神奈川県水産技術センター メルマガ436

掲載日:2014年1月15日

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.436 2013-12-6
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□研究員コラム

〇 江戸前の復活 (栽培推進部 秋元 清治)

〇 東京湾のクルマエビたち (栽培推進部 田島 良博)
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〇 江戸前の復活 (栽培推進部 秋元 清治)
 皆さんは江戸前の寿司ネタといって何を思いつきますか?年配の方であれば、ハマグリ、アカガイ、トリガイ、タイラギ、バカガイ、クルマエビ、シャコ、マダコ、コノシロ、マアナゴといったところではないでしょうか。私は小津安二郎監督の「秋日和」という映画の中で、初老の男性がハマグリの寿司を美味しそうに食べるシーンを思い出しますが、残念ながら東京湾ではハマグリはほとんど獲れなくなったため、現在では食べることはできません。
 流通が発達した現代では、寿司ネタは日本はもとより世界中から集まってくるため、自分の食べている寿司ネタがどこで獲れたものなのかを認識することはあまりないのかも知れませんが、残念ながら先にあげた江戸前の寿司ネタとなっている魚介類の多くは、激減あるいは減少し、値段も高く、我々の口に入ることは極端に少なくなっています。
 なぜ、寿司ネタをはじめとする江戸前の魚介類は減少してしまったのでしょうか? 種によってその原因は異なりますが、1960年-1970年代に行われた埋め立てによる干潟・浅場の消失、夏場に発生する貧酸素水塊の影響、地球温暖化に伴う水温の上昇、栄養塩の減少に伴う餌生物の減少など様々な要因が考えられます。
 溢れかえる輸入食材とは一味も二味も異なる江戸前の寿司ネタをもっと気軽に味わいたい、というのは万人が願うところです。そのためは何をすべきか? 東京湾研究会(本センター、東京都、千葉県の水産研究機関及び(独)水産総合研究センターにより構成)では、東京湾の漁業の現状と問題点を魚種別に取りまとめ、それぞれの生産力の回復に有効な取り組みを考えてみました。ご興味のある方は下記ホームページをご覧ください。
江戸前の復活!東京湾の再生をめざして
http://tokyobay.job.affrc.go.jp/
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〇 東京湾のクルマエビたち (栽培推進部 田島 良博)
 最近、巷では食品の誤表示問題が賑やかでしたが、エビの仲間としてはブラックタイガーやバナメイ(エビ)が毎日のように話題になっていましたね。いずれもクルマエビ科というグループのエビで、外国では養殖による生産量が多く日本の輸入量も多いため、私たちにも比較的おなじみのエビです。
 さて、クルマエビ科というグループは、インド・西太平洋に分布の中心があり、日本では西日本の太平洋岸に多く分布しています。台湾沿岸ではこのグループのうち33種の分布が知られていますが、相模湾・東京湾では過去の文献から14種ほどが分布するといわれています。私が担当している東京湾の生物相モニタリング調査では、クルマエビ科のエビは13種を採集していますが、先の14種のリストと比較しておりませんので、もしかしたら別の種類もあるかもしれません。
 ところで、冒頭のブラックタイガーは、和名ではウシエビと呼ばれ、クルマエビに近い仲間(クルマエビ属)です。ウシエビは、インド・西太平洋の熱帯地方が分布の中心ですが、東京湾でも記録があります。生物相モニタリング調査で採集されたことはありませんが、別の調査を担当している先輩から最近も採集されたと聞きました。実はその話を聞くまでは、私は東京湾にウシエビが分布していることは知りませんでした。もっとも、東京湾では少数派のエビなので、漁業の対象とはなっていません。生物相モニタリング調査では、同じクルマエビ属のクマエビやフトミゾエビなどが採集されますが、クルマエビと比べるとこちらも少数派です。
 また、バナメイで代替されたシバエビは、東京湾でも漁獲される小型のクルマエビの仲間ですが、通常東京湾での漁獲量はわずかです。このシバエビが東京湾で大量に漁獲され、市場を賑わせたことがありました。1999-2000年のことでしたが、好漁は秋から翌年春にかけてのひとシーズンだけに終わりました。農林水産統計ではその他のエビに分類されてしまうため、正確な数量はわかりませんが、神奈川県だけでも100トンを超えたと思われます。
 このほかに漁獲対象となる小型の種類としては、サルエビが挙げられます。体長は大きいものでも10cmほどで、別名赤エビやこさくエビなどと呼ばれ、茹でエビやかき揚げにして利用されます。また、マダイ釣りの活き餌としても利用されます。
 アカエビ属というやはり小型のクルマエビ科のグループは、生物相モニタリング調査では5種が採集されていますが、いずれも東京湾では分布量が少なく、漁業の対象とはなりません。しかし、土佐湾や紀伊水道、瀬戸内海ではアカエビ属を対象にした漁業が行われています。
 私も食べる方のエビ好きですが、クルマエビの仲間はおいしい種類が多いので、輸入品も含めて楽しく食べたいものですね。
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