神奈川県水産総合研究所 メルマガ052

掲載日:2014年3月18日

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/KN/ 神奈川県水産総合研究所メールマガジン  VOL.052 2004-07-16
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□□研究員コラム
・海のゴミを考える(資源環境部 秋元 清治)
・暑い季節になりました。食中毒にご用心!(企画経営部 菊池 康司)
■[特集](財)神奈川県栽培漁業協会(その3 生産現場からの声)
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○海のゴミを考える
 だいぶ前のことであるが、とある夏の休日に子供達を海水浴に連れていった
ことがある。

 都会の近くにあるその海水浴場は人もゴミも多く、まだ幼かった子供達は汚
れた水を嫌がって海に入らなかった。

 しかし、数週間後、東北のひなびた海水浴場に連れていった時には、砂浜や
海の水がきれいなので子供達は嬉々として海に入ったことを思い出す。

 慣れとは恐ろしいものである。大人は都会の海のゴミや汚れに慣れてしまっ
ているが、幼い子供達は海のきれいさを純粋に感じるのだなと妙に感心したも
のだ。

 浜辺では空き缶、空き瓶、プラスティック類など我々が排出するありとあら
ゆるゴミを見つけ出すことが出来る。

 貝塚から縄文人の暮らしぶりを想像できるように、海岸のゴミは我々の生活
を強く反映している。

 浜辺に転がるゴミは我々の眼にとまるという点でまだ改善の余地がある。深
刻なのは目に見えないゴミである。

 その中の1つは深海に散乱するゴミである。かつて海洋科学技術センターの
「しんかい2000」で相模湾の1200mの海底に潜ったことがある。

 深海の底はクモヒトデが一面に広がる生物もまばらな暗黒の世界であったが、
そんな海底にもビールの空き缶やビニール袋が沈んでおり、こんな深海までゴ
ミは広がっているのかと暗澹(あんたん)たる気持ちにさせられた。

 もう1つは、人間が作り出した化学物質による海洋汚染である。殺虫剤、農
薬、ダイオキシン、PCBなど海に流れ出した化学物質が最終的に人間に及ぼす
影響はレイチェル・カーソン女史の「沈黙の春」を読むまでもなく、今日広く
警鐘されているところである。

 最近は、ボランティアで海岸清掃を行う人も多くなり、以前よりも海岸が綺
麗になった所も多いが、美しい海を子供達に残していくためには我々は目に見
えないゴミについてももっと真剣に考えていかなければならないだろう。
                       (資源環境部 秋元 清治)
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○暑い季節になりました。食中毒にご用心!
 とうとう梅雨も明けました。梅雨入りしたころから心配になっていることが
あります。
 それは、食中毒です。

 食中毒で最も恐れているのは腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolytucus)で
す。
 この細菌は海水や海中の泥の中に普通にいるので、水産関係者にとって非常
に厄介な細菌です。
 特に海水温の高くなる夏場に多くなると言われています。

 しかし、海水浴で海水を飲んだり、海の魚を生で食べて、誰もが食中毒にな
るわけではありません。

 むしろ食中毒にならないのが普通です。食中毒が起こるには腸炎ビブリオが
どれだけ体に入ったかが問題になります。

 そこで、普段の生活で気をつけて欲しい3つのポイントがあります。それは、
細菌を広げないこと、細菌を増やさないこと、細菌を殺すことです。
 細菌を広げないことは、手も食材もよく洗うのは当然ですが、まな板を魚用、
野菜用などと分けることです。

 何枚ものまな板はちょっと大変と思う方は、食材を切る順序を考えるのも効
果的です。
 魚を切った後に野菜を切るよりは、先に野菜を切っておいたほうが細菌が他
の食材に広がるのを抑えられます。

 細菌を増やさないことは、食材を低温に保つことです。

 腸炎ビブリオの怖いところは、温度の上がったときの増殖速度が他のものよ
りはるかに早いことにあります。
 条件がよいと、10分間で2倍になります。ちなみに大腸菌は20分で2倍
です。

