神奈川県水産総合研究所 メルマガ020

掲載日:2014年1月18日

神奈川県水総研メルマガ VOL.020 2003-11-21

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/KN/ 神奈川県水産総合研究所メールマガジン  VOL.020 2003-11-21
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□□研究員コラム
・地震と水産(企画経営部 高間 浩)
・種苗生産を支える名脇役(2)(栽培技術部 山田 敦)
□神奈川県の漁協紹介
・第8回 横須賀市大楠漁業協同組合
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●地震と水産
 先日、ある会議に出席しましたところ、海岸侵食の話がありました。
その会議の中で、若い某委員が明治時代の海図を示し、現状と比べて海岸侵食
がそうひどくないと主張しておりました。

 私は、大正12年の関東大震災で地盤高が変化したはずだがと、奇異に思いま
した。

 調べてみると、案の定、関東大震災で相模湾沿岸は1-1.5mも隆起したの
です。某委員は関東大震災の事が全く頭になかったということになります。

 ところで、地震と魚といいますと、昔からナマズが有名ですが、その外、
「リュウグウノツカイ」などの深海魚が獲れると地震の前触れなどと騒がれま
す。また、地震前後に魚介類が大量に取れるという話も各地にあります。

 当所のOBである栗原伸夫さんは自らのHPで「水産雑学コラム」というコー
ナーを毎月掲載されていますが、その中で相模湾では地震の後にアジが大量に
捕れることを実証した寺田寅彦(1932)や友田好文(1988)の論文を
紹介しております。

 しかし、地震で良い話は少なく、大地震では水産の被害も膨大なものと考え
られます。

 大正12年度の神奈川県水産試験場業務報告によると、関東大震災後、水産試
験場では水産関係の被害調査を実施し、報告書としてまとめました。(神奈川
県水産震災調査報告 大正13年4月発行)
(余談:この報告書は当所の図書室には見当たらないのですが、古書として2
万円で販売されているようです。)
今後、東海地震の発生などが予想されておりますが、震災調査などしなくて済
ませたいものです。
                      (企画経営部 高間 浩)
関東大震災の隆起・沈降分布
http://www.ailab7.com/lib_018_data.html
栗原さんのHPアドレス
http://www.kurisan.jp/

●種苗生産を支える名脇役(2)
 今回は、種苗生産施設にとって血液とも言える海水を清浄化する「ろ過」
システムについて紹介します。

 特に、種苗生産初期の仔魚(貝)は非常にデリケートで、ろ過海水は欠くこ
とのできないものです。

 熱帯魚などを飼ったことがある方はご存知だと思いますが、必ずろ過槽と呼
ばれるものを水槽上部や下部あるいは外部に設置します。これは、魚からの糞
や残餌等から出る有毒なアンモニア態窒素の上昇を防ぐために取り付けられて
います。

 ろ過には大きく分けて、生物ろ過と物理ろ過がありますが、前者は細菌相に
よる酸化作用を利用して、アンモニア態窒素を毒性が低い硝酸態窒素に変化さ
せることを言います。後者は、ネットや砂によりゴミや懸濁物を取り除く(ま
たは吸着させる)ことです。

 このようにろ過は環境水保全のために重要な役目を持っています。

 当研究所の施設は、一般家庭の熱帯魚の飼育水槽(飼育水を循環する)とは
異なり、飼育水を循環させることはしません。取水した海水をろ過して使い、
使用後は排水処理を施した後、海へ戻しています。

 ろ過は、海水中のゴミや浮遊懸濁物(けんだくぶつ:SS)を取り除く物理的
ろ過を主軸とした急速濾過方式です。ろ過槽は、直径3m、高さ5mの円筒形の巨
大なタンクが2基あり、この内部は粒径30mmの小石から粒径0.6mmのケイ砂を
粒径毎に6種類積層しており、約100μm以上のゴミやSSを除去でき、最大
400t/時間の海水をろ過可能です。

