神奈川県水産技術センター メルマガ116

掲載日:2014年3月11日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.116 2005-11-4

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.116 2005-11-4
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□□研究員コラム
・イワムシの話
                 (栽培技術部 今井利為)
・江の島丸竣工記念
              (資源環境部 樋田史郎)
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○イワムシの話
                 (栽培技術部 今井利為)

 イワムシは、釣り餌として人気が高く、国内の生産地が埋め立てなどにより減少し、品不足のため高価で取引され、韓国、台湾などから輸入されている多毛類です。このイワムシ種苗の生産研究を1970年代当時に手がけたときのエピソードを紹介します。


 イワムシの増殖は私の先輩から引き継いだ課題でした。イワムシは、20×30×20cmの水槽に10cmほどの土を入れて、イワムシを20-30尾収容し、餌は海藻のカジメ、アサリの剥き身などを与えて、流水で飼育しました。


 先輩はイワムシの卵は塊で産卵するとしていました。担当して1年目、飼育している水槽の土表面をじっと観察していました。しかし、それらしき卵塊はみられませんでした。2年目、夜間、水槽を産卵期と思われる5-6月に干出し、翌朝、海水を満たすことを繰り返しました。土の表面にイワムシの巣穴が開いていて、注水にともなって、その巣穴から海水が吹き出てきます。その場所を注意深く観察していると、茶色のごくごく小さな粒がぽろぽろと吹き上がって小さな円錐状の山ができます。この小さな粒を顕微鏡で観察すると赤い眼点が2つある0.3mmの球体が見えました。これぞ、外国の文献でイワムシの近縁種で記載されたいたものとそっくり。卵塊ではなかったのです。


 これで得られる受精卵の数は2-3万粒くらいで、もっと大量に受精卵を得る試みをしました。メスのお腹を切開して卵、オスのお腹を開いて精子をとり、人工受精をしましたが、発生が進みません。また、アワビ等の産卵誘発で用いる紫外線流水殺菌灯照射海水に親虫を入れても一向に生む気配はなし。さらに、水温の上下を繰り返す方法、ウニで用いる塩化カリウム刺激などを試みましたがいずれも失敗。結局は、自然に生ませる方法に戻っていったのです。


 この小さな球体の発生状況を観察していると、おもしろいことが分かりました。多毛類はトロコフォアーと呼ばれる幼生を経て、親と同じ形態になります。イワムシは他の多毛類と比較すると卵が大きく、プランクトン生活をする期間が2日と短く、沿岸の岩場や干潟に定着するに合ったライフスタイルをとります。


 イワムシ初期の生態・発生形態を明らかにすることはできましたが、種苗生産の技術を開発することはできませんでした。その後、全国各地から私の報告を見て、種苗生産や養殖の試みをする人からの問い合わせがあり、養殖にまでもっていった人もいるようですが、採算性の点で、経営が成り立っているという話は聞いたことがありません。親虫の大きさになるまで幼生から最低2年、普通3年間ぐらいの時間を必要とし、養殖種としては不適とみています。イワムシはやはり、広大な浅い海でのんびりと育つ環境が必要な種類の多毛類のようです。


写真 イワムシの卵、初期発生過程
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582907.html
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○江の島丸竣工記念
                     (資源環境部 樋田史郎)

 長きにわたり議論を繰り返された「江の島丸」の代船検討が、ついに計画として認められ、昨年度から今年度にかけて、設計、建造と進んでまいりました。ブロックに分割して建造され、ブロックが完成すると、あっという間に接合されて船の形が姿を現し進水しました。進水後の工程も、限られたスペースにたくさんの機能を盛り込んでおり大変な工事なのですが、急速に完成に近付き、10月の上旬に試運転、21日に竣工となりました(竣工式と一般公開は11月1日)。


 さて、本記事のタイトル「竣工記念」ですが、私的に記念品を作っているところです。記念品は伊万里焼(藍鍋島)の記念絵皿です。


 絵皿は、私が懇意にしている伊万里の窯元で作ってもらいます。現在のところ、休日に少しずつ描いた絵柄の原案が先日出来上がり、窯元に渡して実際に絵皿にする際に必要な編集してもらっています。絵を磁器に載せるには、呉須と地肌の藍と白、紙と鉛筆の白と黒の色の取り合わせが大きく異なるので、専用の版下を作ります。また、絵は転写プリントにするため、何段階かのトーンに分解してプリント原版を作ります。これらの工程も自分で作るつもりでしたが、休日の作業が捗らないうちに船の方が竣工の日を迎え、普通に窯元にお任せすることにしました。絵皿の縁は藍鍋島の手描きですが、見込み(皿の中心部)の絵は転写プリントなので、発注枚数を決める必要があり、これから購入希望者を募るところです。


 以上、竣工した「江の島丸」の建造に代船検討の頃から深く携わってきた思い入れで記念品を作っています、というお話し。


※記念絵皿の見本
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582908.html
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[編集後記]

 今月の19(土曜)20(日曜)に横浜市のみなとみらい地区で第25回全国豊かな海づくり大会が開催されます。 かながわの漁業を知る、かながわの海の未来を考える、魚の食文化を考えるなどのテーマで展示が行われるほか、盛りだくさんのイベントが開催される予定です。皆様のお越しをお待ちしております。

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