神奈川県水産総合研究所 メルマガ046

掲載日:2014年3月19日

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/KN/ 神奈川県水産総合研究所メールマガジン  VOL.046 2004-06-04
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□□研究員コラム
・東京湾の絶滅種「アオギス」(栽培技術部 沼田 武)
・船の速さ(その2) 時速24kmの漁業調査船は速い?遅い?
                   (海洋情報部 樋田 史郎)
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○東京湾の絶滅種「アオギス」
 相模の海には1300種余りの沢山な魚介類が生息し、これら海の恵みによって
多彩な漁業が営まれているとともに、多くの人たちが四季を通じて遊漁を楽し
まれています。

 相模湾沿岸や東京湾において漁業、遊漁でお馴染みのシロギスは、背面が淡
い灰色、腹面は淡い銀色で、全体的にはパールピンクに輝く海の女王のイメー
ジがピッタリの魚ですが、御多分にもれずこの資源も減少傾向にあり魚体が小
型化していますので、かつては良い漁場であった金田湾などでも延縄漁はとう
に廃れ、刺網漁が春先と秋口にたまに操業されている程度です。

 このような状況から、葉山町地先から湯河原町地先にかけての相模湾では、
資源保護のために遊漁船業者が9月から12月の間は自主的に禁漁にしている
ほどです。

 ところで皆さん、アオギスという魚をご覧になったことがありますか。

 呼び名からも想像がつきますように、シロギスに比べて魚体は青みを帯びて
いますが、並べてみないと色合いの違いは分かりにくいようです。

 この魚は、水のきれいな干潟が形成される海域に生息することから、以前に
は東京湾を北限として、伊勢湾や紀ノ川・吉野川河口、豊前海、鹿児島県吹上
浜などに生息し、東京湾岸では江戸の昔から「脚立釣り」と称するアオギス釣
りが盛んで、初夏の風物詩として多くの釣り客を魅了していたようです。

 しかし、昭和の時代になって湾岸の埋立が急速に進むとともに多くのところ
でその姿を消し、東京湾では昭和50年代に絶滅したと言われています。

 本県では、平成17年秋に天皇・皇后両陛下をお迎えして、「海の再生と魚の
食文化の創造」をテーマとした第25回全国豊かな海づくり大会を横浜市みなと
みらい21地区で開催しますが、東京湾再生のシンボルの一つとして是非とも
アオギスを展示したいと考えておりますので、ご期待下さい。

 なお、それまで待てない、すぐにでも見たいと思われる方は、(財)海洋生
物環境研究所のご厚意に依りまして、実物が当所の展示水槽で元気に泳いでい
ますので、機会がありましたらご来所下さい。
                           (栽培技術部 沼田)
アオギスの写真と動画
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p785266.html
第25回全国豊かな海づくり大会
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/suisan/umidukuri/top.htm

○船の速さ(その2) 時速24kmの漁業調査船は速い?遅い?
 前回(36号3月19日)は、江の島丸が遅いこと、そして速い調査船でも自動車
と比べると遅いことを書きました。今回は、船の速さ(遅さ)に関するもっと突っ
込んだ話しを書きます。

 船の速さは、「ノット」で表現しますが、これは1.852を掛けるだけで、
km/hと基本的には変わらない単位です。

 一方、船の性能を造船工学の点から議論すると(私は素人ですが)、この「単
位時間当りの移動距離」ではなく、フルード数という尺度を用います。

 フルード数は、船の長さの平方根で速度を割った指標です(単位はありませ
ん)。

 船が作る波に起因する抵抗は、船の長さと関係があり、フルード数はその関
係をよく説明する指標です。フルード数と言ってもピンとこないので、実例を
いくつか紹介します。

 江の島丸の巡航速度9ノットで、フルード数は0.29です。これよりも若干小
さい値の例としては、豪華客船QE2の巡航速度28ノット、米軍の空母の30ノッ
トでフルード数が0.27です。

 フルード数が江の島丸より大きい例としては、国内最速のフェリー「さんふ
らわあとまこまい」30ノット→0.35、比較的速い漁業調査船13ノット→0.41、
こんな感じです。

 フルード数が大きいほどがむしゃらに走っているということを意味します。
大きな船が静々と走り、小さい船ががむしゃらに走っても追いつけないと言っ
た感じです。

 江の島丸の代船では東京湾でまともに走れるよう13ノット以上を希望してい
ますが、フルード数は約0.4です。この値は、抵抗の壁があるため、普通の船
の形である排水量型での上限と言われています。

 それ以上速くするには、もっと馬力の出るエンジンを搭載して、抵抗の壁を
強引にがむしゃらに登らねばなりません。

 しかし、船の形を変えると、大きく立ちはだかっていた抵抗の壁が、壁では
なく山となり、それを乗り越える選択肢が可能となります。

 それは、船尾から水が切れる現象で、滑走型、半滑走型の船です。三重県の
調査船はフルード数0.7程度で、抵抗の最後の一山を越えた船です。

 こんな例はどうでしょうか、平たい小石を水面にうまく投げると、水を切っ
て跳ねてゆきます。5cmの小石を50cm/sでゆっくり投げるとフルード数0.7にな
ります。
 この速さでは小石は1回跳ねてすぐ沈んでしまいますが、小気味良く跳ねる
速さで投げると、上に挙げた例よりも遥かに高いフルード数になります。

 船舶趣味の観点からは、フルード数では比較できない凄い船があります。

 この海域では、ボーイングが開発し川崎重工が一手に作っているジェットフ
ォイル(全没翼型水中翼船)を東海汽船が伊豆諸島北部で運行しています。この
船は45ノット(83km/h)で走っています。

 10年前には、ノルウェーで開発された表面効果船が、長崎で一般の旅客を乗
せて最高55ノットで走っていました。

 今は無くなってしまいましたが、当時、航海中にブリッジにお邪魔させてい
ただいた時は、海の風景が別世界でした。

 近々小笠原航路に就航する、日本の国家プロジェクトのTSLがそれと同じ表面
効果船です。

 ・・・現実的な話しとしては、江の島丸の代船は13ノット(24km/h)で走れる
ようにしてもらいたいと願っています。
                      (海洋情報部 樋田史郎)

百聞は一見に如かず、図を用意しました。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p785274.html
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[編集後記]
 前回に引き続き、動画をアップいたしました。やはり、再生できないという
方もいらっしゃるようなのですが、細かい環境等がわからないので具体的な対
策がなかなかとれません。個別対応ということで、フォローしたいと思います。
 ご遠慮なくメールをお送りください。出張等で不在にすることも多いですが、
なるべく早めにご回答したいと思います。よろしくお願いします。
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