神奈川県水産総合研究所 メルマガ035

掲載日:2014年3月20日

神奈川県水総研メルマガ VOL.035 2004-03-12

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/KN/ 神奈川県水産総合研究所メールマガジン  VOL.035 2004-03-12
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□□研究員コラム
・あなご筒という漁業(資源環境部 清水 詢道)
・岩場への上陸ののち(海洋情報部 加藤 健太)
□神奈川県の漁協紹介
・第21回 横浜市漁業協同組合
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●あなご筒という漁業 資源環境部 清水詢道
 神奈川県でのマアナゴの漁獲量は、2001年の統計では東京湾では190t、相模
湾では10tで、圧倒的に東京湾での漁獲が多くなっています。

 このうち、90%以上はあなご筒という漁業での漁獲です。

 あなご筒というのは、直径10cm、長さ80cmくらいの塩化ビニール製の筒(よ
く水道管などに使用されているものと同じです)でできていて、筒の両側には、
ロ-トがついていて、中に入ったマアナゴは筒から出られないようになってい
ます。

 筒の中にイワシ、イカなどの餌を入れ、マアナゴを誘い入れて、漁獲するし
かけです。このような筒を長いロ-プに500本以上とりつけてマアナゴを漁獲
します。

 アナゴやウナギの仲間は、筒のような狭い空間に入りこむ習性があるので、
この習性を利用した、とても効率の良い漁法です。

 昔は、東京湾では「はえなわ」という漁業でマアナゴを漁獲していました。
これは、長いロ-プに釣り針を200本くらいつけて、これでマアナゴを釣り上
げるしかけです。餌を針につける作業は大変だったようで、家族全部が夜中ま
でかかって準備した、という話を聞いたことがあります。

 また、はえなわ漁業は、漁場を選ぶのに経験が必要、月夜には行えない、漁
獲されたマアナゴの活がよくない、などの問題点があったようです。

 そこで、私達の前身の水産試験場が、横須賀、横浜の漁業者と共同して、もっ
と有効な漁具の開発試験を行い、現在使われているような筒漁具の開発に成功
しました。

 1960年代はじめ、日本全体が石油化学工業を中心とした高度経済成長期に入っ
た頃です。比較的安く、品質の良い石油化学製品が大量に生産されるようになっ
たことが、このような漁具の開発と普及に大きく影響したと考えられます。

 現在では、神奈川県だけでなく、東京都、千葉県でも筒漁業が行われていま
す。

 マアナゴは韓国、中国、ペル-などから輸入されています。韓国でも筒漁業
の割合が高くなっています。

 ペル-からの輸入というとちょっと意外な感じがしますが、日本の漁業会社
が筒漁業の技術を導入して、すべて日本に輸出するために漁獲しているようで
す。

 正確にいうと、アナゴの仲間というよりは、ウミヘビの仲間らしいのですが、
最初に日本に入ってきた時に、魚類学の先生が仮にマルアナゴという名前をつ
けたために、アナゴということで流通するようになった、ということです。

                       (資源環境部 清水詢道)
アナゴ筒、操業の様子
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p583071.html

●岩場への上陸ののち
 筆者は県に入ったとき、栽培漁業センター(現在の栽培技術部)に配属され
ました。

 そこでトコブシの種苗生産を担当したのですが、餌として人工餌料(じりょ
う)の他、天然海藻としてカジメ、アラメ、アオサ、オゴノリなどを与えまし
た。人工餌料は手軽でいいのですが貝が慣れるまで時間がかかります。初期段
階はやはり天然の海藻を与えた方が餌食い(えさぐい)は良いのです。

 天然海藻は取りに行かなければなりません。アオサは港の船着き場に打ち上
げられているのでバケツを持って拾いに行きました。オゴノリは、港の中で網
を引いて取りました。カジメ、アラメは城ヶ島の裏(通称:島裏)に小船で行
き、船上から長いカマで刈ります。

 カジメ、アラメは一番太い幹を刈ると葉の部分がついてきて、それを流れな
いうちに引っかけて船上に上げます。

 自分では絶対に船に酔わない(?)と思っていたのですが、残念ながら一発
でダウンしてしまいました。まず、海の中には流れがあり、海藻はその流れに
なびきます。船の上から見ると水の乱反射で海中はよく見えませんし、当然船
も揺れています。なかなか幹を刈ることが出来ず葉っぱだけを刈ってしまった
り、せっかく幹を刈っても流れていってしまったり。

 それでも当時新入職員でしたからうまくいかないなりにムキになって刈りま
した。しかしこのムキになったのがアダとなり、知らぬ間に三半規管に大きな
刺激を与えていたのでしょう。徐々に動作が鈍くなり、船上でうずくまるとい
う結果となりました。

