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更新日:2023年6月6日

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第10期第4回神奈川県男女共同参画審議会議事録(その2)

第10期第4回神奈川県男女共同参画審議会議事録(その2)

 <白河委員>

そうであれば、やはりこの四つを変えるということも含めて考えた方がいいと思います。そして、その中の一つのアイデアとして、「ジェンダー」というものに関してどこかに説明を入れる、SOGIの概念も含みます、のような説明を入れることによって、「ジェンダー」という言葉を使いやすくすることができないかなと思っています。 それから、ジェンダー平等をうたうときに一番重要なのは、やはり、今ギャップの下の方にいる人たちに対して、より強くエンパワーすることが必要なので、ゴールVにも必ず「女性と女児のエンパワメント」は入っていますので、どこかに強く盛り込んでいただきたいです。 それから、先ほど岩田会長がおっしゃった、ジェンダー平等を入れるとすべてに重なってくる、というのが、ある意味当たり前で、本来でしたらこの「Iあらゆる分野への参画」というのは「ジェンダー主流化」という言葉に置き換えられると思います。「ジェンダー主流化」というのは社会のあらゆる分野や政策をすべてジェンダーの視点で見直してみるということで、そこに必ずジェンダーの要素を入れていくということです。国の今年の骨太の方針の中では、コロナ対策の中に、それが入っていました。全部の項目で主流化というのは、できなかったのだと思うのですね。その代わり、コロナ対策のところにはジェンダー主流化が入っていました。つまり、ジェンダーとは個別のものではなくて、すべての分野に横串を通していく、ということは、とても重要な観点ですので、どこかに入るようにしたいと思います。そのためには、もしこのまま入るとしたら「Iあらゆる分野への参画」のところに入ると思いますし、それから、「IIIワークライフバランス」はどうなのかと思っていて、「女性と女児のエンパワメント」を入れるとしたらどこになりますかね。どういうふうに見直すか今すぐに提言できないのですけども、「女性と女児のエンパワメント」は、SOGIの意味が入ったらより強く印象づけるために、ジェンダーギャップの解消のためにやることということで、入れたいなと思っています。以上です。

 

<岩田会長>

今の構成だと「女性と女児のエンパワメント」はやはり「IIあらゆる分野への参画」のところが一番近いとは思いますね。他の整理の仕方もあると思いますけども。それから「ジェンダー主流化」は、対策や政策を議論するときの視点なのですよね。ここの「IIあらゆる分野の参画」の「あらゆる分野」とはちょっと次元が違いますね。

 

<白河委員>

そうですね。岩田会長がおっしゃったように、「ジェンダー主流化」と言ってしまうと、すべてのところに重なってくるのですよね。「ジェンダー主流化」という言葉がわかりにくいのでなかなか使いにくいと思うのですけれども、それをしないとなかなかこの数字などは上がってこないなというのが実態だと思っています。

 

<岩田会長>

そうすると白河委員のご意見は、「ジェンダー主流化」の考え方をどこかに入れられないかということですね。

 

<白河委員>

それから、格差、ギャップを埋めるために、より女性と女児に対して手厚くやるということ入れたいと思っています。

 

<岩田会長>

井上委員お願いします。

 

<井上委員>

今の議論を聞いていて、私の先ほどの議論も少し混乱していたなと申し訳ないと思うのですけど、先ほど私が目標と一対一対応でなくてもいいですよねと確認したのは、この理念と目標の違いなのです。重点目標の方は施策の束ですよね。それに対して基本理念の方はこういう方向で、これを理念にして進んでいきましょうという方向性というのか、まさに理念だと思います。だからこそ「I人権の尊重」が入っているということを考えると、ここに、この計画ないしジェンダー平等の社会を作るためにどういう方向で進んでいけばいいのかということが書かれた方がいいわけですよね。具体的な施策の対象の場面分けとか、あるいは施策の手法の違いというのを、むしろ重点目標のところで整理した方がいいのかなと思います。そういう意味では、白河委員がおっしゃってくださった「ジェンダー主流化」は、是非とも入れたらいいと思いました。それから「エンパワメント」というのも、狭い意味でのジェンダーや女性・女児に向けてのボトムアップといった話に直結しますので、「エンパワメント」という言葉も何らかの形で入れたいと。だから、「ジェンダー主流化」、「エンパワメント」、そしてあと何か、ちょっと抽象的ですけど、理念のところに「I人権の尊重」もいいと思います。理念ですから重なってもいいと思います。このような形に整理した方がいいかなと思いました。そういう意味では、「IIIワークライフバランスの実現」というのが少し浮いた感じがすると白河委員がおっしゃったのもとてもよくわかります。これは、一つの施策の対象なので、他の理念とバランスというか、抽象度の違いがあると言ったらいいのでしょうか、座りが悪いと思うのですよ、もちろん重要なことですけど。ですので、重点目標のほかに、理念があるわけですから、理念としてこういう方向でというのが並ぶといいと思います。

