研究報告 第164号 摘要一覧

掲載日:2020年4月28日

 秋冬どりダイコンにおける生育モデルの開発及び地球温暖化の影響評価

 秋冬どりダイコンにおいて,根部生体重及び乾物重の増加を日平均気温,日日射量及び播種日を用いて予測する機構的モデルを開発した.供試品種に青首ダイコン品種‘福誉’,2014~2018年における神奈川県内の三浦半島地域及び平塚地域の気象データ及び栽培データを用いた.はじめに播種後積算温度から葉面積を求め,植物体の受光量を日日射遮蔽量(DIR)とし,これに日射利用係数(RUE)を乗じて日乾物生産量(TDW)を求めた.続いて,葉数の関数である根部分配率及び積算温度の関数である根部乾物率から根部生体重(RFW)を求めた.根部乾物重及び根部生体重(規格品)の予測精度は,各々相対誤差平均(MRE)17%及び20%であった.この生育モデルを用いて,全球気候モデルMIROC5及び温暖化ガス排出シナリオRCP8.5に基づく2050年の温度条件,さらに日射量を10%増減させて,シミュレーションを行った.その結果,9月7日~10月12日播種(三浦)における2050年の温度は,2017年に比べて2.7~3.3℃上昇し,収穫期は6~56日前進,29~212%増収,日射量10%増では9~58日前進,41~243%の増収,日射量10%減でも4~53日前進,17~182%増収すると予測された.

 

L型(低PK)肥料の連用による作物収量及び露地野菜畑土壌の可給態リン酸,交換性カリ含量の変化

 リン酸およびカリ成分を低減したL 型肥料(N:P2O5:K2O=14:8:8)を,露地野菜畑で6 年間13 作にわたり連用し,コマツナ,ホウレンソウ,レタスの収量および土壌への影響を調査し,さらにL 型肥料と有機物を併用した場合の施用効果を検討した.
 作物収量は,リン酸およびカリが蓄積した養分蓄積土壌では,L 型肥料を連用しても高度化成を連用した対照区とほぼ同等に推移したが,リン酸およびカリの蓄積のない標準土壌では,L 型肥料連用を続けると低下する傾向にあった.土壌中の可給態リン酸含量は,リン酸蓄積土壌では6 年間の栽培期間中に低下したが,土壌診断基準値程度の標準土壌では低下は見られなかった.土壌中の交換性カリ含量は,土壌中のカリ蓄積量にかかわらず減少し,特に2 年(5 作)で土壌診断基準値の下限付近まで低下し,低下の程度はL 型肥料連用の方が大きかった.有機物(牛ふん堆肥)を併用すると,土壌中のカリ含量は速やかに上昇し,特に,高度化成肥料との併用で土壌診断基準値を上回ったが,L 型肥料区では土壌診断基準値内であった.
 以上のことから,露地野菜畑において,堆肥等の有機物を施用せずにL 型肥料を施用する場合は2 年程度とし,その後は有機物(牛ふん堆肥)と併用することが望ましいと考えられた.

 

三浦半島地域におけるズッキーニのトンネル栽培に適する品種と作期

 三浦半島地域におけるズッキーニのトンネル栽培に適する品種の選定と作期,植物ホルモン処理(パラクロロフェノキシ酢酸,以下,4-CPA)の効果について調査した.
 ズッキーニは収量性や規格外果の発生割合などの品種特性の差が非常に大きいため,収量性が高く,可販果率の高い品種を選定することが重要である.収量性が高く,可販果率の高い品種として,緑皮品種では‘モスグリーン’と‘グリーンボート2号’,黄皮品種では‘ゴールドトスカ’と‘イエローボート’が適した.トンネル被覆を定植から栽培終了まで行い,2月から3月に播種することで4月から7月まで収穫する作期では安定的な収量が得られるが,6月以降の播種による高温期の栽培は困難であった.4-CPA処理は曲がり・変形果と腐敗果の発生を改善させる可能性が示唆された.

 

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