 また、ゴミなどでろ材が詰まってくると濾材を洗浄する必要があり、これを
自動制御するための電動バルブを設置し、省力化に努めています。このような
設備により安定的にろ過海水を得ることができます。

 ろ材は長期間使用すると内部でマッドボール(細菌がろ材を団子状に集めて
しまう)、ろ材の損失(ろ材の洗浄時)、汚濁物の堆積等(タンク内に溜まっ
てしまう)により徐々に性能が低下していき、一般的に約5-7年で交換します。

 設備の管理担当者は毎日、朝、夕2回の定時巡回を行い、運転状況に異常が
ないかを確認しています。しかし赤潮や台風時は急激に濁りが発生するのでろ
過タンクが詰まらないように状況をチェックし、必要量のろ過海水を確保する
ために24時間見守っています。
                        (栽培技術部 山田 敦)

ろ過(ろか)装置の写真はこちら
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■神奈川県の漁協紹介 第8回 横須賀市大楠漁業協同組合
 横須賀市大楠漁協は、佐島、芦名、秋谷そして久留和の地区からなる、相模
湾に面した漁協です。

 この漁協では、まき網、定置網、刺し網、はえ縄、一本釣り、たこつぼ、し
らす船曳き、さより船曳き、ワカメ養殖等、本当に数多くの漁業が営まれてい
ます。老舗の釣り船も何軒かありますが、200数十名いる正組合員のほとんど
が漁業一本で生計を立てています。

 それだけ漁業に力を入れていますから、大楠、あるいは佐島でのブランドも
いくつかあります。

 常務理事兼参事の藤村幸彦さんにお話を伺いました。

 「佐島のタコ:タコツボ等で漁獲します。東京の寿司屋でもおいしいとの評判
で、寿司組合の方々が視察に来たこともありました。

 佐島のマダイ:「はえ縄」で1尾づつ丁寧に釣り上げるため活きが良く、築
地等の市場でも高く評価されています。歴史も古く、戦前からタイ専門の漁師
がおりました。

 佐島のイワシ:定置網、まき網で漁獲されます。4-10月はマイワシが中心
です。最近全国的にマイワシは減少傾向にあるものの、氷の効かせ方にコツが
あり、鮮度がとてもよいのが売りです。11月-翌年4月はカタクチイワシ中心
です。カタクチイワシはカツオ竿釣り漁業の活き餌になります。

 大楠ワカメ:お勧めなのですが、人気が高く、生産者のところに直接予約が
入ってしまうため、なかなか市場には流通しないという悩みもあります。

 大楠では、様々な漁業が営まれており、漁師は時期によって漁業種類をうま
く変更することで、安定的な水揚げを行っております。

 今年は6月に定置にサバがたくさん入ったおかげで、現在のところ県内でも
トップの水揚げを行うことができました。

 一度にたくさん水揚げがあっても、平成7年に県などの補助を受けて整備し
た製氷施設を最大限に利用し、氷をたくさん効かせることで、活魚(生きたま
ま流通する)だけでなく、鮮魚(〆てある)もとてもよい状態で出荷すること
ができています。」
                   (取材 企画経営部 小川 砂郎)

横須賀市大楠漁業協同組合の写真
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[最近のホームページ更新情報(11月6-21日)]
漁況情報・浜の話題の11月10日号(No03-19)を掲載しました。
漁況予報「いわし」2003年11-12月号を掲載しました。
漁海況月報10月号(海況・三崎水揚)を掲載しました。
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[編集後記]
 第20号を無事発行することができました。登録いただいている方々にお礼申
し上げます。最近は登録していただいている方も増え、感想やご意見をお送り
いただくこともあり、大変ありがたく思っています。
 今まで本所の研究員だけに原稿を書いてもらっていましたが、支所である相
模湾試験場や内水面試験場の研究員にもお願いしているところです。さらに幅
広い話題を提供できればと思っております。

相模湾試験場
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/sagami/menu/menu.asp
内水面試験場
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/naisui/n_/cnt/f450011/
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発行:神奈川県水産総合研究所 企画経営部 担当 小川
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