 

<岩田会長>

野村委員お願いします。

 

<野村委員>

まず、事務局から出してくださった、「すべての人が」に「男女が」を変えるということには賛成です。それから、基本目標に「ジェンダー平等社会へ」ということを出すならば、やはり基本理念の柱の中に、その言葉が入ってもいい、入った方がより良い宣言になると思います。入れるとしたら「IV固定的性別役割分担意識の解消」のところを、「ジェンダーギャップの解消」と言い切ってしまって、その中に、性別役割分担意識、やはりケア労働の分担が女性に偏ってしまっているということは大きな問題だと思いますので、IVの文言を言い換えるということもできるのではないかなと思います。もちろんそれがすべて、意思決定過程への参画やワークライフバランスにも関わってくるものですけれども、基本理念は、そういう重なり合いがあっても良いのかなと思います。それから、「IIIワークライフバランスの実現」に関しては、確かに言葉はどうかというのもありますけど、でもやはり女性の活躍を後押しするのは仕事と家庭の両立支援策とそれから意思決定層に至るようなキャリア形成支援をするというのが二大柱だと思いますので、両立支援という意味で、この要素は残した方がいいと思います。以上です。

 

<岩田会長>

他に発言のご希望の方いらっしゃいますか。白河委員。

 

<白河委員>

先ほどの「ジェンダーギャップの解消」のところですが、無償労働のギャップの解消とか、責任ある地位だけではなくて、やはり男女賃金格差の解消というのが、最終的な目標になるのですよね。今回、新しい資本主義会議の中にも男女賃金格差の是正が入っていましたので、女性のガラスの天井だけではなく、床に張り付いている最低賃金に対してもアプローチができるので、「ジェンダーギャップの解消」という項目をどこかに必ず入れて、その中に、無償労働の隔たりも、それから、会議の人数とかそういったものもそうなのですけど、やはり賃金格差の解消というものも入れていただきたいなと思います。

 

<岩田会長>

ここで私が逐一コメントするのもいかがかなと思うのですけど、賃金格差の解消は、理念の問題というよりも次の対策編だと思いますので、対策編で賃金格差の問題を取り上げることをもう一度議論させていただくということでよろしいでしょうかね。他にご発言よろしいでしょうか。さて、もう予定している時間になってしまったのですけれども、今日ここで、この基本理念は、文書化も含めて、固めてしまわないといけないのでしょうか。事務局はいかがですか。もう少し時間を延ばして議論してみますか。

 

<事務局>

骨子は、この後庁内で諮りますので、ある程度具体的な柱についてはご議論を固めていただきたいと考えております。

 

<岩田会長>

皆さんの今日のこの後のご都合はいかがですか。30分ほど延長してもよろしいですか。ありがとうございます。30分延ばして結論が出るかどうかは自信がないのですけども。

 

<濵田委員>

5時までの参加となり、ここで失礼させていただきます。

 

<岩田会長>

はい。ここで発言なさりたいことを言い置いていっていただいてよろしいでしょうか。濵田委員どうぞ。

 

<濵田委員>

皆様の議論を伺って本当に非常に難しい部分だなと思うところではありますが、「ジェンダー平等」はやはりしっかりと入れた方がいいかなと感じています。それから、「IIIワークライフバランスの実現」はなくしてもいいかなと感じたところです。後は皆様の議論を議事録等で確認させていただければと思います。

