神奈川県水産技術センター メルマガ456

掲載日:2014年9月26日

 神奈川県水産技術センターメールマガジン  456号    2014年9月26日号

□ 研究員コラム

1 取材対応の裏側 (水産技術センター所長 米山 健)

2 子供たちから元気をもらう見学当番 (企画資源部 木下 淳司)

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1 取材対応の裏側 (水産技術センター所長 米山 健)

  水産技術センターには、様々な取材があります。この夏で一番多かったのが相模湾で近年獲れるようになった「キハダ」の話。さらに、「戦時中に徴用され米軍の魚雷攻撃によって沈没した漁業調査指導船『相模丸』とその顕彰碑について」や「キンメダイ漁業」についての取材もありました。昨年は、毒があり噛まれると怖い「ヒョウモンダコ」だったと思います。

  当所の水産の研究職は、海や海の生き物、漁業についての知識はありますが、全ての魚種に詳しい訳ではありません。

 開放型の相模湾は、起伏に富んだ複雑な海底の構造と黒潮の影響により魚類だけでも約1500種が確認されており、これは日本近海で報告されている約4000種の1/3以上にあたります。また、食用として水揚げされているのは、そのうちの約300種です。さらに、閉鎖型の東京湾では、約200種類の魚介類が水揚げされています。

 このような多彩な魚介類がいるのですが、研究対象の魚介類は、漁業経営上重要なマイワシ、カタクチイワシ、マサバ、ゴマサバ、キンメダイ、クロマグロ、シャコ、アナゴ、マコガレイ、ブリ、アジ、トラフグ、ヒラメ、マダイ、アワビ、サザエなど10数種類に限られてしまいます。

  突然取材があると、当所の研究員の知識を総動員するか、博物館の学芸員や大学の先生、国の研究者等を紹介するかを判断します。今回の「キハダ」が、なぜ最近獲れ始めたのかについては、海の水温や海流の担当、マグロの担当、餌となるイワシ類の担当など当所の研究者が集まり検討しました。その結果、「過去100年で相模湾の表面水温は1℃上昇したが、ここ数年で急に上昇したわけではない。黒潮の分枝流や餌となるイワシ類の状況も確定的な理由とは言えない。キハダの資源が急増しているという情報はない。」ということで首をひねっていたのですが、「県水産課が相模湾に4基の浮魚礁を設置し終わった時期から定置網によるキハダの漁獲量が増加し始めた。また、キハダの習性として浮魚礁のような構造物につきやすい。ということから浮魚礁による滞留効果の可能性が高い。」という見解を導き出しました。

 今年も、9月8日に真鶴と小田原の定置網に20kgー30kgのキハダ約480尾が入網したそうです。キハダに「なぜ相模湾に来たの?」と聞きたいくらいですが、魚はしゃべれないし、陸上と違って海の中をいつも見られるわけではないので、これからも様々な情報を集めて判断していくことになるでしょう。

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2 子供たちから元気をもらう見学当番 (企画資源部 木下 淳司)

 三浦市の城ケ島にある水産技術センター勤務になって1年半。驚いたことの1つは小学生の見学の多さです。5年生で水産業について学ぶらしく、大型バスを連ねてやってきます。見学時間はたいてい1時間。最初の30分は、神奈川県の水産業について、大型スクリーンに映像を映しながら、高田さんという見学担当の職員が説明します。私を含む他の職員の出番はその後からです。2組に分けて、高田さんと分担し所内の見学コースを巡ります。

 私が平成20年度まで勤務した、小田原市にある水産技術センター相模湾試験場でも、水産技術センターよりは少ないものの、見学の当番がありました。当時私は、正直言ってこれが苦痛で、元気一杯の小学生たちが見学を終え、嵐のように立ち去った後は、もうぐったりでした。ところが、どうした心境の変化か、4年間の県庁勤務を経て(県庁の水産課に見学当番はありません)、再び見学を担当してからは、仕事の良い気分転換になり、また子供たちから元気をもらっています。

 所内の見学コースでは、小学生たちは両脚を拡げると最大3.5mにもなる巨大なタカアシガニの標本にびっくりし、続いて大池のマダイに餌をあげて大歓声。生きたアワビとサザエの種苗に触れて栽培漁業について学び、最後に大人気のタッチプール。でもプールのお魚やウニ、ナマコたちが弱らないよう、よーく言い渡します。「ぜったい優しくね。水から出さないようにね」あとは僕と先生が注意して見ていれば、お魚がひどい扱いを受けることはありません。

 学校ごとに子供たちの雰囲気がずいぶん違います。都会的な学校、素朴な学校。落ち着いたクラスもあれば、騒々しいクラスもある。どこも変わらないのは担任の先生の奮闘ぶり。 

 アワビを見て「あーこれ、こないだ家族と行ったグアムで食べたー」とか、「城ケ島にはお父さんとジェットスキーで何度も来たよ」とか、ずいぶんうらやましいことを言う子もいます。私のどこがお気に召したのか、おませな女の子から連絡先を書いた紙片を渡されました。その後、連絡はしませんでしたけど。

 子供たちを見ていると、自分が小学生の時の社会科見学を思い出します。靴工場ではゴム板から型を使って靴底を作る作業が興味深かった。ジュース工場では出された瓶ジュースが美味しかった。国鉄の駅で駅員さんが出したクイズに、自信をもって答えたら違うと言われて心外に思った。このように、水産技術センターの見学も子供たちの心に思い出として刻まれるかと思うと、見学当番は油断できません。楽しく学んで欲しいぞ、をモットーに、当番の日は朝から気合を入れています。

 ○当所の見学受付のページはこちらからどうぞ (マダイ餌やり動画もあります)

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住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2312

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