき、検査の際のアドバイスをいただいた。こうしたことは、以前にはなかったことであり、本実証試験により、施設と病院の距離が縮まった。
  • 一方で、施設の看護師に大きな負担をかけることになるため、施設側での感染対策を評価する何らかの公的な仕組みが必要である。

(3)社会福祉法人蓬莱会 特別養護老人ホーム ケアプラザさがみはら

(ア)施設の概要

  • 所在:相模原市緑区大島295番
  • 施設概要
    • 特別養護老人ホーム ケアプラザさがみはら(定員140名)
  • 実証期間:令和3年3月20日~

(イ)実証試験の概要

  • 入居者等で発熱等の症状が出た際、協力医療機関であるクリニックの医師の指示に基づき、施設内で看護師が検体を採取。
  • 検体採取は、抗原検査用スワブを採取。
  • 新型コロナウイルス抗原定性検査キットにより抗原検査を実施。
  • 抗原検査(15分程度)の結果を、医師に報告し、対応の指示を仰ぐ。

(ウ)実証試験の結果

  • 発熱症状のあった入居者1名に対して、抗原検査を実施。陰性。

(エ)施設責任者の感想

  • クラスターが発生した際のことを考えると、施設側での抗原検査で早期に判断できる体制は、本当に必要であると感じる。
  • 施設内で検査をする場合は、PPE(個人用防護具)としてN95マスクが必要であるが、一般のルートでは手に入り辛い。市にも配布用の在庫はないとのこと。
  • 県からコロナに関する知識や対応を共有いただいたことで、それを基にして、他県の施設長会で事例発表をしたが、かなりの反響があり、発表資料を他の施設で活用したいとの話が多く来ている。
  • 他県でのコロナが発生した施設では、近隣から窓を開けるなとか、用水路の掃除を強要されるとか、コロナに対する知識と理解が薄いために、施設側の大きな負担になっている。
  • コロナ対策は、昨年のクラスター発生後、徹底した消毒やPPE着用等を行なっていたが、職員の疲弊が顕著であった。施設のコロナ対策は、ポイントを明確にし、守るべき箇所を徹底することで、職員も疲弊せずに感染対策を恐れ過ぎずに実施できている。
  • 介護保険の報酬改定で、クラスター対応、感染シミュレーションの訓練の実施状況、BCP(事業継続計画)の立案等が評価項目になると聞いており、本実証試験結果も活用して感染対策を実践していく。

3 検査の意義

  • 新型コロナウイルスの検査は、PCR検査が感度等の面で最も優れているが、厚生労働省の病原体検査の指針によると、鼻咽頭、鼻腔から検体採取し、キットによる抗原検査(定性)も発熱患者等への検査に有効とされている。(唾液の検体採取による抗原検査は、国が研究中)
  • なお、PCR検査は、感度等で優れているが、潜伏期間の初期では陽性確認ができない場合がある。例えば、クラスター現場で、PCR検査を行い陰性となった無症状者が、数日後に発熱し、抗原検査で陽性になるケースが散見される。

感染可能期間とウイルスのRNAとの関係

4 新型コロナウイルスの感染経路

(1)エアロゾル感染

A感染者による、呼吸・会話・歌唱・運動・咳・くしゃみなどの行為によって、微細な飛沫やエアロゾルを吸入することで感染が成立する。
特に2m以内の微細な飛沫等の感染が、新型コロナウイルスの主な感染経路である※1。

 

 

B

また、2m以上離れていても、換気が不十分な空間で、感染者による運動・歌唱等で、微細な飛沫やエアロゾルが飛散し、それらに潜んでいたウイルスを相手が吸入すると感染が成立する

(2)飛沫感染

感染者からの飛沫及び微細飛沫が、粘膜に直接付着して感染が成立する。

(3)接触感染

C感染者からの飛沫が、ドアノブやエレベーターのボタン等の「もの」の表面に付着し、「もの」に触れた後、口や鼻等に触れる接触感染もあるが、一般的な感染経路ではない※2。

 

 

※1 厚生労働省2021年2月26日「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」による伝播様式の表現を参照。また、アメリカ疾病対策センター(CDC)2021年5月7日の報告書をもとに記載した。なお報告書では、主な感染経路は、6フィート(1.83m)以内の微細な飛沫やエアロゾルの吸入としているが、厚生労働省「3つの密を避けるための手引き」では他人との距離を2mとしていることから、ここでは2mと記載した。
※2 接触感染は、厚生労働省の手引きでは、「ウイルスを含む飛沫などによって汚染された環境表面からの接触感染もあると考えられる」と標記されているが、感染経路の優先度を明確にするため、CDCの指針に基づく記載にした。
また、2021年5月7日のCDCの報告書でも、新たな感染源には大きく寄与しないことが示唆されていると報告されている。
さらには、シンガポール国立感染症センターからの論文「SARS-CoV-2の血清陽性率と高リスク濃厚接触におけるリスク要因」では、「感染者が触った直後に同じ表面に触れる等の間接的な接触、食事のシェア、トイレの共用は、感染と独立して関連付けられてはいなかった」との報告あり。

本文ここまで
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