 

<岩田会長>

濵田委員、今日はありがとうございました。柳川委員が手を挙げておられるでしょうか。

 

<柳川委員>

私もこの後、対応しないといけない別件がありまして、失礼させていただきます。県に確認をしたいのですが、第4次から引き継ぐのが基本的な考えなのか、審議会でここを変えてくという形で大丈夫なのでしょうか。

 

<事務局>

審議会の意見を踏まえまして、私どもの方で検討させていただきたいと思っております。事務局案としては、基本理念も引き続きという形でご提案をさせていただいたのですが、本日いただいた議論を含めて、再度検討させていただきたいと思っております。

 

<柳川委員>

私も皆様のいろいろな意見を聞いて、「ジェンダー」という言葉を使いながら、周知していく形に賛成をしたいと思います。申し訳ないですが、これで失礼させていただきます。

 

<岩田会長>

柳川委員ありがとうございました。 それでは残りの30分で、具体的な文書化まではとてもできそうにないのですけれども、事務局の方で文書化していただけるだけの内容を詰めていきたいと思います。 論点がたくさん出ていて、それを一つ一つ議論していかないといけないのですけれども、一つ目は、「男女が」という表現をやめて「すべての人」と変えたところは、皆さんいいとおっしゃっているのですけれども、「性別による」という表現を、「性のあり方」とか、「性別(性的指向・性自認)」という言葉に言い換えるというご意見が出ています。これについては、もうちょっと議論しないといけないと思うのですけども、議長としてではなくて、私個人の一委員としての意見は、「性別(性的指向・性自認)」と具体的に言うことについては、性的な多様性を排除しないというのをはっきりさせる必要があるし、「男女」は「すべての人」に変えるということは大賛成なのですけども、「性のあり方」とか、「性的指向・性自認」というところまで踏み込んで書くということになると、このプランに何を盛り込むか、何を中心的に盛り込むかということの議論になってくると思います。もちろん性的マイノリティ対策も、できることは盛り込みたいと思いますけれども、それは大きな、中心的な柱ではないかもしれないと思います。ですから、「性別(性的指向・性自認)」の問題に余りにもフォーカスしすぎるというのはいかがかなという論点もあるということも含めて、この問題を皆さんで是非議論していただきたいと思います。 それからもう一つは、「ジェンダー」という言葉を基本理念の中に入れたいということですけども、どういうコンテクストで入れるかということはもうちょっと議論した方がいいと思うのですが、「ジェンダーギャップの解消」「ジェンダーの主流化」という言葉が出てきましたけれども、この「ジェンダー」をどういう理念としてここで書くかということを議論していただきたいというのが二つ目ですね。さらに、野村委員が言われた「V 固定的性別役割分担意識の解消」という観点も含めて、そこで使ったらどうかというご意見もありました。 それから三つ目は、白河委員がおっしゃった「女性と女児のエンパワメント」という言葉ですけれども、社会的には女性があるいは女児が、女性である女児であるということを理由として、いろいろなハンディキャップがありますのでそれを埋めるための政策的なことが必要なのではないかということで、ポジティブアクションの要素も含めてだと思いますけども、そういうことをどういうふうに入れたらいいのだろうかというのが三つ目の論点だと思います。それから四つ目は、「IIIワークライフバランスの実現」は、政策の束であって、基本的な理念とは次元が違うのではないかというご意見がある一方、やはり引き続き今の重要な課題であるから残すべきであるというご意見もありました。 これから議論していただかないといけないのは、大きく今言った四つでしょうか。他に議論しないといけないことがありましたでしょうか。もし他にあったらまた教えてください。 一つ目からいきましょうか。「男女が」を「すべての人が」に変えるというのはいいとして、「性別」「性別による」「性別に関わりなく」この辺りをどのような表現にするかということについて、ご意見どうでしょうか。「性のあり方」とか、「性別(性的指向・性自認)」という言葉で置き換えるというご意見は複数の方からいただいておりますが、それに賛同される方、逆に私のようにちょっと違和感のある方、いろいろいらっしゃるかもしれません。白河委員。

