決算審査等の結果・平成30年度分

掲載日:2019年10月8日

決算審査

一般会計・特別会計決算に対する意見

1 決算計数の正確性について(抄)

平成30年度の一般会計及び各特別会計の歳入歳出決算における歳入合計及び歳出合計は、いずれも正確なものと認められた。

一般会計及び各特別会計の歳入歳出決算書並びに関係書類の計数については、一部の事項を除き、正確なものと認められた。

したがって、今後はこうしたことがないよう、関係所属において適正な経理処理を徹底することが必要である。

2 予算管理及び決算整理の的確性について

平成30年度の予算管理及び決算整理については、関係法令等に照らし、的確に行われたものと認められた。

3 決算の内容について(抄)

(1) 収入未済額の縮減について

平成30年度の一般会計及び特別会計の収入未済額の合計は213億1,469万余円で、前年度と比較すると27億1,558万余円減少(△11.3%)しており、9年連続で改善している。

平成30年度に10億円以上(徴収猶予額を除く。)の収入未済が発生している「節」(税にあっては「目」)の状況は次のアからウまでのとおりである。

ア 一般会計歳入の個人県民税(「(項)県民税」「(目)個人」)

個人県民税の収入未済額は95億4,427万余円で、前年度に比べて25億2,654万余円減少(△20.9%)している。

個人県民税の収入率は96.9%で、過去最高となった前年度より0.3ポイント下落したものの、前年度に次ぐ高い収入率となっている。

今後とも市町村や近隣都県と連携して効果的な取組を推進し、一層の税収確保に努めていく必要がある。

イ 県営住宅管理事業会計歳入の「(節)家賃収入」

家賃収入の収入未済額は12億1,847万余円で、不納欠損額の増加などにより前年度に比べて8,661万余円減少(△6.6%)している。

家賃収入率は、87.5%であるが、新規の調定に係る分に限れば97.9%となっており、それぞれ前年度に比べて0.4ポイント、0.2ポイント下落している。

家賃収入の滞納については、滞納初期における適切な対策が重要であることから、電話による支払案内や料金徴収員の戸別訪問による納入指導などの対応を徹底するとともに、生活保護の実施機関である県市が生活保護受給者に代わって家賃を納付する生活保護住宅扶助費代理納付について、その効果が見込まれる未実施の5市に対し実施を積極的に働きかけたり、実施率が低い市町に対し積極的な活用を働きかけたりするなどして、収入未済額を縮減させ、家賃収入率を上昇させるよう努めていく必要がある。

ウ 母子父子寡婦福祉資金会計歳入の「(節)母子父子寡婦福祉資金貸付金返納」

母子父子寡婦福祉資金貸付金返納の収入未済額は12億1,685万余円で、前年度に比べて1,146万余円減少(△0.9%)している。

母子父子寡婦福祉資金貸付金返納の収入率は25.7%であるが、新規の調定に係る分に限れば76.5%となっており、それぞれ前年度に比べて0.7ポイント、2.1ポイント上昇している。

債権の回収については、債権回収業務委託の効果的な活用や口座振替制度の積極的な活用のほか、新たに発生した滞納に対する初期対応を適切に実施するなど、引き続き収入未済額の縮減に向けて取り組んでいく必要がある。

(2) 株式会社湘南国際村協会の減資について

県は、株式会社湘南国際村協会(協会)に対して、計10億円を出資している。

そして、協会は、固定資産の減損等により生じた累積損失を解消するため、平成30年7月に資本金を25億円から4億9,400万円に減資したところである。

しかしながら、財産に関する調書において、株式会社湘南国際村協会株券の決算年度末現在額は10億2,000万円(決算年度中に無償で譲渡された2,000万円分の株券を含む。)となっており、減資に伴う実質的な価値の減少について財産に関する調書には反映されていない。

協会に対する出資に係る株式が重要な公有財産であることに鑑み、減資に伴う実質的な価値の減少について、財産に関する調書に必要な説明を記載するなど県民等に対する説明責任を適切に果たす必要がある。

また、協会において、固定資産の減損等により多額の累積損失を抱え、今回の減資に至ったことは大変遺憾な事態であり、今後はこのような事態が生じないよう、県は、協会の経営状況を適切に監視するとともに、第三セクター等指導調整指針に基づき、適時適切に指導等を行っていく必要がある。

