神奈川県水産技術センター メルマガ473

掲載日:2015年5月29日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  473号    2015年5月29日号

□ 研究員コラム

1 ヌタウナギの思い出 (栽培推進部 杉浦 暁裕)

2 トラフグ放流種苗の生産率を高めるための共同研究 (栽培推進部 櫻井 繁)

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1 ヌタウナギの思い出 (栽培推進部 杉浦 暁裕)

 私は魚料理が好きで、結構、色々なものを食べています。その中で、忘れられない思い出をお話しします。

 私が、水産業改良普及員だった平成の始めの頃です。当時の韓国は、ソウルオリンピック後の好景気で沸いており、ヌタウナギの皮を使った財布等が高く取引きされていたそうです。そこで韓国へ輸出するために相模湾でヌタウナギを漁獲しようという漁業者が現れました。

 ヌタウナギは、円口類の仲間の顎の無い生物で、脊椎動物の中では最も原始的な生物です。厳密には魚類には含まれませんが、広義で魚類に含めることもあります。相模湾ではかなり深い海底に生息しているようです。

 ヌタウナギを漁獲していた漁業者は、研究熱心な方でしたので、指導普及業務を通じて親しくお付合いさせていただいておりました。その漁業者が、ある日、水産試験場指導普及部(当時の名称です)を尋ねてきました。何と「杉浦さん、ヌタウナギを食べてみて下さい。普及員だったら食べておかないと指導できないよ。」と、生きたヌタウナギを持参しました。大抵のものには驚きませんが、このときばかりは、驚いたのと困ったのと、半々でした。韓国では、滋養強壮によいと高級食材だそうです。とりあえず、タコの網袋に入れて水産試験場の大池に吊るして置きましたが、翌日、網袋を揚げるとヌタウナギの体液で網袋がヌルヌルです。洗っても何しても取れないような強力な体液でした。

 さて、調理です。生きているヌタウナギは、体液でヌルヌルする上、暴れるので、長時間、調理場の流しに放置しておきましたが、いつまでたっても死にません。まず、皮を剥かないといけないのですが、剥きようがありません。仕方なしにアナゴやウナギのように頭に釘を刺して固定して、1尾当たり10分もかかったでしょうか、でも何とか皮をはぐことができました。後は、ブツ切りにして塩をふって、網焼きをしました。食べてみると脂がのっていて、うまみもあり、結構、美味でした。でもヌタウナギの調理は、二度と御免です。ヌタウナギを食べる際には、自分で調理せず、出来上がった料理を食べることをお勧めします。

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2 トラフグ放流種苗の生産率を高めるための共同研究 (栽培推進部 櫻井 繁)

 当センターでは、漁業者から種苗放流の要望が高いトラフグについて、放流後の生残率を高めるため、平成23年度より独立行政法人水産総合研究センター増養殖研究所(現在は国立研究開発法人水産総合研究センター増養殖研究所)、三重県水産研究所及び静岡県水産技術研究所と共同研究契約を結び、役割と分担を明確にして調査・研究を実施しています。

 増養殖研究所は3県に放流する種苗の生産及び提供、三重県は三重県伊勢市の外城田川の干潟域に、静岡県は静岡県磐田市の太田川の河口域に、神奈川県は神奈川県横須賀市の小田和湾の藻場に放流しています(写真1)。放流直後から1ヶ月間にわたって、稚魚採集用ネット(写真2、高さ1.2m・長さ15m・目合8.4mm)を用いて放流した種苗を再捕し、食性や成長、飼育中に噛合いで欠損した尾鰭の再生状況を調査しています。26年度からは、放流直後に砂へ潜っている状況の調査も実施しています。

 再捕した種苗の胃内容物を調査したところ、放流直後は何も食べていない個体がいますが、数日を過ぎるとヨコエビ類やワレカラ類の甲殻類を主体に、多毛類、巻貝類、昆虫類など、多種多様な生物を食べていることが判りました。また、噛合いで欠けていた尾鰭も放流後1ヶ月程度で、天然稚魚の尾鰭の長さに近いくらいにまで再生していました。しかし、26年度から実施している放流直後に砂へ潜っている状況の調査では、潜っている稚魚を見つけられませんでしたが、予備的に実施した前年度では観察できました(写真3)。

 今後は、干潟域・河口域・藻場に放流した種苗の食性や成長、尾鰭の回復状況を比較し、それらの条件が生残率にどのような影響を与えているのか、各県と共同で研究を進めながら、明らかにしていきたいと思います。

写真1 小田和湾のアマモ場(黒い部分がアマモ)

写真1 小田和湾のアマモ場(黒い部分がアマモ)

写真2 稚魚採集用ネットを曳いている状況

写真2 稚魚採集用ネットを曳いている状況

写真3 砂に潜っているトラフグ放流種苗

写真3 砂に潜っているトラフグ放流種苗

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