神奈川県水産技術センター メルマガ132

掲載日:2014年2月27日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.132 2006-2-24

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.132 2006-2-24
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□□研究員コラム
〇「水産物のジャストインタイム生産は可能か?」
                    (栽培技術部 一色 竜也)
〇年齢を推定するのに必要なものは?
                     (資源環境部 秋元 清治)
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○「水産物のジャストインタイム生産は可能か?」
                    (栽培技術部 一色 竜也)

 私は良くコンビニエンスストアーを良く利用します。昼の弁当やお茶、コーヒー、最近ではトイレも利用することができ、まさに私にとって「便利な店」という名の意味はぴったりなのです。かつて大型店が郊外に進出した時代、店舗面積の限られた小売店は圧迫された話を良く耳にしました。しかし、今は逆に小売店並の売り場面積しか持たないコンビニエンスストアーが台頭してきています。公共料金の支払いからチケットの予約、さらに銀行の出入金まで、その便利さは留まるところを知りません。そして本当に凄いと感じるのは、欲しいものが大概何でも揃っているというところです。急なお通夜で香典袋が必要になった時、ついでの筆ペンまで揃ってしまいます。荷紐やガムテープ、画鋲といったものまで置いてあります。普段は使いそうに無いけどいざと言うとき必要になる物(画鋲はちょっと疑問ですが)がほぼ揃っているような気がします。それもあの限られたスペースに十分な数だけ並べられているのです。まるでこちらの消費行動を知り尽くしているかのようです。このことを逆に考えれば、そこを利用する消費者があまり買わない物は一切置いていないことを意味します。生鮮品等もばっさり切り捨てているのに、何故か不便ともなんとも思わせず、何でも揃う「便利な店」として立ち寄らせるのです。

 店の品揃えが不十分でお客が欲しいものを入手できないことを機会損失と言います。大型店舗ではその空間を活用して品揃えを充実させ、余裕をもって在庫をストックしておくことができ、これによって機会損失を出さないことができます。そのため店舗の限られた小売店に比べ機会損失が生じにくいといえます。また、大量に商品を買い付けることで、生産の稼働率を向上させ仕入れ値を安く抑えることができます。一方コンビニエンスストアーは一般的な小売店と同様スペースが限られており、品揃えや在庫を持って機会損失を防ぐことはできません。しかし、いつでも何でも揃うと私のような消費者に思わせられるのは、この機会損失を生じさせない別の工夫があるのです。

 スペースすなわち3次元空間が限られていますが、もう一次元、すなわち時間軸を加えているのです。在庫は機会損失を防ぐバッファーの役割を果たしますが、逆にその資産価値は時間とともに減少して行きます。特にデフレ下では品物の価値は瞬時に下がっていくため、不良債権が増大するリスクを負っているといえます。機会損失を出さず、在庫も減らすには、必要な時に必要なものを必要なだけ生産するジャストインタイムの生産が必要になります。しかし、ジャストインタイムの生産は、供給側にとっては原料から加工、製品化への工程を消費のサイクルにあわせることになります。各段階で生じるタイムラグをここでも在庫を持たずかつ機会損失を出さないということは、最も時間のかかる工程に個々の工程のサイクルを併せることになり、個別の効率は低下してしまうことになります。また、この時間の最もかかる工程さえも需要のサイクルに併せることは、生産効率そのものを下げてしまう結果になりかねないといえます。しかし、生産効率を低下させても在庫を持つリスクの方が大きいため、ジャストインタイムの生産にシフトしてきているのです。それは、消費者のニーズが多様化し、先を見通すことが困難になっているからです。

 ニーズにしたがって供給を行う。当たり前のような話ですが、漁業生産はこれと全く異なっています。そもそも漁業は天然資源を相手にしているため、その生産は本質的に不安定です。今日漁獲できても明日獲れるとは限りません。また、一部の冷凍品を除いて、特に沿岸漁業が対象とする魚種は通常、生鮮品か活魚で流通します。これらは在庫としてストックすると鮮度や品質が落ちるためリスクが生じます。つまり、機会損失を防ぐために在庫を持つことさえできないのです。(つづく)

● 「定置網の水揚 漁業生産は魚種も量も不安定だが・・・・。」は下記からどうぞ!

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582879.html
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○年齢を推定するのに必要なものは?
                     (資源環境部 秋元 清治)

 外見から年齢を言い当てることはなかなか難しい。特に、女性の年齢を推定したりすることは危険ですらある。また、人の中には便宜上年齢を詐称する人物も多く、そうなると正確な年齢は戸籍を確認しなければ分からないことになる。

 ましてや戸籍もなく、口もきけない魚の年齢を正確に言い当てることは難しい。しかし、方法がないわけではない。魚の場合は、鱗や耳石などの年齢形質と呼ばれる部位を調べることで年齢を言い当てることができる。

 一般に、木の樹齢が切り株の年輪を数えることで推定できることは広く知られている。しかし、魚の鱗や耳石にもこのような輪紋(透明帯と不透明帯のセット)が1年に1回刻まれていことは以外と知られていないようである。(写真1はキンメダイ耳石の輪紋)

 魚の年齢も木の場合と同様に、これら輪紋(年輪)を数えることで推定できる。しかし、耳石の場合、その形状は魚種によって様々で、そのままの状態では輪紋が見えないものが多い。このため、輪紋を正確に読み取るために耳石を様々な角度から削ったり、熱を加えてコントラストをつけたりと様々な試行錯誤を行うこととなる。

 さらに、研磨した耳石の表面を酸でエッチングし(凹凸面をつける)、顕微鏡で50-1000倍に拡大して観察するとより微細な輪紋が見えてくる。これが、1日に1本形成される日周輪である。この日周輪を観察することで、魚の誕生日やより詳細な成長履歴を推定することが可能となる。(写真2はキンメダイ耳石の日周輪)

 しかし、日周輪の観察は年輪よりもさらに手ごわく、耳石の研磨部位、研磨方法にさらなる試行錯誤が必要となる。このようにして、実験室に閉じこもっては、耳石を削り、顕微鏡をのぞき、削ってはのぞき、削ってはのぞき・・・・という作業を延々と繰り返すこととなる。魚の年齢を正確に推定するためには、なによりも粘り強さが要求されるようである。

● 「キンメダイ耳石の写真」は下記からどうぞ!

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582880.html
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[最近のホームページ更新情報(2月24日)]

市場を歩く!その百十九、百二十を掲載しました。

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[編集後記]

梅は咲いたか、桜はまだかという季節になってきました。

今、内水面試験場では、初春の風物詩といえるワカサギの採卵が始まってます。

当場のワカサギの採卵は、従来の搾出法ではなく、「人工水路システム」によって行われます。この方式は、少人数で良質の受精卵が大量に得られます。

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