神奈川県水産技術センター メルマガ489

掲載日:2016年1月8日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  489号    2016年1月8日号

□ 研究員コラム

1 トラフグの水揚げが始まりました -副題 固定観念にとらわれず- (栽培推進部 滝口 直之)

2 市場調査におけるアイゴの測定 (栽培推進部 櫻井 繁)

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1 トラフグの水揚げが始まりました -副題 固定観念にとらわれず- (栽培推進部 滝口 直之)

 皆様、新年明けましておめでとうございます。

 昨年の6月に栽培推進部に配属となった滝口です。水産技術センターでの勤務は10年ぶりとなります。

 昨年末から横須賀市の長井漁港を中心に、トラフグの水揚げが始まっています(写真1)。多い日には100尾を超えるトラフグが港に並ぶ日もあります。

 トラフグは本州沿岸や東シナ海に生息し、もともと神奈川県の沿岸にも生息していますが、量的にはわずかでトラフグを専門に狙って操業する漁業者はいませんでした。これを専門とする漁業者が現れ長井漁港に安定的に水揚げされるようになったのは、トラフグの栽培漁業を行うようになった最近のことです。

 トラフグの人工種苗の放流を最初に長井町漁協が行ったのは、私が県庁に転勤になる前年の平成16年のことでした。当時私は、神奈川県でトラフグの栽培漁業を行うことに対し、懐疑的な考えを持っていました。散発的に漁獲されることはあっても大漁が続いたという記録は過去になく、神奈川県にはトラフグの稚魚を育む場所がないのではないかと思ったからです。

 ところが私の考えは見事にハズレ、神奈川県の沿岸にも放流に適した場所が見つかり、今では年末から年始にかけて安定的に水揚げされるようになりました。このことは、思い込みで判断するのではなく、しっかりと調査をしたうえで結論を出すべきという、当たり前のことですが私にとってよい教訓を与えてくれました。

 昨年の6月に栽培推進部に配属となり、再び栽培漁業の技術開発を担当することになりました。現在水産技術センターでは新たな栽培漁業対象種として、トラフグのほかにナマコやカサゴなどについても調査研究を行っています。思い込みや固定観念にとらわれず取り組んでいきたいと思います。

 写真1 トラフグの水揚げ風景 トラフグは鋭い歯で手当たり次第噛む習性があります。噛み合いを防ぐため専用のケースに入れて水揚げをしています

 写真:トラフグの水揚げ風景 トラフグは鋭い歯で手当たり次第噛む習性があります。噛み合いを防ぐため専用のケースに入れて水揚げをしています

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2 市場調査におけるアイゴの測定 (栽培推進部 櫻井 繁)

 近年、三浦半島西岸域の藻場で磯焼けが拡大しています。その原因と考えられているのが、植食性動物であるガンガゼとアイゴです。県内におけるアイゴの漁獲状況や生態は全く調査されていませんでしたが、異変に気付いたのは、マダイやヒラメの放流魚を調査するために、県下7市場(柴・安浦・間口・三崎・長井・佐島・小田原漁港)を巡っている時でした。平成24年11月の佐島漁港で、今まで見たことのない小さなアイゴが定置網で水揚げされていたため、少し変だなと思いつつ状況の写真は撮りました(写真1)。翌月に城ヶ島のアワビの潜水調査と同時に、海藻類の調査も実施したところ、カジメが食害されている状況が確認されました(写真2)。その後、アイゴは獲れなくなりましたが、平成25年6月、同じ佐島漁港の小型定置網で大型のアイゴが大量に漁獲され、それらの個体が放卵・放精していました(写真3)。その後の状況が心配になり様子を見ていたところ、9月に全長10cm前後の0歳魚が小型定置網に入るようになり、この時点から魚体の測定を始めました。11月に入ると、0歳魚から2歳魚以上のアイゴが大量に漁獲されるようになり(写真4)、カジメだけでなく、他の海藻類や養殖しているワカメなども食害され被害が拡大しています。今後は、沿岸域でのアイゴの生態調査に加え、駆除や利用方法も検討しなければならないと思います。

 写真1 佐島漁港の小型定置網で漁獲されたアイゴ(平成24年11月)

 写真:佐島漁港の小型定置網で漁獲されたアイゴ(平成24年11月)

 写真2 城ヶ島の海藻類(カジメ)の食害状況(平成24年12月)

 写真:城ヶ島の海藻類(カジメ)の食害状況(平成24年12月)

 写真3 佐島漁港の小型定置網で漁獲されたアイゴ(平成25年6月)

 写真:佐島漁港の小型定置網で漁獲されたアイゴ(平成25年6月)

 写真4 佐島漁港の小型定置網で漁獲されたアイゴ(平成25年11月)

 写真:佐島漁港の小型定置網で漁獲されたアイゴ(平成25年11月)

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