神奈川県水産技術センター メルマガ432

掲載日:2014年1月15日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.432 2013-10-11

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.432 2013-10-11
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□研究員コラム

〇 砂漠でサーモンフィッシング (企画資源部 一色 竜也)

〇 ウナギの研究開始 (内水面試験場 戸井田 伸一)

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〇 砂漠でサーモンフィッシング (企画資源部 一色 竜也)
 「砂漠でサーモンフィッシング 」(原題:Salmon Fishing in The Yemen)という映画のタイトルを新聞で見て、面白そうだと思っていたところ、たまたまビデオレンタル店にあったので借りて見てみました。もともとはイギリスのポール・トーディ(Paul Torday)の小説「イエメンで鮭釣り」(Salmon Fishing in The Yemen)を原作としており、イギリスではかなりのヒット作の小説だそうです。
 ストーリーとしては恋愛ドラマ物なのですが、水産的興味からも惹かれるものがあります。物語は、イエメンの大富豪が母国の川で鮭釣りを計画し、英国の国立水産研究所の水産学者(主人公)にプロジェクトを依頼するところから始まります。まあ常識的に考えてアラビア半島の南端に位置するイエメン、しかも砂漠の中の干上がった川で鮭釣りができる筈もなく、主人公は不可能と断るのですが、中東との関係改善を図りたい政府中枢の意向で、半ば強制的にプロジェクトの参加を余儀なくされます。最初は乗り気じゃなかった主人公も、このプロジェクトが大富豪のただの道楽ではなく、国の将来を考えたダムによる国土の緑化事業の一環であることを理解し、その取り組みにのめりこんでいきます。そして、ダムの放水ある下流に1万尾のサーモンを放流するのですが・・・・。
 興味深かったのはイエメンに放流する1万尾のサーモンを集めるのに、英国国内の河川にいる天然のサーモンを捕獲することを、釣り人や環境保護団体が大反対したことです。ここでいうサーモンとはおそらくタイセイヨウサケ(Salmo Salar)、いわゆるアトランティックサーモンだと思いますが、日本でも回転寿司等でなじみのある魚です。天然資源は危機的な状況にあるようで、市中に出回っている魚の大部分は養殖魚だそうです。こういうところにも水産資源を取り巻く世相を感じさせます。結局のところ1万尾のサーモンは強い懸念を持って養殖魚を使うのですが、人工魚を河川に放すことへの違和感が欧米一般にはあるのかと感じました。他にも、砂漠の干上がった河川にサーモンの餌となる水生や陸生の昆虫、小魚等はいないのでは?とか、放流したサーモンが卵を産んで稚魚に成長しても、アラビア海の水温が高くて降海できない、すなわち次世代へ繋がらないのでは?といったプロジェクトへの駄目出しは多々ありますが、そもそも砂漠でサーモンを釣る意義はどこにあるのでしょうか?中東の国々は石油資源で今でこそ潤っていますが、石油はいずれ枯渇してしまいます。今ある資金を使って、緑や魚等の持続的可能な生物資源を創造しようとする富豪の切実さを象徴したものだと思いました。また水産を研究する主人公もそれに共感し、このほとんど勝算のないプロジェクトに参加したのでしょう。そういった視点も持って、この映画ご覧いただければ楽しいかと思います。
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〇 ウナギの研究開始 (内水面試験場 戸井田 伸一)
 今年は土用の丑の日に前後して、ウナギのニュースがたくさん報道されていました。養殖に使うシラスウナギの採捕量がこの10年間で1/5にまで減少し、ウナギの蒲焼きが食べられなくなるとの心配が広がったからです。
 内水面試験場では、今年から鰻生息状況等緊急調査事業を開始しました。この事業は神奈川県だけでなく、独立行政法人水産総合研究センター、12の各県試験研究機関、大学等との連携で進めていくことになっています。
調査の内容は、シラスウナギの来遊状況調査とウナギの生物測定(全長、体重、雌雄、生殖腺重量、成熟、胃内容物)が中心となります。
この調査を通じて最終的には、どのような河川環境のところにウナギが好んで生息するのか、また生息しないのかを調べ、ウナギの好ましい生息環境を導きたいと考えています。
 採捕したウナギは、内水面試験場で生物測定等を行うほか、ウナギの研究を行っている大学等に検体を提供して、有効活用する予定です。
 10月から、ウナギの胃内容調査を始めました。千歳川で採捕した2匹からは、モクズガニとヨシノボリ類、チチブ類が出てきました。しかし、5月4日に相模川で採捕されたウナギの胃の中からから、アメリカザリガニの他に、オオクチバス釣りで使用されているワーム(軟質プラスチック製疑似餌)が出てきました。全長9cm、3.26gの黒いもので、寒川堰上流でオオクチバス釣りに使用していたものが下流に流され、ウナギが間違って食べたものだと思われます。
 ウナギに限らず、川にすむ魚達の環境を良くするためにも、ゴミは持ち帰るようにしましょう。
写真 ウナギの胃の中から出てきたワーム(軟質プラスチック製疑似餌)

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発行:神奈川県水産技術センター 企画資源部
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
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