更新日:2023年3月27日
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神奈川県農業技術センター研究報告の摘要のページです。
青首総太り品種が主流となっている現在のダイコン生産・流通体系において,特色あるダイコン新品種の開発を目的に、白首総太りダイコンの一代雑種品種を,神奈川県農業技術センター,民間育種家及び横浜植木株式会社の3者で育成した.
花粉親系統については当所と県内育種家が育成を担当し,2003年から‘大蔵’及び‘晩野路’を交配母本に用い,集団選抜法により根形が円筒形の系統を育成した.2009年の集団選抜第6世代以降,形質の分離幅が縮小したため,横浜植木(株)保有の雄性不稔系統を種子親としたF1交雑検定を並行して実施した.計25の交雑系統から有望な系統‘UON’を選抜し,特性検定及び現地適応性試験を実施した.その結果,‘UON’は根部が首部を含め全体が白色で円筒形,甘味が強く,‘耐病総太り’と同等の食味評価を確認したことから,‘湘白’と命名し,2013年3月5日に品種登録出願し,2015年6月19日に品種登録を受けた(農林水産省登録番号第24375号).
ブルーベリーは多くの品種が販売されており,その品種選択が農業経営上の課題となっている.そこで,ハイブッシュ系ブルーベリー栽培品種を,果実収穫量及び収穫期間等の栽培特性及びそれらの食味により比較した.その結果,‘デューク’,‘ブルーヘブン’,‘ブルーレイ’及び‘レガシー’は,収量性と食味調査の結果が良好であり,収穫期間が長いことから,神奈川県北相地域における栽培に適していると判断した.
なお,‘ブルーヘブン’,‘ブルーレイ’及び‘レガシー’は,小学生も成人も食味を高く評価したが,小学生と成人で評価の異なる品種もあった.
冬春どりダイコンを収穫してから数日後,根の内部組織に青色色素が生成する青変症の発生条件,品種間差について検討した.15℃,20℃,25℃及び30℃の貯蔵温度で比較したところ,20℃貯蔵で最も青変症が発生しやすく,貯蔵開始から5から6日後に発生最盛期となった.青変症の症状は1から2日で退色するものの,発色部位の組織には淡褐色の痕が残った.発生度には品種間差があり,発生しやすい品種では,作型や収穫時期に関わらず発生した.また,青変症発症リスク評価法(寺西・永田,特開2014-122874)を用い,貯蔵試験と比較したところ,種子を用いる方法及び根部を用いる方法と貯蔵試験との相関係数は各々0.60(p<0.1)及び0.48(p<0.01)で,精度はやや低いものの,極めて簡便かつ安価であり,実用性の高い評価法であると考えられた.
企画経営部(研究企画担当)
電話 0463-58-0333 内線301、302、303
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