神奈川県水産技術センター メルマガ100
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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン VOL.100 2005-7-15
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□□研究員コラム
・町のアユ研究者
(内水面試験場 蓑宮 敦)
・コイヘルペスウイルス病
(内水面試験場 原 日出夫)
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○町のアユ研究者
(内水面試験場 蓑宮 敦)
アユ釣りのシーズンが終わり、冬の寒さが厳しくなるころ、毎年試験場には1通の手紙が届きます。
それは、Kさんからです。Kさんは、ご自分の釣りから得られた経験と釣り仲間や釣り雑誌から得た情報をもとに、主として相模川水系のアユを研究しています。
Kさんの手紙には、相模川水系のアユに対する独創的な考察と、試験場への調査結果の提供依頼や質問が2ページにわたり書き綴られています。Kさんの質問は、アユの生態のみに留まらず、魚類生理、種苗生産技術、病気など多分野にわたるため、とても私の知識だけでは対応できません。ですから、Kさんへの回答は、試験場に来場していただき、私と魚病担当の研究員、種苗生産技術担当の研究員と直接討論しております。
私はKさんとお話するたびに、釣り人の鋭い洞察力やアユに対する情熱と探究心を目の当たりにし、心地よい感動を得られます。研究者としても、とても良い刺激を与えていただいています。
アユに関係するホームページをみると、Kさんのように独自でアユの研究をされている方は結構多いようです。それだけ、釣りの中でもアユは釣り人を魅了してやまないことが良くわかります。
現在、内水面試験場では、アユ資源の変動要因を解明するための調査を行っていますが、この方のような、熱狂的なアユマニア(?)の方々のためにも、神奈川県のアユ資源の保護・増大に役立てられる研究成果が得られるように頑張ります。
写真:熱狂的なファンが多い、アユ釣り風景http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p782664.html
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○コイヘルペスウイルス病
(内水面試験場 原 日出夫)
コイヘルペスウイルス病は、1998年に米国とイスラエルで確認された新しいコイの病気で感染力が強くへい死率も高い病気です。
日本では2003年に国の特定疾病に指定されましたが、この年の秋に霞ヶ浦で発生してから、これまで39都道府県で確認されています。一見、全国にまん延したように思えますが、全国の1級・2級河川の総数に対する発生した河川の割合では数%とのこと。また、未発生の河川養殖場や発生後消毒を十分に行い再出発を果たした養殖場等があり、引き続きまん延防止対策が実施されています。
本県の河川では、2004年春に鶴見川で初めて発生が確認されました。以後、立て続けに多摩川や境川など県東部を中心に9水系で発生し、回収された死魚は合計で2万尾を超えました。幸いなことに、2005年は本県では前年のような大量へい死は起こっていません。今のところ、再発が確認された河川は1つだけで、被害もごくわずかです。
コイヘルペスウイルス病の病原体は、文字どおり、コイヘルペスウイルスと呼ばれるウイルスです。
このウイルスは、コイの細胞以外では増殖できません。このため他の魚種では発病しませんし、もちろん人間が感染コイを食べても問題ありません。コイにとっては迷惑な話ですが、とても一途な性格(?)なのです。また、周年発生する訳ではなく、好みの水温があるようで、18-25℃位が最も発生しやすく、春や秋に発生が多く見られます。人為的に感染させて低水温で飼育中は発病しなかったが、水温を上昇させたら発病したとの研究報告があります。
北海道でも一冬を越えて、水温が上昇してから発生した事例がありますので、コイの体の中で半年以上潜伏していたことになります。また、感染コイを一定期間30℃程度の高水温下に置いた場合や感染後生残したコイは免疫を獲得すると考えられておりますが、これらのコイは元気でもウイルスを保有している可能性があり、未感染エリアに放たれると周りのコイを発病させる恐れがあるので慎重に対応しなければなりません。
新しい病気であるため、知見が不足しています。このため、現在の主な対策は感染コイを未感染エリアに移動させないことや消毒を十分に行うことです。今後、関係機関と協力して対策研究を進めるとともにまん延防止を図ります。
-----------------------------------------------------------------[最近のホームページ更新情報(7月15日)]
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[編集後記]
三浦半島の各浜では磯根での潜り漁が始まり、アワビは少ないもののサザエは大量に揚がっているようです。
しかし、浜値は千円を大幅に割り込むほどの安値で、まるで大漁貧乏の感があります。
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