 

<白河委員>

私の誤解だったら申し訳ないのですけど、性別欄は「男」「女」「X」などになっているので、「性別」は、私はたくさんのカテゴリがあるというイメージをもっています。ですので、二元論にとられないように、「性別」と記してもその下に何か説明を入れることによって解消できないかなと思いました。例えば、Facebookでは性別を書くところは、五十八種類あって、アメリカのパスポートも「男」「女」プラス「X」になって三種類ですので、「性別」というのは必ずしもすぐに二元論には結びつかないかなと思うのですが、皆さんのイメージはいかがでしょうか。

 

<岩田会長>

また一つの新しいお考えが出てきました。「性別」いうのは男女に限るという意味ではない。そういう意味で「性別」という言葉を使い続けることはあるのではないかというご意見です。野村委員どうぞ。

 

<野村委員>

私はこの言葉の定義について恥ずかしながらあまり知識を持ち合わせていなくて、例えば「性別による」というのを、「性のあり方の違いによる権利侵害差別を受けず」とか、「性別に関わりなく」というところを「性のあり方に関わりなく意思決定」という、その「性のあり方」に言葉を置き換えることで性的指向とか性自認を包括するということはできないのでしょうか。私の知識がないので、詳しい方に対する質問です。

 

<岩田会長>

今の野村委員のご質問に対して、井上委員どうぞ

 

<井上委員>

私が「性のあり方」ないし「性のあり方の違いによって」と申し上げたのは、今野村委員がおっしゃってくださったようなことです。これがLGBTの四つに限らず、様々な「性のあり方」ということなので、今おっしゃってくださったことです。「性別」というと、ある種制度的な、ある種他者から与えられた枠組みというニュアンスになると思うのですね。そうではなくということを考えています。

 

<岩田会長>

どうでしょうか。また私個人の意見ですけど、私は白河委員がおっしゃったように「性別」というのは、二元論だけではないと思うのが一つと、それから「性のあり方」という言葉を使うと、いわゆる性的マイノリティのイメージの方が強すぎて、男女別というか、いろいろ社会的な構造の中で、引き続き大きな問題を抱えている女性や女の子の影が非常に薄くなるという懸念をしています。他の方はどうでしょうか。橋本委員どうぞ。

 

<橋本委員>

私は、しっかりとそういうところにも目配りしていますよということで、「性自認」や「性のあり方」という表現が包含しているという感じもするのでそちらがいいとは思うのですが、基本理念でカバーできなくても、中身などで、この「性別」というのは二元論じゃないということがわかるような内容になっているのであれば、必ず入れてほしいとまでは言いません。委員の皆さんは「性別」というと、すべて包含しているのではないかとおっしゃる方は多いですけれども、一般的に言えば「性別」というのは男女しかなくて、Xというのもまだなかなか日本の中でフォローが浸透してるわけではないので、多くの方には「性別」と言えば「男女」としか思えないというのは事実だと思いますので、そこに配慮した注釈をどこかに入れるか、または中身の中でそういうところもはっきり書くということであれば、「性別」という言葉でもやむを得ないのかなと思います。

 

<岩田会長>

萩原委員どうぞ。

 

<萩原委員>

この四つの理念を、このまま踏襲すると考えると、「性別」という言葉、あるいは「性のあり方」をここに丸々あてはめると少し違和感が生じるというのは伺っていてその通りだなと思うのですけど、枠組みを変えるとすると、一つは多様になっている性別という枠組みでは、今までの性別では収まらない性のあり方ということの理念と、そこに、隠されてしまいそうなエンパワーが必要な、マイノリティへの配慮の問題という、理念の立て方そのものを新たにしないと、この議論が収まらないのではないかと思います。ワークライフバランスについても先に話してしまいますが、働き方改革が出てきたことによって、少し論点が変わってきていると思うので、このままの理念では少し難しいのではないかなと思っていますが、家庭的責任を女性だけが負っていることが、女性の社会での力の発揮を阻害しているのだということと、実は家庭的責任を負うということが一つの社会参加であるということを男性側にもう少し自覚してほしいということを、組合として今、男女平等計画の中にどうやって入れ込んでいくか、実践していくかというところをやっていることを考えると、ワークライフバランスではないのですが、家庭的責任あるいは家庭生活が当たり前に社会の役割の一つだということが理念に書かれると、男女平等、ジェンダー平等社会につながるみたいな表現ができるといいなと思いました。

