神奈川県水産総合研究所 メルマガ032

掲載日:2014年3月20日

-- Fish-mag >゜)))< ------------------------
/KN/ 神奈川県水産総合研究所メールマガジン  VOL.032 2004-02-20
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
□□研究員コラム
・沿岸調査用ボート「第二珠丸」の引退(栽培技術部 今井利為)
・膨れる、鳴く、潜る、眠る魚「トラフグ」(栽培技術部 沼田 武)
-----------------------------------------------------------------
●沿岸調査用ボート「第二珠丸(たままる)」の引退
 栽培技術部に第二珠丸と名付けられたカタマラン(双胴)の調査用ボートが
ありました。
 このボートは平成16年1月26日をもって約38年の勤めを終了し、解撤
されることとなりました。

 珠丸という船名は、昭和38年まで水産試験場の分室が諸磯にあり、そこで
真珠の養殖試験で使われていた和船の第一珠丸に由来するものでした。

 この船で強く印象に残っているエピソードを辿ってみました。

【1】昭和43年に就航し、昭和46年、イセエビの幼生であるフィロソーマ
に餌として使うサジッタを採集するため、約半年間、雨の日も風の日も毘沙門
の地先までプランクトンネットを曳網していた時、船外機が沖合で故障し、手
を振って漁船に助けを求めようやく帰還したこと。

【2】小田和湾でクルマエビの中間育成用の囲網を作るため、鉄パイプを過重
積載し、沈没しかかったこと。

【3】アワビの調査ですみ場造成用の石を積んで航行していたところ、途中か
ら波浪が高くなり、石を捨て、命からがら城ヶ島に帰ってきたこと。

 などなど沢山の思い出があります。

 この船は波を切らず、波が高い時の航行には不向きな船でした。しかし、甲
板が広く潜水調査の空気ボンベを背負うときや船内作業がやり易い船で、利用
者も多くいましたが、寄る年なみに勝てず、甲板に穴があき、危険になってき
たため、引退してもらうこととなりました。

 長い間の過酷な業務に従事してきたことに感謝し、ご苦労様と言って見送り
たいと思います。
                        (栽培技術部 今井利為)
珠丸、諸磯分室の写真
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p785923.html

●膨れる、鳴く、潜る、眠る魚「トラフグ」
 相模の海には1300種余りの沢山な魚介類が生息し、これら海の恵みによっ
て多彩な漁業が営まれているとともに、多くの人たちが四季を通じて遊漁を楽
しまれています。

 頭が大きく楕円形の魚体と、膨れる、鳴く、潜る、眠るなどの仕種がユーモ
ラスで愛嬌のあるトラフグは、分類学的には硬骨魚綱、フグ目、フグ科に属し、
仲間にはマフグ、カラス、サバフグ、ショウサイフグなど日本近海では約50
種が知られています。

 トラフグは、これらフグ類の中では10年以上の長命で大型になる魚種であ
り、最大で全長75cm、体重10kgにもなる彼岸から彼岸までの寒中が旬
の美味な超高級魚ですが、これとは裏腹に体内(主に肝臓と卵巣)にはテトロ
ドトキシンと呼ばれる猛毒なアルカロイド系の神経毒を持っています。 

 このため、別称として鉄砲「当たると死ぬ」、ナゴヤフグ「美濃、尾張=身
の終わり」などと呼ばれるように「ふぐは喰いたし命は惜しや」、魔味と中毒
死が紙一重のところから、室町時代の昔より度々禁食令の出されている魚で、
豊臣秀吉の朝鮮出兵の際の騒動や明治維新後における伊藤博文の解禁令などフ
グに纏わる多くの逸話が残されているほどです。

 トラフグは、日本沿岸から中国にかけての限られた海域に生息し、今までに
判明している産卵場の周辺海域である遠州灘から紀州沖、瀬戸内海、九州、朝鮮
海峡、東シナ海、黄海が代表的な漁場となっており、延縄漁を主体に底引き網
や定置網でも漁獲されていますが、御多分にもれずこの資源も乱獲によって減
少の一途を辿っているようで、最近は、各地で資源管理のほかに種苗放流にも
取り組んでいます。 

 本年の初競りで、ご祝儀相場でしょうが天然の上物を1キロあたり2万7千
円の高値をつけた下関市の南風泊市場(全国で唯一のフグ専門の取扱い市場)
には、1991年以降天然物に混じって放流魚が数%から30%水揚げされ、1
998から2000年までの最近3ヶ年の平均混獲率は15%程度となっていま
す。

 放流魚は、種苗生産時の噛み合いで尾鰭が変形しているものが多く、一見し
て見分けられるために「放流物」という銘柄で扱われ、天然物に較べて70%
ほどの相場ですが、漁業者や市場関係者は、種苗放流の経済効果は高まってい
る、成熟した大型魚も混獲されているので再生産にも寄与しているとして、種
苗放流への期待はますます強くなっているようです。

 一方、神奈川県におけるトラフグ漁業は、平成元年から2年にかけて実施し
たトラフグ漁業開発試験を契機として、相模湾でのフグ延縄漁が細々と続けら
れておりましたが、昨年の暮れから年明けにかけてはまとまった漁獲があった
ようです。

 相模湾や東京湾での、トラフグの生態に関する知見はほとんどありませんが、
平成4年に静岡水試が浜名湖沖で標識放流したうちの1尾が、江ノ島沖で刺網
により採補された事例がありますので、今回の大漁は、遠州灘から紀州沖にかけ
ての伊勢湾系群の極く一部が、若しくはこの系群に卓越年級群が発生して、た
またま北上し漁獲資源が形成されたのかもしれません。

 さらには、日本海で放流された種苗が津軽海峡を通過後、太平洋岸に沿って
南下し房総までの各地沿岸で採補されている事例もありますので、こちらの可
能性も無いとは言えませんが。

 本県では、平成16年度に新たな栽培漁業基本計画を策定する予定ですが、
全国各地で展開されているトラフグ栽培漁業の経済効果の発現状況は、新たな
栽培漁業対象種の候補として検討に値するものと考えられます。

 既に本種の種苗生産技術は確立されており、本県においても種苗の生産・放
流は可能と思われますので、資源水準の極めて低い相模湾、東京湾では、種苗
放流の効果判定は容易であり、すみやかに栽培対象種としての評価ができるの
ではと考えています。 
                         (栽培技術部 沼田)
トラフグ
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p785926.html
-----------------------------------------------------------------
[最近のホームページ更新情報(2月13-16日)]
・2月6-7日に行われました「かながわ新鮮市」の様子
・海の高さの不思議
・漁況情報・浜の話題No04-02(平成16年2月10日号)
-----------------------------------------------------------------
[編集後記]
 2月19日に当研究所の会議室において、横須賀統計・情報センター主催の地
区別協議会が開催され、「神奈川の漁業はどれだけ知られている?」というテ
-マでお話をいたしました。イベント等でアンケ-トを行うと、神奈川で漁業
が行われていることを知っている方は、予想以上に少ないことがわかります。
 今後、単発的なイベントだけでなく、スーパーの売り場等でのPRを効果的
に行う必要があると考えています。
 今回の「神奈川の漁協紹介」はお休みです。申し訳ありません。次回は藤沢
市漁協の予定です。
-----------------------------------------------------------------
■水総研メールマガジン(毎週金曜日発行)
■配信の変更、解除は、こちらから↓
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/mailmag/

発行:神奈川県水産総合研究所 企画経営部 担当 小川
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2311
ご意見・お問い合わせ:fish.415@pref.kanagawa.jp

-----------------------------------------------------------------

メルマガTOPへ

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター です。