神奈川県水産総合研究所 メルマガ021

掲載日:2014年1月18日

-- Fish-mag >゜)))< ------------------------
/KN/ 神奈川県水産総合研究所メールマガジン  VOL.021 2003-11-28
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
□□研究員コラム
・おちょぼ口の憎き奴「カワハギ」(栽培技術部 沼田 武)
・栽培漁業の進む方向(栽培技術部 今井 利為)
□神奈川県の漁協紹介
・第9回 小坪漁業協同組合
-----------------------------------------------------------------
●おちょぼ口の憎き奴「カワハギ」
 相模の海には1300種余りの沢山な魚介類が生息し、これら海の恵みによっ
て多彩な漁業が営まれているとともに、多くの人たちが四季を通じて遊漁を楽
しまれています。

 おちょぼ口で独特な姿形、とぼけた風貌のカワハギは、分類学的にはフグ目
カワハギ科に属し、仲間にはウマヅラハギやウスバハギを含め日本では29種
が知られており、本州中部以南から東シナ海にかけての水深50m以浅の岩礁
帯やその周辺の砂地に生息し、春から夏にかけて産卵しますが、全長3cm位
までの稚魚期は流れ藻について浮遊生活をおくっています。

 本県でもカワハギは、久里浜沖から城ヶ島沖にかけての東京湾口部、三浦半
島西岸から真鶴沖にかけての相模湾に広く生息し、刺網や定置網などの漁法に
より漁獲されていますが、遊漁でも秋期から冬期のメインターゲットとして人
気が高く、漁業の漁獲量を上回る量が釣られているようです。

 しかしながら、「餌泥棒」、「餌盗人」の別称があるように、カワハギを釣
るには一筋縄ではいかない難しさがあるため、素人は上げるたびに餌の取られ
た仕掛けを見て「呆然自失」となること請け合いですが、一旦のめり込むと憎
き奴を討ち取るために、釣技やタックルにこだわり続ける熱狂的な釣り師が多
いのもこの釣りの特徴です。

 カワハギは、厚くてかたい皮を剥いで調理するとこるから「皮剥」と名付け
られていますが、地方名の多い魚であり、東北ではギハギ、関西ではハゲ、瀬
戸内ではギュウと呼ばれ、変わった呼び名には、賭け事で負けが込み丸裸にさ
れる姿をダブらせてバクチとかバクチウチと呼んでいるところもあります。

 秋から冬にかけて肝が大きくなるカワハギは、薄造りした身を肝和えにする
と絶品で、鍋物に良し、煮付けても美味しい魚であるため、食味に釣られた釣
り師も非常に多いのでは。

 カワハギ釣りのメッカである横須賀市久里浜港では、周年の釣り物として看
板を掲げる遊漁船も多くなり最近は場荒れのためか釣果はやや下降気味で、種
苗の放流をとの声も聞かれますが、まだ資源的には安定した魚種であると思わ
れるので少々の放流では効果は期待できません。それよりも小型のサイズは再
放流してはとお答えしています。
                       (栽培技術部 沼田)
おちょぼ口カワハギはこんな顔です。


●栽培漁業の進む方向
神奈川県では昭和41年(1966)に種苗生産施設を整備し、アワビ、ガザミの種
苗の生産を開始し、栽培漁業事業化への一歩を踏み出しました。

つづいて、昭和51年(1976)に栽培漁業センターを整備し、さらに、昭和61年
(1986)には、栽培漁業の推進体制を強化するため、漁業関係団体、沿海市町
及び県等が協調して財団法人神奈川県栽培漁業協会を設立しました。

当初、栽培漁業協会は、栽培漁業の推進にあたって、その財源としては、財
団法人の基金の利子を充て、その他、毎年、漁業者・漁業協同組合等からの負
担金、遊漁案内業者からの協力金、国及び県の補助金によって運営していく計
画でした。

しかし、皆様もご承知のとおり、日本経済はデフレに陥り、財団の利子は、
わずかしか付かない状況です。また、国、県の補助金は減額あるいは廃止の方
向であり、平成13年(2001)から導入したマダイ遊漁者協力金も目標額に届か
ない状況です。

さらに、アワビの種苗も昭和52年から平成7年までは殻径25mm以上のものを
60から70万個を配布していましたが、平成13年からは40万個を割り、昭和40年
代の数量に戻っています。