 

<岩田会長>

「ワークライフバランス」は、後でもう少し議論したいと思いますが、「性別」についてはどうでしょうか。もうここで結論を出すのではなくて、いろいろなご意見が出たところで、一つ目の論点は、このぐらいでいいでしょうか。もうちょっと絞った方がいいですか。皆さんが承諾していただけるのでしたら、「性のあり方」や「性的指向・性自認」の言葉はここでは使わないで、でも、「性別」というのは、男女の二元論ではないということを何らかの形ではっきりさせるというのではいかがかなと思うのですけども。そのようにまとめるのは今の段階ではどうでしょうか。まとめてよろしいでしょうか。頷いている方が多いので、よろしいですか。はい。それではそのように、ここで区切りとさせていただきたいと思います。 二つ目の「ジェンダー」のコンセプトの入れ方ですけれども、こちらについてはいかがでしょうか。もう既にいろいろなご意見が出ていますけれども、よろしいでしょうか。白河委員。

 

<白河委員>

「ジェンダーギャップの解消」は、この柱のどれかに入れていただきたいなと思っています。家庭におけるジェンダーギャップと、経済における格差と両方入るかなと思います。皆さんいかがでしょうか。多少重なってもいいと思っているのですけれど、現行の理念を活かすとしたら「IIIワークライフバランスの実現」、「IV固定的役割分担意識の解消」のところにまたがることになってしまうのですよね。「ジェンダーギャップの解消」を一本にして、その中身を少しやっていくというのはどうでしょうかね。

 

<岩田会長>

「ジェンダーギャップの解消」を大きな理念にして、その下にサブ理念をということですか。

 

<白河委員>

そうです。どうでしょうか。

 

<岩田会長>

今それで結論を出すのは、難しいかもしれませんが、一つのアイデアではありますよね。「ジェンダーギャップの解消」というと、今柱になっているI、II、III、IVとほとんど重なりますので、例えば基本理念の前に、短い前文的なものを置いて、そこで「ジェンダーギャップの解消」をうたうとか、何か工夫ができるかもしれませんね。私も「ジェンダーギャップ」を使って今のIからIVに並べて書くというのがちょっと難しいと思っていましたから、一つの案だと思います。井上委員どうぞ。

 

<井上委員>

再三確認して申し訳ありません。これは理念なので、具体的な施策のところで重なるのは当然だと思います。だからそれはあまり気にしなくていいのではないかなと思います。

 

<岩田会長>

そうではなくて、理念同士が重なることを言っています。今のIからIVまでの理念、これを見直すということはいいのですけれども。

 

<井上委員>

理念が重なるのもあるかもしれませんけれど、これは施策を進める上での理念、方向性を示すところですよね。具体的な施策は、重点目標なので。そうだとすると、私は「(1)ジェンダーギャップの解消とエンパワメント」「(2)人権の尊重」「(3)ジェンダー主流化」「(4)固定的性別役割分担意識の解消」、この四つが理念じゃないかなと思って先ほどから議論を聞いていました。これですと、対象としては重なりますけど、理念の方向性は一つ一つ違うものなので、理念が具体的な施策で重なってもいいけれど、理念の方向性が重ならなければいいわけですよね。

 

<岩田会長>

そうです。でも、例えば、「ジェンダーギャップの解消」と「固定的役割分担意識の解消」というのは、ほとんど重なりますね。

 

