神奈川県水産技術センター メルマガ475

掲載日:2015年6月26日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  475号    2015年6月26日号

□ 研究員コラム

1 磯の鎧武者「イセエビ」 (栽培推進部  古川大)

2 「よもやま話 17」 (相模湾試験場  村上哲士)

----------------------------------------------------------------

1 磯の鎧武者「イセエビ」 (栽培推進部  古川大)

  はじめまして、平成27年4月に神奈川県水産技術センターの職員として採用された古川です。神奈川の水産業振興に貢献できるよう誠心誠意努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回は神奈川の海に住む生き物を紹介させていただこうと思います。私は趣味でスキューバダイビングをしており、地元神奈川の海でよく潜ります。そこで出会う生き物たちを紹介することで、神奈川の海にはどのような生き物が住んでいるのか、少しでも興味を持っていただければ幸いです。

 今回紹介させていただくのは「イセエビ」です。水深15mの岩穴で、侵入者を威圧するかのようにどっしりと構えていました。立派なヒゲに朱色の体はまるで鎧兜をまとった鎧武者といった風貌で、体長30cmを超える大きな体も相まって特別な存在感を放っています。その威勢のいい姿から縁起物として人気があるほか、味もよく、刺身、焼きなど様々な食べ方があり、さらに残った殻で出し汁をとった味噌汁は絶品です。

 一般の人がイセエビと聞けば、長いヒゲと立派な甲殻をまとった姿を容易に想像できるでしょう。イセエビの特徴であるヒゲは第2触覚と呼ばれる器官で、警戒や防御に使われます。ヒゲの表面には棘が並び、イセエビは近づいてくる外敵に対して、ヒゲを叩きつけて攻撃します。甲殻を鎧とするなら、ヒゲは武者の携える刀といったところでしょうか。私も撮影中に手や水中カメラを叩かれてしまいましたが、あとで水中カメラを見ると表面に傷がついていました。なかなかの業物です。また、ヒゲの根元には鳴音器が備えられています。イセエビはヒゲを動かすことで「ギィギィ」という音を発することができ、威嚇・警戒音として用いているようです。

 イセエビ成体の姿はよく知られていますが、卵から生まれたばかりのイセエビの赤ちゃん(幼生)がどのような姿をしているのか、知っている方は少ないのではないでしょうか。孵化したばかりの幼生の姿は成体とは全く異なっており、長い脚と木の葉のような扁平な胴体を持っています。「フィロソーマ幼生」と呼ばれており、ギリシャ語の「フィロス(木の葉)」と「ソーマ(体)」が組み合わさった名前で、まさに体を表した名です。このフィロソーマ幼生は孵化後数ヶ月から1年もの間、沖合を漂いながらプランクトン生活を送り、その後プエルルスと呼ばれる幼生期に移ります。プエルルスは成体と似た体を持ち、ガラス細工のように透明であることから「ガラスエビ」とも呼ばれ、さらに脱皮することでようやく親エビとほぼ同じ姿の稚エビへと変態します。

 イセエビ幼生の生活環境についてはまだわかっていないことが多く、その繊細な幼生期間が長いこともあり、幼生の大量飼育は未だ実現していません。さまざまな機関で研究が続けられていますが、大量飼育および種苗生産の実現にはまだ時間がかかりそうです。イセエビ資源を恒久的に利用していくには、資源管理の徹底が不可欠です。

 神奈川県では6月1日から7月31日までイセエビの採捕禁止期間になります。イセエビの産卵時期であり、海の中ではお腹に卵を抱えた親エビが卵の世話をしています。そして産卵から1-2ヶ月後に幼生が孵化して、1個体の親エビから数十万個体もの幼生が沖合へと旅立っていきます。小さなイセエビに成長して、また磯へと帰ってきてくれることでしょう。

イセエビの赤ちゃん「フィロソーマ幼生」

写真1 イセエビの赤ちゃん「フィロソーマ幼生」

岩穴で構えるイセエビ

写真2 岩穴で構えるイセエビ

----------------------------------------------------------------

2 「よもやま話 17」 (相模湾試験場  村上哲士)

 いつの間にやら県に入って28年目を迎え、よもやま話も17回目となりました。

 今回は予想もしていなかった異動になり面食らっております。今年度は知事選挙がありました関係で通常4月にある異動が6月になり、小田原に在ります相模湾試験場に移りました。

 4月には新採用の人が入り、久々の若手で、これからの栽培漁業を担う人材の育成をと思っていた矢先でしたのでビックリしましたが、後任の方にお任せしましょう。

 私事ですが、5月まで在職していた栽培推進部には2回で合計19年あまり居させてもらい、種苗生産関係に専念させてもらいました。ひとつ事を長年やらせてもらえたのは幸せだなと思います。また、現場で一緒に働いて支えてくださった方々に恵まれたことにも感謝です。

 相模湾試験場は、西湘地域が昔から定置網漁業が盛んだったこともあり、定置網やそれに関連した研究など水産工学的な仕事が多いところです。

 理系ではありますが、数学と物理が苦手な私には少々ハードルが高いかなと心配しております。

 また、小田原方面には出張などで何回か来ているだけで土地勘も有りません。

 仕事から何から、ほとんど全てが初めてづくしのようなもので、これまた不安だらけの状態ですが、一から勉強のし直しと思えば、それはそれで良いかなと思っています。

 皆さまの迷惑にならず、お役に立てるよう頑張りたいと思う所存ですので、よろしくお願いします。

----------------------------------------------------------------

■水技Cメールマガジン(隔週金曜日発行)
■メルマガの配信の変更、解除、ご意見やお問い合わせはこちらのメルマガお問い合わせフォームからお願いいたします。

発行:神奈川県水産技術センター 企画資源部
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2312

-----------------------------------------------------------------

メルマガTOPへ

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター です。