神奈川県水産総合研究所 メルマガ041

掲載日:2014年3月19日

神奈川県水総研メルマガ VOL.041 2004-04-23

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/KN/ 神奈川県水産総合研究所メールマガジン  VOL.041 2004-04-23
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□□研究員コラム
・海洋探検船チャレンジャー号の来日(企画経営部 高間 浩)
・種苗生産を支える名脇役(4)(栽培技術部 山田 敦)
□神奈川県の漁協紹介
・第26回 初声漁業協同組合
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○海洋探検船チャレンジャー号の来日
 東京湾に係わる事柄を調べている中のエピソード。

 今から129年前の明治8年(1875)4月11日、横浜沖に英国海軍艦船チャレ
ンジャー号が姿を現した。

 チャレンジャー号は、排水量2,306トン、長さ220ft(約67m)、幅30ft(約
9m)1,234馬力の補助蒸気機関を備えた三本マストの帆装戦艦(コルヴェット
艦)である。

 この船は1872年12月21日、英国軍港ポーツマスを出港し、3年半かけて世界
の海洋の科学的調査を行うべく、ワイヴィル・トムソン(エディンバラ大学の
博物学教授)をリーダとする6人の専門家を乗せて世界周航に向かうジョージ・
S・ネアーズ艦長以下総乗員243名の軍艦を改造した海洋探検船であった。

 この船の主たる目的は当時全く未知であった深海の生物や底質などを調査す
るものであったので、測深用の長さ3000ファゾム(5500m)の麻縄や根元から
先端に向かって次第に細くなっているドレッジ用の総延長4000ファゾム
(7320m)の麻縄が搭載されていた。

 日本に来るまでの2年半の間、メキシコ湾、西アフリカ沖、ブラジル沖、イ
ンド洋、オーストラリア・ニュジーランド・フィリピン沖などでほぼ200マ
イルごとに調査点を設け、測深・観測、採集を繰り返してきたのである。

 ところで、この船が横浜で採集した魚類の中にマコガレイがある。チャレン
ジャー号の採集した様々な生物は、英国に持ち帰りそれぞれの専門家によって
精査されたが、魚類については大英博物館のアルバート・ギュンテルを中心に
行われた。

 そして、マコガレイはギュンテルによって、横浜でとれた片側で泳ぐ魚とい
う意味のPleuronectes yokohamae(プレウロネクテス ヨコハマエ)という
学名が付けられた。
 数ある魚の中で、横浜の名前が付いている魚はこのマコガレイが唯一であろ
う。

 チャレンジャー号は、日本滞在中に横須賀造船所で船体の補修を行った後、
相模湾、房総半島沖、遠州灘、神戸沖、備後灘などでドレッジ採集を行い、新
種を含む数多くの標本を得て、1875年6月16日の夕刻、次の寄港予定地で
ある4300マイル彼方のハワイ島を目指して、横浜港を出航した。

 なお、膨大なチャレンジャー号報告書(全40巻50冊)は東京海洋大学附
属図書館に所蔵されている。

参考図書:西村三郎著、チャレンジャー号探検、中公新書(1992)
                    (企画経営部 高間 浩)

チャレンジャー号の姿(Stony Brook Universityへのリンク)
http://life.bio.sunysb.edu/marinebio/challenger.html

○種苗生産を支える名脇役(4)
 近年、SARSや新型のインフルエンザのような多種多様な新疾病が発生し
ているように魚介類にも新たなウイルス症の発生や環境変化に伴う病原体の侵
入等が起こっています。

 大量に魚を飼育している当研究所でもこのような疾病を引き起こさないよう
に、そのために立ち入り制限や用具の殺菌処理などの防疫体制をとっています
が、水中の生物に関しては、生活環境そのものである飼育水の殺菌が非常に重
要となります。

 飼育水の殺菌処理にはいろいろな手法がありますが、種苗生産現場において
利用されている主な例をあげると、皆さん良くご存知の殺菌効果のある紫外線
(UV)を用いる方法、酸化力の高いオゾン(O3)を利用する方法、塩素
(主に次亜塩素酸を用いることが多い)の殺菌効果を利用した方法が用いられ
ていると思います。