 たいした差がないように見えるかもしれませんが、4時間で大腸菌は4000個
程度ですが腸炎ビブリオでは100万個以上になるということです。
 刺身を買った帰りに立ち話をするとあっという間に増えてしまうので注意し
てください。

 細菌を殺すことは、加熱することです。
 多くの細菌が加熱に弱く、中まで火のとおるような十分な加熱が有効です。

 ただし、黄色ブドウ球菌など一部の細菌は熱に強い毒素をつくるため、細菌
を殺しても、毒素が残る可能性があります。このような細菌は増やさないこと
が重要です。

 これから暑い季節を迎えますが、皆さん食品の取り扱いには気をつけておい
しいものを食べましょう。
                       (企画経営部 菊池 康司)
腸炎ビブリオの検査
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p784705.html
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■[特集](財)神奈川県栽培漁業協会(その3 生産現場からの声)全3回
 第3回目は、実際に現場で種苗生産を行っている方々にお話を伺うこととし
ました。

 魚の担当者、田中さんにお話を伺いました。
「魚の担当は現在4名で、マダイとマコガレイの生産を行っております。
 4月から7月の後半までは、マダイの種苗生産で大変忙しい時期です。朝は
7時半から作業、夜も2-3回の見回りと餌への栄養強化等の作業があります。

 遅い時間帯では22時頃の作業もあるので、交代で夜出てくることとなります。
もちろん、土日も交代で来る形です。

 ふ化から2ヶ月ほどでマダイが15mm程になったら、沖出しといって、室内の
水槽から小網代湾内に設置したイケスに移します。
 沖出し後、2-3週間で30mmほどになります。このサイズになれば、とりあ
えず一息ですが、放流するまでは気が抜けません。

 マコガレイは、11月から親魚養成の作業が始まります。この時期は貝の生産
に一人助っ人で行ってしまうので、3名での生産となります。
 マコガレイの生産は3ヶ月ほど、20mmまで。もう少し大きくしたいのですが、
マダイの時期と重なってしまうためこれが限界です。

 人を減らす等、年々コスト削減を行う分を技術の向上で補っています。毎年
目標を定め、ちょっとでも工夫すべきところを改善しています。
 施設的な限界はあるのですが、できれば今の施設でマダイ200万尾の生産を
目指したいところです。」

 アワビ生産担当者である中泉さんにもお話を伺いました。
「アワビは3名体制で生産を行っております。10月頃出荷が始まると魚類担当
に助っ人をお願いするので、3-4月までは5人体制となります。特に11、12
月は採卵があって大変忙しくなります。

 殻長25mmの放流用と、50mmの養殖用を生産していますが、最近は個数は減ら
しても大きめのものを放流したいというニ-ズがあります。

 餌は、配合飼料を週2回、天然のアラメ、カジメを週1回、小さいうちはア
オサも与えます。

 アオサは岸壁に生えているものを自分でとってきます。アラメ、カジメは城
ヶ島の漁師さんにお願いしてます。

 原因は不明なのですが、水温が20℃以上になると大量に斃死することがあり
苦労しています。夏過ぎには飼育していた量の6-7割になってしまうことも
あります。

 また現在、施設が更新中です。これは、現在県で飼育試験中のサザエを受け
入れるためです。受入後はアワビとサザエあわせて100万個/年の生産を目標
としています。

 新たに循流(じゅんりゅう)水槽という清掃面などで省力化できる施設が入っ
ているのですが、ろか海水等の施設が完全ではなく、その性能を最大限に発揮
できていません。
 工事は来年終わりますが、それまで、過渡期としての苦労は続くようです。」
                   (取材 企画経営部 小川 砂郎)
マダイとアワビの飼育施設(動画もあります)
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/mailmag/pic_052_2.html
(財)神奈川県栽培漁業協会
http://www.kanagawa-sfa.or.jp/
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[編集後記]
 担当者不在のため、次週23日分はお休みさせていただきます。30日分は予定
どおり発行いたします。
 また、14日以降アドレスをお送りいただいた方は、登録が間に合わずメルマ
ガが送信されない場合がありますが、次回以降届くようにいたしますので、ご
容赦いただきたいと思います。 
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発行:神奈川県水産総合研究所 企画経営部 担当 小川
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2311
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