神奈川県水産技術センター メルマガ416

掲載日:2014年1月18日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.416 2013-3-1

-- Fish-mag >゜)))< ------------------------
/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.416 2013-3-1
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
□研究員コラム

○ ワカサギが釣れない (内水面試験場 戸井田 伸一)

○ 子持ちシラス? (資源環境部 加藤 充宏)

----------------------------------------------------------------

○ ワカサギが釣れない (内水面試験場 戸井田 伸一)

 芦ノ湖をはじめ、県内の各湖ではワカサギ釣りが盛んに行われていて、多くの釣り人に喜ばれています。昨年11月下旬に芦之湖漁業協同組合から、さし網ではワカサギが獲れるのに釣りでは食いが渋いので調べて欲しいとの電話がありました。

 12月5日に内水面試験場のベテラン研究員と共に芦ノ湖で調査してきました。早朝の時間帯は小さな群れがいくつも見られ、釣りの仕掛けを下ろすと直ぐに釣れます。しかし、2-3回仕掛けを入れただけで釣れなくなりました。水深のある場所で大きな魚群を見つけましたが、しばらくすると魚群は移動してしまいます。魚群探知機で観察していると、時々大きな魚影が近づき、ワカサギの群れを散らしていのが観察されました。この日釣れたワカサギを計測すると、平均体長7.9cm、平均体重4.8gと良く太ったワカサギでした。

 釣れた魚を内水面試験場に持ち帰り調べたところ、胃が大きく膨らんでおり、中からたくさんのミジンコ類が出てきました。

 ワカサギが釣れない原因として次のことが考えられます

 1.魚群は確認できるが、すぐにいなくなる → 群れが小さい・大きい群れは別の場所にいる

 2.急に魚影が消える → マス類による捕食行動のため魚が追われた

 3.釣れた魚の胃にはミジンコ類が充満し、太っていた → 満腹でエサを追わない

 内水面試験場では平成24年度から芦ノ湖でプランクトンの調査を始めたところ、季節によりプランクトン個体数が大きく増減しています。8月にはプランクトン個体数が550個体/mlと最大の値でしたが、9月には58個体/mlと大きく減少し、その後次第に増加していました(図1)。箱根湾におけるワカサギの釣獲重量を月別に見ると、プランクトンの個体数の少ない9月と10月の釣獲重量が多くなっており、プランクトンの少ない時期に良く釣れていたことになります(図2)

 10月下旬からワカサギが釣れなくなったことと、11月頃からプランクトンが増えワカサギの餌料環境が非常に良くなったことを考えると、ワカサギは飽食していたため釣り人の針をあまり追わなかったのではないでしょうか?

 しかし、食いが渋いと言われながらも、11月に入ってからも1kg以上釣り上げている釣り人がいました。やはり、釣りは人と魚の知恵比べかもしれません。

 今後より詳しく調査を続けていく予定です。

----------------------------------------------------------------

○ 子持ちシラス? (資源環境部 加藤 充宏)

 皆さんは、釜揚げシラスやシラス干しなどを食べるとき、お腹が赤くなったシラスを見たことはありませんか? これはシラスの消化管の中に残っていた動物プランクトン(カイアシ類などの甲殻類)が加熱されて、赤くなったものが見えているのです。白さが売りのシラスに赤いお腹は見た目が悪いため、漁業者は「アカッパラ」と呼んで嫌っています。

 しかしアカッパラのシラスを食べて味が悪かったり、ましてやお腹を壊したという話は聞いた事がありませんので、もし買ったシラスがアカッパラでも安心して食べてください。

 以前聞いた話ですが、とあるシラス漁業者がお客さんからアカッパラのシラスについて尋ねられ、とっさに「子持ちシラスだよ」と答えたとのこと。シラスはイワシ類の子供なので、いうまでもなく子を持つことはないのですが、これを聞いたときは「面白いことを思いつくな-」と思ったものです。しかし関西ではアカッパラのシラスを「子持ちシラス」と呼ぶ事もあるそうで、残念ながらその漁師さんのオリジナルではないようでした。

 ところで、世の中には真の意味で「子持ちシラス」と呼べる魚がいることをご存知でしょうか? それは、東南アジアの河川に分布するスンダサランクス Sundasalanx という小さな魚です。その姿は普段目にするシラスそっくりなのですが、2センチほどで成熟して卵を持つことが知られています(残念ながら手持ちの画像はありませんので、姿を見たい方はご自分で検索してみてください)。この魚、1981年に新種記載されたときはシラウオ(キュウリウオ目)に近い仲間と考えられていましたが、その後の詳細な研究により、ニシン目(イワシやニシンを含むグループ)の仲間ということが判ってきました。つまりスンダサランクスは、親の姿にならずにシラスの形のまま成熟してしまうイワシ類なのです。このような現象(プロジェネシスと呼ばれます)は様々な動物で知られていますが、まさかイワシにもこんなヤツがいるとは・・・世界は広いものです。日本にいないのが残念ですが、いつかは「子持ちスンダサランクスの釜揚げ」なんて食べてみたいものです。

----------------------------------------------------------------

■水技Cメールマガジン(隔週金曜日発行)
■メルマガの配信の変更、解除、ご意見やお問い合わせはこちらのメルマガお問い合わせフォームからお願いいたします。

発行:神奈川県水産技術センター 企画経営部
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2312

-----------------------------------------------------------------

メルマガTOPへ

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター です。