神奈川県水産技術センター メルマガ472

掲載日:2015年5月15日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  472号    2015年5月15日号

□ 研究員コラム

1 減った?ヒガンフグ (栽培推進部 工藤 孝浩)

2 最近の魚探事情 (内水面試験場 安藤 隆)

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1 減った?ヒガンフグ (栽培推進部 工藤 孝浩)

 去る3月21日の土曜日、新月の大潮が満潮を迎える夕暮れどき。

 私は東京湾のある浅瀬の海面にスノーケリングで独り静かに浮いてヒガンフグを待った。春のお彼岸の頃の大潮に波打際で集団産卵をすることからその名がついたフグである。

 2009年の同時期・同時刻には、ここに40cm級の大物を交えた100尾ものフグが現れ、目の前で盛大な産卵行動を繰り広げた。それは魂が揺さぶられる様な、神々しい光景だった(写真1)。

 6年間もご無沙汰したのは、仕事とは関係ない「道楽」だからだ。夜の極寒の海で丸太の様に2時間浮かぶのは苦行で、週末で陽気が良く、体調万全で所用が無い等の好条件がないと腰が上がらない。だが今年は、何が何でも観察したかった。

 ここからほど近い横浜市野島海岸の再生アマモ場の調査で、昨年・一昨年と2年続けてヒガンフグの稚魚が大量に採集されていたからだ。早いものは2歳魚から産卵に参加するので、一昨年の稚魚たちが親になり大挙登場すると期待された。

 ところが、現実は期待とは大きくかけ離れたものだった。

 フグは10数尾しか現れず、数が少ないため警戒心も強く、ダイナミックな産卵シーンは一度も見られなかった。6年の間にフグは減ってしまったのか?海面の丸太は震えながら、深く、深ーく落胆した。

 後日、「金沢八景から横須賀の新たな釣りものとして人気のヒガンフグが、ここ数年釣れないのはなぜ?」と釣り雑誌の取材を受けた。

 確かに、魚市場に水揚げされるヒガンフグは顕著に減っているようであり、釣りの不漁、産卵群の減少と、景気の悪い情報が並ぶ。そこに思い当たる節はあった。

 ヒガンフグは関東で資源利用されるフグ類の中で、藻場に最も依存する。稚魚はアマモ場、未成魚-成魚はガラモ場・カジメ場を拠点に生活し、昼間は広く行動しても夜間は藻場で眠ることが知られている(写真2)。一方、三浦半島沿岸ではここ数年で急速に磯焼けが進行している。ヒガンフグが磯焼けの影響を受けている可能性は考えられる。

 しかし、2年続きの稚魚の大量出現は説明がつかない。取材には、「千葉県の内房には産卵や成長に適した環境があり、フグは多いと推定される。稚魚は千葉側から流れて来たのでは?」と苦し紛れに答えた。

 そしてつい先日、釣り雑誌の読者からの手紙が編集部から転送されてきた。「千葉県富津周辺では、今年も凄い数のヒガンフグが産卵に来ました」とあった。嬉しかった。記事をちゃんと読んでおられる方がいること。毎年産卵に来るフグを見守る人がいること。推定どおり千葉側にはフグがいたこと。

 これらがみんな嬉しかった。

腰丈ほどの浅場で雌雄が追尾するヒガンフグの産卵行動

写真1 腰丈ほどの浅場で雌雄が追尾するヒガンフグの産卵行動(2009年3月29日 東京湾某所)

夜間、アマモ場で眠るヒガンフグの未成魚

写真2 夜間、アマモ場で眠るヒガンフグの未成魚(2010年6月26日 逗子市地先アマモ場)

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2 最近の魚探事情 (内水面試験場 安藤 隆)

 「魚探」(ぎょたん)というのは皆さんご存じのとおり「魚群探知器」の略称で、超音波の反射を利用して、魚群を見つけたり水深を調べたりできる、今や漁業にも遊漁にも欠かせない道具です。

 魚探には漁師さんが使う数百万円もする高性能なものと遊漁者が使う安価なものがありますが、ここでお話しするのは、主に遊漁者が使う魚探の話です。

 私がマイ魚探を初めて購入したのは、今から約40年前でした。ロールになった感熱紙を使うタイプで、針が感熱紙の上をなぞるたびに少し煙が出て焦げ臭いにおいがし、紙の上に水面と海底の線と魚群かかすれたように黒く記録されるものでした。これでも慣れると結構魚群を見つけることができ、初めて水の中を自由に見ることができるようになったのがうれしくてたまりませんでした。釣りをしていても竿先を見ているよりも魚探の画面を見ている時間のほうが長かったように思います。

 その後、魚探は液晶画面が主流になり、カラー液晶へと進化しました。小型軽量化され、紙の入れ替えなどの手間がかからず、詳しく見たい水深を自由に拡大したりできるようになりました。数年前からは、船が走行していれば、水底をまるで写真を見るようにリアルに画面に表示できるものが出てきました。そして、最近は船が停止したままでも水中が動画のように3Dで見られるとするものも登場してきました。もちろん魚の姿がそのまま見えるわけではありませんが、魚群の動きが画面上で動画のように見られるというのは夢のような話です。将来どこまで船の上から自由に水中が見られるようになるのか大変楽しみです。

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