 その他にも加熱殺菌や過酸化水素の利用、ろ過膜を用いた膜分離などありま
すが、コスト面で難があり小規模な実験で用いられることが多いようです。

 当種苗生産施設では、大量の海水を処理するために紫外線殺菌機を使用して
います。
 殺菌の原理は、殺菌に有効な波長260nm(ナノメートル)付近の紫外線を発生
させ、DNAやRNAを振動させ損傷させることで病原体を不活化させています。

 設備は、0.9m×0.75m×1.85mの箱の中に12本の低圧水銀ランプ(封入し
てある水銀が低圧のもの)が配置され、その間を海水が流れる透明管が配置さ
れています(写真、図参照)。
 能力は、紫外線に強いと言われているRNAウイルスを99%以上不活化する
ことができる紫外線照射量の場合、一時間で25トンの海水を処理できます。

 紫外線のメリットは、塩素やオゾンと比べて短い処理時間(5-10秒)で殺
菌することができ、しかも残留成分が出ないため安全性が比較的高いことです。
 逆にデメリットは、飼育水のゴミや濁りが多い時は、紫外線の透過率が下が
り十分な殺菌力が得られないことです。

 この装置も今まで紹介した機器と同様に、種苗生産期間中は24時間休むこと
なく稼動し、飼育海水の殺菌処理を行っています。
 病原体を侵入させない「防疫」が重要になってきています。
                     (栽培技術部 山田 敦)
紫外線殺菌機
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p583054.html
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■神奈川県の漁協紹介 第26回 初声漁業協同組合
 京浜急行終点の三崎口駅近くの県農業総合研究所三浦試験場脇から、野菜の
並ぶ畑を通り三戸浜(みとはま)へ。

 夏こそ、海水浴やバーベキューに訪れる者が増えますが、普段は時折散策す
る人の姿を見る程度です。この静かな環境、目の前に広がる砂浜、手頃な磯も
あり、のんびり海を眺めるには最適な場所です。

 漁協職員の原美千代さんにお話を伺いました。
「初声漁協では、定置網による水揚げが主体となっております。大型定置、小
型定置の2ヶ統あり、13名の漁師が早朝5時頃から作業を行います。大型定置
の網締めを行った後、続いて小型定置の網を締め、漁獲物は直接船で三崎まで
運んで水揚げを行います。

 漁獲される魚の種類は、以前はマイワシが中心でした。1昨年の水揚げは14t
ありましたが、全国的な減少傾向のとおり昨年はわずか900kgでした。

 現在の水揚げは、カタクチイワシが多いですが、カツオ船の餌になるため市
場にはほとんど水揚げされません。食卓に並ぶものとしては、サバやマアジが
多く漁獲されています。

 その他の漁業では、刺し網や覗突(みづき)が行われております。また、イ
カ落とし網も11ヶ統あります。サザエ、アワビは小網代、イカは長井の仲買が
買い取っています。

 天然ワカメは自家加工していますが、昔からの常連さんに販売するだけで、
はけてしまいます。

 農家との兼業が多く、漁と畑をバランスよく営んでいる方が多いようです。」

 取材に訪れた時期(4月6日)が丁度ひじきの口開けで、20人ほどの漁師さ
んが、浜で熱心に刈り取りをしていました。
 潮の具合にもよるようですが、4月10日前後までの短期間に一気に集めるそ
うです。干して乾燥させた後、組合で集荷して業者を呼び、買い取りさせるよ
うです。
                   (取材 企画経営部 小川 砂郎)
初声漁業協同組合
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p583055.html
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[編集後記]
 相模湾の定置にブリが入ったり、江ノ島水族館がリニューアルオープンした
りと、ここのところ、いいニュースが続いているようです。江ノ島水族館には、
当所研究員も早々と見学に行きました。曰く「水槽毎のコンセプトがはっきり
していて非常によい」とのことでした。

新江ノ島水族館
http://www.enosui.com/
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発行:神奈川県水産総合研究所 企画経営部 担当 小川
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2311
ご意見・お問い合わせ:fish.415@pref.kanagawa.jp

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