神奈川県水産技術センター メルマガ481

掲載日:2015年9月18日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  481号    2015年9月18日号

□□ お知らせ:研究発表会を開催します □□
当センターが取り組む調査研究の一端をご紹介します。
日時 平成27年9月30日(水曜)14:00から17:00まで
場所 かながわ県民センター
発表テーマ
   神奈川県沿岸に来遊するマグロについて
   東京湾に生息する高級食材「ナマコ」について
   相模湾で発生する急潮の観測と予測について
   台風によって壊滅した酒匂川のアユ産卵場は今・・・
特別講演
   漁業経済学から見た魚離れ(東京海洋大学大学院 濱田武士准教授)

詳しくはご案内をご覧ください  http://www.pref.kanagawa.jp/evt/p957962.html

□ 研究員コラム

1 魚病の診断? いや検査では? (内水面試験場 長谷川 理)

2 Review of my work (相模湾試験場 荻野 隆太)

3 ぎょれん市場の「三崎漬けマグロの三色丼」 (企画資源部 山本 貴一)

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1 魚病の診断? いや検査では? (内水面試験場 長谷川 理)

 本年、6月1日より、内水面試験場で魚病を担当することになりました。
 こちらに赴任する前は、城ヶ島の栽培推進部で海水魚の魚病研究を担当していたのですが、突如、淡水魚の魚病担当を命ぜられ、淡水魚の疾病について、日々、修行、修行の毎日です。
 このような状況のなかで、さっそく、川でアユが死んでいるとの連絡があり、大変、焦りました(今流にはテンパルとでも言うのでしょうか?)。
 しかし、最近は、PCR法(検体の遺伝子を増幅させて判定する検査)という便利な検査方法があり、何とか事無きを得ました。PCR法は、あまり経験を有しなくても出来るため、この方法が現場に普及するにしたがって、この検査方法に頼ってしまうことが多くなっているように感じます(以前の職場でも言えることですが)。
 自分も、この手法に頼っているのに、言うのも何ですが、確かにPCR法は魚病の原因となる病原体の遺伝子を検出するには優れた検査方法ですが、その病原体が直接の死亡原因なのか?「本来の診断とは・・・魚の外見症状や組織などの情報を加味して総合的に判断するのが診断なのでしょうが、今の自分が行っているのは、ただ検査をしているだけだなぁ」などと自問自答しています。
 今後も様々な症状の病魚に接して、総合的な診断ができるよう努力していきたいと思っています。

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2 Review of my work (相模湾試験場 荻野 隆太)

 先月8月20日に(独法)国際協力機構(JICA)の漁業コミュニティ開発計画の一環で、中国、モルディブ、フィリピン等、8ヵ国の研修生が、相模湾試験場に「神奈川県の普及業務」について視察に訪れました。そのプレゼン資料作成の折に、自分の普及業務を振り返ってみました。
 県下の沿海普及区は5地区に分けられており、私は、2002年以降三浦市内の沿海区、2009年以降は長井から鎌倉、今年6月からは江の島片瀬から二宮地区担当になりました。
 水産資源の減少が著しい近年は、漁獲を増やすことよりも、魚価向上や販売促進、未利用資源の有効活用といった仕事のニーズが多く、最初に手がけたのは、松輪サバについての仕事でした。
 松輪サバ生産者グループである松輪小釣り研究会と共に、松輪サバ生産者のこだわり(魚に手を触れない一本釣り漁業、鮮度管理等)や生態的特長をPRパンフレット(写真1)に取りまとめ、松輪サバ取扱店に掲示したり、ホームページやマスコミ等、様々なメディアを通じてPRし、魚価向上に繋がりました。
 この仕事のきっかけは、実は主婦の一声でした。漁協に視察に訪れた浦賀生協の消費者グループの方から、「松輪サバは網(実際には一本釣り)でとってるの?なぜ、おいしいの?」と質問されました。
 浜では当たり前のこと、魚の鮮度管理のための漁業者や漁協等のこだわりや努力が、消費者には全く伝わっていない・・、浜と食卓の距離を実感し、それを解消すべく取り組んだ仕事でした。
 これ以来、担当した各浜の地魚や海藻類のブランド化とPRに注力して、生産者グループや漁協を支援して、「湘南しらす 生しらす」(H24.4)や「鎌倉あかもく」(H24.4)、「長井名産 茎わかめ製品」(H25.7)、「佐島の地だこ」(H27.3)が、かながわブランドに新たに登録されました。
 良い品を提供しようとする生産者のこだわりと熱意を知っているので、どの産品にも思い入れはありますが、やはり、神奈川県では未利用だった頃から製品化を指導して、鎌倉の新名産にまで成長したアカモクがブランド化された時はとても感慨深く、生産者代表の喜楽丸さんと硬い握手を交わしました。
 魚をブランド化するには、食べておいしい!は勿論、安定供給できること、高品質(鮮度)であること、歴史や伝統・知名度、生産地(海域)の優位性等の要件を満たすことが必要ですが、ブランドは取得がゴールではありません。重要なのは、ブランド化してからの展開です。
 先行の松輪サバ、湘南しらす、鎌倉あかもくは、ブランド化やPRを通じてマスコミ(全国ネットのグルメ番組)等でも紹介される機会が増え、漁業者が生産する産品の魚価向上や販売促進に繋がりました。
 更に、その先にあるもの。地域の料理店や民宿、ホテル等でも目玉の人気メニュー、地域資源となり、ブランド化の効果が地域にも還元されています。
 外国の方が集まると、お互いのお国自慢をするそうです。これらのブランドでお国自慢・・とまでは背伸びしませんが、「かながわには、こんなに旨い肴があるぞ!?」と、故郷自慢のネタになれば幸いです。そう云えば、2020年のオリンピックのセイリング競技は、江の島周辺での開催が検討されているそうです。私もウインドサーフィンを嗜みますが、金メダル級の味のかながわブランドの地魚で、海外のトップアスリートを「おもてなし」したいですね!

