神奈川県水産総合研究所 メルマガ064

掲載日:2014年3月18日

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/KN/ 神奈川県水産総合研究所メールマガジン  VOL.064 2004-10-15
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□□研究員コラム
・池のマダイの警戒心?(その2)(栽培技術部 一色 竜也)
・魚は暑い時をどう過ごすか(資源環境部 秋元 清治)
■イベント等のお知らせ
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○池のマダイの警戒心?(その2)
(前回(vol.63)のあらすじ)
 水産総合研究所の大池のマダイは魚の切り身はもとよりスイカの皮まで食べ
てしまう貪欲な悪食魚です。

 しかし、マダイの切り身を与えると喰い付くどころか、群が四散してしまい
ました。マダイの切り身にはマダイを逃避させる要因がありそうです。

(本編)
 かつて精子を採取するために大池のマダイを釣り上げる試験を行った時、再
び標識をつけて大池に放すと、釣り上げられたマダイのみならず他のマダイも
釣れなくなったそうです。

 このような話を考え合わせるとマダイ同士で危険を知らせる伝達物質の存在
が示唆されます。

 こうした反応を起こす物質として忌避物質と警報物質の存在が知られていま
す。

 例えば、上流から哺乳類の皮膚のすすぎ水が流下すると、魚梯を上がるギン
ザケやマスノスケが忌避反応を示して遡上が一時的に止まることが知られてお
り、哺乳類の皮膚から流出するL-セリンという忌避物質によって同反応が起
こるとされております。

 また、骨鰾類(コイやナマズの仲間)の多くでは同種の群、あるいは個体が
捕食者に襲われて皮膚に傷がつくと、一斉に逃避反応を示して四散することが
知られており、これは表皮中の棍棒細胞から流出する警報物質を他の個体が嗅
覚器で受容して危険が伝達されるからとされております。

 アブラハヤを使ったフリッシュ博士(ミツバチの社会行動研究でノーベル医
学生理学賞受賞)の研究が有名ですが、現在ではこれら研究の追試に再現性が
みられなかったことから、警報物質の存在は不確かなものになっています。

 しかし、非骨鰾類のアユやヤマメなども釣り落としたり、捌いた身や体液の
ついた手を釣り場で洗うと釣れなくなることを良く耳にします。

 今回のマダイの例もあるように、魚にはお互いに危険を知らせる何らかのサ
インの存在が示唆されます。

 警報物質の存在は、魚の資源量推定に大きな影響を与えると考えられます。

 現状の資源量推定法は簡単に言いますと、1回目の漁獲と2回目の漁獲では
同じ確率で魚が獲れると仮定し、1回目と2回目の魚の減り具合から漁獲開始
以前の資源量を逆算するやり方を採っています。

 もし、1回目より2回目の方が魚は警戒して漁獲される確率が著しく低くな
れば、漁獲の強さは過大に評価され、資源量は過小に評価される恐れがありま
す。

 つまり、本当は魚は居るけど獲れない魚は居ないと評価してしまうのです。

 魚の獲れない原因が資源の減少にあるのと、魚の警戒心の増大にあるのとで
は対処する考え方も方策も違ってきます。

 魚の警戒心を資源量推定法に組み込むには、まずは警戒物質の存在と影響範
囲、影響継続時間等といった魚の群集行動学的な基礎的な地道な調査研究が必
要であり、今後もこうした謎を解明するための努力が必要不可欠と思われます。

(前回)池のマダイの警戒心?(その1)vol.63
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p583003.html
大池とマダイの写真
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p784530.html
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○魚は暑い時をどう過ごすか。
 今年の夏は記録的な猛暑が続き、東京、横浜、千葉などでは年間真夏日の記
録を次々と更新し、暑さで体調を崩された方も多かったのではないだろうか。

 それでも我々人間は、恒温動物であるため多少暑くても汗を流して体温を調
整できるが、変温動物である魚は体温の調節ができないため、好ましくない水
温帯から逃げ出すほかはない。

 これは、水温によって釣果がずいぶんと変わってしまうことをご存知の釣り
人であれば、納得されるのではないだろうか。

 近年、地球温暖化の影響で海水温が上昇しているとの話をほうぼうで耳にす
る。

 それに加え、関東近海ではここ数年来黒潮が接岸しており、その影響で漁場
の水温は平年よりも1-2.5℃程度高く推移している。

 水温が上昇すれば、そこに生息している魚類にも影響が及ぶことは容易に想
像できる。

 黒潮の接岸傾向が始まって以降、伊豆諸島周辺のキンメダイ漁場では不漁が
続いている。

 不漁の原因は様々考えられるが、この内の1つに前述の水温の上昇が考えら
れる。

 調査船でキンメダイ漁場の水温を観測したところ、0m,100m,200m層とも
平年に比べてかなり水温が高いことが分かった。

 通常、キンメダイは7-16℃程度の水温帯に生息していると考えられている
が、現在の水温はこれを上回っているため、キンメダイはより低い水温帯を求
めて、より深場か、黒潮の影響が少ない場所へ移動している可能性がある。

 人間も夏になると避暑と称して、涼を求めて山や北の地に出かけるが、キン
メダイの場合も水温が高くなるとより涼しい場所を求めて移動していることが
考えられる。

 しかし、一方で、キンメダイは漁場からあまり移動せずに、その成長変動
(耳石)はエルニーニョなどの水温変動とよく連動するとの報告もある。

 水温依存型の移動説か、あるいは水温無視型の不動説か、どちらが正しいか
は今後の研究課題であるが、いずれにしても漁業の効率を高めるためには、水
温変動に伴う魚群行動の変化について研究していくことが肝要であろう。

 水温上昇に伴う魚類相の変化に関する研究事例は当研究所ホームページ
 相模湾の温暖化に関する一見解(pdf形式,60k) (三谷勇博士)をご参照下さ
い。
/uploaded/attachment/500123.pdf

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[イベント情報]
●三崎港町まつり:10月24日(日曜)
http://www.miura-cci.com/event/sakana/index02.htm
●小田原さかなまつり:10月31日(日曜)
http://www.city.odawara.kanagawa.jp/suisan/event/event2.html
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[ウ-ミイPRのお願い]
 豊かな海づくり大会かながわ実行委員会では、大会のPRのため、ウ-ミイ
及び大会テ-マの普及をお願いしています。
 また、ウ-ミイグッズを販売していただける企業を募集しております。

詳細は、第25回全国豊かな海づくり大会ホ-ムペ-ジへ
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/suisan/umidukuri/top.htm
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[編集後記]
 現在、当研究所ホームページの新コ-ナ-を準備中です。
 「市場を歩く(仮題)」として、市場調査の際に撮影したり取材したことに
ついてご紹介するものです。近日中に公開できると思いますので、お楽しみに
していてください。
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■水総研メールマガジン(毎週金曜日発行)
■配信の変更、解除は、こちらから↓
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/mailmag/

発行:神奈川県水産総合研究所 企画経営部 担当 小川
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2311
ご意見・お問い合わせ:fish.415@pref.kanagawa.jp

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