神奈川県水産技術センター メルマガ483

掲載日:2015年10月16日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  483号    2015年10月16日号

□ 研究員コラム

1 実は観察会ってお得なんです!? (内水面試験場 利波 之徳)

2 ただいま特訓中! (栽培推進部  菊池 康司)

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1 実は観察会ってお得なんです!? (内水面試験場 利波 之徳)

 9月のある日。相模川で市民団体が主催する観察会に顔を出しました。開催場所は相模川下流の水辺で、地元市と河川管理者が連携して整備し親水機能を持たせた場所です。(ハードの整備は川へ下りる通路の整備等最小限です。)

 もともとのコンセプトとして、『「子供たちが、積極的に自然とふれあいながら、「遊び」「学び」「冒険心」「創造性」を育み、自然と接する「作法」や「感性」を養う場を提供する』があり、運営を市民団体が担ってイベント等を開催しています。以前から、存在は知っていたのですが、今回、当場の研究員がイベント開催に協力したので様子を見に行ってみました。

 総勢30名ほどが集合し、ぞろぞろとワンドへ下りていきます。ワンドとは川の本流からは外れた池状の水面のことで、流れが穏やかなので、水生生物の生息に適しています。今回の観察会はここが舞台です。

 通路の階段を下りると葦原にたどり着くのですが、直前の台風18号の豪雨で水をかぶり、田んぼのようなぬかるみになっていました。台風18号による影響は相模川でも大きく、場所によっては氾濫危険水位に迫るほど増水してしまいました。同日には何とか平水位に近いレベルとなり開催できましたが、葦もガマもなぎ倒された状態でした。

 池状の水面にたどり着いて、いよいよ採取開始です。手慣れたベテラン勢に交じって、友達と試行錯誤しながらタモ網で水草の間や粗朶(木の枝を束ねて水中に置いておいたもの)の周りを探し回る中学生たち。たっぷり1時間以上は水の中で奮闘した結果、魚類16種以上、甲殻類11種以上、その他にヤゴや二枚貝も採取できました。

 私が驚いたのは、毎年参加する「ベテラン」の中学生がいて、専門家でないと見分けることが難しいエビやハゼの種類がわかるというのです。もともと生き物が好きだったようですが、地元での定期的に開催される観察会が彼の興味をかきたてたのでしょう。将来がとっても楽しみです。

 ところで、そもそも試験場の研究員が何故この観察会に参加しているか、その点に触れておきたいと思います。もちろん、市民団体の活動に対する支援の面はあります。しかし、それだけでは「そのために職員を休日出勤させるの」なんて声が聞こえきます。そうじゃないのです。この企画、実は、試験場の調査を手伝ってもらっているとも言えるんです。

 先ほども書いたように、1時間余りで沢山の生き物を採取できましたが、特定の場所(研究員やベテランは隣接する本流部分も調査しています)を端からローラー作戦で生物採取できる機会なんて、そうそうありません。そこで得られたデータは、まぎれもない今の相模川のデータです。

 相模川という県内随一の河川の現状を知っておくことは、川での生産を考える上で最も基本的な情報ですが、試験場だけで実施しようと思うと、それこそ手が足りません。川を大切に思ってくれる現役世代と協力するだけではなく、次の世代の育成もでき試験場の基礎調査もできる。まあ、なんてありがたい話でしょうか。自分の目で見て、今更のように強く感じた一日でした。メルマガをお読みの方々で、関心をお持ちの方は、内水面試験場までお問い合わせください。

 写真1 採集に熱中する参加者

 採集に熱中する参加者

 写真2 絶命危惧種のカワアナゴも確認(もちろん観察後には放流しました)

 絶命危惧種のカワアナゴも確認(もちろん観察後には放流しました)

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2 ただいま特訓中! (栽培推進部  菊池 康司)

 今年6月に、栽培推進部に異動してきました。ここでは調査研究のため、さまざまな道具を使っています。今回、私が使用する漁具に「投網」があります。投網は円形に仕立てられた網の縁に鎖が付けてあり、広がるように水面に投げると、釣鐘状に沈んでいきその中に魚を捕らえます。テレビなどで見たことある方も多いのでないでしょうか。以前、川の漁師さんが投網を使っているところを間近で見たことはありましたが、私自身は投げたことも触ったこともありませんでした。あの時少しでも教わっておけばと後悔しても今さらです。実際に投網を手にしてみても、一体どのように持っていてかもわかりません。とりあえず、投網経験者に持ち方を教わり、陸上で投げてみても、「ガシャッ」と網と鎖の塊が飛んで行くだけで、広がる気配もありません。実際の調査日も近く、途方にくれてしましました。

 家に帰り、インターネットで「投網、投げ方」で検索すると、さまざまな動画サイトで投げ方の解説がありました。そこでは、いろいろな流派がありましたが、投げる前の網の整え方、持ち方、振り方、放し方などわかりやすいものを観察し、翌日から職場で練習です。毎日少しの時間、駐車場で練習し、家では動画を見ながらイメージトレーニングを繰り返していると、最初は、広がる気配はなかったものが、時々、少し広がるようになり、だんだん広がる回数も増えてきました。

 さて、ほかの調査のお手伝いで実際の海で投網を打つ機会が来ました。完璧には程遠い出来ですが、3回に2回は広がるまずまずの出来で始まりました。しかし、練習と実際の海の大きな違いは、「観客」の存在でした。職場の駐車場で練習していたときは猫が見ている程度でしたが、実際の海では、物珍しいせいか、散歩の人たちが集まってきます。「ここでかっこ悪いところは見せられない」などと余計なことを考えてしまい、網がうまく広がらず、情けないところばかりを見せる羽目になってしまいました。「投網って難しいんだね」などと声をかけられる始末です。

 職場に戻り、投げるとうまく広がるので、網が悪いわけではなく、やはり力んだせいなのでしょう。それからは、出来るだけ邪念を払い、正しい形と余計な力を入れないよう心がけ、落ち着いて投げるようにしています。いずれは完璧に身に付けたいと練習中です。ちなみに、私の最初の獲物は「職場の駐車場の猫」でした。(決して狙ったわけではありません。練習中に網が逸れてしまったせいです)。 

 写真1 調査で投網を投げるところ

 調査で投網を投げるところ 

 写真2 獲れたハゼ類

 獲れたハゼ類

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