神奈川県水産総合研究所 メルマガ051

掲載日:2014年3月18日

神奈川県水総研メルマガ VOL.051 2004-07-09

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/KN/ 神奈川県水産総合研究所メールマガジン  VOL.051 2004-07-09
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□□研究員コラム
・サバッコ釣り(資源環境部 岡部 久)
・パンダヒラメ(栽培技術部 一色 竜也)
■[特集](財)神奈川県栽培漁業協会(その2 現在の取り組み)
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○サバッコ釣り
 5月末のある日、三崎港周辺でサバッコが釣れているのを目撃していた私は、
アミこませと小鮒を釣るような仕掛けを持って、夕方に城ヶ島の岸壁へ出かけ
ました。

 サバッコとはサバ類の子供のことで、耳石に刻まれる輪紋が一日一本できる
ことを飼育して確かめるために確保しようとしたわけです。そこでの光景です。

5:00過ぎ
 釣り始めてすぐにアタリ。小さなマアジでした。ジンダと呼ばれる小鯵サイ
ズ(7、8cm)ですが、から揚げや南蛮漬けにすればおいしく食べられます。で
も、今回はあくまで外道。

5:30ごろ
 数匹釣り上げると、自転車で通りかかったおばさんが
「兄さん、なに釣ってる?」
「サバッコを狙っているんだけど」
「サバッコ?」
 地元の釣り人はサバッコを狙うことはありません。
「でも、アジばっかり」
「アジ!? どれどれ、あっ、ほんとだ、釣らせてもらおう」
 おばさんあっという間に支度をして釣り始めます。

「さっき試験場のところでやったんだけど、3時間やって一匹もとれなかった」
 といっている間にどんどんかかります。おばさんの仕掛けは「トリック仕掛け」
「うあー、入れ食いだ!!」
「おばさん、サバが釣れたらください」
「いいよ」

6:00ごろ
「あっ、サバだ」
 ようやく本命のサバッコが回遊してきて、おばさんの竿にかかりました。
「ほれっ、どこに入れればいい?」
 次々とアジとサバッコを釣るおばさん。浮き下を短くしたら、私にもかかり
ました。スレに弱いサバッコには直接触らないように慎重に針をはずしてイケ
スヘ。

「サバは上、アジは下にいるんだ」
 おばさんよく知っています。その後仕掛けを深くおろしてアジだけを釣って
いました。

7:00ごろ
「楽しいね、また仲間連れてここへ来よう」
「おばさんありがとうございました」
「お礼をいわれるまでもないよ、これだけ釣れば文句もない」
 おばさんはアジを150匹くらい、私はゴマサバの子を20尾ほど確保して帰り
ました。
 大きさは約12-13cm、後日、ヒラメなどの標識に使うALCで耳石にマークし、
一定期間の飼育した後、マークの外にできた輪紋数と、経過日数の比較
を行う予定です。
                     (資源環境部 岡部 久)

○パンダヒラメ
 表も裏も真っ白なヒラメをみたことがありますか?写真1は正真正銘ヒラメ
です。
 白と黒のツートンカラー、目の周りが黒いのでパンダヒラメなんて呼ぶ人も
います。

 これとは対照的に裏も表も黒いヒラメもいます(写真2)。表側が部分的に
白かったり、裏側が部分的に黒かったりする魚もいます(写真3、4)。
 こうした魚のことを専門的に白いものを白化魚、黒いものを黒化魚と呼び、
併せて体色異常魚といいます。

 天然ヒラメには体色異常魚はほとんどみられませんが、種苗放流魚の中には
体色異常の特徴を持つものがいます。

 種苗放流魚は限られた親から大量に生み出され、口にする餌も天然稚仔魚の
餌とは異なるものが与えられ、自然界とは異なる環境下で飼育されます。

 体色異常の原因はよく分かっていませんが、こうした様々な要因が合わさっ
て発現してしまうものと考えられます。

 ちなみに水総研で種苗生産されたヒラメ種苗は、どちらかと言えば白化魚が
多く、黒化魚は少ない傾向にあります。

 写真の白化魚は全長52cmありました。3歳魚と考えられます。黒化魚の3歳
魚は魚市場で結構多くみられますが、白化魚で1歳を越えるものは大変珍しい
です。

 白化魚は自然界で目立つので、外敵に狙われやすく放流後ほとんどの個体が
生き残れないと言われています。

 魚市場で体色異常魚は通常の天然魚より2-3割程安く取引されます。

 種苗放流魚は6-10cm程度の稚魚段階で放流されています。
 最近の調査結果では放流後約2-3週間位で天然魚と同じ餌を食べていること
が明らかにされました。

 つまり放流直後から漁獲されるまで天然魚と同じ環境下で大きくなるため、
天然魚と身質は遜色は無いはずです。ただ唯一、見た目の差が種苗放流魚の価
値を下げているといえます。