4 財政状況について(抄)

本県の財政状況は、様々な財源対策を講じたにもかかわらず、なお財源不足を解消することができず、実質的には当該年度中の県税収入等の歳入で歳出を賄いきれない財政運営が続いている。

そして、今後も急速な高齢化などに伴う介護・医療・児童関係費の増加に加え、老朽化した公共施設の維持修繕コストにも多額の費用が確実に見込まれることなどから、本県財政は依然として厳しい状況にある。

一方、平成28年3月に策定した「中期財政見通し」によれば、一般会計では、令和2年度までの5年間で3,750億円の財源不足が見込まれるとしていたが、策定から3年が経過し、実際の財源不足額が推計より縮小していること、策定後に、推計の前提となる県財政を取り巻く環境が変化していることから、県では、令和元年度中に「中期財政見通し」を見直すこととしている。

以上のような状況を踏まえ、今後の財政運営に当たっては、県有財産の有効活用や国庫支出金の積極的な活用などにより歳入を確保し、既存施策・事業の見直しによる歳出の抑制や民間活力の導入にこれまで以上に取り組むとともに、今後見直しを予定している「中期財政見通し」において、中長期的な展望の下で県として取り組むべき方向を示していく必要がある。

そして、将来にわたり、本県財政を安定的に運営していくためには、国が適正に負担すべき地方交付税をはじめとする財源の確保に努めることはもとより、中長期的には、地方分権改革の理念に沿って、国から地方への権限移譲等を進め、国と地方の適正な役割分担に応じた地方税財源の充実強化を一層図ることが必要であることから、県は、これらの実現に向けて、引き続き、粘り強く国等に働きかけていくことが重要である。

(1) 県債発行の抑制

県債残高については、平成28年3月に「平成35年度までに県債全体の残高を2兆円台に減少」を目標として設定しており、県債残高の減少に向けて引き続き県債の発行抑制に努める必要がある。

地方交付税の代替措置とされている臨時財政対策債については、平成29年度地方財政対策において、新規の発行が令和元年度まで継続することが決定されているが、本来の姿である地方交付税に復元するよう引き続き強く働きかけていくことが重要である。

(2) 財政における地方公会計の活用

平成29年度に導入された地方公会計に基づく財務書類が、地方公会計の概要、財務書類の計数の説明等を記載した概要資料と合わせて、平成30年12月に公表された。

この地方公会計の導入により、従来の単式簿記による決算制度では見えにくかったコストが明らかになり、事業ごとのフルコストの財務情報を把握することができるようになった。

財務書類の公表に当たっては、県が進めている県債残高の減少に向けた取組についても県民に分かりやすく示し、説明責任の向上を図っていくことが重要である。

また、限られた財源を効率的・効果的に使用するため、地方公会計における財務情報を適切に活用し、財政のマネジメント強化を図っていくことが重要である。

 公営企業会計決算に対する意見

1 決算計数の正確性及び決算表示の明瞭性について

平成30年度の水道事業ほか4事業の決算書及び決算諸表について、一部の事項を除き、計数は正確なものであり、経営成績及び財政状態を明瞭に表示しているものと認められた。

2 企業経済性の発揮及び公共福祉の増進について(抄)

(1) 水道事業

平成26年3月に策定した「神奈川県営水道事業経営計画」(計画期間:平成26年度から平成30年度まで)について、主要事業の目標達成状況をみると、大半の事業において指標とされた目標を達成したものの、浄水場や配水池等の耐震化及び漏水の防止対策においては、指標とされた目標を達成できなかった。

したがって、新たに策定した「神奈川県営水道事業経営計画」(計画期間:2019年度から2023年度まで)に基づき、引き続き上記の事業の目標達成を含め大規模地震対策に取り組むとともに、台風、大雨による停電への備え、火山噴火による降灰や河川氾濫による浸水への対策強化など危機管理体制を充実させるなどして、「将来にわたって持続可能な水道」の実現に向けて着実に取り組んでいく必要がある。

3 経営について(抄)

