神奈川県水産技術センター メルマガ480

掲載日:2015年9月4日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  480号    2015年9月4日号

□ 研究員コラム

1 カタボシイワシ(その3) (企画資源部  舩木 修)

2 サーフ調査の収穫物 (内水面試験場 山本 裕康)

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1 カタボシイワシ(その3) (企画資源部  舩木 修)

 前回(no. 449)および前々回(no.433)のメルマガで、最近カタボシイワシを見かけるようになったということを書きました。今回はその第3弾になります。

 今年の2月13日、東京湾地区担当の普及指導員が、横須賀市走水沖で漁業者が獲ったというカタボシイワシを私のところまで持ってきてくれました。見るからに立派に太ったイワシでした。しかし私はそれを最初に聞いた時、エッと思いました。以前のメルマガで書いたように、カタボシイワシは暖海性の魚で、南日本や東南アジアを主生息域とする魚です。2月の東京内湾といえば表面水温10-12℃まで下がり、1年の中でも最も海水が冷える時季です。このような状況下でカタボシイワシが生き延びられるのだろうかと思ったからです。

 後日、同時に獲れたマイワシも含めて精密測定を行いました(写真1)。結果は次のとおりです。

 マイワシ:性別 雌 体長19.4cm  肥満度15.6   生殖腺熟度指数(KG)7.9

 カタボシイワシ1:性別 雌  体長22.6cm  肥満度18.4  KG 1.3

 カタボシイワシ2:性別 雄  体長22.6cm    肥満度17.5    KG 0.2

 マイワシは肥満度が高く、KGも5を超え産卵可能な状態でした。これは2-4月を産卵盛期とする既往の知見どおりです。一方、カタボシイワシは肥満度がマイワシ以上に高かったものの、成熟は殆どしていませんでした。その代わりに脂肪を多く蓄積していました(写真1の白丸)。産卵後の魚が餌を積極的に捕食し、まさに脂が乗った状態を思わせます。

 今回の測定結果から、これまでの結果と併せ、カタボシイワシの産卵期が8月を含む夏場の可能性が更に高まりました。マイワシとは多少違う生活パターンを持っているようですね。

 ところで、このカタボシイワシ君達はいつから東京湾に来遊していたのでしょうか? こればかりは本人のみぞ知るというところでしょうが、2月の東京湾に暖海性のカタボシイワシが存在したというのは、まぎれもない事実です。もしかすると湾内のどこかに暖かい水が滞留する場所があるのかもしれません。例えば、湾奥の工業地帯から出る温排水なども越冬に貢献してるのかもしれませんが、実態は正直よく分かりません。

 いずれにしても、このカタボシイワシ君達が東京湾、相模湾でより多く生息数を増やしていくのか、引き続き動向を見守りたいです。

 写真1 カタボシイワシとマイワシの精密測定

 カタボシイワシとマイワシの精密測定  

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2 サーフ調査の収穫物 (内水面試験場 山本 裕康)

 今回はメルマガネタが見つからず、ちょっと画質に難ありかな?と思いつつもネタに出来そうな写真があったのでカマキリについて書いてみようかと思います。過去にカマキリについては自分も含めて他の職員の投稿もあったかと思います。内容的にかぶってしまっていたらごめんなさい。

 まずは、知っている人も多いかと思いますが、カマキリとは、虫の蟷螂では無くカジカの仲間で、川と海を行き来する別名アユカケとよばれる魚です。(写真1:成魚)

 ここ数年、試験場内の魚の飼育がメインの私ですが、年に数回だけ、相模湾試験場が主体で行っているサーフ調査(相模湾の波打ちぎわで網をひく調査)に同行しています。過去には、内水面試験場でアユの資源量調査の一環で行っていたことがある調査です。調査時期によっては、色々な生物が獲れて結構おもしろい調査です。今回は調査日が2月下旬のため、アユやイワシのシラス仔魚が獲れることは予想していましたが、カマキリの仔魚も1尾獲れました。(写真2:浮遊期)ピンボケの写真ですが(笑)体の後ろ半分が透明部分と黒色部分のツートンカラー(?)なのがわかりますか?頭は成魚と同じ灰色ポイ色になっていますが後ろ半分はまだその色素が出ていません。この個体は、調査サンプルなのですが・・・見た目で同定が可能なことと、獲れた記録が出来ているとのことで展示飼育用に私が頂戴して、内水面試験場にて飼育しております。

 次の写真(写真3:着底後)は1ヵ月後のものです。透明だった部分に灰色の色素が出てきています。胸びれや背びれは、黒一色だったものから灰色が出てきてまだら模様になってきています。(着底して底面にいるので写真も撮りやすいです。)その次の写真(写真4)は、5ヵ月後のものです。体長は3センチぐらいになっています。(ちょっと、成長は遅い方かも・・・。)小さいですが、見た目は成魚と同じになっています。

 内水面試験場でサーフ調査を行っていた当時にも、同サイズのカマキリを獲った覚えがありますが、数年ぶりに遭遇して飼育をしてみると、愛着がわいてかわいいものです。

 写真1 成魚

 成魚

 写真2 浮遊期

 浮遊期

 写真3 着底後

 着底後

 写真4 着底5ヵ月後

 着底5ヵ月後

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