神奈川県水産技術センター メルマガ431
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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン VOL.431 2013-9-27
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□研究員コラム
〇 長井漁港に水揚げされたトラフグは個室で待機? (栽培推進部 櫻井 繁)
〇 魚病診断と培地 (内水面試験場 相川 英明)
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〇 長井漁港に水揚げされたトラフグは個室で待機? (栽培推進部 櫻井 繁)
長井漁港では、平成15年、天然トラフグが1tと纏まって水揚げされ、それが契機となって翌年から漁業協同組合による自主的な放流が実施されました。水産技術センターにおいても、漁業者からの種苗放流の要望が高まり、平成18年度から種苗生産及び放流技術開発に取り組んでいます。
その長井漁港では、水揚げされたトラフグが噛み合いによって傷が付き、価値が下がることを防ぐために、以前は独自に作成したトラフグ用籠に1尾づつ入れて、入札まで生かしていました(写真1・2)。しかし、取扱いが不便でさらに多くのトラフグを収容できないこともあり、24年度に横須賀市の補助を受け、トラフグ専用の水槽を整備することになりました(写真3・4)。この水槽を用いて、効率的に大量の生かしたトラフグを出荷することができるようなれば、近くの旅館や料理屋でトラフグメニューとして出てくるかも知れません。
本県で水揚げされたほとんどのトラフグは、東京に出荷されていますが、これを機に県民の皆さんが食べれる機会が増えることになるといいですね。
写真1・2 独自に作成したトラフグ籠
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〇 魚病診断と培地 (内水面試験場 相川 英明)
魚病診断では、死亡魚から病気の原因となる細菌を分離して培養するため、その細菌に応じた各種の培地を使っています。
アユの病気のうち、エドワジエラ・イクタルリという細菌が引き起こす、アユのエドワジエラ・イクタルリ症があります。平成24年に県内の河川でエドワジエラ・イクタルリ症によるアユの死亡事例がありました。このとき、検査したすべての死亡魚からエドワジエラ・イクタルリ菌が分離できたので、死亡魚からの菌の分離率は100%となりました。
一方、アユの細菌性冷水病の場合、培地上に雑菌が混入することが多いため、死亡魚からの冷水病の原因菌の分離率が100%になることは稀です。そのため、アユの病魚からのエドワジエラ・イクタルリ菌の分離は容易である印象を持ちました。培地上に生えた菌は掻き取って、この菌がエドワジエラ・イクタルリ菌であるか確認します。
ところが、培地に生えてくるエドワジエラ・イクタルリ菌のコロニーは非常に小さく、培地から掻き取って、菌を集めることが困難でした。そこで、栄養豊富な培地を使えばもっと大きなコロニーができるのでないかと考え、別の培地を使ってみました。すると期待していたとおり、大きなコロニーが得られ、菌を集めるのが容易でした。
このように培地の選択などにも工夫して魚病診断にあたっていきたいと思います。
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