神奈川県水産技術センター メルマガ470

掲載日:2015年4月17日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  470号    2015年4月17日号

□ 研究員コラム

1 夏モード冬モード (内水面試験場  井塚 隆)

2 季節が変わると魚も変わる (相模湾試験場 高村 正造)

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1 夏モード冬モード (内水面試験場  井塚 隆)

  常夏の海。日焼けした肌に、笑顔を飾る白い歯がまぶしい。

「先に行くわよ。」

 小ぶりのタンクを背負った彼女は、キャラキャラと光る水面に少しだけ波紋を残し、瞬く間に紺碧の海に溶け込んでいった。

「ちっ。せっかちだなぁ」

 舌打ちをしたものの、彼女のあとを追って俺も潜ることは初めからわかっていた。そのために、ここにやって来たのだ。

 ヨットには誰もいなくなるが、まあ、大丈夫だろう。ここは物質社会から遠く離れた南の海。ダイビングを楽しむことだけに集中すればよい。

 こんな思惑を抱き、ダイビングを始めて早25年が経つ。思惑はいつしか幻想となり、もはや妄想に腐変した。

 就職してからは「ダイビング」というよりも、専ら「潜水」という感が強い。アユ調査の担当では、川底に沈んでいるエ〇本によって、河川環境の攪乱有無を判定する術を会得するに至った(VOL.386参照http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582328.html)。

 「違うんだ。俺がやりたいのはそうぢゃないんだ・・。」

 そんな想いが通じたのか、渓流調査の担当になった。

 渓流! 南の海から更に離れて、川の最上流部まで来てしまったが、まあよい。透明感と清涼感。何よりもヤマメがいる。漢字で書くと「山女」。「渓流の女王」と称される。なんとも優艶ではないか!

 過度の期待を抱くことは、仕事において法度であろう。

 渓流・・・。もちろんダイビングではなく、もはや潜水でもない。半身潜水である(写真1)。渓流魚は近づくと逃げるので、遠望スタイルで観察することが多い。倒木のごとく不動な姿は、まるで仕事をサボっているようだ。もしくは、石とか岩とかに隠れるので、隅々まで覗きまわる。その作業姿は見ようによっては妖艶か、妖しいか。ここは人里から遠く離れた山塊の川。魚を見つけることだけに集中すればよい。

 冬になっても調査は続く(写真2)。瀬の飛沫が冷気に当てられ、陸上部分の全てがびっちりと凍りつく。水中観察を終えて岸に上がると、潜水スーツは凍り始める。

 岩陰にひそんだ山女は私に見つかり、怯えたような目つきでにらんでくる。私には「ちっ」という舌打ちが聞こえた。清涼感をとおり越し、水温は3℃台。でも大丈夫だよ。これ以上、厳しくはなるまいよ。

 魚たちはひたすらに春が来るのを待っている。

 こういうのも悪くない。

半身潜水作業の風景

写真1 半身潜水作業の風景

冬季の行き過ぎた清涼感

写真2 冬季の行き過ぎた清涼感

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2 季節が変わると魚も変わる (相模湾試験場 高村 正造)

 4月になってだいぶ暖かくなってきました。桜も咲いて春の陽気が心地良い時期です。私は月に2回ほど魚市場で魚の測定をしていますが、その時に水揚されている魚を見ることで季節の変化を感じます。相模湾では春になるとマアジやサワラ、ブリなどが多く水揚されるようになります。先日も市場へ魚の測定に行った際はマアジがかなり水揚げされていました(写真)。またここ数日は真鶴や二宮でブリが大量に漁獲されて、1日に1千本も取れた漁場もありました。ブリは伊豆の方では2月位からよく水揚されていたようですが、相模湾の水温が上がってきたのに伴い、ようやく湾の奥まで入ってきてくれたなという状況です。近年はブリの資源量が全国的に増加していて、今後もブリの大漁には期待したいところです。他では、アカカマスは最盛期が秋ですが、春先も漁獲量が増える魚で市場に行くとよく見かけるようになっています。多く水揚されれば、スーパーなどで神奈川県産の魚として見かける機会も増えると思いますので、見かけた際はぜひ味を楽しんでください。

小田原魚市場に水揚されたマアジ

写真 小田原魚市場に水揚されたマアジ

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