神奈川県水産総合研究所 メルマガ059

掲載日:2014年3月18日

神奈川県水総研メルマガ VOL.059 2004-09-10

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/KN/ 神奈川県水産総合研究所メールマガジン  VOL.059 2004-09-10
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□□研究員コラム
・アオギスを放流すべきかどうか(栽培技術部 今井 利為)
・黒潮大蛇行(海洋情報部 高田 啓一郎)
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○アオギスを放流すべきかどうか
 第25回豊かな海づくり大会は、横浜のみなと未来21地区(MM21)で2005年11
月20日に開催されることになりました。

 この豊かな海づくり大会は、全国からの漁業関係者に加え、天皇、皇后両陛
下、衆議院議長、農林水産大臣、神奈川県知事、横浜市長などの出席のもと栽
培漁業の振興を目的に開催されます。

 第1回の大会は昭和56年に大分県で開催され、各県が持ち回りで25回を数え
ています。
 ちなみに、第1回に先立ち、神奈川県では全国始めての豊かな海づくり大会
を昭和55年に横須賀市長井漁港で行いました。 

 これらの大会は、豊かな海づくりを国民に広く知ってもらうため、栽培漁業
対象種である人工種苗の放流祭がメイン・イベントとなってきました。

 かながわ大会は、今までの大会とは異なり、過去、現在、未来の漁業・環境・
食文化をテーマに、豊かな海づくりを総合的に取り上げ、首都圏と全国の人々
に、水産業に対する理解を深めてもらう企画です。

 この大会では、東京湾、相模湾の魚介類、神奈川県における栽培漁業対象種
に加え、東京湾の環境を象徴するアオギスを展示します。

 今回展示するアオギスは、平成8年に財団法人海洋生物環境研究所が福岡県
の曽根から入手した親を基に人工種苗生産したものです。

 江戸時代から昭和の高度経済成長前まで東京湾の浅瀬で脚立釣りというアオ
ギスを釣る風景がありました。

 釣り名人の服部善郎氏によれば、ご自身では昭和42年に千葉県の浦安で釣っ
たのが最後で、昭和50年に漁業で獲れたとの情報を得ているが、その後、東京
湾で捕れた記録はなく、絶滅したのではないかと語っていました。

 このアオギスの生息地は汽水域があり、浅い砂地の広大な干潟が必要とされ、
東京湾には、現在、このような環境はありません。

 東京湾の漁業は、かって、この広大な干潟域で生産されるアサリ、ノリ、イ
シガレイなど約10万トンの生産をあげていましたが、近年の漁獲量はわずか2
万トンに激減しています。

 東京湾を豊かな海に戻すためには、アオギスが棲めるような、浅海域と汽水
域の回復が必要です。

 現在、福岡県産の親を使って人工種苗したアオギスを東京湾に放流していい
のか議論がでています。

 第一の論点は、他の海域に生息していて遺伝子が異なる可能性があるものを
東京湾に放流してもいいものかどうか、第二の論点は、アオギスの生息環境が
整っていない東京湾に放流するのは、いかがなものかということです。

 水産総合研究所内でも賛否両論ありますが、私は、第一の論点は、絶滅した
ならば、佐渡の朱鷺と同じように、回復することも必要ではないか、との意見
です。

 第二の論点に対しては、卵と鶏の議論になってしまいますが、アオギスを東
京湾の環境回復のシンボルにして、首都圏の人々に東京湾に対する関心を呼び
起こせたらと考えています。皆様はどのようにお考えでしょうか。                  
                     (栽培技術部 今井利為)
NO46でもアオギスを取り上げています。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p583043.html
No46で掲載したアオギス写真と動画
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p785266.html

第25回全国豊かな海づくり大会
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/suisan/umidukuri/top.htm

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○黒潮大蛇行
 過日の新聞に「黒潮大蛇行」との記事が掲載されました。