 これまで水総研を始め多くの研究機関は体色異常を無くす努力を行い、現在
では体色異常魚の出現がかなり抑えられつつあります。
 天然か放流かと一見判断に迷う種苗が多くなってきました。

 しかし、こうした努力の反面皮肉な状況も生まれてきました。
 水総研では、種苗放流効果を明らかにするため、魚市場で漁獲物の中にどの
くらい放流魚が混じっているか調査しておりますが、その際、天然・放流魚の
識別には体色異常の有無を判断基準に使っています。
 近年体色異常種苗が少なくなっており放流魚と天然魚の見分けがつかなくなっ
ていることから、放流魚の識別が困難になってしまいました。

 種苗の質が向上して効果も期待できるはずなのに、調査時には放流魚と識別
できず、放流効果が下がってしまうといった笑えない状況になっているのです。

 天然環境下で種苗の成長や生残に体色異常は何らかのハンディになっている
かもしれません。放流効果の面からも種苗の質向上はこれからも継続して行わ
れるべきです。
 ただ、これと併せて、体色異常にかわる簡便で有効な放流魚判定法も確立す
ることが重要な課題となっています。
                    (栽培技術部 一色 竜也)
パンダヒラメ
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p583029.html
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■[特集](財)神奈川県栽培漁業協会(その2 現在の取り組み)全3回
 前回に引き続き、業務課長の鈴木秀雄さんにお話を伺いました。

「協会の主な事業は、次の4つです。マダイ、アワビ等の「種苗生産事業」、
メバル、ヒラメ等の「種苗放流事業」、また漁協や釣り団体等への「種苗供給・
あっせん事業」、そして「PR事業」です。

 栽培漁業協会が行う事業の経費は、財団を立ち上げた時に出えんしていただ
いた基金の果実や県補助金、負担金及び協力金、事業収入が中心となりますが、
近年の利率の低下で、運営は非常に厳しいものとなっております。

 そのため、漁業者、漁協、遊漁船業者の方々に様々な形でのご協力をいただ
いており、その協力なしには運営できないといっても過言ではないでしょう。

 マダイ遊漁者協力金制度もその一つです。マダイを釣られる方一人1回あた
り200円をご寄付いただくというものです。

 従来、放流に関する費用については、基金の運用、補助金の他、遊漁船業者
からの協力金及び漁業者からの負担金から捻出しておりますが、マダイの採捕
量は、漁業者:遊漁者=38%:62%と推定され、釣り人の方々にも任意のご協
力を求めることとなったものです。

 釣り雑誌等でもご存じのとおり、協力金の納入状況は必ずしも順調ではあり
ません。マダイをはじめ、船釣り遊漁者は全体的に減少傾向にあり、マダイが
釣れない場合にはご協力いただけないこともあるからです。
 今後は地域にあった納入方法の検討等、ご協力していただきやすいような改
善を行わなければならないと考えております。

 あわせて、賛助会員として「海の里親」の募集も行っています。300人を越
える方が会員になって下さっていますが、さらに多くの方にご協力いただけれ
ばと考えております。

 種苗のあっせんは、カサゴやメバルなど放流用の種苗の手配や買い付けを行
うものです。釣り人有志による釣り団体等の要望にも応え、クロダイ種苗など
も扱っており、今までに扱った魚種は18種類にもなります。

 このような関係で、釣り人の方も施設の見学によく訪れます。他には学校の
先生や漁業者の方々、水産総合研究所とあわせて見学される方もいらっしゃい
ます。」

(次回は、生産現場からの声をお届けします。)
                   (取材 企画経営部 小川 砂郎)
マダイ協力金ポスター等
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p583030.html
(財)神奈川県栽培漁業協会
http://www.kanagawa-sfa.or.jp/
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[編集後記]
 毎年恒例のイベント「2004年夏休みこどもワクワク・海・体験」が、8月2
日(月曜)及び5日(木曜)に開催されます。小学生を対象とした磯採集や料理教
室です。所内見学も行います。
 詳細はこちらをご覧ください。
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/event/20040630/

 7月10日(土曜)「第27回みさき白秋まつり」の詩吟朗詠大会会場として、水
産総合研究所が使われます。
http://www.kanagawa-kankou.or.jp/event_area/7/emiura.html
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■水総研メールマガジン(毎週金曜日発行)
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http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/mailmag/

発行:神奈川県水産総合研究所 企画経営部 担当 小川
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2311
ご意見・お問い合わせ:fish.415@pref.kanagawa.jp

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