入院適応の見直しについて
県は、新型コロナウイルス感染症の病床を拡大しようと努めてまいりましたが、現在の新型コロナウイルス感染症患者の急増により病床確保が困難な状況になっています。このままでは、救急医療や悪性腫瘍、慢性疾患などの新型コロナウイルス感染症以外の通常医療を抑制せざるを得ない状況に陥ることが強く危惧されています。
そのような中、従来は、酸素投与が必要な方、65歳以上の方、基礎疾患を有する方が新型コロナウイルス感染症患者となった場合は、無症状または軽症であっても一律に入院していただいていましたが、病床ひっ迫の現状を踏まえ、これまでの医療現場の知見や世界中の科学的データに基づき、入院優先度判断スコアによる入院判断を行うこととしました。
なお、本スコアは入院判断の目安として用いられるものですが、スコアに反映できない患者一人ひとりの状況などから医師が入院すべきと判断した際には、医師の判断が優先されます。
入院優先度判断スコア
共通化した基準で入院の優先度を判定する目安としてスコア活用
下記にない項目(CT等)は0点とする
判断項目 | スコア |
---|---|
75歳以上 | 3 |
65から74歳 | 2 |
ハイリスク因子1項目あたり | 1から2 |
透析 | 6 |
37週以降妊婦 | 6 |
CT/単純X線にて肺炎像(片側かつ2分の1以下) | 3 |
CT/単純X線にて肺炎像(片側かつ2分の1以上) | 6 |
CT/単純X線にて肺炎像(両側) | 6 |
酸素投与必要 | 5 |
重症感 | 1 |
無症状 | -1 |
基礎疾患 | スコア |
---|---|
糖尿病 | 2 |
慢性呼吸器疾患(気管支喘息含む) | 2 |
重度の心血管疾患(冠動脈疾患、心筋症など心不全伴う) | 2 |
コントロール不良高血圧 | 1 |
高度慢性腎臓病(GFRが30未満が目安) | 1 |
肥満(≧BMI30) | 1 |
免疫抑制剤使用(ステロイド含む抑制剤) | 2 |
悪性腫瘍に罹患し治療中 | 2 |
血液移植・骨髄移植、原発性免疫不全、HIV | 2 |
臓器移植後 | 1 |
患者急増期において合計5点以上が入院の目安
医師が必要と判断した者は優先
療養が困難な家庭環境は入院適応
このスコアの導入により、従来は入院となっていた方に自宅・宿泊施設で療養していただくことで、ひっ迫する新型コロナウイルス感染症病床の状況を改善し、真に入院が必要な患者に医療を提供できる体制を構築します。
自宅・宿泊療養していただくに当たっては、下記のとおり安全な療養体制の充実強化に努めてまいります。
なお、ひっ迫する病床の状況の改善は、自宅・宿泊療養者の体調悪化の際に入院できる病床の確保にもつながります。
新たな入院基準
- 緊急時に確実な入院態勢
- 自宅療養の推進
- 宿泊療養キャパシティー拡大
- 自宅・宿泊療養中の管理(基礎疾患保有者への配慮)
療養体制の充実強化
県では、従前から、自宅や宿泊施設で療養中の方々に、1日2回、LINEや電話で体調を確認し、24時間体制で急な体調悪化に対応したり、ご連絡がとれない場合には直接自宅を訪問するなどの療養体制を整備してまいりました。
これに加え、65歳以上や基礎疾患があるなど高スコアの自宅療養者に酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)を貸し出すことにより健康観察項目を増やし、安全性を高めています。
このほか、新たな宿泊療養施設を開設したり、紫外線照射器の導入により消毒清掃期間を短縮するなどして、療養体制の充実強化を図っていきます。
また、療養者の体調が悪化した際には、コロナ119番を通じて、県医療危機対策本部室の医師による状態確認や、救急搬送を含めた種々の対応を図っています。
さらに、12月15日より、宿泊療養施設においては、午前1回、午後1回の合計2回、療養者全員の部屋の内線に電話をかけ、応答がない場合ただちに部屋を訪ねる。
自宅療養についても、LINEによる健康観察を行っている方はLINEへの回答がない場合、電話による健康観察を行っている方は全員を対象に、午前1回、午後1回の合計2回、電話連絡を行い、応答がなければ自宅を訪問する。というやり方で、安否確認の回数を増やしました。
自宅・宿泊療養中の管理(基礎疾患保有者への配慮)
療養中の体調管理フロー
<定時の健康観察>
(A)LINE使用可の場合
(1)LINEによる体調確認(1日2回)
- 下記いずれかの症状あり
- 37.5度以上の熱
- 息苦しさ
- 頭痛
65歳以上・基礎疾患があるなど高スコアの自宅療養者に、新たに酸素飽和度測定器を貸与
- LINE回答なし
(2)県保健師等による電話体調確認
- 悪化確認の場合は県医療危機対策本部の医師による状態確認
(B)LINE使用不可の場合
(1)委託事業者による電話体調確認
- 悪化確認
(2)県保健師等による電話体調確認
- 悪化確認の場合は県医療危機対策本部の医師による状態確認
- 自宅療養の場合は保健所による電話連絡、連絡がとれない場合は、保健所の自宅訪問による安否確認。
悪化確認の場合は県医療危機対策本部の医師による状態確認 - 宿泊療養の場合は宿泊施設による電話連絡、連絡がとれない場合は、宿泊施設の部屋訪問による安否確認。
悪化確認の場合は県医療危機対策本部の医師による状態確認
<その他24時間対応>
(1)療養フォローのタイムライン
(2)体調悪化の際
- コロナ119へ電話、保健師等による対応
- 悪化確認の場合は県医療危機対策本部の医師による状態確認
- 療養期間延長
- オンライン診療
- 薬の処方
- 救急搬送 等