神奈川県水産技術センター メルマガ448

掲載日:2014年6月6日

 神奈川県水産技術センターメールマガジン  448号    2014年6月6日号

□ 研究員コラム

1 ウナギの調査  (内水面試験場 戸井田 伸一)

2 「続」赤?白?ピンク?  (内水面試験場 山本 裕康) 

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1 ウナギの調査  (内水面試験場 戸井田 伸一)

  平成25年度から内水面試験場ではウナギの調査を始めました。ウナギはどんな環境を好むのか、どんな魚をたべているのか等いろいろ調べています。

 海から川に入ったばかりのウナギは、体が透きとおっていて、シラスウナギと呼ばれています。しばらくすると体色が黒くなり、川底の石の一部が砂に埋もれた浅い流れで、水面が波打つような環境(平瀬)で育ちます。大きくなると、大きな石の陰、障害物の周り、緩い流れ、高めの水温という環境で多く採捕されます。また、石の無い環境でも砂の中に隠れていることもあり、ウナギは体を隠せる環境が必要と思われます。

 ウナギはどんな物を食べているのか? 漁業関係者に尋ねると、ほとんどの方が「アユ」だよと答えてくれます。しかし、ウナギの胃内容物(種の判別した93尾)を調べたところ、アユを食べていたのは5尾でした。その他は、ヌマチチブ(7尾)、ボラ(4尾)、スミウキゴリ(4尾)、ヨシノボリ類(2尾)、マハゼ(1尾)、ゴクラクハゼ(1尾)、不明(16尾)でした。ウナギは底生のハゼ類を好んでいるようです。魚以外では、モクズガニ、アメリカザリガニ、テナガエビ科、ヌマエビ科、水生昆虫等を食べていました。


 ウナギは河川によって食べているものが異る傾向があります。相模川ではハゼ科魚類(20尾)、酒匂川水系ではユスリカ科(217個体)、早川ではヘビトンボ科(52個体)、千歳川ではトビケラ目(59個体)と、河川によりウナギが食べるものが異なるようです。

小型のウナギが食べていたユスリカの仲間

写真1 小型のウナギが食べていたユスリカの仲間

 

 ウナギの胃内容物を調べている際に、面白い発見をしました。ウナギに食べられた魚の中には消化が進んだため、種判別が困難なケースが多くあります。このような場合は、骨などの硬くて消化に時間がかかる部分を調べて種類が判別できないかと考えました。魚の内耳には耳石と呼ばれる炭酸カルシウムの結晶がありますが、消化管内を調べると、この耳石だけが腸の中に残っていることがありました。最初に見つけたのはアユの耳石です。さっそくいろいろな魚の冷凍標本から耳石を取り出したところ、いろいろな形をした耳石が集まりました。これから耳石の形から魚の種判別が行えないか、検討していきたいと思います。

 ハゼ科魚類の耳石

写真2 ハゼ科魚類の耳石

コイ科魚類の耳石

写真3 コイ科魚類の耳石

アユ科、サンフィッシュ科、ドジョウ科、メダカ科の耳石

写真4 アユ科、サンフィッシュ科、ドジョウ科、メダカ科の耳石

 (注)魚の種類により耳石の形が異なることを表現しているため、耳石の大きさをそろえています。

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2 「続」赤?白?ピンク?  (内水面試験場 山本 裕康) 

 昨年の秋に同様なタイトル(10/25発行433号)で白アユについて紹介しましたが、今回はその後の紹介です。

 まずは、「白アユから採卵が出来るのか?」ですが、結果は成熟をして採卵は可能でした。最終的に親になるまで生き残ったのは、雄が2尾、雌が1尾だけでしたが、両親とも白アユでの採卵もすることが出来ました。既に雌は排卵後だったらしく卵数と卵質がイマイチでしたが、発眼してふ化仔魚も得られました。その他に白アユと同系統の普通のアユ(雌)と白アユ(雄)の掛け合わせも試してみました。こちらも、発眼してふ化仔魚を得る事が出来ました。

 さて、ふ化仔魚は得られましたが、この時点では同形態になっているかを判別することは残念ながら出来ません。ふ化したてでは、見た目での区別が付かないのです。この系統群のふ化日は11月初めだったので、この時点での予測で判別可能となるのは年末か年始(飼育60日前後、アユがシラス形態から稚魚形態に変わる。)頃まで無事に飼育出来れば、白アユ系統の固定化が可能か判定できることになります。

 それでは結果です。両親が白アユのふ化仔魚は、ふ化尾数が数百尾(300尾以下)で、容量100Lのパンライト水槽により飼育管理を行いました。残念な事に直接の原因は分かりませんが、半月ほどで全滅してしまいました。残るは、白雄の掛け合わせ群ですが、こちらは飼育開始尾数が1万尾程度だったので、それなりの尾数が生残りました。見た目で白アユと判別可能なアユは3割前後混ざっている感じでしたが(写真1)実際には7-8%でした。白アユは目立つので見た目だと実際より多く見えるようです。この他に、同系統の普通のアユ同士の採卵群からも数%の率で白アユが出現しておりました。(写真2)こちらの比率は未確認ですが1%未満だと思われます。

 この結果からすると、白アユの固定化は可能であるとともに、今後この系統では普通に見えるアユを親として使用した場合でも少なからず、白アユが出現する可能性があるということになりました。

  天然親魚由来の系統を放流種苗生産の目的で親魚養成しておりますが、白アユ出現率の可能性を考えると、天然水域への放流種苗としては、今後は好ましくないと思われます。白アユ系統群は、生理学や遺伝学的な研究分野等で利用価値があるかも知れませんが、当面の利用価値としては物珍しさを生かした水槽展示用でしょうか(笑)最後に、私的見解として今回の白アユの正体は魚体の背中部分が透明鱗(とうめいりん:うろこの色素が出ていない。)化したものであると考えております。魚体の側面部は銀鱗になっています。中途半端なスケルトンアユってところです。(透明鱗になった原因については不明です。)

白アユの写真1

写真1 白アユの写真1

白アユの写真2

写真2 白アユの写真2

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