神奈川県水産技術センター メルマガ135

掲載日:2014年2月27日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.135 2006-3-17

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.135 2006-3-17
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□□研究員コラム
〇種苗生産を支える名脇役(10)
                    (栽培技術部 山田 敦)
〇ナメクジウオという生き証人
                    (企画経営部 中村 良成)
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○種苗生産を支える名脇役(10)
                    (栽培技術部 山田 敦)

 魚介類の種苗生産では飼育温度の適温化や生物の特徴を利用しながら効率よく生産を行う為などで水温コントロールすることがあります。今回、加温をテーマに上げましたが、生産施設では主に餌料培養と魚介類の初期飼育で用いられていると思います。

 魚介類は変温動物であるため、外界の温度に適応し生活しており、ヒラメ成魚の場合、範囲は広く10℃以下から30℃ぐらいまで生きていることはできます。当然ながら最適な環境であると成長は早く、1年で40cm近くになることが知られています。ヒラメ仔魚を極端に低い水温で飼育すると成長不良、生産不調や体色異常を起こすことが報告されています。

 本県ではヒラメを4-7月に6cm以上で放流するため、2-4月ごろから生産を開始することになりますが、2月の自然海水温は11-13℃とヒラメ仔魚飼育には非常に厳しい水温となります。そこで少なくとも初期仔魚飼育では加温を行います。

 生産施設の加温設備には、熱帯魚飼育でおなじみの電気ヒーター、コンプレッサーを利用したヒートポンプ(エアコンと考えてください)、化石燃料を燃やして熱源を得るボイラ(簡易タイプの温水ヒーター)などがあります。

 当種苗生産施設では、電気ヒーターと温水ヒーターが設置されています。電気ヒーターは単相100V及び単相200Vで容量1000-3000W、材質は強度・耐腐食性に優れたチタン材を使用しています。サーモスタットと併用して小規模な餌料培養や仔魚飼育で使用し、簡単に取り外しができますが、空焚き及び漏電に注意が必要です。

 温水ヒーターは、真空式で缶体内を減圧状態にして水を100℃以下の低温で沸騰させ、その蒸気を熱源として熱交換器により温水を発生させます。この温水を循環ポンプにより水槽内に設置した加温パイプ(チタン材)へ流し海水を加温します。当所には出力13万Kcal/h×2台が設置されており、大規模な培養や飼育で使用します。

 これらも今まで紹介した機器と同様に、種苗生産期間中は24時間休むことなく稼動し、餌料培養や飼育を支えています。

● 「種苗生産を支える名脇役」は下記からどうぞ!
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582874.html

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○ナメクジウオという生き証人
                     (企画経営部 中村 良成)

 「ナメクジウオ」という動物をご存知でしょうか?「ウオ」とありますが魚ではありません。大きくても全長7cm位でミミズを平たくしたような型で体は半透明、尾鰭以外に鰭はなく、眼もなく(眼点という光を感じる器官があるのみ)、魚にもナメクジにも似ていない何でこんな名前が付けられたのか不思議な生物です。(「ナメクジウオ」でインターネット検索をかけてみてください。色々な画像が見られるでしょう。)ふだんは浅海(潮間帯から水深数十m位まで)の海底の砂の中でじっとしているだけですが、繁殖時などには尾鰭を使って結構泳ぎ回るとか。分類学的には「頭索動物」と呼び、ナメクジウオだけで一つの「亜門」を形成しています。脊椎の前段階である脊索を終生持つことから、脊椎動物への進化過程を伝える生き証人として、進化生物学的にも遺伝学的にも近年脚光を浴びている貴重な生物です(結構進化した生物なのです)。

 ナメクジウオは潮通しの良いきれいな砂底にしか生息できないため環境の悪化にとても弱く、全国各地で生息地が消失しています。愛知県蒲郡市と広島県竹原市の生息地は天然記念物に指定されているほどです。「昔は神奈川県でもナメクジウオが採集できたんだよ、それだけ海がきれいだったということだろう。」かって、先輩研究員からこんな話を聞かされました。神奈川県にもナメクジウオがいたとは、にわかには信じがたい話でした。

 さて、約10年前、わが水産技術センターが新館に引っ越すための整理をしていた時のこと。ラベルの不備や管理者不明で廃棄予定の標本瓶の山を何気なく見ていたら、その中に何と1尾のナメクジウオのホルマリン標本がありました。残念ながら標本瓶には「金田湾」と書いたラベルが張ってあるだけで採集年月日などそれ以上の情報はなく、学術的な価値は低くなってしまいますが、まさに神奈川の海がきれいだったことを伝える生き証人です。「これは捨てるわけにはいかない。」慌ててその標本瓶を回収しました。その後、先輩諸氏に聴き回ったところ、どうやら昭和50年頃に行なった底生動物調査の際に三浦市の金田湾沖で採取されたものである可能性が高い、という結論になりました。

 近年は開発も一段落したためか、瀬戸内海などを中心に「ナメクジウオの生息地が見つかった・復活した」と言う話がぽつぽつ聞かれるようになり、一頃言われた「日本から絶滅するのでは?」という恐れは回避されたようですが、神奈川の海ではどうでしょう?本当に神奈川の海からナメクジウオは消えてしまったのか?復活の可能性はないのか?・・・・ いつかそんな調査もやってみたいものですが、人も金もない今の現状では「水産」技術センターには難しいお話のようです。

 (ところで、この原稿を書くに当ってその標本を探したのですが見つかりません!私が4年間県庁へ異動している間に標本室のどこかにまぎれてしまったようです。まずはこれを探し出すことから始めねばなりません。とほほ・・・。)

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[最近のホームページ更新情報(3月9日-3月17日)]
3月9日 漁況予報「いわし」2006年3-4月漁期を掲載しました。
3月14日 トピックス「今年も養殖ワカサギの採卵実験がはじまりました」
    を掲載しました(内水面試験場)。
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[編集後記]

内水面試験場では、毎年多くの見学者が訪れます。

見学者の中には小学生も多いので、子供達にも喜んでいただくために、試験場のメインキャラクターを作りました。

あゆ太くんとあゆ美ちゃんです。

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582875.html
よろしくお願いします。

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