 一緒に行っていた職員に、岩場に上げさせてもらい、体調の回復を待ちまし
た。この岩場は岸から離れていたので、生き物はほとんど手つかずの状態で、
カメノテという生物たくさん付着していました。

 カメノテは甲殻類(こうかくるい)で、カニやエビと同じ仲間です。本州以
南の潮間帯岩礁に生息しています。岩に固着して動かないため、波によって運
ばれてくるプランクトンなどを食べています。

 カメノテは一応知っていましたが、マジマジと見るのは初めてでなので手に
取ってみました。岸近くの岩にあるのは小さいのですが、その岩場にあるもの
はとても大きかったのです。

 とりあえず取ったカメノテを船に置き、体調回復後、作業を継続してから持
ち帰りました。刈った海藻をコンテナに分け、サザエやトコブシに与えたあと、
カメノテを持っていると「それ食えるよ。」という声が聞こえました。

 実はカメノテは塩ゆですればとてもおいしいのです。地方の魚市場にもおい
てあるところがあるのです。あるテレビ番組でもスペインのガリシア地方の大
衆飲み屋で普通におつまみとして出ていたりしました。
 取ったカメノテがどのようになったのかはご想像にお任せします。
                      (海洋情報部 加藤 健太)
カメノテ
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p583072.html
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■神奈川県の漁協紹介 第21回 横浜市漁業協同組合

 ビール、石けん、日刊新聞、ガス灯…横浜が日本初というものは多く、歴史
的にも開国からちょうど150年。

 本牧支所、柴支所、金沢支所からなる組合員300名の横浜市漁協も、古い歴
史を持っています。例えば、柴では漁師が黒船の乗組員と歓談したという記録
が残っているそうです(安政元年;1854年)。

 また、金沢地区は、昭和初期に神奈川県の遊漁が始まった地区としても知ら
れているところです。

 松澤昭彦総務・信用部長さんにお話を伺いました。

「以前は、のり、タイラギ、手繰り網(打たせ網)等が行われており、明治か
ら昭和の初期にかけては地曳き網も行われていた記録があります。

 昭和56年に3支所が合併しました。支所毎に中心となる漁業種類は異なり、
本牧では、まき網、底曳き網、柴では特にシャコを対象とした小型底曳き網、
またアナゴの郵パック販売も行っています。金沢ではアナゴ筒、のり養殖など
が特徴的です。

 シャコについては、昭和35年頃から横浜市の子安から加工技術を導入し、以
後漁業者自らが水揚げ後に茹で上げ加工することで付加価値を高めています。

 このシャコ、生きているうちに茹で上げないと味が落ちてしまうため、水揚
げ直後に加工することは利にかなっています。今では「小柴のシャコ」といえ
ば、築地でも高く評価されるブランドとなっています。

 地元の方々に新鮮な魚介類を提供したいという目的で、組合では、昭和61年
から直売所を毎週日曜日、祭日に開催しています。

 定置網による水揚げを中心とした朝市とは異なり、早朝に出漁した小型底曳
き船の水揚げしたものを販売するため、開催時間は14:30-17:00と比較的ゆっ
くりです。毎回100人以上のお客様にお越しいただいています。」

 柴支所で行われている、小型底曳き網によるシャコについては、当研究所で
も多くの調査が行われています。次号の柴支所の紹介で改めて詳しくご紹介い
たします。
                      (取材 企画経営部 小川 砂郎)

横浜市漁業協同組合の写真
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p583073.html
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[最近のホームページ更新情報(3月5日-9日)]
漁況情報・浜の話題No04-04(平成16年3月8日号)
漁海況月報2月号(海況・三崎水揚)
漁海況月報1月号(定置水揚)及びPDFファイル
平成15年度研究成果集を掲載しました。

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[編集後記]
 前々回にもお知らせいたしましたが、次号3月19日号から、メールをお送り
しているアドレスがfish@agri.pref.kanagawa.jpから、fish.415@pref.kanagawa.jp
なります。皆様の側での設定は特に不要です。
 「agri」という文字が含まれているアドレスは、農林水産情報センターに設
置されているメールサーバーで運用されていたものですが、新年度から県庁に
あるサーバーに統一されることとなり、変更されるものです。
 水総研の代表アドレスや各職員の分についても変更がありますので、ご注意
ください。なお、「agri」が含まれるアドレスは3月一杯は利用可能です。
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■水総研メールマガジン(毎週金曜日発行)
■配信の変更、解除は、こちらから↓
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発行:神奈川県水産総合研究所 企画経営部 担当 小川
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2311
ご意見・お問い合わせ:fish.415@pref.kanagawa.jp

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