<井上委員>

「(4)固定的性別役割分担意識の解消」を入れたのは、先ほど岩田会長の論点の整理の中に、「ジェンダー」という概念をどういうふうに使うかという話がありましたよね。私も研究者なので、ジェンダーの概念を整理しろと言われればそれはいくらでも整理しますが、今、国際的には、国際機関等を含めて、それほど異論なく使われているという意味では、「ジェンダーギャップ」はOKだと思います。それから「ジェンダー主流化」も誤解はたくさんありますけど、きちんと定義されて使われているものだと思います。それともう一つ、ジェンダーの概念の中で非常に重要なのは、制度的な問題だけではなくて、意識の問題にも起きるということも重要ですから(4)は絶対入れた方がいいと思います。ですからこれは言っていることが全部違うのです。ですので、重なっていないというのが私の意見です。重なっているという意味で言えば、「(2)人権の尊重」が一番重なっているのではないですかね。でもやはり、理念で、施策ですから政策の推進は往々にして「人権の尊重」とバッティングする可能性があるのですね。そうであったらいけないというのが前提ですけれども。それを考えて、「人権の尊重」というのを言っておくべきかと、たとえ重なってもいいと思っています。

 

<岩田会長>

分かりました。井上委員、ありがとうございます。理念もやはり体系的なものであった方が私はいいと思うので、重なりはない方がいいと思うのですけど、あまりそのことを気にしていると、本当にやりたい、目指したい理念というのが上手く表現できませんので、重なりの問題をどうするかは、事務局あるいは私にも一任していただければ、預からせていただいて整理をするとして、重なりを考慮しないで、ここで是非入れたい基本理念を確認していきたいと思います。 「I人権の尊重」はこのまま入れるということでよろしいでしょうか。いいですか。順番をどうするかは最後の議論とします。それから、「IIあらゆる分野への参画」、こちらはどうですか。

 

<野村委員>

これは、意思決定層への女性の参画という意味も含め、私は残した方がいいと思います。

 

<岩田会長>

これは、残す方向でよろしいでしょうか。さて、「IIIワークライフバランスの実現」はどうでしょうか。松田副会長どうぞ。

 

<松田副会長>

これはやはり、働き方改革が叫ばれている今、そしてポストコロナ社会になった今、多くの男性たちは、やっと「ワークライフバランス」という言葉が馴染んできた方がいるのですね。セクシャルハラスメントと同じようにして。これは、ポストコロナ社会におけるワークライフバランス等で微調整していただければ、残しておいた方がいいと思います。以上です。

 

<岩田会長>

「ワークライフバランス」を基本理念とすることはちょっといかがかなというご意見もありましたけれども、これは男女共同参画社会、ジェンダー平等社会を実現するために、男性の働き方・生き方をどう変えるかという観点や、女性が、経済の分野、政治の分野、地域社会で、さらに活躍するための今の大きな障害である働き方をどのように変えるかということだと思いますので、表現をどうするかはまた検討することにして、このIIIのテーマは残すということでよろしいでしょうか。 「IV固定的性別役割分担意識の解消」はどうでしょうか。固定的性別役割分担意識という書き方が古くなってきているというのか、井上委員もおっしゃいましたように制度だけでは駄目で、意識とか、習慣とか、アンコンシャス・バイアスの問題も含めて、それがジェンダー平等社会実現のために重要だというのは皆さん異論がないと思います。ですから、タイトルをどうするかというのは検討するにして、そういう理念も大事であるということで、残すということでいかがでしょうか。 これから追加しないといけないもので残っているのが、一つは、ジェンダーギャップの解消という問題、もう一つは、ジェンダーメインストリーム、ジェンダー主流化、この辺りをどうするかというのが最後に論点として残っておりますけども、どうぞご意見をいただければと思います。

 

<白河委員>

この四つの理念の中に「ジェンダーギャップの解消」が入らないのでしたら、最初のところに「ジェンダーギャップの解消、女性と女児のエンパワメントを目指して、この四つの基本理念を遂行していきます」のような文章を入れるのはいかがでしょうか。それから「IIあらゆる分野への参画」というと、管理職の比率だけになってしまいそうなので、「賃金格差の是正」はここに入るのかなと思います。ただ、この下に具体的な施策が来るとなると、どれに紐づくかを整理しなくてはいけないですよね。事務局の皆さんが、これはどこに入れればいいのと迷うようなことになると、ちょっとお気の毒なので、そのあとの具体的な計画が立てやすいような四つの柱にしなくてはいけないなと思っています。

 

