神奈川県水産総合研究所 メルマガ083

掲載日:2014年3月13日

神奈川県水総研メルマガ VOL.083 2005-3-4

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/KN/ 神奈川県水産総合研究所メールマガジン  VOL.083 2005-3-4
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□□研究員コラム
・イセエビの種苗生産試験に携わっていた頃(栽培技術部 今井 利為)
・漁業者Aさん(海洋情報部 高田 啓一郎)
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○イセエビの種苗生産試験に携わっていた頃
 イセエビは、腰が曲がるまで長生きしたいとの願いにあやかってお祝いの膳
に使われます。

 近年では、お正月や結婚式で用いられることも少なくなりましたが、民宿や
磯料理店で食べた方も多いと思います。

 このイセエビは、お造りも美味しいものですが、私はその甲羅でダシをとっ
た味噌汁が最高の味と思います。価格も高く、その増殖を目指した幼生飼育試
験が明治時代から試みられてきました。

 イセエビは、未だに、浮遊幼生時代の生態が分かっていません。

 生息域は、太平洋の鹿児島県から千葉県の黒潮流域沿岸に限られ、黒潮の支
流である対馬暖流域沿岸である日本海では冬の低水温に耐えられないためか漁
獲されません。

 母エビのお腹に抱えられた卵から孵化した幼生は、フィロゾーマと呼ばれ、
体長は1.5mmと小さく、べっ甲あめのような透明で扁平の形をし、何十回もの
脱皮をして、親エビと同じ形のガラスエビ(プエルルス)と呼ばれる段階にな
ります。

 1999年に三重県水産技術センターで始めてフィロゾーマをガラスエビにする
ことに成功し、その後、国の水産総合研究センター南伊豆事業所で年間数百匹
のガラスエビと呼ばれる段階まで育てることが可能になりましたが、今でもイ
セエビはウナギとならんで最も種苗生産が難しい種類の一つです。

 この幼生をガラスエビと呼ばれる段階まで飼育する技術が1970年当時確立し
ていませんでした。

 それを飼育する水槽、餌が大きな課題で、神奈川県水産試験場では、幼生飼
育の技術開発をしていました。

 飼育水槽には、最初、5リットルくらいのガラスボールに幼生を一尾ずつ収
容し、毎日、飼育水を交換していました。

 ところが、この方法は沢山の数の幼生を飼うのには、はなはだ厄介で、飼育
水を流水にできる構造に改善されました。基本はガラスボールと同じ半球状の
水槽に注水口と排水口を備え、順流式となっていました。

 この水槽に7-8月にふ化したフィロゾーマを収容し、餌としてブランイン
シュリンプの幼生を初期の段階で与えます。

 成長するにしたがって、ブランシュリンプをエビオス、黄な粉、スキムミル
ク、珪藻などで育て大きく育ててからフィロゾーマに与える方式、生シラスを
三枚におろして与える方式といろいろ試みましたが、いずれも失敗。

 次にアユ、スズキ、マコガレイのふ化稚魚を与える方式。これも失敗。最後
に、毎日、海へ出てプランクトンネットを半日、曳網し、矢虫(サジッタ)と
呼ばれる動物プランクトンを選り分け与える方式で、フィロゾーマの最終齢期
とされる段階まで育てることができました。

 夏から飼い始め、秋になり、お正月を過ぎ、桜が咲き、花が散った4月下旬
になっていました。この段階で体長は29.4mmでした。

 人間の方は約9ヶ月の間、休まず飼育するので精魂尽き果てて、二度と飼育
したくない心境となりました。

 神奈川県では今、イセエビの飼育試験を行っていませんが、三重県と南伊豆
事業所でムラサキイガイの卵巣を投餌し、回転ドラムのような飼育水槽でフィ
ロゾーマをガラスエビに数百匹育てることが可能となっていますが、まだまだ、
種苗を数十万尾生産し放流できる段階に至っていません。

 今でもイセエビの幼生大量飼育技術は確立していませんので、我と思わん人
は挑戦してみてください。
                       (栽培技術部 今井利為)
イセエビとサジッタ
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582964.html
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○漁業者Aさん
 皆さんは漁業者・漁師というとどのようなイメージを思い浮かべるでしょう
か。

 演歌などで歌われるように「威勢がよく」「竹を割ったような性格」また
「よく酒を飲む」などが一般的なイメージではないでしょうか。

 私は、水産業改良普及員(漁業者に漁業技術を指導する職員、実際には教え
られることも多い)をしていたこともあり、これまで沢山の漁業者と知り合い
になりました。

 中には歌に歌われるような漁業者もいますが、物静かで温厚な方も大勢いま
すし、酒は嫌いという人も勿論います。

 皆さんが抱いているイメージは、歌の中の世界に過ぎないと私は思っていま
す。

 また、自然を相手の仕事をしているためか、表・裏のない方が多いとも感じ
ています。
 今回は、そのような漁業者の一人、私が普及員時代に知り合ったAさんを紹
介をします。
 小さな漁船で沿岸漁業を営むAさんは、優しくて真面目、また、漁業技術の
改良などに熱心に取組む方で、20代の新米普及員である私などにも親切にいろ
いろなことを教えて下さいました。

 先日、ある会議で久し振りにAさんにお会いしたとき、こんな話をしてくれ
ました。

 Aさんは、ふとしたことから某有名歌手が所属する事務所の社長さん(今は
亡くなられている)と知合いになりましたが、社長さんはAさんに惹かれるも
のがあったのでしょう、クルーザで三崎へ来るたびにAさんを訪れるようになっ
たそうです。

 そうこうする内にAさんの人柄と実力に余程惚れ込んだのか、あるとき「1
億円を出すから好きなように使って事業を始めないか、成功してもしなくても
良い」と言ったそうです。

 普通の人なら、棚からボタ餅、すぐに飛びつくような話ですが、Aさんは
「自分はそのような処遇を受ける筋合いではない」と言下に断ったそうです。

 社長さんはそれから益々Aさんを気に入り、Aさんがクルーザへ行くと、普
段は神様のように業界に君臨している社長さん自らがAさんの肩を揉んだりす
るので、周りの人達は不思議がったそうです。

 拝金主義が横行し、新聞紙上を賑わす今日この頃ですが、私はAさんの話を
聞いて嬉しくなりました。
(海洋情報部 高田 啓一郎)
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[イベント情報]
アマモ場移植会のお知らせ -一人一株ずつアマモ移植に参加しませんか-
日時:平成17年3月5日(土曜)08:30受付開始
集合場所:横浜市金沢区金沢漁港
申し込み期限:平成17年2月28日
申し込み・問い合わせ先:NPO法人海辺つくり研究会

http://www.amamo.org/
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[コメント募集]
第5次神奈川県栽培漁業基本計画(案)について
御意見、御提案を募集しています!
〇募集期間:平成17年2月17日(木曜)から平成17年3月18日(金曜)まで
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/suisan/saibai/iken-bosyuu.htm
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[最近のホームページ更新情報(2日25日)]
市場を歩く!その三十七を掲載しました。横浜市漁協柴支所です。
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[編集後記]
 公開講座「かながわ 海・さかな塾」には、たくさんの方にご参加いただき
ました。ありがとうございました。現在、アンケートを集計しているところで
すが、多くの方にご満足いただけたようです。
 しかし、お申し込みを含め不備な点も多くありました。反省点として次回に
は改善していきたいと思います。

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