神奈川県水産技術センター メルマガ439

掲載日:2014年1月31日

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.439 2014-1-31
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□研究員コラム

〇 アイゴの話 (企画資源部 臼井 一茂)

〇 幻のムツコとハマダイ(沖の底物の復活を願って) (船舶課 中村 良成)

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〇 アイゴの話 (企画資源部 臼井 一茂)

 最近、磯焼けや海藻が無いなどの話をよく聞く。そして、ドングリがなるシイの木の葉っぱの様に左右が対称で平べったく、そして灰色の迷彩模様のような体色の魚が連想される。そう、昨今話題のアイゴである。この魚は背鰭や腹鰭に太い棘状の条があり、それには毒腺を備えていて、危険な魚として図鑑にも紹介されている。

 日本海側では山陰以南、太平洋側では下北半島以南に分布すると成っているが、特に沖縄の魚だと思っていた。海外では台湾、フィリピン、西オーストラリアなど、温かい海の岩礁域の藻場に生息しているそうだ。

 現在、問題になっているのは、特に海藻を好んで食べることであり、生け簀などの網も海藻や藻などがはえていると、食べて穴を開けてしまうそうだ。もちろん、岩場の海藻などは硬い根っこまで食べるらしい。

 当所がある三浦半島先にある城ヶ島でも、この2年ぐらいでものすごいことになってきている。初夏の頃から小型のアイゴが群れをなして、岸壁を掃除するように移動をして海藻を食べている。秋には大きなカジメという海藻も、太くて硬い茎の部分さえも食べていた。さらには岩にへばりついている根の部分も、現在では見あたらなくなるまで、しゃぶるように食べてしまった。

 この冬の時期になれば、ワカメやアカモクなどが成長してくるのだが、岸壁からはひとつも見あたらない。沿岸の藻場が無くなってしまう磯焼けの原因として、アイゴによる食害だといわれているが、確かにイナゴの大発生のような状態にしてしまう魚だ。

 では、食べることはできないかと、だいぶ前から検討がされていたのを覚えている。特に西日本では様々な利用方法の研究や、料理としての研究もされていたが、どうもこれという食べ方がないようだ。

 沖縄では小さなアイゴを塩漬けして「スクガラス」にし、豆腐などのあわせ調味料的に食べられているし、塩水でさっと煮た煮魚も大変美味しく食べられている。先日も沖縄の方が来られたが、ムツやキンメの煮魚も大好きだが、アイゴの塩煮が一番いいと言われていた。

というわけで、11月から12月に定置網で獲られたアイゴを調理してみた。

 一般に磯臭さが凄いと言われるが、しっかり氷で冷やしていたからか、数日そのままにしても臭さは感じない。しかし、一度包丁を入れて血が出たら、とたんにアジアンチックな線香臭と生臭さが部屋に充満し、自分の手からもとれない。しかも、骨が硬くていつもの切り方がしにくい。

 そこで船上などで使われる腹から切る方法にしたら、あらあらっ、スイッと切れるではないか。しかもウロコもないのでこれは楽。そして得意の脱血処理をしたら殆ど臭わない。また、棘条に刺されることもなく、加工法として使えそうだ。

 3枚におろしてみると、身は弾力のある白身でとてもキレイ。干物にしたり、冷燻にしたり、煮物パックにしてみたら、実に良いできあがり。干物は例の臭さが少し気になるけど、焼いてしまえば全く感じない。

 というわけで、当所の職員に試食を頼むと眉をひそめながら、渋々対応してくれた。で、次の日には、「いやー、旨かった」、「子供が旨いと全部食べちゃった」と、驚くレポートが届いた。

 では、アイゴの製品化を進めてみようかなっと。

写真はこちら

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p749808.html

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〇 幻のムツコとハマダイ(沖の底物の復活を願って) (船舶課 中村 良成)

 新年を迎え、いよいよ脂たっぷりの美味しい寒サバのシーズンとなってきました。厳冬期の真夜中に揺れる甲板上で足を踏ん張り、煌々と照らす集魚灯の下でひたすら手網でサバを掬い取る「たもすくい漁」はきつい作業で、漁業者の方のご苦労には本当に頭の下がる思いですが、三崎魚市場に並ぶ寒サバは冬の風物詩です。水産技術センターの調査指導船「江の島丸」のサバ資源調査も最盛期に入ります。北西風が吹き荒れる間隙を縫うように調査計画を組む船長も大変です。

