神奈川県水産技術センター メルマガ476

掲載日:2015年7月10日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  476号    2015年7月10日号

□ 研究員コラム

1 東京湾カラー (栽培推進部  岡部久)

2 台湾南部漁港めぐり・その1東港編 (企画資源部  山本貴一)

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1 東京湾カラー (栽培推進部  岡部久)  

 6月の異動で職務が変わり、これを書いている今日、久しぶりに江の島丸に乗って東京湾を一回りしながら、シャコの幼生の分布や量を調べる調査に出かけました。東京湾の漁業資源研究に関しては、前任や前々任にスペシャリストがいましたので、その人たちに負けないような仕事を残したいと思っています。

 東京湾といえば、子供のころ住んでいた川崎からフェリーで木更津に渡り、潮干狩りに行ったときの事を思い出します。1970年代の高度経済成長期、公害問題で有名になった京浜工業地帯の一角から出航したフェリーから見た東京湾の水はまるでコーラのような色でした。それまでに見て知っていた三浦半島南部のきれいな海に比べると信じられないような落差でした。ただ、同時に思い出されるのは、木更津に近づくにつれて良くなる水色、降り立った干潟の周辺にいたおびただしい数のコメツキガニやフナムシ、そしてアサリの多さです。今から思えば、それは干潟の浄化機能を担う多様な生物たちの姿だったのだと思います。あのコーラのような水の色は、いわゆる植物プランクトンの仲間の大発生、「赤潮」によるものです。アサリをはじめ、干潟に住む多様な生物はこれを直接餌として、あるいは間接的に利用することができるのです。

 あれから40年、今日の江の島丸で回った東京湾は、そのときに比べれば透明度もあり、水色もかなりよく見えました。ちょうど当時のフェリーの航路に近い東京湾アクアラインの風の塔に近い側点でも、状況は同じでした。近年の東京湾は、水質総量規制等により、かなりきれいになったと漁業者から聞いたことがあったのですが、そのことを実感できる出来事でした。こうした大きな水質の変化は、当然、漁業の対象となる生物の生活にも影響することが考えられます。我々の仕事は、こうした環境の変化に応じて漁獲対象となる魚種の分布域や資源量の変化を的確に捉えることが大事になります。江の島丸の乗組員の一人が言った「東京湾カラーといえばコーラだよな」という一言が印象に残る調査航海でした。

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2 台湾南部漁港めぐり・その1東港編 (企画資源部  山本貴一)

 先日、台湾南部の漁港めぐりをしてきました。マグロの水揚漁港である東港と、シラス漁業が行われている枋寮です。今回は、このうち東港についてご紹介します。

 東港は高雄の中心部から南東へ約25kmに位置し、高雄から路線バスを利用して約1時間で行くことができます。東港は神奈川県の三崎のように、マグロの水揚げで有名な漁港です。漁港周辺にはマグロのオブジェが飾られていたり、街灯にさりげなくマグロをモチーフにした装飾が付けられたりしています。観光客向けのレストランや直売所、駐車場もあり、漁業を目玉にして観光客を集めている点も、三崎に似ていると思います。

 漁港の規模はかなり大きいのですが、港内には非常に多くのマグロ漁船が停泊しており、マグロ漁船で港内が埋め尽くされているという印象でした。漁港を歩いていると、ある停泊中のマグロ漁船の中から、「ドンドコ、ドンドコ」というにぎやかなリズムの音楽が聞こえてきました。台湾の音楽というより、より南方系の音楽のようでした。船員を見てみると、台湾人のようには見えません。彼らに話しかけたところ、インドネシア人船員でした。東港の町の中では、「合法印尼(インドネシア)船員」や「合法越南(ベトナム)船員」という看板が見られ、インドネシア人だけでなく、ベトナム人も漁船で働いているようでした。また、「印尼便當(インドネシア弁当)」や「越南小吃(ベトナム軽食)」のように、外国人船員を対象としているお店の看板も見られました。日本のマグロ漁船やカツオ漁船にも外国人船員が多く乗船しているという話を聞いたことがありましたが、台湾でも同様に外国人船員がマグロ漁船で活躍しているようでした。

 漁港のすぐそばにある東港漁業文化展示館も見学しました。この展示館には、東港の主な漁業であるマグロ延縄漁業についての展示がありました。漁法や歴史、利用方法等について詳しく説明されていましたが、展示内容は少々古く、統計データは20年以上前のものでした。見学者も自分ひとりだけで、あまり活気があるようには見えませんでした。また、東港ではサクラエビ漁業も行われており、こちらについての展示もありました。東港のサクラエビ漁業は、日本のサクラエビの漁獲量が低迷した1970年代に、日本のサクラエビ加工業者が近隣国で代替できる資源がないか探したことがきっかけとなって始まったようです。東港の町の中にはサクラエビの素干しを販売しているお店もあり、日本のサクラエビよりもかなり割安な値段で販売されていました。

 シラス漁業で有名な枋寮については、次回執筆時にご紹介したいと思います。

多くのマグロ漁船が停泊している東港

写真1 多くのマグロ漁船が停泊している東港

東港の入口に飾られているマグロのオブジェ

写真2 東港の入口に飾られているマグロのオブジェ

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