<岩田会長>

事務局はどうですか。私は、基本理念は、井上委員もおっしゃいましたけど、今後の対策には必ず綺麗に紐づかなくても、一対一じゃなくても、斜めになったり二重に関係したりいろいろあると思うので、それはあまり心配しなくてもいいのかなとは思うのですけど、事務局はどうですか、それでいいですか。

 

<事務局>

そうですね、基本理念については、あくまで独立していることなので、その下に重点目標があって、その分野ごとに、紐づいてくるということです。そのすべてに関わるいわゆる基本理念、大きな項目という理解なので、一対一で紐づける必要性はないと考えております。

 

<白河委員>

それでしたら、五番目の柱として「ジェンダーギャップの解消と女性と女児のエンパワメント」を入れてもいいのではないかなと私は思っています。

 

<岩田会長>

それを一つの柱にするのがいいのかというのはあるかもしれませんけど、要素としては、「ジェンダーギャップの解消」と「女性と女児へのエンパワメント」は大事だから理念には是非入れたいと思いますね。他の方はいかがでしょうか。井上委員どうぞ。

 

<井上委員>

あとは「ジェンダー主流化」ですが、これは、是非個人的には入れたいと思っていますが、このようなこと忖度してはいけないかもしれないけれど、おそらく庁内では反対が出るのではないかなという気がしています。これが一番難しいと思うので。でもだからこそ是非、明確に入れていただきたいなと思っています。例えば重点目標5のところに直接的に関わる推進体制の問題になると思いますので、まだ整理が必要だとしても、「ジェンダー主流化」が、政策の手法としてこれが重要だということは、入れていただきたいと思います。

 

<岩田会長>

松田副会長どうぞ。

 

<松田副会長>

この四つの基本理念は、実は十年前、「かながわ男女共同参画推進プラン(第3次)」から変わってないのですよね。ですので、今の井上委員の「ジェンダー主流化」を五本目の柱にしてもいいぐらいだと感じています。ただ、四本にするのでしたら、「ジェンダー主流化」はやはりこの後が大変かなと思います。この基本理念のところのリード文ですけれども、「県は、次の4つの基本理念に基づき、市町村、NPO、民間企業等との連携を図りながら、施策を遂行していきます」という文章が入るのですよね。だからここで「ジェンダー主流化」やジェンダーギャップの解消を目指して」といったリード文はつくれないと思っているので、四本の理念でいくのであれば、「固定的性別役割分担意識」を「ジェンダー主流化」に変えてもむしろいいぐらいだという感じはしてきました。以上です。

 

<岩田会長>

「ジェンダー主流化」の議論に移っていますけれども、他にいかがですか。私自身、少し引っかかっているのは、ものすごく大事なことだと思うのですけども、他の理念は、どういう社会を実現したいかということを基本理念に掲げているわけです。「ジェンダー主流化」はそれを実現するためのやり方、考え方ですね。ですから私は今の構成で言うと、この基本理念ではなくて、重点目標5のところで、これは本当に大変なことだと思いますけども、はっきり入れていただきたいと思います。具体的に何をするかということですけども、例えば、神奈川県庁の様々なプランや計画のすべてにジェンダーの視点を入れるということです。それを男女共同参画審議会がチェックするということだと思いますので、プロセスは作れるのですね。プロセスは作れる、やり方はあると思いますけど、それはすごく大きなことです。ですが、SDGsでも、SDGsのゴール5のジェンダー平等というのは、それだけで独立した領域であると同時に、全ての17の目標を実現するために横串として必要な考え方だということはSDGsでも整理していることだと思いますので、そういう考え方で、新しいプランを推進する、それはすごくハードルが高いことだけれども、やってほしいなと思います。ですから、理念とは違うのではないかなと。整理だけの問題です。考え方に反対しているわけではないのですけど。 他にはいかがでしょうか。さて、お約束の30分が過ぎました。方向性は出たとは思いますけれども、難しい宿題として残っています。事務局は、ここで、今日の議論は閉めていいでしょうか、どうでしょうか。

 

