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更新日:2021年10月28日

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ベスト・パートナー等不当労働行為救済申立事件の命令について

2021年10月28日
記者発表資料

神奈川県労働委員会(会長 浜村彰)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立てを棄却する命令を交付しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。

1 当事者

申立人 神奈川シティユニオン(組合)

被申立人 株式会社ベスト・パートナー(会社)

2 事件の概要

本件は、【1】組合が会社に対して申し入れた組合員Aの解雇問題等を交渉事項とする団体交渉について、会社が不誠実な交渉態度を取ったこと、【2】令和2年2月5日に行われた第1回調査期日において、会社が、労働条件通知書兼就業条件明示書(以下「本件雇用契約書」という。)を証拠として提出したことは、【1】については労働組合法第7条第2号及び第3号に、【2】については同条第3号に、それぞれ該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。

3 命令の概要

(1) 主文

本件申立てを棄却する。

(2) 本件の主な争点及び判断の要旨

(争点1)

組合からの令和元年8月7日付け組合員Aの解雇等の労働問題を議題とする団体交渉の申入れに対する会社の対応は、不誠実な交渉態度に当たるか否か。また、同時に組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。

(判断の要旨)

ア 不誠実な交渉態度について

会社が令和元年9月3日付け文書等を送付した時点では、組合と会社が団体交渉の開催に向けて日時等の調整を行っている段階であり、団体交渉は一度も行われていない以上、不誠実な交渉態度に当たるとはいえない。

イ 支配介入について

会社は組合に対して、労働者派遣個別契約書(以下「個別契約書」という。)の実際の作成日を明らかにしなかったが、本件において個別契約書の実際の作成日が重要な意味を持つとまでは認められず、組合の運営に直ちに影響を与え得るとはいい難いから、会社が組合に対して個別契約書を送付したことが支配介入に当たるとは認められない。

(争点2)

会社が令和2年2月5日の第1回調査期日において、本件雇用契約書を証拠として提出したことは、組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。

(判断の要旨)

会社が、組合員Aとの雇用契約の締結時等に、労働条件通知書兼就業条件明示書を保管していなかったにもかかわらず、あたかも同書が存在しているかのように装って本件雇用契約書を証拠として提出したとも考えられる。しかし、会社は、本件雇用契約書は組合員Aとの雇用契約の内容を立証する趣旨と説明し、また、本件雇用契約書が組合員Aとの雇用契約の締結時等に作成したものではないと述べているから、組合を欺こうとするものとは評価できず、組合の運営に対する支配介入とは認められない。

(注記)不当労働行為

使用者は、労働組合法第7条により、次のような行為が禁止されている。

不利益取扱い(同条1号):組合員であることや労働組合の正当な行為をしたことを理由に、労働者に対して解雇などの不利益な取扱いをすること。

団体交渉拒否(同条2号):正当な理由なく団体交渉を拒否したり、不誠実な団体交渉をすること。

支配介入(同条3号):労働者による労働組合の結成やその運営を支配したり、これらに介入すること。

報復的不利益取扱い(同条4号):労働委員会に申立てなどをしたことを理由に、労働者に対して不利益な取扱いをすること。

問合せ先

神奈川県労働委員会事務局審査調整課

労働関係調整担当課長 菅居 電話 045-633-5445

審査調整グループ 後藤 電話 045-633-5447

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