神奈川県水産総合研究所 メルマガ048

掲載日:2014年3月19日

神奈川県水総研メルマガ VOL.048 2004-06-18

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/KN/ 神奈川県水産総合研究所メールマガジン  VOL.048 2004-06-18
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□□研究員コラム
・忍法隠れ蓑(栽培技術部 滝口直之)
・マアナゴの旅 1(資源環境部 清水 詢道)
■神奈川県の漁協紹介 第30回 みうら漁業協同組合通り矢支所
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○忍法隠れ蓑
 ある日、アワビの潜水調査のため海底を移動していたところ、泳いでいる私
の下をスーと横切る影が目に入りました。

 それは、じょうずに作った紙飛行機が地上すれすれの高さを、滑るように飛
んでいるかのようです。

 その影は、ふわぁとわずかに海底の砂をまきあげ、そこが定位置であるかの
ように着陸(?)しました。

 その影の正体は、全長30cmくらいのヒラメです。
 体全体が海底の色に溶け込み、まるで忍者のように潜んでいます。まさに、
もって生まれた忍法隠れ蓑です。

 着陸の一部始終を見ていたからこそ、そこに彼(彼女?)がいることが分か
りますが、そうでなければ、まったく気付くことができないほど、うまく隠れ
ています。

 彼の場合、獲物が来るのを待つハンターとして海底に潜んでいるわけですが、
逆に生まれたばかりの生物にとっては、外敵から身を守るときにも忍法隠れ蓑
は役に立ちます。

 例えば、アワビの稚貝は明るい煉瓦(レンガ)色をしていますが、これはア
ワビ稚貝が生息している石の表面を被う無節石灰藻という海藻の色と同じです。
 自然はアワビに煉瓦色の隠れ蓑を与えることによって、アワビ稚貝を保護し
ています。

 この忍法隠れ蓑が、アワビの初期生態を調査している私に対して効果絶大!
お願いだから出てきてちょうだい!アワビさん!(おまえがヘボなだけだよ・・・
アワビ談)
                     (栽培技術部 滝口直之)
*獲物を待ち伏せるヒラメとアワビ稚貝の画像はこちらからご覧ください。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p583037.html

○マアナゴの旅 1
 マアナゴは、寿司種、てんぷら、焼き物など、多くの日本人にとって親しみ
深い魚ですが、その生活は、まだまだ多くの謎に満ちています。

 もっとも大きな謎は、産卵場がどこなのか?ということでしょう。

 マアナゴは九州から北海道まで、日本の全沿岸に分布していますが、成熟し
た生殖腺をもった個体はみつかっていません。
 つまり、日本の沿岸には産卵場がない、と考えられます。

 これまでに、南西諸島周辺の深海、東シナ海の大陸棚縁辺部、などの仮説が
提唱されていますが、残念ながら物的証拠はありません。

 その謎の産卵場から、マアナゴは葉形仔魚と呼ばれる独特の形をした仔魚と
して、日本各地の沿岸にやってきます。
 葉形仔魚は泳ぐ能力が乏しいので、沿岸にやってくるのには黒潮や対馬暖流
などの海流によって輸送されてくるのだろうと考えられています。

 東京湾の入り口で調査すると、相当数の葉形仔魚を採集することができます
が、黒潮からの暖かい水が波及している時ほど採集量は多くなる傾向がありま
す。

 葉形仔魚の生理は、たとえば体は、比重を軽くして泳ぐエネルギ-を節約す
るためにゼラチン様物質でできていること、酸素消費量を抑制するために脳の
発達が抑えられていること、など徹底的な省エネルギ-型で、海流によって流
されることに適応しています。

 東京湾の入り口で採集された標本では、ふ化してから80-160日くらいたって
いるので、かなり長い期間葉形仔魚のままでいるということになります。

 うまく沿岸にたどりつけずに、黒潮に流されて日本からはるか遠くまで行っ
てしまい、おそらくそのまま死んでしまうと考えられるものもいるようです。

 運良く沿岸にたどり着いた葉形仔魚は変態し、活発に餌を食べて成長し、や
がてはまた産卵場に戻ることになるのですが、この旅がまたまた謎だらけ!次
回をお楽しみに。
                   (資源環境部 清水 詢道)
マアナゴ葉形仔魚
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p583038.html
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■神奈川県の漁協紹介 第30回 みうら漁業協同組合通り矢支所
 水産総合研究所から、三崎瀬戸をはさんで真向かい側。水総研ホームページ
の三崎瀬戸ライブカメラ画像の丁度中心あたりに、通り矢支所はあります。

 前回に引き続き、鈴木隆支所長にお話を伺いました。

「他の支所と異なる特徴として、比較的大型の漁船漁業である、火光利用サバ
たもすくい(明かりをつけてサバをひきよせ、たもすくい網ですくいとる漁法)
や、キンメダイやムツなどの底魚を対象とした一本釣りがあげられます。

 サバ漁業は、近年はマサバの割合が減り、ゴマサバ主体の漁となってきてお
ります。そのため単価がなかなかあがらないのが悩みです。

 底魚一本釣りは、三宅島沖など比較的遠方まで出漁いたします。そのため、
気候により操業が制限されてしまうことがあります。

 その他、地先での一本釣りや刺し網、磯根漁業等があります。

 また、海業(うみぎょう)にも積極的に取り組んでおります。

 平成7年より、ダイビングスポットを開設し、年間3500名前後のダイバーを
受け入れております。

 アオリイカの産卵床の設置も毎年行っております。丁度6月から7月が産卵
の時期となり、ダイビングで産卵シーンを見ることもできます。

 3年前から漁場開放と称して、一般の方を対象にタコツボ、ワカメ養殖、シ
ュノーケリング、ヒジキ刈り、海藻押し葉教室など多彩なメニューを体験して
もらうイベントを定期的に開催しています。

 漁業や環境への理解を高めるため、みうら漁協全体としても取り組むべきだ
と考えております。」
                 (取材 企画経営部 小川 砂郎)
みうら漁業協同組合通り矢支所
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p583039.html
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[編集後記]
「釣り情報」という雑誌があるのですが、当所のホームページ等について最近
よく取り上げていただいているようです。マダイ放流の協力金等の関係もあり、
釣り人の方々にも相当注目されていることがわかります。
 神奈川では海業(うみぎょう)といって、漁業とその周辺産業をあわせて振
興するという考えを持っています。漁業による海の恵みを受けるだけでなく、
釣りやマリンレジャー等海を利用する方々が、自分の体験を通すことで環境や
魚資源について考えていただければ、と思っています。

「釣り情報」
http://www.tg-net.co.jp/tsuri-joho//cnt/f450011/
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発行:神奈川県水産総合研究所 企画経営部 担当 小川
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2311
ご意見・お問い合わせ:fish.415@pref.kanagawa.jp

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