 写真1 松輪サバPRパンフレット

 松輪サバPRパンフレット 

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3 ぎょれん市場の「三崎漬けマグロの三色丼」 (企画資源部 山本 貴一)

 つい先日、神奈川県漁業協同組合連合会(神奈川県漁連)の直営食堂である「ぎょれん市場」に出かけて、お昼ご飯を食べてきました。ぎょれん市場では現在、5周年記念として、三崎漬けマグロの三色丼(写真1)を500円で食べることができます。丼にはマグロの漬けとイカの刺身、釜揚げシラスの3種類が入っていました。特にマグロの漬けは量もあって味も良く、このクオリティーで500円というのは、かなりお買い得だと思いました。神奈川県漁連は、三崎でマグロの加工場と直販所を運営しているため、この値段で提供できるとのことです。この三崎漬けマグロの三色丼は、1日10食限定で、平成27年11月末までは提供する予定とのことです。
 話は変わりますが、最近、東南アジアのタイの首都であるバンコクを旅行した際、日本料理レストランにマグロの刺身のポスターが貼られているのを見かけました。マグロの刺身が約600バーツ、日本円で約2,100円!というお値段でした。マグロの種類は本マグロで、大トロ、中トロ、赤身がそれぞれ2切れずつ入っているようでしたが、約2,100円というのはなかなか高額です。タイと日本の物価の差(バンコクの庶民的な食堂では、150円もあればお腹がいっぱいになります。)を考えると、現地の人たちにとっては、かなりの高級料理だと思われます。しかし、日本料理レストランがポスターに張り出してまで売り込んでいるということは、この刺身を食べる消費者が少なからずいるということでしょう。現地の人たちの購買力に驚くとともに、彼らが「マグロ=高級食材」と捉えていることが分かります。
 海外の水産物を以前のような価格で輸入することが難しくなる「買い負け」が、マスコミなどで時々紹介されています。これは、日本経済の低迷や円安などにより、日本の消費者の相対的な購買力が低下していることや、海外での水産物の消費が増大していることが原因とされています。しかし、それだけではなく、バンコクのマグロの刺身の話からも分かるように、海外の人たちが水産物に対して、我々日本人よりもより高い価値を認めている、ということもあるのではないでしょうか。この傾向がさらに進むとすれば・・・ お手ごろな価格でマグロを食べられるのが、いつまでも続くとは限りません。

 写真1 ぎょれん市場の「三崎漬けマグロの三色丼」

 ぎょれん市場の「三崎漬けマグロの三色丼」

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発行:神奈川県水産技術センター 企画資源部
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2312

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