神奈川県水産技術センター メルマガ464

掲載日:2015年1月23日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  464号    2015年1月23日号

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□ 研究員コラム

1 トンボ天国? (内水面試験場 山本 裕康)

2 東京湾の海色を見て感じたこと (企画資源部  舩木 修)

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1 トンボ天国? (内水面試験場 山本 裕康)

 内水面試験場の敷地内には、生態試験池(人工河川)や谷戸池(谷戸環境を再現した池)など、絶滅の恐れがある淡水魚の生息地を復元するための研究に使用する水辺ビオトープがあります。また、生態試験池の一部を魚道の試験などに使用し、魚が棲みやすい川にするための研究もしています。

 水辺ビオトープの主な活用法は、保護対象の魚種を放流し、その後の行動観察や環境データの収集などになります。よって、自然に近い環境を作るために、対象魚種以外の魚類や甲殻類(主にヌマエビ類)、貝類なども放流しています。

 ところが、水辺ビオトープでは、放流していない生物も生息するようになります。時には、アメリカザリガニのような外来種が増えてしまうこともありますが(アメリカザリガニは調査時などに駆除しています。)、多くの水生昆虫も増えて定着しています。

 ざっと、種類をあげると、俗に川虫と呼ばれるトビケラやカゲロウ、カワゲラなどの仲間。カメムシの仲間で半水生のアメンボや水生のミズカマキリ、コオイムシ、マツモムシなど。甲虫では、ゲンゴロウやガムシの仲間などがいます。その中で川虫に続いて多く見かけるのが、トンボのヤゴ(幼虫)です。これらは種類も多く、イトトンボの仲間、カワトンボの仲間、ヤンマの仲間、サナエトンボの仲間などがいます。残念ながら私は専門家では無いので、ヤゴ(幼虫)の状態では特徴的な数種しか見分けられません。しかし、トンボ(成虫)になれば大きさや形である程度の見分けが付くので、ざっと数えてみると20種以上は生息または飛来しているようです。また、年間を通しても陽気の良い日には何らかのトンボを見かけたりします。(成虫で越冬するものもいるので。)

 定着または飛来するこれらの水生昆虫は、試験場近隣の水田や相模川などからやって来て、いつの間にか見受けられるようになったものと思われます。このように、絶滅のおそれがある魚類の生息地を復元することは、当該魚類の生息地が確保されるだけではなく、多くの生物の生息地を増やすことになるのです。

 昨年の夏には試験場内に初めてチョウトンボ(神奈川県レッドデータ:絶滅危惧IB類)が飛来しました。試験池に定着しているのかは不明ですが、毎年みられるようになればうれしいです。

生態試験池

写真1 生態試験池

谷戸池

写真2 谷戸池

チョウトンボ

写真3 チョウトンボ

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2 東京湾の海色を見て感じたこと (企画資源部  舩木 修)

  私はイワシ類(しらすを含む)の資源研究のほかに、昨年4月から東京湾の貧酸素水塊調査の一環として毎月、調査船「江の島丸」および「うしお」に乗っています。調査結果は、「東京湾溶存酸素情報」として発行し、関係漁業者の日々の操業に役立てて頂いております。

「東京湾溶存酸素情報」 

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f430693/p550034.html

  ところで、4月から12月まで定期的に調査船から東京湾を見て感じたのは、特に初夏から秋口にかけての根岸湾沖から川崎人工島「海ほたる」に至る海色でした。江の島丸は城ヶ島を出航し、まず南東方向へ千葉県は富浦沖へと進み、その後、北上し三浦半島沖を観音崎へと向かいます。この間の海色は鮮やかなブルーに見え、とても気持ちの良いものです。

 しかし、観音崎を越えると、それまでのブルーが徐々に濁り始め、根岸湾沖に来ると褐色系色に変わってしまい、これが海ほたるまで続くのでした。臭いも独特なものを感じます。観音崎を境に大きく水質が変わってしまうようです。

 一時期に比べ東京湾は綺麗になったとよく耳にします。確かに下水道が整備され排水基準も厳しくなり、窒素やリンの負荷も軽減されたのでしょうが、いざ現状を目の当たりにすると、まだまだ浄化する余地があるな-と感じてしまいました。

 更に、東京湾の課題として底層の貧酸素化が挙げられます。これは毎年夏場を中心に海底付近に酸素量の非常に少ない水塊が発生してしまい、底生生物の生存が脅かされるのです。これを人間の目で確認できるのが、いわゆる「青潮」です。ある意味、東京湾での負の恒例行事になってしまっていますが、将来、貧酸素水塊が発生せず、多種多様な魚介類が生息する東京湾に戻ることを願ってやみません。

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