神奈川県水産技術センター メルマガ423

掲載日:2014年1月15日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.423 2013-6-7

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.423 2013-6-7
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□研究員コラム

○ いごねりの話 (企画資源部 臼井 一茂)

○ 僕のワカメに何をする<アイゴ幼魚の猛威> (企画資源部 木下 淳司)

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○ いごねりの話 (企画資源部 臼井 一茂)
 日本には多くの種類の海藻を食べる文化があります。ワカメやヒジキのようにそれ自体の姿を変えずに食べるものや、コンブのように食べるだけでなく、ダシとして利用するもの。そして、海藻の成分を利用して、全く異なる食べ物にするものがあります。
 代表的なものとしては、ゼリーや心太(ところてん)に使われる、紅藻類のテングサなどから作られる寒天があります。これは温めると溶けて、冷やすと固まる性質をもち、主成分としてはアガロースやアガロペクチンなどの多糖類であり、ほとんどが食物繊維で人が消化吸収することはほとんどないものです。それと同じく、紅藻類イギス目のエゴノリも、煮出して冷やすと固まる性質があり、テングサと同じくアガロースが主成分で、新潟県の佐渡や福岡県などで独特な食品として生産されています。
 ちなみに他の多くの紅藻類からは、寒天の成分とは異なり、ガラクトースを主成分とするカラギナンが工業的に製造され、食品に様々な食感やとろみなどを付ける増粘多糖類として利用されています。
 さて、このエゴノリですが、岩手県から九州までの特に日本海沿岸にかけて分布しています。特徴としては、石や岩などに根をくっつけて育つのではなく、ホンダワラ類などの大きく成長する別の海藻の主枝に、キュウリのまきひげのような小さな鉤を巻きつけて、付着するように生育します。エゴノリの収穫期は、ホンダワラ類が切れて流れてくる夏で、浜辺などを散策すると、打ちあがった海藻の中にエゴノリを見つけることができます。薄くのばした「いごねり」は、佐渡島で食べられている郷土料理名で、福岡では「おきゅうと」、京都では「うご」などと呼ばれ、羊羹のような形状のものを切って、酢味噌やからし醤油などでいただきます。
 佐渡では昔からのスーパーだけでなく、最近できた大型スーパーでも必ずといって置いてある水産加工品に、イカの丸干しやトビウオのすり身、加工されているナガモ(アカモク)、そしてこのエゴノリで作られた、薄い板状のものをくるくると巻いた「いごねり」が並んでいます。
 この「いごねり」は、伸ばして折りたたんだ田舎風の蕎麦を切るように、あまり太くならないように切って、刻みネギとショウガ醤油で頂きます。口の中に入ると、ツルリとしてのどごしはよく、なんとも情けないような弾力感がまた特徴的で、更に漉さずに作られたことから、噛んでいると以外とザラザラとした感触が楽しいものです。好みによって麺つゆにしたり、大根おろしと醤油が旨いと薦めてもらったり、それぞれ独自の食べ方があるようです。
 食物繊維は消化吸収できないことから、得られる栄養素がないものとして栄養価のないものと評価されていました。しかし、便通をよくしたり血糖値の急激な上昇、コレステロールの吸収抑制などの効果が見られることから、第6の栄養素といわていれます。
 普段の食事において、自分に出されたおかずを全てを食べてしまえば、順番は違っても摂取カロリーは同じなのですが、実は食べる順番として、最初にこの食物繊維の多いものから食べると、吸収が穏やかになり、最終的にはカロリーや栄養の吸収量も違うことなどが知られてきました。
 古くから食べられてきたこの「いごねり」も、食事の最初に食べるおかずとして出されますから、さっぱりとした味わいとともに、古くから健康的な食べ方として見いだされていたのかもしれませんね。
器に盛った大根おろしを添えた「いごねり」の画像

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○ 僕のワカメに何をする<アイゴ幼魚の猛威> (企画資源部 木下 淳司)
 皆様こんにちは。4年ぶりに水産技術センター勤務となり、普及指導担当になりました。
仕事の一つにワカメの種をフラスコで培養して育てる試験があります。5月14日までに今年度の試験に必要なワカメの遊走子は、前任者が育てたワカメ(写真1)から採取し培養液に入れましたが、万が一失敗した時のため、ワカメは片付けませんでした。翌週、心配は現実となり、培養液の中で遊走子が成長して形成される、ワカメの配偶体が出てきません。不安に駆られた僕は残ったワカメを見に行きました。ところがワカメは無残にも茎だけとなりメカブも失われていました(写真2)。
 今はワカメが枯れる季節ですが、突然すぎて不自然です。まさか奴らの仕業か。そう思い海の中をよく見ると、10センチに満たないアイゴの幼魚が群れています。やられた。喰われた。実はアイゴが居ることは所内でも周知のことでしたが、先週まではワカメを食べる様子もなかったので油断しました。1週間で水温が18度台から20度近くにまで上昇したので、活性が高まり摂食のスイッチが入ったのでしょうか。ああワカメに網でもかぶせておけば良かったよ。
 アイゴは日本の暖海域で古くから知られた魚で、雑食ですが海藻をよく食べます。鋭いトゲが並んだヒレに毒を持ち、身は肉厚ですが強いアンモニア臭があり食用とする地方は限られています。近年アイゴの摂食による藻場の衰退や養殖した藻類の食害が、我が国の広い範囲で顕著となっています。
 相模湾では2004年に私が調査していたカジメの藻場がアイゴに食べられましたが、その頃から幼魚をよく見るようになりました。私が現場を離れ県庁で漁場整備、施設整備、そして漁業調整を駆け足で担当した4年間も、アイゴが定置網にトン単位で漁獲された、養殖ワカメが食べられた等の話を毎年のように聞きました。昨年の秋には三浦半島の広い範囲で、カジメの藻場が摂食により衰退しました。
 さて話しの続きですが、アイゴの幼魚たちを驚かさないよう静かに待っていると、ワカメの周りにわらわらと集まってきて、大胆にも僕の目の前で残ったワカメを食べ始めました(動画1参照)。警戒しながらモグモグ食べる様はまさにウサギ、英語の呼び名“ラビットフィッシュ”とは上手く言ったものです。
 食べ方を観察すると、ワカメをツンツンとつつくだけに見えますが、いつの間にか硬いメカブまで食べてしまうことに驚きました。そしてよく見れば、連中はわずか一週間で一回り大きく育っているではありませんか。アイゴ幼魚恐るべし。
 このまま当センターの前に居つくなら、刺網やカゴで効率よく獲るための試験を行い、ワカメのカタキを取ってやろうかと考えています。

動画1:残ったワカメの茎を食べるアイゴの群れ(5月21日)
ウインドウズメディア形式(21MB)
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/mailmag/mov/423wm21345.asf
クイックタイム形式(29MB)http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/mailmag/mov/423qt28923.mov

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発行:神奈川県水産技術センター 企画資源部
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2312

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