神奈川県水産技術センター メルマガ463

掲載日:2015年1月9日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  463号    2015年1月9日号

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あけましておめでとうございます (水産技術センター所長 米山 健) 

□ 研究員コラム

1 コイ用の最中 (内水面試験場 相川 英明)

2 ニホンウナギの放流調査 (内水面試験場 戸井田 伸一)

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あけましておめでとうございます (水産技術センター所長 米山 健)

 新年、あけましておめでとうございます。

 昨年は、東京湾の不漁に加え、三浦半島周辺での磯焼けの急激な拡大、貨物船衝突事故による油濁被害など厳しい状況はあったものの、県西地区の定置網の好漁やキハダの来遊などの話も聞こえてきました。ぜひ、今年は、県内各地で明るい話題に満ちた1年になればと願っています。

 さて、昨年を振り返ると、「テレビで、かなり漁業や魚の流通に関する番組が放映されていたな。」という思いをしました。仕事柄、私がそのような番組ばかり見ているからかもしれせんが、その中には、今後の水産業振興のヒントが含まれていたように思います。

  ひとつは、大消費地をターゲットにした産地の努力でした。神奈川県は首都圏に位置することから産地としては有利で、朝どれの魚を中央の市場に出荷できます。昔はそこに油断があり、鮮度保持への認識が高くなかった時期もありましたが、近年は、定置網漁業での殺菌冷海水装置の導入や沿岸サバ釣りでの魚に手を触れずに漁獲する方法などの取組が進みました。しかし、テレビではさらに上を行く鮮度保持技術を取り入れた出荷方法が具体化しており、各産地の意気込みが伝わって来ました。具体的には、神経締めは当たり前に行っていますし、新しい機械も開発されているようで、関東ではなじみのない「サバの刺身」を提供する居酒屋が珍しくない時代がまもなく到来しそうです。本県もさらにステップアップしていかなければと感じました。

 もうひとつは、魚の販売についてです。魚消費量の減少傾向が続く中で、大きな鮮魚チェーン店が繁盛しているというもので、大量仕入れによる安さ、その日に売り切る鮮度重視、様々な加工をしてくれるサービス、などが魅力のようでした。私は魚をおろす訓練を怠らないために、スーパーでも丸のままの魚を買っていますが、世の中では、さばかない魚を売るのはたいへんな時代になってきており、本県の生産現場でも一次加工に取り組む必要性が高まるのではと思いました。

 水産技術センターは、漁海況や資源管理、栽培漁業や漁具漁法、さらには利用加工などの研究をはじめ、普及指導や漁業取締り、漁業無線など様々な業務に取り組んでいます。漁業経営が安定し後継者が育っていくことによって、県民の皆さんに多彩で新鮮な水産物が提供できます。私たちは、地道な仕事をしつつも、世の中の動きを感じ取り、水産業振興のための取組を的確に進めてまいる所存ですので、今年もどうぞよろしくお願いします。

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□ 研究員コラム

1 コイ用の最中 (内水面試験場 相川 英明)

 昨年の11月、栃木県大田原市の淡水魚専門の水族館へ行ってきました。

 この水族館は、アマゾンに関する展示が国内では最大規模であることや、水槽に直接、太陽光を取り入れる構造のため、館内が明るいことなどが特徴とのことです。

 水族館の建物の外側にはコイを飼育している池があり、コイの餌の自販機がありました。

 その他の水族館でも、魚の餌をプラスチック製のカプセルに入れて販売していることを見かけたことがありますが、こちらでは、自販機からコイの餌の入った最中(写真)が出てきます。

 最中がカプセルの役割をしていて、表面に「どうぶつのエサ たべれません」と書いてあります。

  プラスチック製の容器と違い、コイに餌を与えた後に残った最中もコイに与えれば食べてくれるので、容器もゴミにならない利点があります。

 また、コイの餌が出てくるようにうまく最中を割れば、魚の餌に直接は手で触れずに餌やりができるので、手に餌の臭いが付かないメリットもあると思いました。

 他のお客さんも、コイ用の最中には感心している様子で、私たちにとっても「目から鱗が取れる」取り組みでした。

コイの餌の入った最中

写真 コイの餌の入った最中

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2 ニホンウナギの放流調査 (内水面試験場 戸井田 伸一)

 平成25年度から内水面試験場ではニホンウナギの調査を始めています。どんなものを食べているのか、どんな環境を好むのか、少しずつ分かってきました。

 今回は、ニホンウナギの河川内における移動を把握するための標識放流調査について紹介します。

 ニホンウナギの標識はPITタグを選びました(写真1)。長さ9mm、幅2.1mm、重さ0.06gと小さく、ガラス容器の中にマイクロチップが入っているためPITタグリーダーを使用すれば、標識番号が識別できるものだからです(写真2)。PITタグは誤飲しないよう腹腔内に挿入しており、開腹時には気がつくように配慮しています。

 調査は酒匂川で、平成26年5月12日から9月27日までの7回実施しました。

 採捕した1,015尾のうち約20cm以上の個体196尾にPITタグを装着しました。装着率は19.3%でした。なお、再捕したニホンウナギにはイラストマーカーを注入し、標識魚であることが外見で判るようにしてあります(写真3)。

 再捕された標識魚は合計17尾で、全長26cm-48cmでした。17尾のうち9尾は放流した場所の近くで再捕され、5尾は200m-350m上流まで移動し、残りの3尾は放流地点から下流に350m下っていました。

 同一エリア内での再捕は経過日数が14日-30日と短く、200m以上の移動をしていた個体の再捕日数は14日-95日と長くなっていました。

 夏期は、全ての個体が上流もしくは放流地点付近に移動していました。しかし、8月27日以降は、標識を付けた場所から下流に移動しているニホンウナギが初めて3尾確認されました。河川の水温が下がり初めていることが、ニホンウナギの移動に関係しているかもしれません。

 再捕したニホンウナギの数はまだ少なく、今後もサンプルを増やすために調査回数を増やし、多くの情報を集めて行く予定です。

PITタグ

写真1 PITタグ

タグリーダーで確認

写真2  タグリーダーで確認

標識の付いたニホンウナギ

写真3 標識の付いたニホンウナギ 

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