(1) 水道事業

今後の経営環境は、水需要の減少に伴い水道料金収入の減少傾向が続くと見込まれる中、大規模地震に備えて水道施設の耐震化等の災害対策を推進する必要があることや、高度経済成長期までに整備した施設の老朽化に伴い更新費用の増大が想定され、厳しい状況が続くと考えられる。

こうしたことから、新たに策定した「神奈川県営水道事業経営計画」(計画期間:2019年度から2023年度まで)に基づき、工事設計業務の概算数量設計発注方式を本格的に採用することや、スマートメーターの実用化に向けた検討、AIを活用した管路の劣化予測技術の研究などを促進することにより、業務の効率化を図りつつ、効率的な事業運営を行うことで経費削減に取り組むとともに、水需要の減少に応じた施設のダウンサイジングや統廃合を行いながら、計画的に施設の更新を進め、適切な補修・維持管理や施設の長寿命化等、中長期的な視点に立った管理運営を通じ、更なる経営改善に努める必要がある。

(2) 電気事業

水力発電においては、早戸川発電所を除き、平成21年度から令和5年度までの15年間、発電した電力の全てを東京電力株式会社に売電する内容の電力受給基本契約を平成21年1月に同社と締結(同社の分社化に伴い、平成28年4月から東京電力エナジーパートナー株式会社が契約を承継)している。そして、当該基本契約に基づき、原則2年間の売電価格を定める電力受給契約について、平成30・令和元年度分は、平成28・29年度分に比べて年額2.38%減の契約金額で更改しているところである。

このような状況を踏まえ、今後も電力システム改革の動向を注視しつつ、令和6年度以降においても安定的な経営が継続できるよう、売電契約のあり方について検討を進めていく必要がある。

また、平成30年3月から早戸川下流部において小水力発電所である早戸川発電所が運転を開始しており、現在、早戸川上流部においても小水力発電所設置の計画が進められているところである。

しかしながら、早戸川発電所のような流込み式の発電所型式では、発電量が水量の多寡に影響を受けやすいことなどから、早戸川発電所における平成30年度の供給電力量の達成率(目標に対する実績)は56%にとどまっている。

したがって、今後、流込み式の発電所型式で小水力発電所を設置するに当たっては、上記のような流込み式固有のリスクを踏まえ、早戸川発電所の発電データを十分検証するなどして、その採算性を適切に評価する必要がある。

(3) 公営企業資金等運用事業(資金運用)

公営企業で既往に生じた余剰資金を運用する本事業は、金利の影響を大きく受けることから、今後も金融政策や金利動向を注視しつつ、適切かつ効率的な運用に一層留意する必要がある。

健全化判断比率等の審査

健全化判断比率審査

1 健全化判断比率の正確性について

 審査に付された健全化判断比率の算定の基礎となる事項を記載した書類について、水道事業会計において、流動負債の金額及びPFI建設事業費等の金額(注)がそれぞれ28,199,982円過大となっていたものの、健全化判断比率の算定には影響を及ぼさないものであった。このことを除き、同書類は適正に作成されており、それに基づく健全化判断比率は正確なものと認められた。

 (注)PFI建設事業費等の金額は、資金剰余額の算定に当たり、流動負債の金額から控除される金額である。

 

2 健全化判断比率の動向について

 実質赤字比率と連結実質赤字比率は、実質収支額と連結実質収支額が黒字であることから前年度と同様に算定されない。

 実質公債費比率は、一時期急増した臨時財政対策債の発行が減少したこと等により、前年度に比べて0.2ポイント低下し、改善している。

 将来負担比率は、一般会計等地方債現在高が減少したこと等により、前年度に比べて5.9ポイント低下し、改善している。

資金不足比率審査

 審査に付された資金不足比率の算定の基礎となる事項を記載した書類について、水道事業会計において、流動負債の金額及びPFI建設事業費等の金額(注)がそれぞれ28,199,982円過大となっていたものの、資金不足比率の算定には影響を及ぼさないものであった。このことを除き、同書類は適正に作成されており、それに基づく資金不足比率は正確なものと認められた。

 いずれの会計も前年度と同様に資金不足が生じておらず、特に意見はない。

 (注)PFI建設事業費等の金額は、資金剰余額の算定に当たり、流動負債の金額から控除される金額である。


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