 さて、私が三崎の冬の魚としてもう一つ思い出すのは「ムツコ(ムツの卵巣)」です。鋭い歯、精悍な顔つき(写真1)に似合わず、上品な白身のムツの煮付けは一年中美味しいですが、ムツコの煮付けはまた格別です。子供でも食べやすいようにと母が砂糖醤油で甘く煮付けてくれたムツコは冬の我が家の定番のおかずでした。

 先日、どうしてもムツコが食べたくなって横浜や横須賀のスーパーやデパートの鮮魚売り場を探し歩いたのですが、並んでいるのはせいぜいマダラの卵巣、ムツコに出会うことはありませんでした。すっかり「幻の食材」となってしまったようです。確かに、三崎魚市場でもムツコを孕んでいるような大きなムツはとんと見かけません。今やムツ自体が高級魚で、魚市場に並んでも大部分は料理屋に直行してしまいます。私は東京都調布市で生まれ育ちましたが、昭和40年代初めは、こんな内陸部でも冬になればムツの卵巣が街の魚屋さんで売られていたのですが・・・・・・・・。

 さて、子供の頃の魚にまつわる食体験をもう一つ。我が家の年に数回のごちそうはいきつけの寿司屋のカウンターで食べる握り寿司でした。回転寿司やファミレスがほんの走りの頃だった当時は、寿司屋のカウンターも庶民の外食の場でした。

 ある日、タイの握りを注文したら、板前さんに「申訳ないが今日はハマダイしかない」と言われ、

 「なんだ偽物か、オナガね。」と渋々ハマダイの握りを食べたことがありました。 小生意気な小学生ですね(笑)。でも、貴重な食体験でした。今やマダイよりもハマダイのほうがよっぽど高価で貴重な食材ですから。

 私も結婚して家族が出来た今、時々回転寿司に行きますが、白身魚といえば養殖のマダイやヒラメ、輸入物のカレイ類がほとんど。ハマダイなどあろうはずもありません(もとより、街の寿司屋のカウンターに座って家族で寿司を食べるなんて我が家の財政事情が許しません(苦笑))。あの時、渋々食べたハマダイの握り寿司の味をふと思い出すことがあります。マダイに比べて身が柔らかめでしたが、十分に旨みが乗った白身は子供ながらにおいしいなと思ったものです。

 三崎魚市場の壁にはキンメダイ・ムツ・メダイ・オナガ(ハマダイ)の4種を重さによってビリ(丸小)から特大(丸特)まで8ー9段階ほどに分けた表が掲示してあります。今でも、キンメダイやメダイが大量に水揚げされ、銘柄ごとに細分化されてずらりと並ぶ日がしばしばありますが(写真3,4)、オナガはとんとみかけません。たまに1kg前後の小型な個体(写真5)を数尾見かける程度の「幻の魚」です。(数年前、8kgの特大オナガ(写真6)が一尾水揚げされているのを見ましたが、99トンの大型船が四国沖で釣ってきたものとのことでした。)

 しかし、こんな表が張ってあるということは、昔はオナガが三崎魚市場にも普通に水揚げされていたということですね。信じられないようなお話ですが、先日、漁業者からも「三宅島近海で13kgのオナガを釣ったことがある」という話を聞きしました。昔はいたんですねえ・・・・

 今、三浦半島を横浜、箱根、鎌倉に次ぐ県内第4の観光拠点とすべく、様々な観光施策が検討されています。三崎といえばなんといっても核となるのは「マグロ」でしょうが、キンメダイ・メダイ・ムツ・ハマダイ・ヒメダイ(オゴ)(写真7)といった沖の底魚類も「三崎の地魚」として強力な集客アイテムになると考えています。

 どうやって底魚類を売り出すか?何か名案はないか?水揚量をもっと増やすには?ハマダイの復活を究極の目的として、日々思いを巡らせています。

写真はこちら

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p749839.html

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