<事務局>

今の理念について、「I人権の尊重」「IIあらゆる分野への参画」「IIIワークライフバランスの実現」「IV固定的性別役割分担意識の解消」、この柱については基本的に残すという形でご了解をいただいていますので、表現などを考えなくてはいけませんが、本日のご意見を踏まえて事務局で調整させていただきたいと考えております。

 

<岩田会長>

審議会だけの問題でしたらね、もちろんメンバーは一部交代するのですけれども、次期の審議会が始まって、次回のところで、事務局から今日の議論を踏まえた理念のたたき台を出していただいて、そこでも一度議論するというのが、審議会としては望ましいのですけれども。県庁の中での手続きやプロセスがあると思いますけれども、そういうことで大丈夫ですか。

 

<事務局>

プロセスとしては、本日の議論を踏まえて、庁内調整をしまして、それを議会にかけるという流れになっております。

 

<岩田会長>

その議会にかけるのは、この理念も議会にかけるのですか。

 

<事務局>

はい、今回は、プラン名、基本目標と基本理念までを議会に報告することになります。

 

<岩田会長>

それは、その後修正があってもいいのですか。

 

<事務局>

基本的には、議会にかけたものなので、大きくはなかなか変更できないということになります。

 

<岩田会長>

変えられないとすると、今の委員の任期は五月末までですよね。あと本当に限られた日数しかないのですけれども、その間で、事務局にこの理念の修正案を作っていただいて、私もよろしければ相談にのりますけれども、それを皆さんにメールでまたお諮りするということを、5月末までにできますか。

 

<事務局>

そうしていただけると大変ありがたいです。

 

<岩田会長>

皆さんには、今日の審議会が最後ということにはならずに、引き続きご意見をいただくことになると思います。本当に今日はありがとうございました。一通りの議論はできたかなと思いますけれども、プランの名称、そして基本目標、基本理念、今日の議論を踏まえて事務局に整理をしていただき、私も一緒に入って案を作らせていただきます。それを皆さんに諮りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 閉会する前に、本間室長にずっと意見のやりとり聞いていただいておりましたので、最後にご意見ご感想をいただきたいと思います。

 

<本間共生推進本部室長>

岩田会長ありがとうございました。皆様からも、本当にたくさんの意見を、多々いただいたなと思うところです。私も、この分野は今の職に就いてから、いろいろ本を読んだりして、初めての分野なのですけども、最新の知見を踏まえたご発言をたくさんいただいたなと思いますし、また、グローバルな知見を踏まえたご意見もいただき、本当に勉強になりました。本当に国内でもかなり先端を走るような議論をいただいたのではないかなと、感心して聞いておりました。なかなか難しいなと思ったのは、我々はこの後皆様のご意見を踏まえながら新しいプランを作っていく中で、県民にどのようにこの考え方わかりやすく伝えていけるのかというところは、第4次のプラン以上にいろいろ工夫をしないといけなと感じました。県民の中には、「ジェンダー平等」とは何だろうと思われる方も中にはいらっしゃると思いますし、片仮名ではなく、漢字で、平仮名で言ってほしいというようなご意見は、この計画に限らず出てくるところもある中で、いかに理解してもらえるような形で伝えていくのかというところは、非常に汗をかきながらやっていかなくてはいけないなと思っております。本日の議論の中では、全部を決めるというのはなかなか難しく、申し訳ありませんが、岩田会長のお力も借りながら整理した内容について、また皆様にご意見をいただきたいと思います。

 

<岩田会長>

それでは、今日の議事はこれで終了したいと思います。最後に事務局から何かございますか。

 

<事務局>

皆様の任期は5月末までですが、大変恐縮ですが、基本理念の部分につきましては、引き続きご尽力をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 それでは、第10期神奈川県男女共同参画審議会は、本日この時間を持ちまして終了とさせていただきたいと思います。長い時間どうもありがとうございました。 次回は、委員の改選をさせていただいて、第11期第1回を7月中旬に開催を予定しております。その際は、会長・副会長の選任後、事業や目標値についてご議論をしていただくという予定でございます。

 

<岩田会長>

それでは、こういう形の会議としての第10期の審議会はこれで終了としたいと思います。今日も皆様本当に活発なご意見をたくさんいただきまして、ありがとうございました。

<終>

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