この原因は、各市町が放流種苗の補助金を削減していることと磯根漁業に携っ
ている漁業者の人数が減っているためと思われます。

栽培漁業の運営は基本的に種苗の放流経費について受益者負担を原則として
います。現在、魚価の低迷や漁獲量の減少によって漁業者の高齢化が進む中、
漁業経営はかなり厳しい状況となっています。

 こうした中で漁業者ばかりでなく遊漁案内業者も種苗放流経費を負担や協力
することが重荷になってきています。

今後、栽培漁業の推進にあたっては経済問題が大きな課題となります。この
厳しい時代を乗り越えるためにも、種苗生産経費の軽減、放流効果の向上、最
適漁獲時期の選択などの技術開発努力をするとともに、漁業経営の観点から受
益者負担だけでなく、公共的負担の方策についても工夫していきたいと考えて
います。
                       (栽培技術部 今井利為)
(財)神奈川県栽培漁業協会のホームページ
http://www.kanagawa-sfa.or.jp/
-----------------------------------------------------------------
■神奈川県の漁協紹介 第9回 小坪(こつぼ)漁業協同組合
 逗子市の鎌倉よりに位置する小坪は、サザエやアワビだけでなく、ウミウシ
等の磯の生物も豊富であることがよく知られています。

 特に大カブネと呼ばれる小坪漁港から沖に広がる遠浅の磯根は、天然ワカメ
の生育にも向いているそうです。

 港に目を移しますと、小さな船外機船が並び、その横では、ゆで上げられた
ばかりのシラスが干され、刺し網の目合いを整える漁師の姿も見ることができ
ます。

 組合員数約40名弱からなる小坪漁協では、磯根の資源を対象とした覗突
漁(みづき)、刺し網といった漁業が中心に営まれています。

 小坪漁協の書記の小金井敏幸さんと、鈴木富雄さんにお話を伺いました。

 「ここでは古くからの伝統漁法である、覗突漁が盛んです。箱メガネを口
にくわえ、手にモリを持ち、足でカジと船外機を操るというとても技術が必要
な漁業で、一人前になるには早くて3年、普通は5年かかると言われています。

この覗突漁による水揚げは例えばサザエでは年間3tにもなりますが、潜水器を
使わないからこそ、資源をうまく保っていると思っています。

 ワカメ、サザエ、シラスの他、アオリイカやアマダイ等小坪の魚は評価が高
く人気があります。鎌倉、小坪周辺の魚屋は、元々小坪で漁師をしていた方が、
自らお店を開いたということが多いようです。

 小坪での漁業の始まりは歴史が古く、市がまとめた報告書(※)によると、
鎌倉幕府の時代から隣接した鎌倉へ魚介類を供給するために伊勢の商人と志摩
の海女が移住して来たことで盛んになったようです。1250年頃にはすでに魚座
(いおざ)ができていたといいます。

 このような歴史からか小坪には様々な行事が残されています。

 毎年11月23日に行われる「新嘗祭(にいなめさい)」では、海松(みる)と
いう海藻を献上しています。これは「かざえむ丸」の一柳さんが任されていま
す。9月頃から海松が生えているところをチェックしているそうです。献上し
た海松は細かく刻まれお吸い物にされるようです。

 また新年1月2日には、竜宮様(八代龍王大神)に奉納した「みかん」を船
上から投げる「みかん投げ祭り」が行われ、たくさんの人で賑わいます。」

※逗子市教育委員会 逗子市文化財調査報告書第十五集 小坪の漁労具(平成
5年)
                   (取材 企画経営部 小川 砂郎)

小坪漁業協同組合の写真
-----------------------------------------------------------------
[最近のホームページ更新情報(11月22-27日)]
水総研紹介パンフ(小学生用:pdf形式)を掲載しました。
漁況情報・浜の話題の11月25日号(No03-20)を掲載しました。
-----------------------------------------------------------------
[編集後記]
 小坪漁協は、ご紹介のとおり本当に昔からの伝統が受け継がれています。ま
た、その記録が残っているということも加えてすばらしいことと思います。漁
業という産業は時代の流れにもまれながらも、歴史を重ね続けているというこ
とが再確認させられます。
-----------------------------------------------------------------

■水総研メールマガジン(毎週金曜日発行)
■配信の変更、解除は、こちらから↓
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/mailmag/

発行:神奈川県水産総合研究所 企画経営部 担当 小川
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2311
ご意見・お問い合わせ:fish.415@pref.kanagawa.jp


メルマガTOPへ

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター です。