神奈川県水産技術センター メルマガ122

掲載日:2014年3月10日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.122 2005-12-16

-- Fish-mag >゜)))< ------------------------
/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.122 2005-12-16
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
□□研究員コラム
・昼夜行性のハムスター
                 (内水面試験場  井塚 隆)
・貴重な体験
             (内水面試験場  原 日出夫)
----------------------------------------------------------------
○昼夜行性のハムスター
(内水面試験場  井塚 隆)

 世の中、研究分野も多岐にわたれば、研究者の個性というのも多様です。皆さんは「研究者」と聞くと、どの様なイメージをお持ちでしょうか?私が研究を始めた頃は、とかく見たことのないような人たちばかりで、戸惑う毎日を過ごしておりました。


 とある研究所に1年間修行に出る機会がありました。初日に研究室を見学させてもらった時のことです。少々薄暗い部屋の中にデスクが2列整然と並んでいました。でも、ただならぬ違和感があります。一番奥のデスクが三次元的に新聞紙で埋め尽くされているのです。きれいに積まれているのではなく、一枚ずつがクシャクシャで、まるでハムスターの寝床のようです。


 ゴミ捨て場かと思いましたが、ハムスター氏はその中に居ました。肩から上だけ見えていたので怖々と挨拶すると、「オウッ・・」とだけ返事をしてくれました。初日にして気が滅入りましたが、「きっと、寒がりなのだろう。防寒対策なのだろう・・。」と観察結果から仮説を立てて帰路に就きました。初夏の汗ばむ日のことです。


 ハムスター氏はいつ寝ているのか分かりませんでした。私がいくら朝早く来ても、終電で帰ろうとも、姿を見ないことはありません。ある日、実験が長引いて帰ることができなくなり、ハムスター氏の本当の寝床に泊めてもらうことになりました。あと数時間で朝日が昇る丑三つ時、徒歩3分で到着です。アパートの部屋にもやはり新聞紙があり、こちらはきちんと束ねて、床全面に敷き詰められています。目を盗んで掘り起こしてみましたが、ついに床を発見するには至りませんでした。


 この上に寝転ぶと天井が近くて圧迫感を感じましたが、インクの香りが疲れた体に染み渡り、心地よく寝ることができました。早起きして3分間の散歩を済ませた後に、さっそく研究を開始したのは言うまでもありません。ハムスター氏はどうやら昼夜行性で、このように毎日、昼夜問わず研究に没頭しているようでした。


さて、私が研究者として初めて提唱した仮説は、やはり間違いでした。ハムスター氏は貝類の研究者だったのです。クシャクシャ新聞紙はマイマイに与える餌なのでした。私はその中にキャベツ葉の断片や糞が混ざっていた事実を見逃したまま推論してしまったのです。『研究には細やかな観察眼と慎重さが必要とされる』ことを初めて学んだのでした。


 勿論、ハムスター氏が一流の研究者であることは記すまでもありません。図らずも初めて出会った研究者が氏であり、その強烈な印象は刷り込み現象の如く、それ以降も私が研究を続けるに十分な原動力を与えてくれました。


 私は研究が好きですが、個性的な研究者もまた大好きです。


-----------------------------------------------------------------
○貴重な体験
 (内水面試験場  原 日出夫)

 魚はおいしいですよね。例えば,アユやヤマメを竹串に刺して粗塩を振って,炭火でじっくり焼く。そのうちに香ばしい匂いが漂ってくる。皮はパリッとして身はホクホクの塩焼き。食べたいですね。それから,ワカサギのフライ。上品でやわらかい白身,揚げたてのアツアツを食べると骨までおいしくいただけます。


 このようにおいしい魚ですが,食材であるとともに生き物でもあります。生き物が死んでしまうと魚に限らず腐敗が進行します。こうなるとおいしい話はなくなり、恐ろしいことに・・・。今回は,私が魚病担当者となって間もないころ,川で魚類の死亡事故があり,死亡魚の病理検査を行ったときの貴重な体験をお話します。


 ある日,電話が鳴りました。「○○川で魚が大量に死んでいます。回収した数尾を持ち込むので検査願います。」私は急遽,予定していた仕事を全て中止し,検査の準備をして検体の到着を待ちました。やがて,二重のビニール袋に保管された検体が到着しました。泥などが体表に付着しており,さっきまで川で横たわっていたことをリアルに感じました。たまに,腐り果てて検査不能という検体がありますが,これは比較的新しく検査可能のように見えました。


 運搬した職員から現場の状況を聞き取り,いよいよ検査です。その袋を実験室の流しに持って行き,ラテックス手袋を付け,開封しました。眼球は若干白濁,体表に過剰の粘液,そして,不快な匂いを若干感じましたが、気にしないようにして内部検査に移りました。このとき,今なら絶対にしないことを当時の私はしてしまいました。解剖しやすいよう検体の真上に顔を置き,なんのためらいも無く腹部にはさみを入れました。そして,さらに内臓の状態を見るために顔を近づけて開腹した瞬間。アレは来たのです!


 まず,「ドンッ」という衝撃が鼻の奥に来ました。具体的に表現すると,ありえないことですがグーのパンチを鼻の奥に当てられた感じです。私は,アッパーカットを食らったボクサーのように,そのままのけぞり,顔をゆがめ,まだ鼻の奥にアレの存在を感じたまま一歩後退して衝撃に耐えました。しかし,ダメージは続きます。衝撃こそ消えましたが,今度はいつまでもアレが鼻に残るのです。夕刻でお腹がすいていたのですが,一気に食欲が無くなり,今日はもう何も食べたくない,食べられないという状態になりました。


 匂いのことを臭気といいます。あれは「臭撃」と表現したほうが良いでしょう。これは,ノンフィクションです。数年前の体験が今も事細かに思い出せる。そのくらいのインパクトでした。私はこの貴重な体験から,それ以降検体を開腹するときは息を止め,絶対に顔を真上に置くことはありません。そう,絶対に!


-----------------------------------------------------------------
[最近のホームページ更新情報(12月16日)]

-----------------------------------------------------------------
[編集後記]

12月に入り江ノ島沖水深20mの場所で潜水調査をしたところ、そこの水温は19度。翌日、おなじ江ノ島の水深6mの場所で潜水すると「つ、冷たい!?」

あわててダイビングコンピュータを見たら水温は16度。3度違うとじわじわ寒さが身にしみてくる。頭も冷やされ冴えわたる(?)

-----------------------------------------------------------------
■水総研メールマガジン(毎週金曜日発行)
■配信の変更、解除は、こちらから↓
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/mailmag/

-----------------------------------------------------------------

発行:神奈川県水産技術センター 広報部会
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2311
ご意見・お問い合わせ:fish.415@pref.kanagawa.jp

-----------------------------------------------------------------

メルマガTOPへ

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター です。