神奈川県水産技術センター メルマガ438

掲載日:2014年1月17日

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.438 2014-1-17
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□研究員コラム

〇 あけましておめでとうございます (水産技術センター所長 米山 健)

〇 相模湾産稚アユについて (内水面試験場場長 水津 敏博)

〇 渓流で僕は生まれ変わる (内水面試験場 井塚 隆)

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〇 あけましておめでとうございます (水産技術センター所長 米山 健)

 新年、あけましておめでとうございます。

 昨年は、相模湾ではアジの漁獲が振るわないなかでカツオやキハダが好漁でした。一方、東京湾では久しぶりにシャコの漁獲が行われましたが、依然としてその他の魚種も含め不漁が続いています。地区により漁法や対象魚種が異なっていますので、なかなか県内全てが豊漁というわけにはいきませんが、是非、今年は、明るい話題が多い年になればと願っています。

 さて、昨年の出来事で私が改めて認識したのは、海の環境が漁業に与える影響の大きさでした。一つは、三浦半島周辺では、ガンガゼという食用になりにくいウニの一種とアイゴという魚が増えたことにより、カジメというアワビやサザエの餌になる海藻が食い荒らされてしまい、アワビの漁獲量が少ないとか、獲れてもやせているという声でした。他県では、すでにガンガゼやアイゴによる藻場の被害は問題となっていましたが、いよいよ本県でも猛威を振るい始めたという印象を受けました。

 もう一つは、当所の研究員による報告で、「東京湾漁業に有用な魚介類の資源が減ったのは、2,000年(平成12年)ごろから餌生物(特にエビ類やハゼ類)の量が大きく減少したことが影響している。」というもので、これが漁業者が資源管理を行ってもなかなか資源が回復しない理由かもしれません。

 この二つの事例とも、海の環境の変化が関係していると思われます。アイゴは暖かい海にすむ魚で、かつては本県沿岸では冬を越せませんでしたが、最近は冬の海水温が下がらないため生き残っているようですし、東京湾の餌生物の減少は、貧酸素水塊(夏場を中心に海底付近で発生する酸素が欠乏した水塊)や海水温の上昇が影響しているのではと疑われます。

 このような事象に限らず、人間の経済活動の変化によるものも含め、これまでも海の環境の変化は、たびたび起こってきたはずですが、それでも漁業は残ってきました。

 私は、海の環境の変化を捉え、その中でどのように対処すべきかを、技術的な面から助言するのが当センターの役割の一つと考えています。現在、当センターでは、東京湾の環境改善の一助としても有効なアサリ養殖を推奨しており、相模湾の漁業者のなかには、アイゴの干物を作って試験的に販売している人もいるようです。最近は、獲るだけでなく、養殖や加工、販売まで手がけて収入を確保しようとしている漁業者の方も増えていますので、このような取組をさらに広げていくことによって、本県の漁業振興を図りたいと思います。

 本年もどうぞよろしくお願いします。

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〇 相模湾産稚アユについて (内水面試験場場長 水津 敏博)

 昨年の12月に平成25年度相模湾産稚アユ需給調整会議に出席しました。アユは川魚なのに「相模湾産」とは奇妙ですが、このメルマガをご覧になっている多くの方は、アユは秋に川で生まれて海に下り、稚魚となって春に川に遡上し成長する1年魚であることをご存知のことと思います。

 相模湾で生息している時期を相模湾産稚アユと呼んでおり、このアユを海で採捕し種苗として河川に放流しています。

 神奈川県内水面漁業協同組合創立50周年記念誌によると、神奈川県での稚アユの採捕は、昭和8年に現在の横須賀市長井地区の漁業者の方が始められました。以来、戦時中は一時中断されたものの、現在まで続いており、この稚アユを採捕する海面の漁業者と利用する内水面の漁業者同士の調整会議が冒頭の会議です。この会議は昭和36年に発足しました。

 アユは神奈川県の内水面では最も重要な魚です。海産稚アユにも昭和8年や昭和36年に象徴されるように古い歴史があります。

 この会議では、海産稚アユの採捕尾数や内水面の漁業者が購入する1尾の単価などについて決めています。

 さて、会議での私の出番は、全ての案件が終了後、翌年のアユの資源予測について説明することですが、これは大変難しいため、毎年、秋の産卵状況などをお話いています。出席者の方はその辺の事情をご存知ですので、難しい質問は出ませんが、いつもヒヤヒヤしながら会議に臨んでいます。

 今年もアユの豊漁をお祈り申し上げます。

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〇 渓流で僕は生まれ変わる (内水面試験場 井塚 隆)

 丹沢渓流調査の担当になったのは先の4月。あるベテラン職員の異動が発端だが、まさかという油断もあり、いきなり裸のまま大自然へ放り出された気がしたものだ。手探り足探りでモガキつつ、今日で延べ37回目の調査を迎えた。この原稿はいま、渓流現場で書いている。いつ化粧したのか残雪がちらほら見られ(写真1)、水温6.0℃にあっては小指と薬指はお互いを嫌うように動かなくなった。

 これまで従事してきた川の中下流域とは異なり、渓流域は人の気配がないせいか、自然への畏怖を強く感じざるを得ない(写真2)。普段は抱くことのない謙虚な感情であり、我々は渓流に入らせてもらい、調査をさせてもらっているのだ。

第一回目の調査、その下見においては早くもヤマビルにやられた。いや、ヤマビルに血を吸っていただいた。その洗礼は素直な喜びであって、「これで自分はこの山に受け入れてもらえるのか」と安心したものだ。だから、その後もできる限り貢ぐよう心掛けている(写真3)。ヤマビル達を初めて見たらきっと驚くだろう。地面の落葉から湧き出るように、無数のヒル達が自分目がけて這い寄ってくる。その行動に迷いはない。最短距離でやって来る。ゾンビを想像すれば大差なかろう。私はそんなひた向きさが好きだ。

さて昼食タイム。カミさん渾身の豚角煮丼みそ汁付き(写真4)。今朝4時半ごろ尿意で目覚めたら、すでに台所からいい匂いがしていた。すまんねぇ。深く感謝。おいしいよ。

調査を手伝ってくれるスタッフ達にも感謝感謝。必要な装備は多岐大量に渡るので(写真5)、キャラバンを組んで調査地点を目指す(写真6)。行商よろしく片道1時間歩くことも。みんながいなければ一人では決して何もできない。ありがとうね。

渓流調査の担当になって、心が満たされ、僕はやさしくなった。そして、この変化を何とか数値化して証明できないものかと考えている。丹沢山系の木を一本守れば、県民何人が満たされるのか?そんな指標があっても良い。

でなきゃ、これを読んだ職場の人達は僕に言うだろう。「お前は何も変っちゃいねえ。妄想だよ!」

写真1-5はこちら

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