 黒潮は、亜熱帯を東から西へ流れる北赤道海流に端を発し、フィリッピンの
東から台湾東岸を通って東シナ海に入り、屋久島・種子島と奄美大島の間のト
カラ海峡を抜けて日本の南岸に沿って北東に流れ、房総半島沖で向きを変えて
東進する世界有数の海流です。

 日本の南岸を流れる黒潮の流れ方には大きく2つのパターンがあって、一つ
はトカラ海峡を抜けた黒潮が紀伊半島から遠州灘沖で大きく流路を変え、南へ
400-500kmほど南下してから再び北上し、伊豆諸島西側で東に向きを変えて房
総半島沖へ流れる大蛇行型、もう一つがこのように大きく蛇行しない非大蛇行
型です。
 非大蛇行型であっても、関東近海で小規模な蛇行をすることがしばしばあり、
これを離岸型、四国から本州南岸をほぼ直進するものを接岸型と呼んでいます。

 実は、この分類は気象庁が採用しているもので、海上保安庁や水産関係機関
では、大蛇行型をA型、接岸型をN型と呼び、離岸型を蛇行の位置によって、
さらにB、C、Dと細かく区分しています。
 大蛇行は特異な現象ではなく、数ヶ月から数年間続く安定したパターンの一
つで、昭和28年からこれまで6回発生しています。

 また、大蛇行型、離岸型を問わず、黒潮が蛇行すると黒潮と本州南岸との間
に下層から海水が湧き上がり冷水渦ができます。

 黒潮は、本県の沿岸や沖合いの海の様子…海況に大きな影響を与えますので、
漁業者にとって大きな関心事となっています。
 ところで、房総半島沖を東へ流れていった黒潮の行方を知っていますか。黒
潮は、黒潮続流、北太平洋海流となって北アメリカ大陸近くまで流れ、南下し
て再び北赤道海流に戻ります。つまり、黒潮は太平洋を循環する大きな流れの
一部の名称です。

 地球規模の海水の流れには風成循環と熱塩循環があります。
 風成循環は風と地球の自転によって生じるコリオリの力で引き起こされる水
平方向の海水の流れで、一般的に○○海流と呼ばれているものです。

 一方、熱塩循環は海水の密度の違いなどによって引き起こされるもので、グ
リーンランド沖や南極近海の海水が沈み込み、深層水となって世界の海洋を巡
る深層大循環が代表例です。

(※)黒潮流型図は、当所ホームページ「神奈川県近海海況予報→黒潮流型につ
いての説明」で見ることができます。
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/Kakubu/Kaiyo/kuroshio/kuroshio.htm

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[イベント情報]
●「海岸クリーンアップ・リレー放流」が開催されます!
海づくり大会の関連行事の、マダイ稚魚放流や海岸清掃等のイベントです。
平成16年9月11日(土曜)午前9時半受付開始(1時間30分程度)
三浦海岸マクドナルド前(荒天の場合9月23日に延期)

・軍手、帽子、タオルなどをお持ちください。
・動きやすく、マダイ稚魚放流時にはひざ近くまで海水に入れる服装で
ご参加ください。

詳細は、豊かな海づくり大会ホ-ムペ-ジへ
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/suisan/umidukuri/top.htm
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[最近のホームページ更新情報(9月7日)]
漁況情報・浜の話題No04-15(平成16年9月7日号)を掲載しました。
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[編集後記]
 アオギスを放流するかどうかについては、(社)日本水産資源保護協会が事
務局を努める「豊かな東京湾再生検討委員会 アオギス再生特別委員会」にお
いて検討が始まっております。また、一般の方へのアンケ-ト等も予定されて
いるようです。
 一部メディアでは、放流を前提にした報道が行われているようですが、きち
んとした議論の積み上げによる判断を期待しています。

(社)日本水産資源保護協会
http://www.fish-jfrca.jp/index2.html

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電話:046(882)2311
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